昨日まで滞在していた四国、松山では、
29日に愛媛県立図書館で、30日には西条市立図書館でそれぞれ講演を行ってきた。
松山とくれば道後温泉だろうが、人が大勢集まる場所にわざわざ行くのは嫌なので温泉
にはつかっていない。前にも書いたように道後温泉には幼少の頃に行ったきりである。
しかし、29日の講演が終了してから2時間ほど時間があったので、
図書館に近い母校の松山市立番町小学校を訪れてみた。
私が通った小学校は街中のど真ん中にあって、大きくそびえる市庁舎の裏手になる。
ベージュ色の本校舎は窓枠がアルミサッシになってはいるが、昔のままだった。
体育館や木造の校舎、給食室、などはすでに新しい建物になって配置もすっかり
変わっていた。今回、一番見ておきたかったのは中庭の池だったが跡形も無くなっていて
残念だった。噴水のある丸い池だったが、この池には思い出がいくつもあって
もし池が残っていたらそこでぼんやりといつまでも佇んでいただろうと思う。
学校周辺の通学路なども歩いてみたが、昔の面影はほんのわずかしかなかった。
まあ、当たり前なのかもしれない。
番町小学校もドーナツ化現象で児童数が減少し、今では学年1クラスだそうだ。
私が子供だったころでも、1学年3クラス(月、花、雪)がやっとだった。街中にはビルが
増えて、それと入れ替わるようにして子供のいる家族も遠のいて行ってしまったのだ。
30日は6月にオープンしたばかりの西条市立図書館で講演を行った。
この図書館は開放的なゆったりとした空間建築からなり、これまでの図書館のイメージ
とはかけ離れている。そのぶん、ものすごくお金も掛かっているようだ。
松山でもこの西条でも、聴講者の方がたくさん来てくださり、たいへん嬉しかった。
参加者の数が少なかったら申し訳ないなあ、と少し心配していたから、ホッとした。
西条では定員をはるかに上回り、盛況だった。熱心に質問なさるお母さん方が、
西条にも松山にもいらっしゃった。
西条市から松山の実家に戻ってみると、近所のお堂で汲み上げポンプが目に入った。
へえ~、いまどき手動ポンプとは珍しいなあ、と見ていると青年がペットボトルに水を
汲み入れていた。水は少し赤茶色に濁っていて、ドンドン汲み揚げてもなかなか澄んだ
水にはなりそうにない。
「この水、飲めませんかねえ?」
と、大阪から八十八箇所巡りに来たという青年は私に聞く。まだ20代前半だろう。
落ち着いていて、男前の兄ちゃんだ。
「この辺の水は飲めるんだけどね、うちの親父は生水にうるさくて飲むなと言うんだよ。
そんな錆色の水ではたしかにどう見てもダメだよね。ところで今夜の宿はどうするの?」
「ああ、ここの番外のお堂に泊まります。たしか泊まれると聞いてます。
ろうそく売っている店、近くにありますか?」
「ああ、ローソクではなく、そこにローソンならあるよ、、、、、、、、。」
ふむ、泊まれるとは言うものの、大人一人がやっと横たわれるかどうか、というスペース
しかない。そして夜には蚊も多そうだ。
聞けば四国巡りはほぼ中間まで来たそうだ。
時間がたっぷりあるように見受ける目の前の青年がとてもうらやましい気もした。
さて、講演の仕事では愛媛県立図書館のスタッフの方々にはたいへんお世話になった。
担当の方には日本酒 『森の翠 しずく 大吟醸』 を松山の酒店でわざわざ見つけて
いただき、ものすごく恐縮すると同時にとても嬉しかった。もう二度と飲めないだろうと
諦めていた。「森の翠」は今やまぼろしの酒なのである。
さて、明日も講演の仕事が控えている。
今夜の酒はほどほどにしておこう。
29日に愛媛県立図書館で、30日には西条市立図書館でそれぞれ講演を行ってきた。
松山とくれば道後温泉だろうが、人が大勢集まる場所にわざわざ行くのは嫌なので温泉
にはつかっていない。前にも書いたように道後温泉には幼少の頃に行ったきりである。
しかし、29日の講演が終了してから2時間ほど時間があったので、
図書館に近い母校の松山市立番町小学校を訪れてみた。
私が通った小学校は街中のど真ん中にあって、大きくそびえる市庁舎の裏手になる。
ベージュ色の本校舎は窓枠がアルミサッシになってはいるが、昔のままだった。
体育館や木造の校舎、給食室、などはすでに新しい建物になって配置もすっかり
変わっていた。今回、一番見ておきたかったのは中庭の池だったが跡形も無くなっていて
残念だった。噴水のある丸い池だったが、この池には思い出がいくつもあって
もし池が残っていたらそこでぼんやりといつまでも佇んでいただろうと思う。
学校周辺の通学路なども歩いてみたが、昔の面影はほんのわずかしかなかった。
まあ、当たり前なのかもしれない。
番町小学校もドーナツ化現象で児童数が減少し、今では学年1クラスだそうだ。
私が子供だったころでも、1学年3クラス(月、花、雪)がやっとだった。街中にはビルが
増えて、それと入れ替わるようにして子供のいる家族も遠のいて行ってしまったのだ。
30日は6月にオープンしたばかりの西条市立図書館で講演を行った。
この図書館は開放的なゆったりとした空間建築からなり、これまでの図書館のイメージ
とはかけ離れている。そのぶん、ものすごくお金も掛かっているようだ。
松山でもこの西条でも、聴講者の方がたくさん来てくださり、たいへん嬉しかった。
参加者の数が少なかったら申し訳ないなあ、と少し心配していたから、ホッとした。
西条では定員をはるかに上回り、盛況だった。熱心に質問なさるお母さん方が、
西条にも松山にもいらっしゃった。
西条市から松山の実家に戻ってみると、近所のお堂で汲み上げポンプが目に入った。
へえ~、いまどき手動ポンプとは珍しいなあ、と見ていると青年がペットボトルに水を
汲み入れていた。水は少し赤茶色に濁っていて、ドンドン汲み揚げてもなかなか澄んだ
水にはなりそうにない。
「この水、飲めませんかねえ?」
と、大阪から八十八箇所巡りに来たという青年は私に聞く。まだ20代前半だろう。
落ち着いていて、男前の兄ちゃんだ。
「この辺の水は飲めるんだけどね、うちの親父は生水にうるさくて飲むなと言うんだよ。
そんな錆色の水ではたしかにどう見てもダメだよね。ところで今夜の宿はどうするの?」
「ああ、ここの番外のお堂に泊まります。たしか泊まれると聞いてます。
ろうそく売っている店、近くにありますか?」
「ああ、ローソクではなく、そこにローソンならあるよ、、、、、、、、。」
ふむ、泊まれるとは言うものの、大人一人がやっと横たわれるかどうか、というスペース
しかない。そして夜には蚊も多そうだ。
聞けば四国巡りはほぼ中間まで来たそうだ。
時間がたっぷりあるように見受ける目の前の青年がとてもうらやましい気もした。
さて、講演の仕事では愛媛県立図書館のスタッフの方々にはたいへんお世話になった。
担当の方には日本酒 『森の翠 しずく 大吟醸』 を松山の酒店でわざわざ見つけて
いただき、ものすごく恐縮すると同時にとても嬉しかった。もう二度と飲めないだろうと
諦めていた。「森の翠」は今やまぼろしの酒なのである。
( 写真/ E-P1 M.ZUIKO14-42ミリズーム )
さて、明日も講演の仕事が控えている。
今夜の酒はほどほどにしておこう。