拾い物

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今日は雑木林の下草刈り作業をした。

観察路が見えなくなるほど草が伸びてしまったからだ。

それと実生で育っているいくつかの低木を間引いておいた。とくに多いのがメダラ。

先日も書いたが、林のクヌギもアカメガシワも、樹液の出が悪い。

スズメバチの姿が一匹も見えないのだから、これは明らかだ。

私の写真講演を視聴してくれた子供たちの中には、写真で見た樹液のにぎわいを期待して

うちの林に来てくれたこともあった。しかし、カブトムシもクワガタも、

そしてカナブンさえ、一匹もいない。

講演で披露した写真は昨年と一昨年のもので、あのときのような樹液酒場のにぎわいは、

今年はまったく見られない。

いろいろと原因は考えられるが、これぞという主因はわからない。

もっともよく樹液を出していたクヌギの一本は、2年間を通して樹液の出場所が

何ヶ所かに移動し、しかも小刻みに染み出ていた。それぞれの場所で長続きはせず、

もともと不安定な樹液だったのだ。



樹液が出る要因は複雑だが、それでもシロスジカミキリやボクトウガの幼虫が

樹木内部で材部を食べて師管を傷つけることによることが確認されている。

しかし、うちの林ではシロスジカミキリは生息していないので、ボクトウガかミヤマカミキリ

などの幼虫の仕業が考えられる。

アカメガシワでは明らかに、コウモリガ幼虫の仕業であるが、幼虫の活動は確認できても

樹液の浸出が少ないのか、虫の集まりは良くない。

草刈り機を背負って作業をしながら、あまり考え事をするのはよくない。

噴出す汗をぬぐいながら、残すべき草むら、刈り込む高さなどに気を配りながら

慎重に体を動かすことに専念しなければならない。

余談だが、草刈り機のことを、このあたりの地区ではみんな、「ビーバー」と呼ぶ。

ビーバーと声に出していうことは普段ないのだが、地区の方達と協同作業するときは

ビーバーと言えば、それだけでも仲間意識を感じる。引っ越してきて2年目にして

そのビーバーという言い方にようやく馴染んだ。


さて、1時間も作業をやると、さすがに疲れる。エンジンを止めて座り込んでいると、

目の前にクロヒカゲの蛹がころがっていた。

少し前にはヒラタクワガタの死骸も拾っている。

JX080281.jpgヒラタクワガタは、死んで間もないようだが、すでに胸部と腹部はグラグラになっているから

数日前に死んだのは明らかだ。

クロヒカゲの蛹は、草を刈ったために地面に落っこちたのは間違いない。

ともかく草刈りを行えば、かなりの数の昆虫を殺し、棲みかを奪って間接的には死に

至らしめていることだろう。

人里の自然というのはしかし、こうして人が常に管理することで成立しているのであって、

その中でうまく生きていく空間を見つけることができる生き物も大勢いる。

( 写真/ E-3  ZUIKO D 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )




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