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ヨコヅナサシガメとコアシナガバチ 2003/10/21
昨日のヨコヅナサシガメ幼虫たち、どんな獲物にありついているだろうか?期待して見に行ったが数頭の幼虫いずれものんびり歩いているか、じっと構えているかである(写真上)。1頭だけ幹のしわの間に首を突っ込んだりして、獲物を探す素振りはあった。しかし、どの幼虫を見ても腹部が小さい。ここしばらく満足のいく餌を口にしてない様子だ。今日も卵殻を探してみたが見当たらない。2本並んだクヌギのうち、幼虫の数が多い(と言っても確認できたのは6頭だが)木の方に付いている可能性が高いのだが、産卵に適した窪みとか大きな皺がまずないので、探すにしても絞り込めないから効率が悪い。いずれにせよ他の場所でも幼虫を探してみよう。一方、ベランダのコアシナガバチの巣では、ずっとハチの団子が解けずにいる。晴れて気温が上がると歩き回る者や、私の接近に対して翅をふるわせ威嚇する者がいる程度。またときに飛び立つ者もいるがそれもすぐ巣に舞い戻っているようだ。全体の数は減りもせず増えもせず、と見えるがどうだろう。コアシナガバチのオスバチを私は見たことがない。どうやってメスと識別すればいいのだろうか。
新開 孝

ヨコヅナサシガメ、清瀬市に現わる 2003/10/20
近くの雑木林にクロアゲハの蛹の様子を見に行ってみた。2週間前に見つけた蛹は、まだ無事であった(写真上)。ついでに林の中を少し歩いてみた。戻りかけて林の入り口近くのクヌギの幹でヨコヅナサシガメ幼虫を見つけた!とうとう清瀬市まできたか!脱皮したばかりで体が赤い5令幼虫だ(写真下)。隣のクヌギには3頭。こちらは4令2頭、と5令1頭だ。このサシガメが知人によって町田市で確認されたのが、たしか4年くらい前だったと思う。そのときはえらくびっくりした。私の知識ではこのサシガメの分布北限は滋賀県あたりで、そこから若干北上しているくらい、ということになっていたからだ。あと八丈島にはいつからか棲息していることは聞いていた。その後、多摩市や国分寺市での棲息が今年になって耳に入ってきて、いずれうちの近所でも現われるだろうと思い始めていた矢先である。清瀬市にはいつごろから進出しているかはわからない。しかしこうなると埼玉県内にもすでに分布域を伸ばしていそうだ。冬の越冬集団探しも面白いかもしれない。ヨコヅナサシガメを含めいろんな昆虫にみられる北上分布拡大の現象は、きちんと記録しておく必要を感じる。新開 孝

コアシナガバチ 2003/10/13
昨日ベランダから外に体を乗り出していたら、植え込みの下にアシナガバチの巣があることに初めて気付いた。地面すれすれの低い位置にあって植え込みの茂みに遮られているので、まず人の目に触れることがないであろう。すぐ脇を近所の子供がときたま虫探しなどで通ることもあったのだが、ほぼ完璧にこの巣は安全圏に留まっている。昨日は雨も降り出したので撮影はしなかったのだが、今朝になってようやく雨があがった。さっそく巣の間近にしゃがみ込んで見ると、コアシナガバチの巣であった。無数のハチがびっしりと巣の下部を覆い尽くしている。雨もあったし今朝の気温も低めだから活動できないのだろう。雨水の排水作業どころではないようだ。この季節、そろそろオスバチが出る頃だがどうだろうか。しかしながらずっと今回の発見に至るまで、この巣に気がつかなかったことは悔やまれる。これから少なくとも、冬を迎えるまでの巣の推移はしっかりと見届けたいと思う。
午後からはすっかり晴れ渡り、秋らしいうろこ雲が見事であった(写真下)。雲は強い西風に流されてしまいベランダからは数カットしか写せなかった。新開 孝

アシグロツユムシ 2003/10/09
狭山丘陵の掘内でアシグロツユムシを撮影した(写真上)。ツユムシ類のなかでも山地性なので清瀬あたりの平地林では見かけない。それで少し足を伸ばして狭山丘陵へと赴いたわけだが、この虫は過去にも何回か撮影している。求愛行動を撮影したのはやはり埼玉県の武蔵嵐山近辺だった。しかし、このアシグロツユムシは間近でじっくりと体を見てみると、なんとも微細な紋様が全体にあって、えらく綺麗だということにごく最近気付いたのである。それでなんとかもう一度、きちんと撮影しようということになった。幸い掘内の丘陵(写真下)の林にはけっこうこの虫がいて、なかなか面白い行動も見ることができた。林の南側の陽当たりのよいところで日光浴していたりするから探すのも簡単である。ここの丘陵地は天空をよくオオタカが舞う。近くに毎年営巣もしているようだ。双眼鏡を持って歩く人にもときたま会うから鳥屋さんたちのよく訪れるフィールドでもあるようだ。この時期はサシバやヒヨドリの渡りが見られる。そして虫屋さんにもたまに出会う。去年の5月のことだが一日に3人もの虫屋さんに会ったことがある。3人ともヒゲブトハナムグリの採集が目的だった。このハナムグリは局地的に発生するのだが居る場所ではわんさか飛んでいる。しかしわんさか見つかるのはオスばかりで、メスは極端に少ない。話がどんどん逸れてしまった。この甲虫についてはまたいずれ書き込むことになるだろうと思う。新開 孝

再びモモスズメ 2003/10/05
どんより曇り日だが空掘川遊歩道を少し歩いてみた。ヤマブキからモモスズメ幼虫をもう少し探しておきたかったのだ。そうしたらなんと、黄色型のでっぷりとした幼虫が見つかった(写真上)。図鑑を開いてみるとこの黄色型は極めて少ないと記されていた。体の色が黄色いだけではなく、赤茶色の三角模様も入っておりこれはなかなか鮮烈な印象を受ける。撮影しながら綺麗やなあ、と思う。コブシの梢ではこの秋初めてのカマキリ卵のうを見つけた。ハラビロカマキリの卵のうだ(写真下)。ハラビロカマキリの卵のうは雑木林の南側の梢などでよく見かけるが、冬のあいだに鳥に突かれてすっかり中身を食べられてしまうものも多い。私は一度だけコゲラが突いている現場をみたことがあるが、固い卵のうもキツツキの嘴の威力ならわけのないことだろう。もしも他に犯人がいるとしたら何者だろうか?新開 孝

ムモンホソアシナガバチ 2003/10/02
埼玉県入間郡三芳町にある多福寺の雑木林に行ってみた。林の南側ではムラサキシジミのメスが日光浴していた。ここではシラカシの若葉で幼虫が育つが、このメスはもう産卵することなく冬を迎えるのだろう。アオマツムシが梢のあちこちでにぎやかに鳴いている。林内を巡るうちにヤマザクラのうろを見つけた(写真上)。うろは縦にながくえぐれているが、よく見れば中にムモンホソアシナガバチが多数集まっている(写真下)。何頭いるのか数え切れないほどだが、これは全部、新女王ということらしい。来春、それぞれが自分の巣を創設するのだろう。私は夏の雑木林でこのハチには過去2回刺されている。昆虫写真家としては少ないほうではないか?と思うが、このハチは林の下草に巣を造るので、うっかり蹴散らすことがある。2回目に刺されたときは前を歩いていた人が巣の側を通り、その刺激で飛び出したハチが後から歩いてきた私に針を立てたのだ。巣を刺激してハチを驚かせても、すばやく巣から身を遠避けると深追いしてこないことは私も経験している。新開 孝

モモスズメとコミスジ 2003/09/29
前回(9/23)、スズメガ類の幼虫がこの時期に多いと書いたばかりだが、今日はモモスズメの立派な幼虫(写真上)。
空掘川沿いのヤマブキの植え込みで見つけたのだが、写真ではちょうど糞をするところである。路面を見るとおびただしい糞がころがっており、ヤマブキも幼虫の回りは刈り込んだように葉がなくなっているので、これまた目立ってしようがない。名前のごとく幼虫はモモをはじめウメ、サクラ、アンズ、カイドウ、などバラ科の樹木につく。立場違えばこれはただの害虫ということになる。モモスズメの体型を見ていると頭は尖ったように先にいくほどすぼまっており、お尻のほうが太くなっている。胸脚も体にぴったりすぼめているので余計に頭部のほうが小さく見える。これは弱点の頭を目立たなくする効果をねらってはいないだろうか?
ガードレールの下から路上にはみだしているクズの葉では、コミスジの幼虫がたくさん見つかった(写真下)。写真ではわかりにくいと思うが、右下の主脈上に下向きに止まっている。クズの葉の先端部分をかじり食べ残しの枯れ葉が何枚もぶら下がるので、この幼虫もいたって見つけ易い。すでに終令となっているが年内羽化は稀で、落ち葉の間などで冬越しすると思う。新開 孝

クチバスズメとアケビコノハ 2003/09/23
近くの雑木林でクチバスズメの幼虫を見つけた。クヌギの幹にべったりと止まっていたので目立つことこの上ない(写真上)。本種を含むウンモンスズメガ亜科数種の幼虫たちは、よく似通っているので注意が必要だ。
しかも9月から10月にかけてこれらの幼虫たちが現れる。皆似たものどうしだが、幼虫が食べていた、あるいは止まっていた植物がなんであったかがわかれば、種名の検討はつけ易い。いずれにせよスズメガ科の幼虫たちは大柄なものが多く、身近な環境に棲んでいる種類もかなりある。芋虫遭遇事件でよく騒がれるのもこのグループであることが多いようだ。お尻にツノが生えているので印象もはっきり残るのだろう。クチバスズメの幼虫を手にのせて林を歩いていると、少し見上げた位置に枯れ葉のようなアケビコノハがいた。ピカピカの新鮮個体だ。この成虫が止まっている場所はアケビがあって、9/3に幼虫を見つけた場所とほとんど同じであった。うしろ翅を見たいので軽くつつくとバタバタッとぎこちなく2mほど飛んだ。やはり羽化して間もないのであろう。力強い飛翔はできなかった。新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫 2003/09/19
エノキは町中の何処に行っても生えている。鳥が実を食べ、あちこちで糞とともに種子を播いているからだ。
ときにはアスファルトとコンクリートの隙間から大人の背丈もあるようなものまで、実生で育ったエノキは逞しい。マンション裏の小道にもエノキの小木が何本も生えており、いつもそこにはゴマダラチョウの幼虫が見つかる。今朝は暖かい日射しを受けて、3令幼虫が体をくの字に反らしているのに出会った。この幼虫は時期的にみて年内羽化はないであろうと思う。それにしてもなかなか立派なツノだ。自信たっぷりのようにも見受けるが、そっと息を吹きかけると体をすっと伏せてしまった。しばらくすると、ゆっくり体を反らし始める。
この幼虫が鎮座しているエノキはマンション裏の駐車場に行く小道沿いなので、これからも毎日、気にかけてみよう。新開 孝

ヤマトシジミ 2003/09/15
マンション裏手のムクノキ根元にヒガンバナが花を咲かせた(写真下)。毎年ながら「おっ」としばらく足を止める。このムクノキは8月(8/7〜10)にノコギリカミキリのメスがコーリングしていた木だ。空掘川の遊歩道に出てみると、エノキの枝でヤマトシジミが交尾していた。右の翅がくたびれているのがオス。左のメスは新鮮な個体だが、今朝あたり羽化したのかもしれない。9月のこのころヤマトシジミはかなり数が増える。陽気のいい草原では足元にわんさか舞う姿がある。地味だがこのチョウほど年がら年中、目にするチョウは他にない。食草はこれまた町中から都会に至るまでどこにでも生えるカタバミだ。いつかこのチョウを小学校理科の教材にする試みの記事を何かで見た。モンシロチョウやアゲハが教科書には出てくるが、確かにヤマトシジミの方が余程身近で、かつ入手もし易い。ただ、その試みの気持ちは良くわかるのだが、いかんせんヤマトシジミは小さい。これは子供にとっても観察し難く、色・姿の魅力という点ではやはりしんどいようである。新開 孝

クロアゲハとスミナガシ 2003/09/14
昨日の雨から一転、今朝はよく晴れる。今日は町田市、野津田公園での観察会本番。私は昆虫観察の講師として呼ばれていたが、時間を間違えて1時間以上も早く着いてしまった。そこで小野路に回ってみた。アワブキにはスミナガシ幼虫のカーテン巣が多数ある。若い幼虫が多いが4令も少しいた(写真上)。観察会で披露するために4頭採集しておいた。アオバセセリの幼虫は見つからない。






谷戸のあぜ道を歩くと、クロアゲハのメスが地上で何かを吸っている(写真中、下)。そっと寄ってみると獣糞だ。どうも野生の匂い?がする。タヌキの糞だろうか?ここにはキツネもいるし、アナグマもいる。糞の中身など詳しく見ておけばよかった。イヌのかもしれんが。クロアゲハはずいぶんと糞に御執心で、私が這いつくばってカメラを差し向けてもおかまいなく朝食を続ける。クロアゲハのうしろ翅の尾状突起の長さは、南西諸島では短くなる。八重山諸島ではさらに短くほとんど無尾型の個体も混じるようだ。クロアゲハは町中でも見かける普通種だが、こうして目を遠方にまで広げると面白いことがわかる。
新開 孝

野津田公園 2003/09/08
東京都町田市、野津田公園の雑木林を訪れた。この日は『野津田・雑木林の会』のスタッフの方と観察会の下見をすることになっていた。駐車場に車を止めて広場のコブシを見上げると、多数のアカスジキンカメムシ幼虫がかたまっている。さて、観察会は草地の昆虫を中心に見るということなので、林より草地を重点的に歩いた。クズではハゴロモヤドリガ幼虫を背負ったベッコウハゴロモやスケバハゴロモがけっこう見つかり、ヤドリガの真新しい繭も数個ある。広いススキ原では夥しいナンバンギセルが花を咲かせている。こんなに無数のナンバンギセルを一ケ所で見るのは初めてだ。会員の方たちが適度に草刈りしており歩き易い。ススキに止まっていたエビイロカメムシを見たりしているうちに、羽化直後のオオカマキリが見つかった(写真上)。レースのような柔らかい翅がゆっくり伸びていく。これにはスタッフの方も大喜び。たしかにいいタイミングだった。私はさっそく撮影する。撮り終えて脇へ回ると、そこにはクスサンのメス(写真下)が、待ってました、とばかりぶらさがっていた。私はさっそくスタッフの方たちの前でそっとクスサンに息を吹き掛けた。「見ていてください。はねを拡げてくれますよ。」言葉通りの反応に、またもや拍手の歓喜。女性のほうがこういうときはやりがいを感じる。男だと低い声で「おーっ!」とか「はあーっ!」だろうが。それはさておき、クスサンはここ多摩地方では近年、あまり姿を見かけない。日本各地で大量発生が話題になっているのとは逆である。細々と世代交代しているようだが、さて来年あたりはどうであろうか?
新開 孝

緑の博物館 2003/09/05
狭山丘陵に『緑の博物館』がある。広大な雑木林と湿地の谷戸からなる、まさに緑の野外博物館だ。今日はタマムシを撮影するために訪れてみた。奥の斜面林で伐採されたところがある。南向きで陽当たりがよく、2年前そこで多数のタマムシが産卵していた。しかし伐採地は3年経って草丈がかなり伸びている。積まれた材は草に埋もれてしまいタマムシの姿もまったく無い。上空を見渡したが飛翔する姿さえない。伐採地ではサトクダマキモドキのオスがいただけ。斜面林を見下ろす尾根道に出ると私の汗にクロヒカゲが寄って来た。はらってもすぐ戻ってくる(写真上)。足下からはセミヤドリガの白い幼虫を腰につけたヒグラシが飛び出した。タマムシをあきらめて林のなかを歩いていると、ヤマカガシの幼蛇に出会った。しかもヒキガエルをくわえている。ヒキガエルも親指くらいの幼体だ。撮影しようとしたがヤマカガシは獲物を吐き出し、落ち葉の影に隠れてしまった。ハンノキでおびただしい虫喰いあとがある。よく見るとハバチ幼虫のしわざだ。物凄い数だ(写真中)。尻をぶらんと垂れている姿勢には何かわけがありそうだが。クロクサアリの行列を眺めていたら、ワキグロサツマノミダマシをくわえたヒメベッコウバチの一種が近くを歩いている(写真下)。ハチは一旦獲物を置いて飛び去ったがしばらくして戻って来た。私が気になるらしくクモをすぐにはくわえようとしない。ここはこちらも我慢のしどころである。微動だにせず岩となるのである。昆虫というものは動くものには敏感だが、人がいてもじっと動かなければ岩や木と同じ存在に見えるようで、平静に行動する。こういうことを日々繰り返している昆虫写真家は肥る。というのは冗談だが、ようやくハチも安心したのかクモをくわえて運び始めた。新開 孝

アケビコノハとオオカマキリ 2003/09/03
雑木林でアケビコノハ幼虫を見つけた。目玉模様が大きいのですぐわかる。アケビの葉を食べていた。アケビは庭や公園にもよく植えてあるので、この幼虫はごく身近な芋虫だ。写真の幼虫は成熟した終令幼虫だが、体の色はこの他にうす緑色のタイプも見つかる。毒々しいが手にもっても大丈夫。もうじき葉っぱを綴った中で蛹になり、年内に羽化する。アケビコノハは成虫越冬だ。少し歩くとオオカマキリも見つかった。羽化したばかりだろう、体はまだ柔らかい。オオカマキリはまだまだ幼虫の方が多い。動きもぎこちなく、おどおどしている。今は羽化時期のようだ。オオカマキリの成虫を見かけ始めると、夏も終わりやなー、という気分になる。
新開 孝
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