2009年11月アーカイブ


仕事部屋

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パソコンや写真ストックの置いてある仕事部屋には、縦細い採光窓しかない。

その部屋で仕事をしていると、まるで潜水艦の狭い船室の中にいるようだ。

画像をいじるような作業でパソコンに向かっている場合は仕方ないが、

原稿を書いたり構成を考えたりするときは、居間に移動して仕事をするようにしている。

L13033572.jpg今日は写真プリントを貼り付けた大きなボードを眺めながら、一冊の写真絵本の構成を

まとめてみた。

外の景色も眺めることのできる明るい部屋だと仕事も捗る。

画面左も広い窓になっており、サラサラと枯れ葉が舞い落ちる音が耳に心地良い。

ときには窓の向こうの上空でチョウゲンボウがホバリングしていたりして、

そんな外の様子が気に掛かる場合も無いではないが、今の時期だとそう問題にならない。

毎年のことだが、秋から冬にかけては本作りの構成や原稿書きで室内作業が多い。

これまでに撮影してきた写真それぞれには、撮影する以前やその瞬間に

どういった本の、どのページに使うべきか、思いを込めている。

居間の座布団に座ってお茶をすすり、写真を眺めていれば、次々とページの構想が

頭のなかに浮かび上がってくる。写真に込められた自分の暗号メッセージが氷解することも

あれば、最初は意図しなかったまったく別の言葉が湧き上がってくることもある。

原稿を書くのはノートパソコンだが、構成案は気に入った筆記用具で手書きでやる。

L13033601.jpgたいてい鉛筆を使うが、水性マジックもよく使う。MITUBISHIの「リブ」顔料・耐水性と

いうのが使い易く最近はこれ。筆記用具はしかし、気分を替えるために変遷がはげしい。

文房具屋で筆記用具を選ぶのもささやかな楽しみの一つだ。中学生のころはほぼ毎日の

ように文房具屋に寄り道していたのも懐かしい。

居間で仕事ができるのはしかし、平日のみとなる。休日はさすがに家族の場となるから、

そういう場合は潜水艦の部屋か、スタジオでの作業を選ぶしかない。


明日はいよいよ、うちの雑木林でクヌギ伐採の撮影である。

どうか晴れて欲しい!!

( 写真/ E-P1  14-42ミリズーム )



アカイラガの繭

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アカイラガ幼虫が繭を紡いだのは、三日前の26日のこと。

気付いたときには、葉っぱの隙間を利用して球状の繭の外形が出来上がっていた。

JX2646192.jpg幼虫の体が薄緑色に透けて見えてはいるが、吐糸行動の様子までは窺えない。

さらに数時間後には、繭全体が茶色に染まっていた。

JX2646271.jpg( 写真/ E-620  35ミリマクロ+1.4倍テレコン )


今日は宮崎市内にある、『大淀川学習館』で、宮崎昆虫同好会の総会があり、

そこで私の講演も聴いていただいた。

演目は「ひむか昆虫記事始め」。

宮崎昆虫同好会に入会したのは、宮崎への移転が決まった2006年の冬だった

と思う。

25年間の東京での生活は、まるで根無し草のようなものだったが、宮崎に来て

ようやく腰を落ち着けることができた。




紅葉

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わが家周辺の丘陵はほとんどが、スギの植林。

約2160㎡あるうちの林はクヌギを主体とした落葉広葉樹の林。

したがって、うちの林の紅葉は地味ではあるが遠目でもよくわかる。

L12732315.jpgホダ木用のクヌギ伐採は葉が色づいてからで、うちの場合来週あたりからがちょうど良い。

沖水川のめがね橋では、トウカエデがかなり色づいてきている。

L12832744.jpgここは小さな公園になっていて、数本のトウカエデやイロハモミジが植栽されている。

三股町では紅葉がまとまって見られる場所はほとんどない。自然林のほとんどは常緑

照葉樹林なのだから、それは仕方が無い。しかし、多くの人は秋のイメージをどうしても

紅葉に求めたがる。たしかに紅葉の風景は文句無しに綺麗だ。

私としてはしかし、とってつけたような風景に感じて違和感がある。公園を設計するなら、

できるだけ周辺の自然環境を取り入れた植生でうまく構成できないものかなあ、と思う。

見事な紅葉は乏しくても、そこそこの紅葉は本来あるはずなのだ。

町の様子がどこもかしこも、ミニ東京になり、そして公園の様子にも

どこか例えば京都の美しい紅葉を想像したがる、、、、

日常生活の中で、そういう画一的な発想から脱却するのはかなり難しいようだ。


( 写真上、中/ E-P1  14-54ミリズーム )


そういえばエノキの葉表のゴマダラチョウ幼虫だが、

まだ地上に降りようとはしない。

JX284717.jpg葉は完全に萎れているが、幼虫の吐いた糸でかろうじて繋ぎ止めてある。

ここのところ少し暖かくなっているから冬ごし態勢に入るのをためらっているようだ。

( 写真下/ E-620 50ミリマクロ )


ジョウビタキ

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ジョウビタキは10月に入ると、わが家の庭でよく見かけるようになる。

例年、最初に姿を現すのはメスである。

今年もずっとメスの姿ばかりを見ていたが、今朝は珍しくオスが来ていた。

W2279163トリミング.jpgジョウビタキが止まっている枝はメダラの木だが、この木は切ろうかと思っている。

メダラは6月ころに無数の花をつけて、ハチ類を中心にさまざまな昆虫が訪れているのだが、

回りの木と混み合い、それで樹形もヒョロヒョロとなって歪になっている。

回りの木とはクヌギとエノキであり、どうしてもそちらを優先したいのである。

もう一つ、メダラを犠牲にしようという理由はあって、メダラの実生が林内には数多くあるから

いずれ短期間に更新できるという見通しも立つからである。

クヌギの伐採作業も来週には予定しているが、

それに備えて林床の整理もしておかねばならない。


( 写真/ E-520  50-200ミリズーム+2倍テレコン )




トウカエデ

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昨日、カツラと書いたのは誤りで、正しくはトウカエデ。

なぜか思い違いをしていた。

L1263143.jpg朝早くから大根畑では収穫作業が始まる。

W22689961.jpg今朝も「めがね橋」へ出掛けてみた。

L12631322.jpg昨日と同じ場所を歩いてみたのだが、橋のたもとにツルウメモドキの黄色い実を

つけた蔓が絡んでいることに気付いた。実の数はかなりあって、たいへん目立つ。

どうして昨日は気付かなかったのか?

ツルウメモドキの実がはじけて、朱色の種子が顔を出す日が楽しみになった。


( 写真上、下/ E-P1 14-42ミリズーム )
( 写真中/   E-520  50-200ミリズーム )



秋深まり

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今朝はかなり濃い霧となった。

少し出遅れてしまったが、風景撮影に出てみた。

前から目をつけていた場所で、ウスタビガの繭をいくつか見つけた。

W2258842.jpg一本のイロハカエデの梢に、3個の繭がぶら下がっていたが、残念ながら全部、羽化済み

の空繭だった。

午前中は風景撮影で、沖水川沿いの疎林を見て歩いた。

ここの疎林のクリやイロハカエデは人が植えたものだが、ウスタビガの繭探しにはうってつけ

の場所になっている。

W2258749.jpgトウカエデの紅葉はこれからだ↑

川辺を歩いていると、ヤマセミとカワセミの鳴き声がよく聞こえてくる。

久しぶりに彼らの姿も撮影してみようか、などと少しだけ思った。


( 写真/ E-520  50-200ミリズーム )

今日は都城工業高等専門学校で、講演を行った。

聞いてくれたのは、一年生の120数名。

都城工専といえば、NHKのロボコンではよく見聞きしていたが、

学校はうちから車で10数分位と、案外近い場所にある。

講演時間は45分と短い。演題は『虫と本との出会い』、ということにしてみた。

話の中で、私は実を言うといわゆる昆虫少年ではなかった、ということを話題にした。

本との出会いで虫の世界に目覚めたという辺りを、ほんとうはもう少し丁寧に話してみたかった

のだが、時間が短いこともあり、話術に長けているわけでもないので、まとまりが

悪かったように思う。

今回の講演でつくづく反省したのだが、講演内容のメニューをもう少し整理して、

それこそ仕分けをきっちりしておきたいと、思った。

これまで講演といえば虫の写真を中心に、虫の世界のふしぎを語るスタイルが中心だったが、

自分自身のことと、本との関わりを主題にした内容で改めて組み直したいと思う。

ま、ともかく高校生という年齢層を相手に話すのは初めての経験だった。

そういう意味では新鮮さを感じた。











一昨日紹介したアカイラガ幼だが、

今朝になって3対の突起部分を離脱していることに気付いた。

JX2445733.jpg幼虫の体は大きな突起のついた肉塊を落としてスリムになった。

JX2545951.jpgこれからかなりの時間を費やして、繭を紡ぐべき場所を求めて歩く。

イラガ類の他の仲間達は、こうした突起の離脱ということをせず繭作りに入る。

他のイラガ幼虫たちを見ていると、突起があったとしても繭作りに支障はないようだ。

ではなぜ、アカイラガだけにこうした習性があるのだろうか?

JX2445912.jpg捨てられた肉塊にはどれにも大きな突起がある↑

体から分離したので生命活動は絶たれ、いづれ干からびて形を失うだろう。

だがしかし、今、目の前にころがっているこれらの突起に素手で触れてみる勇気はない。

( 写真/ E-620  35ミリマクロ+1.4倍テレコン )


タテハモドキ

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以前、13日に紹介したタテハモドキ。

東向きの家壁で休眠していたが、昨日の晴れ間に飛び出して行った。

JX2344924.jpg飛び立ってからしばらくは居間のガラス窓で日光浴をしていた。

写真は昨日、撮影したもの。

そのあと姿を消してしまったが、このタテハモドキは約3週間も家壁で休眠していた

ことになる。今後も気温の低い日には、どこかの物陰に潜んで過ごすのだろうが、

タテハモドキの越冬スタイルはどこか曖昧であるようだ。


さて、いつの日か炭焼きをしてみたいとずっと思っていた。

自分の敷地内に炭窯を拵えて、近所のクヌギ林から少しづつ樹をいただいては、

炭を作る。炭焼き爺になりたいのだ。

一昨日のこと伝統芸能保存会の忘年会があった。

その席上で、炭焼きを自己流でやっているという方とお話ができた。

なるほど炭窯一つ作るにも、なかなか奥が深いことが窺えた。

その方は以前、養蜂も盛んに行っていたそうだ。

今、私が住んでいる土地も、もともとはその方の所有地だったのだ。したがって、

昔の土地の様子など興味深い話もいろいろと聞けるのが有りがたい。

とりあえずはまず、その方の炭窯を見学に行くことにした。

といっても歩いて10分程度の御近所だ。

東京からいきなり引っ越してきて、地域の方々と打ち解ける機会はそもそも

無いに等しい。そのことをかなり気に掛けていたのだが、

伝統芸能保存会にお誘いいただき、そのメンバーとなることで少しずつ

いろいろな方達と接する時間ができつつある。これはとても嬉しいことだ。



ゼリービーンズ

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ゼリービーンズを食べることはほとんどないが、食べた記憶ははっきりある。

陽の光に透けたアカイラガ幼虫の体を見ていると、そのゼリービーンズを思い出した。

JX2345481.jpg幼虫はクヌギの葉をモリモリ食べていたが、かなり成熟していると思われる。

体全体の色が薄くなっていることや大きさからして、そう判断できる。

頭部は写真画面の右側。

アカイラガ幼虫が繭を紡ぐときには、まず赤い大きな突起部分の肉塊をポロリと離脱させる。

そうして体をスリムにしてから、球形の茶色い繭を紡ぐ。

( 写真/ E-620  35ミリマクロ+1.4倍テレコン )




今日はピアノがうちにやって来た。

L12129021.jpg嫁さん念願のピアノだ。

230キロのピアノは、運送屋の若者二人で担いで運び入れた。自分なら腰が砕けそうだ。

ピアノの音色が仕事部屋まで聞こえてくる。東京の狭いマンションではあり得ないことだった。

ピアノとは関係ないけど、今夜のメニューは久しぶりに「すき焼き」。

さてと、すき焼き鍋を取り出したところ、鍋蓋に細かい木屑がたくさんついていた。

JX2144302.jpg木屑は明らかに虫の糞で、そのあたりをよく見れば、浅く削り痕となっている。

さらに目を凝らせば、その犯人がいた。

JX2144371.jpg鍋蓋を喰うこの幼虫はただいま取り調べ中。蛾の一種だろうか? 2匹いた。


さて、本日、幻冬舎の 『里山のことのは』(構成/文:ネイチャープロ編集室

 の見本が届いた。

里山ことのは表紙.jpg本書が全国の書店に並ぶのは来週25日の予定だそうだ。

私の写真も何点(三股町の風景写真も)か入っている。



秋の色

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JX2043199.jpg 薄暗い林床には、ハナミョウガの実。

川沿いの茂みには、ノブドウの実。

JX2043654.jpg庭にも植えられる、ビナンカズラ(サネカズラ)。

JX2044021.jpgそして、アオツヅラフジ(カミエビ)。

JX2043317.jpg近所の牛舎裏から入れる谷戸の道は、前々から気になっていた。

今日、はじめて訪れてみたのだが、ここではオオテントウの繁殖が見られそうだ。

( 写真/E-620  50ミリマクロ )




かかり木

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W21985091.jpg
「かかり木」というのは、伐採作業中に木が倒れず他の木に寄り掛かってしまう

状態を言う。

今日はクヌギ林の伐採作業を撮影しに出掛けた。

前々からお願いしてあったのだが、曇り空なのが残念。

伐採作業を行うのは森林組合の方たち3名。

棟梁格のお爺さんは林の天井を仰ぎながら、どの木をどの方角へ倒すか、

手際よく指示していた。

クヌギの樹齢は13~17年くらい。

切り株のままでは段差があって年輪を読み取りづらいのだが、

頭のお爺さんが気を利かせて、切り株にチェンソーを入れてくれたのが、次の写真。

W21984523.jpg切り株から萌芽した場合は成長が早く、10年ほどでホダ木用に伐採できるということだ。

もちろん今日伐採したクヌギはすべてホダ木となる。

切り倒したクヌギはそのまま3週間ほど寝かせてから裁断し、ホダ木としてコマ打ちする。

伐採作業の手順や、道具類、注意事項など、実地で覚えることがたくさんあった。

いろいろあるが、とくに服装ではヘルメットが必須。

実際、お爺さんの頭上に大きな枝が落ちてきた瞬間を、私は目の前で見てしまった。

ヘルメットを被っていなかったら間違いなく負傷していたはずだ。伐採中には思わぬ

落下物があることがよくわかった。

足元は地下足袋。地下足袋は以前から欲しいなあ、と思っていた。

地下足袋をベースにして、私自身の仕事着を見直してみたいものだ。


宮崎に引っ越してくるとき、私有地内の雑木林をどう整備するか、ずいぶんと考え悩んだ。

当初は、森林組合に笹薮の刈り払い作業をお願いするつもりでいたが、

結局、その作業は自分の手で行ってきた。悪戦苦闘しながらも、林の整備はどうやれば

いいのか、実体験の中で少しずつ習得していくしかない、と思ったからだ。

しかし、今日、森林組合の方たちの手際よい作業を拝見していて、

やはりプロの方達から、機会あればレクチャーを受けておくべきだと、認識を改めた。







取材

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久しぶりの青空。

今日は県外から新聞社の記者の方が、取材に来られた。

記事は来年、元旦の特集面に載るそうだ。

取材は午前9時から昼食をはさんで、午後4時過ぎまでかかった。

私が昆虫を撮影している写真が必要ということで、

うちの雑木林で虫を探していたら、、オオアヤトガリバが見つかった。

W21883602.jpgじっと静止しているとどこが頭やら、おしりやら判りにくい。

羽化して間もない個体なのか、翅は綺麗だ。

林から下の農道に出てみた。

陽だまりではキタテハやタテハモドキが日光浴していた。

W21883671.jpg( 写真/ E-520  50ミリマクロ )



トノサマバッタ

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昨日から今朝にかけて雨脚は弱まることなく、この時期にしてはよく降った。

小学校へ通う子供は車で送迎。

通学路は水溜りが多く、傘をさしていても車がはねる水でびしょ濡れになる。

子供を送ったあと都城市内の病院へ行く。3ヶ月おきに尿と血液の検査を受けるのだが、

診察はなくても最低1時間半は待っていなければならない。

しかし今回の結果も良好だったので、検査は半年に一回となりそうだ。

いや是非ともそうなって欲しい。


トノサマバッタだが、今の時期、ボロボロになった個体よりか、

羽化して間もない新鮮な成虫の方がたいへん多く、そして幼虫たちの姿も多い。

写真はいづれも幼虫。

JX1741843.jpg
JX1742022.jpg
JX1742081.jpg( 写真/ E-620 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )





アリジゴク

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今日は都城市、安久小学校の安久児童館で、昆虫観察会。

今年は5月から毎月一回、行って来た。

先月は学校で新型インフルエンザが流行、お休みしたため、今回で6回目となる。

来年の3月まで、この月一回の観察会は続く予定。

今日は午後から雨になりそうだったので、近場のコースを選んでみた。

納骨堂の傍に建っているお堂の床下にはアリjゴクの巣穴がいっぱいあった。

L11628411.jpg「おお!、アリジゴクの巣穴があるよ。」の一声で、床下に潜り込む子たち。

L11628393.jpgしばらくすると、「先生、ほら採れたよ!!」と、、、、

L11628402.jpg巣穴が大きかっただけに、掘り出した幼虫もでっかい!

納骨堂の外壁や道沿いのガードレールにはジャコウアゲハの蛹がたくさん見られた。

児童館の近くにはウマノスズクサがたくさん生えているからだ。

あちこちに生えているので、少し掘り起こして、うちの庭にも移植してみたくなった。

オオバウマノスズクサもうちの近くの山に入ればかなりあって、それも植えてみたい。

ある女の子は、花や実を見つけては私に名前を聞いて、一生懸命、観察メモを書いていた。

「二十三番、アオツヅラフジ、、、、」と番号をふっては、種名を大きな声で復唱していたのが

可愛い。


観察会から戻りかけたころから、ポツポツ、雨が降り出した。


寒風

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ルリモンハナバチを初めて見たのは、神奈川県の三浦半島、城ヶ島であった。

私はビデオ撮影の助っ人で同行していたが、そのときはクマゼミの羽化をねらっていた。

もう13年も前のことだ。

当時、東京に一番近くて確実なクマゼミの産地は、城ヶ島であった。今はどうだろうか。

昼間のうちにミズキなどで鳴くクマゼミを撮影し、夜を待って地面から這い出してきた幼虫

を見つけた。そのまま羽化を撮影するつもりでいたが、雨になってしまった。

仕方なく幼虫を宿に持ち帰り、室内でセットを組んで撮影した。

しかしビデオ撮影の照明にはAC電源が使えてずいぶんと助かった。

クマゼミの撮影を終えて他の昆虫を探していたとき、花に来ていたルリモンハナバチの姿が

目に入った。いささか興奮した私は、とっさに素手でこのハナバチを掴んでしまった。

掴んだ瞬間、電撃のような痛みが手のひらを襲い、あっという間にハチは飛んで行った。

なんとも愚かなことをしたものだが、ハチの綺麗な姿にまるで子供のように反応してしまった。


今日は冷たい風がずっと吹いていて、ともかく寒かった。

午後4時。早めに犬の散歩に出てみれば、足元の草むらでルリモンハナバチが眠っていた。

W2158314.jpg草の先端をくわえて、口だけで体を支えて眠るハチでは、コシブトハナバチをよく目にする。

ルリモンハナバチは、そのコシブトハナバチ類に寄生するハチだが、

眠る場所もその作法も、コシブトハナバチと同じとは、ちょっと興味深い。


ここの草むらは南向きの斜面になっていて、トノサマバッタもやたらと多い。

犬のチョロはそれを見つけ出しては、クチャクチャクチャと旨そうに食べる。

この頃はこうしてバッタ狩りに嵌っていて、草むらで留まる時間が長い。

一番の大物はタイワンクツワムシのメスである。

チョロの食事を眺めていると、ボイルした海老を頭から丸ごと齧っているような気がして

ならない。満足そうに見えるので、やっぱり美味しいんだろうなあ、と思う。







久しぶりの青空。

今日は宮崎市内の「みやざきアートセンター」で写真展の打ち合わせ。

「みやざきアートセンター」はこの10月にオープンしたばかり。

場所は宮崎市で一番の繁華街である橘通り。

3階~5階のフロアーのうち4,5階にアートスペース1~3と、他にも常設展示室や

展示スペース、ライブラリー、創作アトリエなどがある。

3階のライブラリースペースから外に面したデッキに出て、橘通りを眺めてみた。

昨日の宮崎は一日中雨が激しく降ったそうだが、三股町では小雨がぱらつく程度だった。

L11428232.jpg通りを右に進めば県庁がある。

私の写真展は来年の夏を予定。準備期間はたっぷりあるので面白い内容にできるだろう。

さて、

打ち合わせを終えてから、家族と合流。

嫁さんがピアノを買うというので、楽器店に立ち寄った。ちょうど中古フェア開催中。

目をつけていたピアノは30年経ているが、価格は予算以内。音質も気に入ったようだ。

L11428301.jpg詳しい説明を受けてからその場で購入を決めた。

ピアノの重量は200キロ以上もあると初めて知って驚いた。

これで嫁さんは、三味線、フルート、ピアノと、楽器を存分に楽しめるのだろう。



ぶらさがり健康器

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一昨日、武田晋一さんが私の仕事部屋を見て、

「新開さんは、何でもぶらさげるのですね」と言ったのを思い出した。

そう、私は部屋にいろいろぶら下げるのが好きなのかもしれない。

いや、そうしないと進行中の仕事を片っ端から忘れてしまうから、その防止策というわけだ。

L1132821.jpg今やっている仕事の書類や写真リスト、絵コンテ、台割、使用予定候補の写真など、

全部、目に付きやすい場所にぶら下げてある。

話はいきなり飛ぶが、第二次世界大戦のときドイツ軍のUボートという潜水艦が一時期は

連合軍を脅かしていた。そのUボートを描いた小説や映画は数多いが潜水艦という乗りもの

にはたいそう興味がある。

とてつもなく過酷な密室でいかなる生活を送り、暗い海の中で死の恐怖と対面していたのか。

ともかく潜水艦の中は狭い。だから食糧などの積載にも工夫が必要だったろう。

ある映画のシーンで潜水艦の天井からバナナがたくさんぶら下がっているのが印象的だった。

そうか、青いバナナも長い航海の間に熟して貴重な栄養源になるわけだ。

そういう狭い空間で過ごすときの工夫というのが面白く思え、

私の狭い仕事部屋でも、立体的に物を配置しながらあれこれ時間を費やすことが多い。

逆にだだっ広い部屋などは、自分の性格としてはどうしても馴染めないだろう。

例えば、第一次南極越冬隊の昭和基地。そこでも各隊員に割り当てられた部屋は狭かった

だろうと思う。そんな部屋で各自が工夫を凝らし、仕事に励んでいた様子などは

高校生の頃に「南極越冬記」(岩波新書)を読んだりしてずいぶんと憧れたものだ。

負け惜しみではなく、私は狭い部屋で自分の落ち着ける空間を拵えるのが好きなのだ。

それにしても、写真展用の写真パネルの置き場所には、さすがに困る。

これには格安の倉庫を拵えるしかないだろう。


昨日、紹介したタテハモドキは強風のためか、頭の向きを上にして、いっそう

ハラビロカマキリの卵のうに寄り添う格好になっていた。

JX134149.jpg



紅茶の効用

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もう一週間も前になる。

出窓下の家壁にタテハモドキが潜りこんだのを目撃したのは。

東向きの出窓下にはすでにハラビロカマキリの卵のうが付いていた。

その卵のうを意識したかのように、タテハモドキは落ち着いた。

おそらくその日のねぐらになるのだろうと思って見ていた。

ところがその日から今日に至るまで、タテハモドキはまったく動いていない。

IMG_04122.jpgたいして寒いというほどでもないこの頃の天候だが、タテハモドキは軽い休眠状態

に入っているのだろう。

出窓の庇が窮屈で、通常のレンズでは撮影しづらい。そこで先端が細い

超深度レンズを使って撮影してみた。狭い空間では先細りのレンズが好都合だ。

ついでに庭や林を見回ってみれば、ヒメクダマキモドキのメスがイチョウの幹に

止まっていた。本種はまだ終令幼虫も同時に見られる。

間近で見てみると産卵管には卵が一個だけ着いていた(矢印 )。

IMG_0501.jpg1.jpg卵の端が産卵管の隙間に挟まっているのがわかる。産卵管は剣のような2枚の板が

合わさってできており、卵はその隙間を通って産み落とされる。

まず産卵管を植物の枝などに刺し込んでから、

卵は植物の組織内に産みこまれるので、通常、卵が観察者の目に触れることはない。

強い逆光を産卵管に当てて観察すれば、管の中を移動する卵のシルエットは確認できる。

こうして日に晒された本種の卵を見るのは、まあちょっと珍しいシーンと言えるだろうか。


今夜の夕食はチキンカレー。

午後4時半、仕事の区切りがついたので仕込みに取り掛かった。

玉ネギを炒めていると、ラジオから「カレーの仕上げに紅茶を少し加えると

まろやかになる」と聞こえてきた。紅茶で鮭茶漬けもうまいそうだ。

それでさっそく紅茶を作って、カレーの仕上げに入れてみた。

なるほど、たしかに紅茶のおかげでまろやかになった。

紅茶は脂肪分を分解して、サラリとした感触にしてくれるという。

すき焼きの煮込みすぎて濃くなったつゆには、紅茶を加えてから肉を足して煮ると

さっぱりとして食べやすいそうだ。

豚肉を紅茶で煮込むと柔らかくなるというし、和食などさまざまな料理に使えるそうだ。

脂肪が気になる方は、紅茶を活用するのがいいようだ。



目玉模様

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一昨日、シロハラが居間の窓に激突して死んだ。

鳥たちの目には、窓ガラス越しの居間の空間が、薄暗い林内に見えるのだろうか。

ともかく、次々と鳥が死んでしまうのを黙って見ているわけにもいかない。

そこで鳥が窓ガラスにぶつからないよう、その対策をとってみた。

聞くところによると小鳥たちが恐れる猛禽類の目玉模様が効果あるらしい。

まずは目玉模様をプリントアウトして、窓に貼り付けてみた。

L1112816.jpg目玉模様は、タテハモドキ秋型の翅の模様を使ってみた。

IMG_6900.jpgチョウの翅の目玉模様は、猛禽類の目がモデルになっているのでは、という見方もある。

ならば、これをでっかくして貼り付けておけば、鳥たちも恐れて窓の手前でUターンする

のではないだろうか。


さて、今夜は自然写真家の武田晋一さんが撮影旅行の合間に立ち寄ってくれた。

家族と一緒に夕食。武田さんの有意義なお話に、子供たちも静かに聞き入っていた。

明日は朝早くから日南海岸方面に発つそうだ。


子供の証言によると、

「そういえば、ゴトン!!って音がしたあと、急にチョロが吠え出したよ」

だそうだ。

なるほど、私が外出していた1時間ほどの間にその事故が起きたのは疑いない。

窓ガラスにシロハラが激突して死んでいたのだ。

朝、出掛ける前に洗濯物を縁側に干したが、そのときに死骸はなかった。

L10927831.jpgわが家の窓、とくに居間の広い窓には野鳥たちがよく激突する。

軽い脳震盪で済む場合もあるが、今回のように死んでしまうケースも少なくない。

すぐ傍にシロハラが落っこちてきたのだから、犬のチョロが騒ぐのも無理ない。

残念ながら鎖でつながれているから、この思いがけない獲物にかぶりつくことは

叶わない。余計に騒ぎたくなるのも頷ける。


さて、ようやく、これまで続けてきたポジ写真の蔵出し作業が一段落ついた。

L10927692.jpgライトボックスは以前使っていた大型サイズのものを引越しのときに処分してしまい、

今では卓上型の小さいA4サイズを使っている。

ポジ写真のストックはこの冬にでも大整理を行い、まだ切り出していないスリーブなども

全部カットし、さらにストック全体の数をギリギリ限界まで縮小しようと考えている。

ともかくポジ写真の蔵出しを終えたので、こんどはデジタル写真データの検索作業に入る。

この前の仕事ではポジ写真探しとデジタル写真データの検索とを取り混ぜて

交互に行っていたので、たいへん効率が悪かった。

その反省をもとに今回はきっちり作業手順を決めて作業をした。

もっともデジタルデータとポジ写真を取り混ぜて作業をした理由はあって、

写真の組み合わせの流れに沿って作業をしたほうが、時間は掛かるけれどやり易かった

からだ。これは依頼された仕事の性格にもよるので、どちらが良い、とは一概に言えない。



今年に入って、銀塩フィルムカメラは35ミリ判と645セミ判を各一台ずつ残し、

他のカメラはすべて処分した。昨年までフィルムカメラの方がデジタルカメラの台数よりか

多かったが、これでデジタルカメラとフィルムカメラの台数は逆転した。

もう余程のことがない限りフィルムカメラを使うことも無いからポジ写真のストックが

今後増えることはないだろう。


トゲサシガメ と ホオズキカメムシのその後

先日、紹介したホオズキカメムシに馬乗りになったトゲサシガメ、であるが、

昨日の夜になってもまだそのままの格好であった。

ところが今朝になって、ようやく両者は離れていた。

じつはこの観察を継続したいがために、一昨日の夜から両者を風通しのよい飼育ケースに

入れて、玄関先に置いていたのである。どうしても事の結末を見ておきたかったからだ。

トゲサシガメは、ホオズキカメムシの背中に馬乗りになったまま、二晩を過ごしたことになる。

飼育ケース内にはホオズキカメムシの餌として、イヌホオズキの水差しを入れておいたが、

ホオズキカメムシがそれを吸汁した様子は無い。

トゲカメムシもホオズキカメムシから吸血していないようだから、

両者とも飲まず喰わずで二晩をやり過ごしたのだろう。

いったい、トゲカメムシはどうしたというのだろうか?

ホオズキカメムシにしてみればえらい迷惑な話であろうかと思える。

トゲカメムシはよく観察してみると全身トゲだらけで、その姿にしばらく見とれてしまった。

JX094031.jpg



(写真上、中/ E-P1 14-54ミリ )

(写真下/    E-620 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )


泥アート

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今日は子供の小学校で学芸会と収穫祭があった。

午前4時に起きて、午前7時頃まで仕事。

午前9時頃から昼過ぎまで学校へ。収穫祭では子供たちが作ったお米やサツマイモなど

、そして豚汁で昼食会となった。


夕方、犬の散歩で久しぶりにイノシシのヌタ場を見に行ってみた。歩いて5分程度の

林道沿いにある。
W2088189.jpgここのヌタ場は2年前に『昆虫ある記』で紹介したことがあるが、

それ以来、ほとんど訪れていなかった。

ヌタ場は林道沿いの崖をえぐった大きな窪みとなっており、たいへん目立つ。

今は少し乾燥気味だが、窪みの底には真新しい足あとや擦り痕が残されている。

ヌタ場の周辺に目を移すと、イノシシの体から振りまかれた泥が葉っぱの上に

抽象画を描いている。

W20881791.jpg
W20881782.jpgイノシシの体毛はごっついブラシのようなものだ。

たっぷりと泥水を含んだ体毛ブラシは歩くそばから絵かきを始めるわけだ。

泥浴びを終えたあと、イノシシが木の幹に体をこすりつけた痕もあちこちに残されている。

W20881693.jpgある木ではかなり高い位置に泥がついていた。

後ろ脚で立ち上がってこすりつけたのだろう。その高さから推測すると

けっこう大きな体格のイノシシであろうと思われる。立ち上がっている姿を想像し

ながら、ヌタ場の近くでしばらく佇んでみた。

ここのヌタ場にはいったい何頭のイノシシが訪れているのだろう。

時間帯は主に夜だろうけれど、その出入りする様子を一度は見てみたいものだ。

( 写真/ E-520 50ミリマクロ )



朝、玄関前の植え込みで、問題のカメムシを見つけた。

何が問題かというと、まずは写真を見ていただきたい。

JX0738173.jpg発見当初、ホオズキカメムシの交尾カップルか?と思えたのだが、

この時期に配偶行動するわけないな、と、事の異変にすぐ気付いたのであった。

よく見れば、上に乗っているのはホオズキカメムシではなく、トゲサシガメである。

では、ホオズキカメムシがトゲサシガメに吸血されているのか、といえばそうでもない。

もし吸血されているならば、ホオズキカメムシがこうしてしっかりと脚を踏ん張って静止

できるはずもなく、とっくに絶命して伏していることだろう。

しばらく様子を見ていたが何事もなく、この擬似交尾のような状態が続くのであった。

これをずっと観察していては仕事にならないので、とりあえず部屋に戻った。

そして数時間後、ふたたび見に行ってみれば、

ホオズキカメムシが後ろ脚を使ってトゲサシガメを振り落とそうとしていた。

ときには翅を拡げるようにしてもがいている。

JX0738542.jpgホオズキカメムシの動きが慌しくなった理由はすぐにわかった。

トゲサシガメがしきりと口吻を突き立てているのである。ホオズキカメムシにとっては

命に関わる一大事である。懸命に振り落とそうとしているのは、わが身を守るためである。

やはりトゲカメムシが馬乗りになっているのは、捕食するのが目的だったのだろうか?

JX0738831.jpg何度も口吻を突き立てるのだが、どうもうまくいかないようだ。あちこちをまさぐる様にして

口吻の先が移動するものの、吸血には至らない。

そのうちトゲサシガメも諦めたのか、口吻を畳んでしまった。

かといって、ホオズキカメムシの背中から降りようともせず、しがみついたままである。

さらに数時間経っての夕方。

なんとまだ同じ格好のままである。

トゲサシガメはいったい、どうしたいのだろうか?

獲物となり得ないとわかれば、さっさと離れてしまえばよいようなものである。

しかし、なぜかホオズキカメムシの背中に馬乗りになったまま、夜を迎えてしまった。

この成り行きは明朝の観察を待つしかない。

(写真/ E-620 ZUIKO D 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )







双頭葉?

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うちの駐車場の排水溝に落ち葉が溜まっている。なんということもない風景だが。

その落ち葉のなかで、私の目を惹いたのがこれ↓

エノキの葉.jpg一枚のエノキの葉っぱだけど、よく見れば二枚のようにも見える。

なんだか変だ。

ヘビの異常型として、双頭の個体がときに新聞ネタになったりするが、

まさにこれは葉っぱの双頭型と言えるのだろう。


相変わらず今日も朝からポジ写真の蔵出し作業。

せっかくだから整理作業も並行して進めていると、次々とこれまで行方不明だった

写真が出て来る始末。「ええ、今頃出てきても遅いよう!!」と溜息が出るものばかり。


林や庭の手入れも合間をみてやって、まあなんとも忙しい。

そんな中で、今読んでいるのは、

『ゴルフ場は自然がいっぱい』(田中淳夫 著・ちくま新書)

いかにも逆説的な表題に思わず手にとってみた。読み始めてみるとけっこう面白い。

一気に読めてしまう文章だが、なかなかまとまった時間がないので、

細切れで今も読んでいる最中。

この新書は新宿の紀伊国屋書店で編集者の方と待ち合わせするときに買い求めた。

東京に行く飛行機のなかで読み終えたのが、

『害虫の誕生』(瀬戸明久 著・ちくま書房)

私は昆虫学を学んだつもりだが、いかに自分が鈍感だったかと思わせられる

内容で、たいへん開眼させられる内容の濃い本だった。

畳の上でゴロゴロしながら読書できたらいいナあ~、と思う。

そういう、ゆったりとした時間を過ごしたい。


そういえばずいぶん昔、仕事で八丈島の民宿に泊り込んでいた。

ところが連日、雨。

そのときに、部屋で一日中、本を読んでいた。

予期しない時間の空白が、思わぬ本との出会いとなった。

本との出会いには想い出が多い。



クヌギ畑

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午前中は室内でずっと写真出しの作業。

今日はポジ写真だけを扱った。ポジ写真は整理していたものがいろんな仕事で

かき回され、その上、カビ対策で収納方法を全部替えたりしたものだから、

欲しい写真の所在がわかりにくいものが増えてきた。

この冬には大々的にポジ写真を整理し、必要ないと判じたものは潔く捨てることにした。

いや捨てる作業はこれまで何度も行ってきたが、まだまだ甘い。


さて、8月に切り倒してあったクヌギの一本を少し整理した。

ちょうど庭の真ん中にころがっていたのだが、よく見れば倒れていたあたりには

草むらに紛れてクヌギの実生が何本かあった。

そこで実生を傷つけないように草むしりをしてみたら、まるで並べて植えたような

配置で生えている。このままクヌギが育ってくれれば、観察をするにも

撮影するにもちょうどいい。順調に育っても高さは人の背丈くらいで止めておこう。

林ではなく、クヌギ畑を作りたい。そう桑畑みたいに。

倒木クヌギは何ヶ所かで切断を試みたが、三ヶ所を切ってギブアップした。

手鋸はよく切れるが四ヶ所目を切ろうとしたらにぎりから鋸歯がすっぽ抜けてしまった。

この修復には時間が掛かりそうだ。

庭や林で作業していたら、ちょうど咲き始めたツワブキの花を、アサギマダラが

ときどき訪れていた。

W20581521.jpg右前翅がV字型に大きく欠けている。どんな鳥に襲われたのだろうか?

それともなんらかの事故に遭ったのだろうか?

しかし、翅がこれだけ欠けていても正常に飛翔しているように見えた。

W20581462.jpg( 写真/ E-520  ZUIKO D 50-200ミリズーム )


写真データのバックアップに、HDDだけではなく、ブルーレイも使ってみてはいるが、

先日、ブルーレイBD-REの50GBディスクからデータを書き出そうとしたら、

たいへん時間が掛かってしまい、これでは仕事には向かないなあ、と感じた。

やはり転送時間が短いHDDが一番扱いやすいし、なんといっても安い。

ただ通常の外付けHDDだと場所をとるし、電源も個々に必要だから

数台のHDDの取り付け取り外しの作業はとても厄介だ。

この問題を解決したくて人に相談したり調べてみたら、内臓HDDを使う方法が

安上がりで場所もとらないことがわかった。起動しているときの安全性の問題もあるが、

経費は半減できるし、格納場所も半分以下になる。

今はそうした作業に取り掛かれる状態ではないが、少し落ち着いたらさっそくデータ整理

の見直しを実行しよう。


幼虫三態

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ナベブタムシのことが気になって、夏に見つけた川に行ってみた。

ナベブタムシは一年中、成虫も幼虫も見られるらしい。

残念ながらお腹の調子が急に悪くなって、探索は早々と諦めてしまった。

それでナベブタムシは見つからなかったが、ヒラタドロムシ幼虫や他の水生昆虫の

幼虫を何種類か掬うことができた。

まずはヒラタドロムシ類の幼虫。JX0437211.jpgダンゴムシを平たくしたような、扁平な体で石の表面に貼り付いている。

裏返せば、6本脚もちゃんとついている。

同じく扁平な姿をしているのは、コオニヤンマのヤゴ。

JX0437142.jpg他にも面白い幼虫を掬ったのだが、いづれ紹介するとして、

先日、東京で見つけたアカスジキンカメムシ幼虫を再び。

幼虫の背中側にある臭腺は3対(矢印の先)。

W2048112のコピー.jpgそよ風ふくさんの「日日面白日記」を読んでいて、ふと思い立ったのだが、

たしかに臭腺の開口部はたいへん見づらい。とくに一番前にある一対はルーペで覗いても

よく見えない。

カメムシ幼虫の臭腺を紹介するには、アカスジキンカメムシは向いていないと思う。

幼虫を摘んでいると、やがて指先や手のひらが茶色に染まるのでご用心。

カメムシの多くは成虫越冬する。卵や幼虫で越冬する種類は少数派で、

アカスジキンカメムシ、ニシキキンカメムシ、ヨコヅナサシガメ、ヤニサシガメ、

カモドキサシガメ類、、、、、、思いつく幼虫越冬カメムシはこんなとこだろうか。



( 写真上、下/ E-620 ZUIKO D 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )

(写真中 /   E-620  ZUIKO D 50ミリマクロ ) 






秋色

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私は秋という季節が好きなほうだが、反対にあまり好まない方も多いようだ。

それはともかく、『新開孝の昆虫写真工房』は今年の11月1日をもって、

6年目を迎えた。ホームページのリニューアルは滞ったままだが、

ブログ更新は途切れながらも6年間更新してきた。

11月1日というのは私の誕生日でもあるので、また歳をとったなあと溜息が出る。

JX033616.jpg午前中は仕事をしたが、午後からは家の冬支度などあれこれ忙しかった。

嫁さんがシイタケ栽培するというので、菌を打ち込むための穴あけドリルを買い求めた。

ホダ木の穴あけ専用ドリルがあって、それもいくつか径の種類がある。

ホームセンターからうちに電話をかけて、その径を確認してから8.5ミリのものを選んだ。

うちの近所には、ホダ木にちょうど良く育ったクヌギ林があちこちにあるが、

持ち主の方たちが高齢者であるせいか、伐採される光景をまだ見たことがない。

今月はその伐採シーンを撮影する予定で、その準備も進めている。


夕方になってうちの林の中を歩いていると、アカメガシワの葉うらに一匹の

アカギカメムシが静止していた。体色はすっかり黄色になっている。

枝をもって引き寄せようとしたら、ポロリと落ちてきた。

JX033628.jpg国内のカメムシとしては大型であり、腹側を見ればキンカメムシ科の名にふさわしく

緑金色に輝いている。

止まっていたアカメガシワは9月にアカギカメムシが大量に繁殖した場所でもある。

一旦はほぼ全部のアカギカメムシが飛び去ってしまったのだが、

今頃になってこうして居残っているのがむしろ不思議に思える。

家のすぐ横のエノキではゴマダラチョウの幼虫が歩いていた。

JX033674.jpg明日は、三股町立図書館で展示してある写真パネルの回収作業がある。


( 写真全て/ E-620 ZUIKO D 50ミリマクロ )





東京の虫

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今日は朝から雨。



さて、28日~30日まで滞在した東京では、

所沢市、下新井の雑木林(所沢聖地霊園の南側)と、

清瀬市、中里の雑木林、そして都心の新宿御苑を歩いてみた。

新宿御苑は初めてだったが、他の2箇所はかつて私がメインフィールドとしていた場所。

昨日も紹介したが、新宿御苑と下新井ではアカスジキンカメムシ幼虫を見つけた。

JX0135141.jpg
(写真/ E-620 ZUIKO D 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )

アカスジキンカメムシは終令(5令)幼虫であり、やがて落ち葉の下に潜り込んで冬ごしする。

この幼虫は薄暗い森のなかだと、白黒模様に見える。それが鳥の糞に擬態している姿、

とも言われるが、むしろくっきりとした白黒模様はやたらと目立つ。

光がたっぷり当たれば、黒に見えていた部分は、

ほんとうは微妙な金属光沢を帯びた複雑な色彩であることがわかる。

こうしてクローズアップしてみれば、幼虫も成虫に劣らぬたいへん綺麗な姿をしている。

私は彼らを「森の宝石」とでも呼んでみたいのだが、世間のカメムシに対するイメージは悪く

「ええ!カメムシのどこが宝石!?」と、絶叫すら聞こえてきそうだ。


所沢市、下新井の雑木林ではコナラの枝でオオミドリシジミの越冬卵が見つかった。

L10126003.jpg
( 写真/ E-P1  ZUIKOマクロ20ミリ オートベローズ、トリミングあり )

ほぼ目線の高さ、太い幹から伸びた細枝の又に、卵はちょこんと産み付けられていた。

卵の直径は1ミリ足らず。

最初に目をつけた枝で見つかったからラッキーだったが、

近年、オオミドリシジミの数は減少しているように感じている。

オオミドリシジミの九州における分布は北に偏っており、しかも産地であっても個体数は

本州ほど多くはないそうだ。


アカスジキンカメムシ幼虫の背中には臭腺が開口している。

体に刺激を加えるとその開口部から臭いを放つが、ときに液体も溢れ出てくる。

その写真は以前撮影しておいたのだが、どうしても見つからない。

そこで新規に撮影しようというわけだ。

臭腺から出る液体はときとして勢いよく噴出し、これが目に入ることもある。

私も一度だけその経験があるが、痛くてしばらく目を開けることができなかった。

なんてことを書くと、ああやっぱりカメムシって、好きになれるどころか

忌まわしい虫!などという印象を強めるかもしれない。

しかし、私はそういう経験をしたからといって、「この野郎!!」などと

カメムシを罵ったりはしない。

それは、ごく当たり前に生じる事故でしかないからだ。

自然の中ではいろんな事故があり得る。

大騒ぎする前に、どんな事故がありうるのか、

それをできるだけ多く認識しておくことが、大事なことだと思う。