自在アーム

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今日は雨が降ったり、日射しが戻ったりと、落ち着かない一日だった。

野外で撮影したのはわずかな時間で、降り出した雨からカメラをかばいながら、

慌てて車に撤収ということになった。


さて、高倍率撮影用レンズとして、14-42ミリズームレンズのリバース改造を使ってみているが、

これはたいへん軽い上に、画質も良い。

これまで高倍率撮影を野外で行う場合、キャノンのEF65ミリマクロレンズを主に使ってきた。

EF65ミリマクロレンズの画質はレンズ表示の3倍までなら満足して使えていたが、

それ以上の倍率となると使う気になれなかった。

さらにレンズ鏡筒が長く伸びてでっかい上に重い、という難点もあった。

で、14-42ミリズームレンズのリバース改造だが、これは最高倍率約8倍(35ミリ判換算)でも

かなり満足のいく画質が得られると私は感じている。つまり仕事でも充分以上に使えるレンズだ。

17.5-45ミリズームレンズの前玉はずしもいろいろ試してみたが、

画質は14-42ミリズームレンズのリバース改造に比べ、わずかに劣っている。

しかもワーキングディスタンスが短いため、とても使いづらい。

リバース改造の工作はけっこう手間隙が掛かるので、糸崎公朗さんのレポート

読んでもすぐには腰が上がらなかった。

しかし17.5-45ミリズームレンズの前玉はずしが、今一つ使いづらいこともあって、

思い切って工作に踏み切ってみたのだが、苦労しただけの甲斐はあったと思う。

もっとも前玉はずしというのも、工作というよりか、半分壊すような荒業であり、

レンズをダメにしてしまうリスクが大きい。実際、これをやってレンズの絞りが壊れてしまい、

使い物にならなくなったという方もいらっしゃるようだ。




高倍率撮影ともなると、逆光のストロボを片手で支えてというわけにもいかない。

両手でしっかりとカメラを保持しないと撮影できないから、逆光ストロボの固定用アームが

必要となる。そこで、作ってみたのが下の写真の自在アーム。

Y92908271.jpgこのアームは、蛍光灯スタンドの廃物利用だが、意外と軽い。

ハクバのデジタルスレーブストロボくらいなら、しっかりと保持してくれる。

直立棒の部分には野球バット用のグリップバンドを巻いてあり、

移動するときにはここを持つと安定する。

糸崎さん考案のゴリラポッドの脚を流用するアームも使ってみたが、

アームの曲げ自由度は高いものの、少し長くするとストロボがふらついてしまう。

ゴリラポッド方式は、短めで使ったほうが安定していいだろう。

いづれにせよ、こうしたアーム類を使えば、被写体までの距離が短い接写撮影では、

ライティングの工夫ができて重宝する。まさに猫の手を得たと言えるだろう。

Y92908132.jpgアーム類とさらにオリンパスのツインフラッシュブラケットを組みあわせれば、

さまざまな撮影条件に対応できる。

こうしてアーム類、ストロボをカメラに合体させると、いかにも仰々しいのであるが、

レンズが小さくて軽い分は救われる。

それと今の私が撮影するフィールドでは、ほとんど人目に晒されることもないので、

仰々しい機材であってもそれがとくに好奇の的になる心配もないのである。


玄関先のササで、カイガラムシの一種にアミメアリが来ていた。

カイガラムシが時折、お尻(画面左側)を持ち上げては甘露を出すと、すかさずアリが舐め取る。

下の写真は、14-42ミリズームレンズ改造リバースに昨日紹介した改造ストロボと

そして、上記アームに固定したスレーブストロボを使って撮影したもの。

倍率は最高倍率より少し低めにしている。

W22929173.jpg最高倍率ではこうなる↓

W2292923.jpg写真上のフォーカスはアリの眼に来ている。

高倍率ではあまり絞り込まず、絞ってもF11~11半で撮影したほうがシャープに仕上がる。


最高倍率8倍(35ミリ判換算)という超接写撮影を身軽に行えるということは、

これはたいへん仕事にはずみがつく。

これまで、倍率が高い撮影が必要なときには、ひとまず現場での撮影をあきらめ、

何らかの策を講じたり、出直しをすることも多くあった。

その何らかの策を考え出し、準備するという作業は、それはそれで得るものが多く、

自然への洞察力を深めることにもなってきた。

しかし、出会った現場の出来事がすぐその場でしかも三脚なしの手持ちで撮影できたなら、

それに越したことはないだろう。

糸崎公朗さんの『切り貼りデジカメ実験室』では、

これまでにもたいへんユニークな機材の工夫を紹介してくれている。

そのなかでも、標準ズームレンズのリバース改造という発想は、

昆虫写真の仕事の現場では欠かすことのできない貴重な機材をもたらしてくれた。

あらためて、糸崎さんに感謝を申し上げたい。
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