御池小学校の講演からうちに戻って、ふと仕事部屋の小さな窓から外を眺めると
大きな捕虫網を抱えた少年が自転車でやって来た。
少年は今年の春から中学生。
最初、うちに来てくれたときは小学5年生のときだった。
「おお、久しぶりだね。どう、中学校の生活には慣れた?」
照れくさそうに挨拶する彼は、毎日の長い通学や学校での勉学の疲れを感じさせない。
私に会った瞬間から怒涛のように虫の話を切り出す元気な子だ。
「今日は何がお目当てだい?」
「あ、はい、スミナガシをまだ捕まえてないので、、、、、、」
「ちょうどねえ、うちのクヌギの一本が樹液をよく出し始めてねえ、、、
まだゴマダラチョウも見てないけど、樹液が出ていればスミナガシも来ると思うよ。
しばらく待ってみるかい?」
そうやって西向きの縁側に彼と並んで座ってみた。
カナブンやスズメバチはけっこう集まっているので、脈はある。
嫁さんが出してくれたスイカを二人でしゃぶりついていると、
目の前の草むらをリンネセイボウが歩いていた。
本種はマイマイツツハナバチに寄生するセイボウである。
「わあ~!!体の細かい点々模様もちゃんと見えるんですね!凄い!
こんな複雑な模様しているんですね。光のあたる角度で色も違って見えます!!」
ずいぶんと感激してくれたようだ。
そうこうするうちに、目の前にタマムシが飛んで来た。
さっそく彼が網で捕らえた。さすがに網の使い方は上手だ。
「あ、腹の下側がとても綺麗です!!ピンク色していて、、、、、、、」
タマムシはこのあと、もう一匹飛来した。
さらに待っていると、ほんとうにスミナガシがやって来た。
クヌギの樹液に落ち着くのを見届けてから、少年は静かに網を構えた。
大きなスミナガシだ。樹液を吸い始めたが、枝もあって網を振るのは難しい場所だった。
さすがに捕獲は失敗。
「でもね、必ず戻って来るからね、待ってみれば。」
そして数十分後。私の言葉通り、大きなスミナガシがふたたび舞い戻ってきた。
「来た!!スミナガシが来た!!」
「おお、やっぱりね。網の径が大きいからまた難しいねえ。」
「ここから、この角度でやってみて、大丈夫ですか?」
「う~ん、やばいなあ、、、、、。一気に振ってみるかい。」
「やってみます。頭の方から素早くやれば、、、、、、、、」
気合が入っていたせいだろうか、スミナガシはうまく網に入った。
すかさず少年は網を地面に伏せて網の口を閉じた。
「あ、捕れた!!」
「おおお!やったねえ!」
嬉しそうに、満足気に少年はスミナガシを三角紙に納めた。
彼はなんという、ぜいたくな時間を過ごせたことだろう。
大きな捕虫網を抱えた少年が自転車でやって来た。
少年は今年の春から中学生。
最初、うちに来てくれたときは小学5年生のときだった。
「おお、久しぶりだね。どう、中学校の生活には慣れた?」
照れくさそうに挨拶する彼は、毎日の長い通学や学校での勉学の疲れを感じさせない。
私に会った瞬間から怒涛のように虫の話を切り出す元気な子だ。
「今日は何がお目当てだい?」
「あ、はい、スミナガシをまだ捕まえてないので、、、、、、」
「ちょうどねえ、うちのクヌギの一本が樹液をよく出し始めてねえ、、、
まだゴマダラチョウも見てないけど、樹液が出ていればスミナガシも来ると思うよ。
しばらく待ってみるかい?」
そうやって西向きの縁側に彼と並んで座ってみた。
カナブンやスズメバチはけっこう集まっているので、脈はある。
嫁さんが出してくれたスイカを二人でしゃぶりついていると、
目の前の草むらをリンネセイボウが歩いていた。
本種はマイマイツツハナバチに寄生するセイボウである。
( 写真/E-620 ZUIKO 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )
さっそく撮影して、モニター画面で拡大して見せてあげた。「わあ~!!体の細かい点々模様もちゃんと見えるんですね!凄い!
こんな複雑な模様しているんですね。光のあたる角度で色も違って見えます!!」
ずいぶんと感激してくれたようだ。
そうこうするうちに、目の前にタマムシが飛んで来た。
さっそく彼が網で捕らえた。さすがに網の使い方は上手だ。
「あ、腹の下側がとても綺麗です!!ピンク色していて、、、、、、、」
タマムシはこのあと、もう一匹飛来した。
さらに待っていると、ほんとうにスミナガシがやって来た。
クヌギの樹液に落ち着くのを見届けてから、少年は静かに網を構えた。
大きなスミナガシだ。樹液を吸い始めたが、枝もあって網を振るのは難しい場所だった。
さすがに捕獲は失敗。
「でもね、必ず戻って来るからね、待ってみれば。」
そして数十分後。私の言葉通り、大きなスミナガシがふたたび舞い戻ってきた。
「来た!!スミナガシが来た!!」
「おお、やっぱりね。網の径が大きいからまた難しいねえ。」
「ここから、この角度でやってみて、大丈夫ですか?」
「う~ん、やばいなあ、、、、、。一気に振ってみるかい。」
「やってみます。頭の方から素早くやれば、、、、、、、、」
気合が入っていたせいだろうか、スミナガシはうまく網に入った。
すかさず少年は網を地面に伏せて網の口を閉じた。
「あ、捕れた!!」
「おおお!やったねえ!」
嬉しそうに、満足気に少年はスミナガシを三角紙に納めた。
彼はなんという、ぜいたくな時間を過ごせたことだろう。