| 時間の余裕もないので移動は少なくし、バンナ公園を午前中いっぱい探索する。池ではショウジョウトンボとベニトンボ(写真上)がにぎやかになわばり争いをしている。色鮮やかなベニトンボは、九州の薩摩半島で1954年に見つかって以来、そこで定着してずっと国内唯一の産地となっていた。それが1981年にこの島でも発見され定着しているそうだ。その後南西諸島広くに分布を拡大している。私は1995年、屋久島でこのトンボを初めて見て驚いたものだが、熱帯圏から日本に渡来し定着したということは極めて興味深い現象だ。さて、目の前を飛び交うベニトンボはすばやく、なかなか思うように撮影できない。100ミリレンズではトンボはしんどい。が、止まり場に待ち伏せてなんとか撮影。とはいえ、これは時間を喰うばかりだし炎天下の待機というのもキツイ。マンゲツオオコロギス探索の中断が長引いてしまった。午後から川平方面へと回り最後に再びバンナ公園のAゾーン入り口あたりで車を止めた。実が成ったセンダンの並木があったからで、ここでミカンキンカメムシの幼虫多数を発見できた。幼虫の美麗さはキンカメムシのなかでも異色!なんという輝きだろう。レンタカーを戻す前に汗びっしょりの体を何とかしようと、空港近くで海水浴場を探したが見つからず、人気の少ない海岸の公衆便所の水道に行きついた。私はTシャツを脱ぎかけて、その襟首にしがみつく妙な虫に気付いた。なんと!オキナワツノトンボの幼虫である!(写真中)マンゲツオオコロギスはついに見つからなかったが、最後のさいごにとんだ珍客であった。
写真下:川平湾を後ろにセンダンの幹に止まっているのはリュウキュウクマゼミ | |