| 台風一過とミヤマカラスアゲハ 2008/09/20(その2) | | 18日の夕方から深夜にかけて、宮崎県の南部海上を台風13号は東へと抜けて行った。
いろいろと台風に備えてみたものの、コスモスとヒガンバナが倒れてしまったくらいで、風もそれほど吹き荒れたようでもない。おかげで夜はどっぷりと熟睡できた。一番心配していた、3メートルもの背丈に育ったケナフは、脚立を柱にしてビニールひもでくくっておいたのだが、これも無事だった。
19日の朝、縁側に出てみると台風一過の晴天。その青空のなかにくっきりと霧島山が浮き上がって見えた。空気がとても澄んでいるのだろう、霧島山の高千穂岳の山容が綺麗だった。 さて、過去10年以上、ぼくは医者要らず、だった。 病院にはよく行ったが、それはいつも子供を連れてのこと。つまり小児科。いや、ほんとに子供と病院にはよく行った。子供をもつご家庭はどこでもそうだろうけれど。 しかし、19日の午前中、10数年ぶりにぼくは自らの診察を受けに病院へと赴いた。2ヶ月前に、町の健康診断をこれも10数年ぶりに受けて、その結果、というか予想通りに、重症高血圧との忠告を受けたからである。ま、それとアルコールの摂取量オーバー。これはこの夏からけっこう自重して、まずは晩酌を止めている。 あれほど何処の焼酎が旨いのかんの、徹夜の撮影待機でもグラスから手を離せないなどと、まさに酒好きで通してきた自分だが、ちょっとアルコールに関してはおとなしくなりたい、と思った。 もっとも、酒を断つ、というほど深刻に思い詰めているわけではない。おいしい料理に、酒は必須。週に2日ほどは飲酒を楽しむし、会食の場で酒を断ったりはしない。 今年でぼくも50歳。降圧剤を服用するはめになって、この年令を実感するとは少し残念だ。しかし、高血圧を抱えたままでは、いつなんどき大病に至るやもしれない。 そのような事情もあって、先月のこと、自ら自分の頭を丸刈りにした。丸刈りは生まれて初めてのこと。最初は丸刈りにするつもりはなかったが、スキカルで刈っていくうちに、気持ちが変わった。失敗という言い訳も成り立つが、ほんとうは気持ちの転換にしたかったのだろう。こっれほど明解な気分転換もあるまいなあ、と思った。
昆虫写真家として、死に瀕するもっとも危険な事態というのは何だろう?
それは国内だと、まず交通事故死を筆頭に、スズメバチに刺されてのショック死、マムシに首から上部を咬まれて心臓発作での死亡、あるいはマダニに刺されてのツツガムシ病、高い樹上、崖からの転落死、、、、くらいかな、と思っていた。野外のキノコはまず絶対食べないので、キノコ毒で死ぬことはない。海外ともなるとまったく予想もつかないが、当分、ぼくは海外には出ない。 日々、そのような死に至る事態をときどき想像してみるほど気が弱いくせに、飲酒習慣についてはずいぶんと、ふてぶてしい態度だったように思う。 自らの体内というもっとも近い場所に、死亡につながる危険因子が潜んでいたわけで、これは自分の努力で少しは何とかコントロールせねば。 つらつらと、そのようなことを考えながら、台風一過でほとんどなぎ倒された庭のヒガンバナを眺めていると、フワリ、フワリと黒いアゲハが数匹やって来た。 いつものモンキアゲハかナガサキか、あるいはカラスかな、と思っていると、目の前の花に来ている1匹は、ミヤマカラスアゲハだ(写真下)。しかも、翅はどこも擦れておらずピカピカに輝いている。
わが家にミヤマカラスアゲハが飛来したのを見るのは、これが初めて。そう遠くない山に産地があるとはいえ、こうして飛来する頻度はきわめて低いと思う。できればうちの林のカラスザンショウに産卵してくれんかな。キハダはない。ないが、来てくれるなら、植えてもいい。
「昆虫が私を幸せにしてくれます」、などと先日テレビのなかで格好つけて喋ったりしたが、高血圧症に悩むよりか、キハダの種子をどこで入手しようかと悩む時間のほうが今は優先するのであった。
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