なりきり、キマエアオシャク

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庭に私よりか背の低いクヌギが一本ある。

夏のころはクリオオアブラムシがたくさんついて、そこにクロオオアリがさかんに群れていることが多い。
いづれも黒い虫でウジャウジャいるから、人によっては気味悪く感じるかもしれない。

だが、アリが触覚をばちのごとく使い、アブラムシのお尻を太鼓よろしくトントコ、トントコ打ち鳴らすような仕草を見ていると、これはなんとも愉快な光景だ。
アブラムシが分泌する甘露は、アリの好物である。

さて、そのクヌギの梢を期待をもって眺めてみた。

「いるんでしょう!」

すると、ほんとうにいた。キマエアオシャクの幼虫である。

X2113166.jpg枝になりきっている姿には、そうとうな自信があるのがわかる。

少々、枝をゆすったところで微動だにしないからだ。

背の低いクヌギだが、よく見ていくとキマエアオシャク幼虫は3匹いた。
そして近所のクヌギも一ヵ所だけ覗いてみれば、なんとそこでは5匹も見つかった。

キマエアオシャク幼虫はそれほど珍しいわけではないが、
真剣に冬芽探しをしたところで、2~3時間かけても一匹見つかれば良いほうだ。

今日は何の努力せずとも、一気に8匹に出遭えた。
X2113170.jpg
上の写真では、どこにキマエアオシャクがいるか、おそらくすぐにおわかりいただけるかと思う。

越冬中のキマエアオシャク幼虫はこのように冬芽や枝にそっくりな姿をしている。
がしかし、もうじき脱皮をして成長すると、クヌギの芽吹きに同調した姿へと変身する。

その点は、カギシロスジアオシャク幼虫とよく似通った性格だと言えるだろう。



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