2010年3月アーカイブ


孫太郎虫

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今日は日南市の飫肥城跡近くを流れる飫肥川の河川敷で観察会が行われた。

もう鯉のぼりが風になびいていた。海辺のほうでは「鰹のぼり」というのがあるらしいが、

一度見てみたい。

L1295504.jpg午前10時始まりだったので、少し早めに家を出て日南市酒谷の渓流に立ち寄ってみた。

ねらいはヘビトンボ幼虫の撮影。

川に近づくと目の前をヤマセミが上流へと飛んでいった。朝陽を浴びてじつにカッコよい。

ヘビトンボはアミメカゲロウ目に属し、私の大好きなカマキリモドキと同じ目になる。

前々から気になっていたが、ようやく幼虫を撮影することにした。

冷たい川水の中の石ころを10分ほどひっくり返してでっかい幼虫が見つかった。

体長は6センチほど。

JX2998303.jpg素手で捕まえたら、ガブリと噛まれた。2、3回噛まれたがたいして痛くはなかった。

大アゴは発達していて他の昆虫を捕食する。

JX2999422.jpgそれでも顔つきは恐くない。ヘビトンボ幼虫の全体像はムカデのようでもありこういう生きもの

を苦手とする方なら、かなり恐怖心を抱くとは思う。

ヘビトンボ幼虫は成熟すると上陸し、石の下などに蛹室を作ってそこで蛹になる。

蛹はカマキリモドキやウスバカゲロウなどと同じように、歩くことができて噛み付くこともする。

いよいよ羽化が近づくと(蛹期間は10日間だそうだ。ちなみに幼虫期間は1~3年。)、

蛹は蛹部屋から這い出し、翅を伸ばせる高所に定位して羽化脱皮を行う。

その羽化の瞬間を見てみたいと思っていたが、

観察会の帰り道に立ち寄った川べりの朽木で、ヘビトンボの蛹と前蛹が見つかった。

JX2999571.jpg先にも書いたように、蛹といえども手を出すと噛み付いてくる。


今日の観察会は参加メンバーが少なく、お母さん方が4名、そして子供が3名だった。

観察会はしかし、せいぜい10名くらいが上限でありできるだけ少ない人数の方がいい。

だから今日はゴージャスな観察会だったと思う。

お母さん方達と昼食をとりながらのお話も、いつもと違って井戸端会議みたく日常的な

会話となった。

※ ヘビトンボは分類学上、これまでのアミメカゲロウ目ヘビトンボ亜目ではなく、

ヘビトンボ目とされることもあるようだ。ご指摘いただいた方にお礼申し上げます。



昨日のヤゴはサナエトンボ類であった。

ムカシトンボが選ぶ羽化場所と良く似ているが、よく見れば傾斜角度が違う。

ムカシトンボが傾垂型に対してサナエのそれは直立型であり、じつはその点でも

発見当初おかしいなあ?という気がしていた。

しかし、ムカシトンボの撮影に焦りを感じていたあまり、冷静な判断力を失っていたようだ。

さて、今朝は霜が降りて冷え込んだ。こんな日であっても大丈夫だろうか。

車で約40分先の渓流を訪れてみた。

ムカシトンボの探索場所としてこれまでと同じ中洲に降りてみる。

羽化失敗したサナエのヤゴをもう一度丁寧に観察してから、ムカシトンボ探しを始めた。

ともかく抜け殻の多い地点を中心にひたすら探すしかない。

三度目の正直とはよく言うけれど、今日こそそうなってくれるに違いない。

ずいぶん回り道したなあ、でももう一息さ。

などとひたすら良い結果だけを念じながら歩く。ま、何とかなる。なるよな。なるよね。

念仏を唱えるような探索が50分ほど続いた。

滝のすぐ近くに場所を移動し川へ降りようとして脚を踏み出した、その瞬間。

午前9時49分。

目の前に羽化したばかりのムカシトンボが朝陽を受けて白く輝いていた。

まるで私を待っていたかのようだ。  そうだよね?

W22716762.jpg          (写真: オリンパス Eー520  50-200ミリズーム )

翅は伸びきっているが、体の色はまだ薄い。羽化時刻は30~40分くらい前だろうか。

なんとかなったじゃないか。

笑顔で機材を用意する。

P32700093.jpg              ( 写真: オリンパス μ TOUGH-6020 )

こうして機材置き場のベンチまである。ほとんど訪れる人もいないので、誰かに迷惑かける

心配も要らない。撮影現場はベンチのすぐ向こう側、1メートル半先である。

翅が乾き、体が色付き、体がしっかりするまでここで待機。

もちろん他にも羽化しているヤゴがいないか、近辺の探索もしてみたが見つからない。

ベンチがあるのはここの滝が「山の神」であり、祭られているからでもあるのだろう。

雨が続いたので滝の水量もたいへん多い。

「山の神」に見守られて、ムカシトンボは無事に羽化したのだった。

L12754751.jpg       ( 写真:オリンパス E-P1 M14-42ミリズーム サンパックB3000S使用 )



先日、ムカシトンボのヤゴを見つけた渓流へ行ってみた。

三日間、雨が降り続いた後だ。期待に胸が高まる。

その期待通り、午前9時にムカシトンボのヤゴを見つけた。一匹だが。

場所は渓流の中洲。

L12654301.jpg


ヤゴの定位した場所は川から2メートル以内。

L12654182.jpgヤゴは上向きに静止し、朝陽の木洩れ日を受けている。この場所に定位し羽化しそうに思え

た。

あまり近くに居ると影響を及ぼすかもしれないので、できるだけ遠くから観察するようにして、

他の場所に上がってきたヤゴがいないか、見回りをしてみた。

そして、午前11時半。背中が割れて羽化が始まったのを確認し、近寄ってみた。

JX2692573.jpgが、しかし写真の状態にまでトンボの体がせり出したところで、動きが止まってしまった。

なんと!またもや羽化失敗のようである。

なぜかはわからない。こういうことはしかし、そう珍しいことでもない。


JX2692084.jpg※ 写真のヤゴはムカシトンボではなく、サナエトンボ科のヒメクロサナエであることが、

ご指摘をいただき判明した。

ヤゴを見た瞬間、ちょっと変な感じがしていたのだが、すっかりムカシトンボと

思い込んでしまった。この場所ではムカシトンボのヤゴ殻がいくつか見つかっており、

サナエ類のヤゴ殻はまだない。

ご指摘いただいた方にお礼申し上げます。









今日も雨。しかも、かなり冷え込んだ。

来週、観察会を予定している日南市の現場に行ってみた。

今回の観察会は河川敷。明るい草地環境だ。

レンゲ、アブラナ、ハナダイコンの花などもたくさん植わっているので、訪花昆虫の

数も多いことだろう。あとは天候しだいだ。

さて、観察会の下見とは別に今日の目的はもう一つ。

ヤナギに集まってくるカメノコテントウを見つけること。

日南市のMさんに案内してもらい、カメノコテントウのポイントを訪れてみた。

気温が低いのでどうだろうか思っていたが雨滴をまとったカメノコテントウが待っていてくれた。

P3250011.jpg                   (写真:オリンパス μ Tough-6020 スーパーマクロLEDモード使用 )

ヤナギの梢をよく見ていくと、あちこちの枝にも姿があった。

しかも、卵塊まで。

JX2591422.jpg           ( 写真:E-620  35ミリマクロ+2倍テレコン )

 カメノコハムシの幼虫も成虫も、餌はヤナギハムシの幼虫。

ヤナギハムシの幼虫がいないのにいくらなんでも気が早いのではないか、、、、、、、、、。

ところがさらに見ていくと、ちゃんとヤナギハムシの成虫も数匹見つかった。

見えた範囲で、カメノコハムシの方が数の上では多かった。やはりカメノコはせっかち?

ヤナギハムシの交尾カップルがいた、と思いきや、じつはメスは産卵中であった。

JX2590713.jpgヤナギハムシの卵も綺麗だ。

この卵からふ化した幼虫たちは、やがてカメノコテントウたちの餌食となるのだが。



羽化不全

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昨日見つけたムカシトンボのヤゴはうちに持ち帰っていた。

ところが今朝になって飼育ケース内で歩き回っていることに気付いた。

どうやら羽化場所を探しているようだ。

そこで庭木の根元に移してやると、すぐさまよじ登り始めた。

昨日まったく落ち着かなかったのとは打って変わって、あっさりと足場を決めた。

しかし空模様は怪しい。今にも雨が降り出しそうだ。

気配を察してまた木を降りるかもしれないと見ていたが、

前脚の踏ん張り具合からして、どうやら定位したように思えた。

地面に腹ばいになって見ていると目の前でヤゴの背中が割れて羽化が始まった。

大急ぎで雨よけのテントシートを用意した。

IMG_2363.jpg羽化は順調に進んでいるように思えたが、一抹の不安もあった。ヤゴをケースに入れて

移動したことが何か悪い影響をもたらしたかもしれない、と。

ヤゴの殻から体半分が抜け出て脚がしっかりするまでは、しばらく頭を下にして休む。

で、じつは上の写真ですでにわかるのだが、

画面手前になる右前翅が通常ならまだ縮んでいるはずが、ヤゴの殻に引っ掛かってしかも

伸び始めている。本来なら小さく折りたたまれた翅が全部抜け出る。

反対側(画面奥)の左翅ではそうなっていた。

脚がしっかりして体を起こす段階になっても完全には起き上がれず、

脚がヤゴ殻に届かないのであった。右前翅がトンボの体を繋ぎ止めてしまったのだ。

むなしい起き上がり運動を数回繰り返して、しだいに疲れてきたようだ。動きが止まった。

やがてこのままの姿勢で力尽きて死ぬだろう。

ダメなのはわかっていたが、引っ掛かっている翅をそっとはずしてみた。

なんとかヤゴ殻から抜け出ることはできたが、右前翅はいびつになりそのまま伸びることは

無い。

左翅は綺麗に伸びたがこのままでは空を飛ぶことはできず、

ムカシトンボにとって飛行できないことは、早晩、死を意味する。


さて、今日は激しい雨の中、都城市の安久児童館に出掛けた。

児童館の排水溝に溜まった土の中からケラを見つけたと聞いていたからだ。

子供達とベーゴマやオセロをしてから、排水溝のフタをはずしてケラを探してみた。

フタは砂利石をコンクリートで厚く固めた重いものだったが、これを5、6枚はずして

土をかき出してみた。するといた!わずかに1匹だが、ケラを捕獲できた。

冬場にはモズのはやにえになったケラは見ていたが、

久しぶりに生きたケラを見て嬉しくなった。

安久児童館の皆さんに感謝!!

そして「ぼくケラ飼っているよ。」と教えてくれた、H.M君、ありがとう!


(写真:EOS-5D  EF100ミリマクロ )









午前8時からムカシトンボのヤゴ探しを始めた。

先日、オスがさかんに飛翔していた場所から川を下りながら、まずは抜け殻探しである。

ヤゴの抜け殻が少なくとも3個以上集中して見られる場所を絞り込もうと思った。

歩き始めてすぐに、

川べりでトラフシジミ春型のメスが休んでいた。

JX2287504.jpgヤマザクラを背景にしたこのメスは、お腹がでっぷりと肥えている。

たくさん卵を産みそうだ。しかし採卵のために捕獲する気持ちの余裕など無い。

ムカシトンボのヤゴ殻はなかなか見つからなかった。600メートルほど下って、

ようやく最初のヤゴ殻が見つかるまで2時間も掛かってしまった。

写真の羽化殻は地面から30センチくらいの高さ。

JX2288113.jpg最初の羽化殻のすぐ近くで2個目、そして3個目も見つかったので、この辺りに探索範囲

を絞り込むことにした。

重いカメラバックを降ろしたら、体がヒュンと軽くなった。機材は全部置いて、細かく見ていく。

ドドドドッー!という滝の音が聞こえてきた。ずいぶん下流まで来たものだ。

ちょうど羽化殻が付いていそうな場所にシュンランが咲いていた。

JX2288302.jpg木の根元にひっそりと隠れている。ここだと人の目にも触れにくいだろう。

ランはともかく見つかれば引き抜かれていく。

所沢市の雑木林でキンラン、ギンランの株をビニール袋に片っ端から抜き取っては

放り込んでいた、おっさんを思い出す。

さてヤゴ殻探しは続く。

目線は地面近くの木の幹とか、大きな岩があればオーバーハングしたところ。

と、細い木の根元近くで4個目の羽化殻があった。

いや近寄ってみれば、抜け殻ではなかった。動いている。

JX2288441.jpgまさに羽化場所を決めるべく徘徊しているムカシトンボのヤゴだ。

探索を始めてから3時間も経っている。もう午前11時。

今日の観察会の方達はすでにバーベキュー会場に着いたころだろう。

みなさんが昼食を終えて観察現場で落ち合うのが午後1時。

それまでに羽化するだろうか心配になった。気温が少し低いせいか、羽化時刻としては

遅い気がする。

ヤゴは木に登っているし、高さとしても定位していい場所だが、どうも落ち着きが無い。

そのうちに地面へと降り始めた。これはマズイ。しかも正午となった。

このままではヤゴがいつ定位するか検討もつかない。

どうせなら観察現場の上流までヤゴを移動させ、そこで待機してみることにした。

そうと決まれば、600メートル先まで林道を急ぎ足で戻る。

羽化するに適した場所を物色し、そこへヤゴを放してみた。

しかし、結局、観察会が始まる午後1時を過ぎても、ヤゴは落ち着くことなく動き回っていた。

観察会のこともあるし、ついに諦めてヤゴをケースに回収した。


さて、安久児童館の子供たちと川で虫探しをする。

皆、川に入って元気だ。川の水はとても冷たい。

ムカシトンボはヒュンヒュンと飛び交うが、子供用ネットではなかなか捕獲できない。

子供達が網で掬った川虫をいろいろと見る。

「ああ、これはサナエトンボのヤゴ。こちらはカゲロウ。こっちはカワゲラ。そっちはトビケラ。」

などと説明すれば、

「え!?ケラ?ですか。」

「ハハハ、いやいや、ケラではなく、カワゲラ、トビケラ。ケラ違いだよ、、、、、、、。」

「先生、ぼく、ケラ飼っています。」

「なにィ!!ケラを、君は生きているケラを飼っているの!?モグラみたいなやつだよ!

ほんとうかい!!どこで見つけたの!!」

明日は安久児童館に行くことにした。ケラはどうやら児童館の回りの側溝で見つけたらしい。

どうしても行かねば!!




















ヤマトシロアリ

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朽木を崩したり、朽木の樹肌を剥いだりしているとよく目にするのが、シロアリ。


W2211539.jpgさて、画面中央の頭部がでっかい個体はヤマトシロアリの兵アリ。

その隣の細長い体のは、やがて羽化すると羽アリとなるニンフ。女王か王アリの

いづれかになるのだろう。翅芽が胸部に見える。

そのすぐ下にいるのが職アリでもっとも個体数が多い。

たくさんの個体が集合し、アリと名前にはついているが、いわゆるアリさんとシロアリは

まったく別者であることは、意外と認識されていないと思う。

さてさて。

明日はお隣、鹿児島県曽於市財部町で昆虫観察会があり、私は講師として出向く。

先日、その現場を下見したところ、ムカシトンボの抜け殻が見つかり、

♂個体が目の前をビュンビュン飛び交っていた。

ムカシトンボを見るのは久しぶりだが、さすがに九州での発生は早い。

そこで明日は早めに現地に入り、ムカシトンボの羽化を撮影してみようと思っている。

案外、近場にムカシトンボの発生地があることがわかり嬉しくなった。

フィールドでの撮影に出るのも久々なので、準備も万端にしておきたい.

※ 家屋の材を侵食するイエシロアリの被害は甚大になる。森林で出会うヤマトシロアリも
家屋の湿った場所に侵入することがあるので、油断はできない。

トイレの窓際にはボケの花が活けてある。

JX1984504.jpg水が足りているか、鉢のなかを覗き込んでみたら茶色く濁っている。

濁りの原因は、虫の糞が底に溜まっていたからだった。

ボケの花に目をやると、一輪だけ花弁が食べられ欠けていた。

犯人はどこだろう?としばらく眺めてみたがすぐには探し出せない。

視線を低くしてみたら、その犯人の姿が浮かび上がった。

JX1984435.jpg上の写真を見れば一目瞭然。

蛇足かもしれないが、もう一枚追加。

JX1984563.jpgこのシャクトリムシは、キバラヒメアオシャクの幼虫

嫁さんが剪定したこの枝に偶然にも幼虫が潜んでいたのだ。


今日は宮崎市の「みやざきアートセンター」へ行って来た。

L11954032.jpg場所は宮崎市内一番の繁華街、橘通り。写真中央の黒いビルの建物が「みやざきアート

センター」。

この夏に開催予定の写真展の打ち合わせを行った。

写真展といっても格式ばった会場ではやりたくないので、パシフィックスペースを使わせて

もらうことにした。ここはアートセンターの入り口からすぐのスペースだから、どの会場に

行くにも必ず通る場所。壁面や本棚、柱などいろいろな空間を使う。

写真点数は100点前後になる予定。展示にはちょっとした工夫も考えている。

会期は、6月30日~9月6日までと少し長めに設定させてもらった。

会期中、ギャラリートークを2回行う。


宮崎市内からの帰り途。清武町にある酒屋に立ち寄ってみた。

ここの店では各地の日本酒が販売されていると聞いていたからだ。

なるほど噂通りの品ぞろいだった。

焼酎の宮崎で、日本酒にこだわる酒屋はきわめて珍しい。

温度管理をされた冷蔵庫にはずらりと各県の銘柄が並んでいる。

どれも初めて見る銘柄ばかりで目移りする。

とりあえず奈良県と広島県の純米吟醸をそれぞれ買い求めてみた。

ここの酒屋には滅多に来れないから、今度の機会はずっと先のことになるだろう。






水辺のいきもの

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本日、愛媛県、松山市から宮崎の自宅に戻った。

今回も仕事ではなかったのでカメラは、オリンパスEP-1だけ。

昨日の午前中、ほんのわずかな時間に自宅横の農業用水路を見てみた。

L11753436.jpg用水路は三面コンクリート護岸で、生きものに関しては何も期待できないような環境に映る。

実際、この水路では水が涸れてしまうことも多く、昨日覗いたときも画面のごとく底面が

わずかに湿っているか、せいぜい浅い水溜りが数箇所見られるだけだった。

しかし、この用水路にしゃがみ込んで目線をうんと低くしてみると、

コンクリートの上をチスイビルが歩いていた。それも1匹や2匹ではなく、かなりの数だ。

チスイビルといえば、水中をヒラヒラと泳ぐ姿しか想像できなかったが、

空中に体を晒して歩く姿は初めて見る気がする。

さらにフナムシの一種だろうか?これも多数が徘徊している。

用水路が生きものたちでにぎわっている。それがどんな姿態であろうとも。

17年前の5月。この用水路では数多くのシオカラトンボが羽化しており、それを撮影した

ことを思い出した。その当時は水がとうとうと流れており、夜になるとコンクリート壁をよじ登り

水面に顔だけを出したシオカラトンボのヤゴが多数いた。

きっと今でもシオカラトンボのヤゴはいるだろう。

そこで湿った落ち葉や石ころが溜まった場所をめくってみた。

やはりヤゴはすぐに見つかった。

L11753613.jpg水溜りなどの石の下や泥のなかからは、ぞくぞくとヤゴは見つかる。

水溜りといってもシオカラトンボヤゴの体がかろうじて水没できる程度の水深であり、

他の場所の多くはヤゴの体が湿り気を保てる程度ギリギリに濡れているだけだ。

用水路でヤゴを拾っているうちに、上流からわずかだが水がゆっくりと流れてきた。

ここの用水路が完全に涸れた状態であるのはどのくらいの期間であろうか?

そういう期間があるにしても、年間を通して水流や湿り気が途切れ途切れながらも

維持される環境であるのだろう。

水がどっぷりと安定してあるような水路ではないが、一見過酷な環境も

ある生きもの達にとってはちゃんと暮らしていける世界であるようだ。

まさに水辺に生きるとは、そういうことなのか、などと思ったりした。

シオカラトンボなどはとくに、ときどき涸れてしまうような危なげな水環境こそが

彼らにとって快適な?住環境の一つと言えるようだ。


松山から戻る道中、

宮崎県、延岡市の北にある北川町の「道の駅」で面白いものを見つけた。

これも水辺のいきものに関わる。

L11853971.jpg萱で編んだものだろうか、高さは16センチほどの「ほたるかご」。

らせん状のかごは巻貝のようだ。底は空いたまま。

かごの下からホタルを入れれば、彼らは上へ上へと登っていくので逃げられない。

捕まえたホタルをこの「ほたるかご」に入れて、ホタルちょうちんにしてみるのも一興。

「ほたるかご」の値段は大きさによってまちまちだが、私が選んだのは262円で、

高いものでも500円程度だった。.






先日、カメムシの「越冬カラー」ということを書いた。

じゃあそれはどんな色よ?と言うわけで、今日はチャバネアオカメムシの

越冬カラーの登場。

チャバネアオカメムシ11.jpg上の写真は11月に撮影したチャバネアオカメムシ。エノキの葉っぱで日光浴している。

冬ごしを目前にして体色がくすんだ茶色味を帯びている。

やがてこのチャバネアオカメムシはどこか落ち葉の下にでも潜りこんで越冬したと思う。

春から夏にかけての活動期の姿は、こちら↓

IMG_93142.jpgチャバネアオカメムシはもっとも身近なカメムシで、夜の灯りにもよく飛んでくる。

あんまりたくさんやって来るので、多くの人から嫌われる虫でもあるだろう。

それはともかく、「越冬カラー」というのは鮮やかな色ではなく、地味な色であり、

木々の落ち葉が茶色になるのと見事に同調しているかのようだ。

カメムシたちが落ち葉の下に潜りこんで冬越しするのは、じつにうまくできた話だと思える。

「越冬カラー」への衣替えのタイミングは、日長が短くなる秋に入ってから始まるのだろうか?

では越冬から目覚めた春の頃はどうなるかと言えば、

その逆で、ちゃんと元の通りに鮮やかな体色が蘇ってくるのである。


地味な「越冬カラー」から元の鮮やかな体色に戻る、その劇的な変化を初めて私が見た

カメムシとは、じつはオオツノカメムシであった。

先日書いた池上本門寺で見つけたオオツノカメムシである。

落ち葉の下から発見できたオオツノカメムシは皆茶色の地味な姿で、

図鑑に載っている色彩とはまるで違うのに驚いた。

その越冬オオツノカメムシたちは春を迎えるといつのまにか綺麗な緑色の体に戻っていた。

地味な越冬カラーのオオツノカメムシの写真はポジフィルム写真しかないのでここで紹介でき

ないのが残念。で、夏の姿はこちら↓

ED5A7342.JPGカメムシの多くは死んでしまうと体色が褪せてしまう。標本にしても生きているときの色が

ほとんど残らない。

「越冬カラー」への色変わり、そして「越冬カラー」から元の体色への復元という

色素変化のメカニズムはとても不思議である。


今夜は家族と共に、落語と講談の公演を楽しんできた。

このところ仕事が忙しく休む暇もなかったが、この公演のチケットは前々から購入していた。

家族で一緒に出掛けるのは年にせいぜい2回か3回しかない貴重な時間だ。

さてさて、明日からしばらく、このブログ更新はお休みします。










オキナグサ

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近所のお庭にオキナグサを見に行った。なんといっても青い空が嬉しい。

期待通りいくつかの株が開花していた。

JX1182491.jpg庭のあちこちにオキナグサが生えており、気をつけないと小さな株などは踏んづけて

しまいそうだ。ここの庭の土壌がオキナグサにとって余程、適しているのだろうか。

庭の環境としては水はけが良く、しかも日当たりが良い、というのがよくわかる。


一昨年の4月、私はあるテレビ番組の仕事で阿蘇山の植物や風景のビデオ撮影をした。

そのとき南阿蘇の麓で初めてオキナグサを見たのだった。

そこでは腕章をつけた方が監視しており、監視の目がなければとどんどん盗掘されて

しまうとも聞いた。

オキナグサは各地で激減している。可憐な野草は皆こうして次々と姿を消し、

いつのまにか園芸界のスターになっていく。

南阿蘇の場所も広く知れ渡っており、私なども含めて訪れる人が多かった。

ともかくもオキナグサがかつては全国の畦道などに普通に生えていた時代が

ほんの少し時間を遡った頃まであった、ということが気になって仕方が無かった。

昔の人々はオキナグサをどのように見ていたのだろうか?

近所のお庭に腹ばいになって、恥ずかしそうに下を向いたオキナグサの花にカメラを

向けつつ、私はなんとも穏やかな気持ちになった。

JX1182452.jpg
 さて、先日うちの林でコマ打ちをしたホダ木。

乾燥するといけないので遮光シートを掛けておくことにした。

杉とか常緑の枝を掛けておけばいいのだが、生憎うちにはそれを供給できるだけの

常緑樹がない。仕方が無いのでホームセンターで黒い遮光シートを買い求めた。

シート掛けをしてから林の登り道を歩いていると、ミヤマセセリのメスが飛び回っていた。

W21114273.jpg他にも2匹のメスがいて、お互いになわばり争いをしているように見える。

林の中を低く忙しく飛び回りながら、ときどき地面に降りては日光浴をしていた。

スミレ類などの花にもときおり近づくが、吸蜜はしない。今は食欲よりももっと大事なことが

あるようだ。


庭のハクサイの花にはやけにハナアブ類の姿が多い。

不思議とミツバチ類はまったく来ていない。

アブが花から花へと舞う姿は、ミツバチの姿によく似ている。

とくに後ろ脚をダラリと伸ばしたシルエットはミツバチそっくりだ。

W21114554.jpg上の写真はミツバチの姿に似ているという説明にはふさわしくないアングルであり失敗。

これを真横から見ればミツバチに似ているのだが、今日はこれ以上撮影に費やす時間は

無い。

衣替え

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昨日から今日にかけて雨が断続的に降り、寒い。

2月の末には冬物の洋服をほとんど片付けておいたのだが、

ちょっと後悔している。

さて、昨日のこと。

庭の畑でアオクサカメムシを見かけた。

アオクサカメムシは落ち葉の間かそれとも梢の茂みの中か、あるいは人工物の隙間か

そういう雨風を凌げる狭い場所に潜んでいたに違いない。

JX088150.jpgもっとも、越冬しているアオクサカメムシをこれまで見つけたことはない。

カメムシの越冬スタイルは圧倒的に成虫態が多いのであるが、

落ち葉の下でよく見つかる。

広い林床で冬越しカメムシを探す場合には、大きな木の根元などに探索範囲を絞ってみると

効率が上がる。これはオオムラサキやゴマダラチョウの越冬幼虫探しと似ている。

カメムシも秋に好んで集まる樹があって、その樹から地面へ下り落ち葉の間に潜りこむ。

カメムシの足取りを想像しながら、冬の林をひたすら彷徨い歩く私。

寒風の吹きぬける雑木林のなかで、

何かに憑かれたかのようにフラフラと歩くおっさん。誰の目から見てもただただ怪しいだけだ。

もしかして首吊りでもするのではないか?などと勘ぐられるかもしれない。

しかし、おっさんの目は妙に輝いている。希望に満ちている。ちょっと疲れ気味だが、、、。

幸いというか雑木林で人に会うことはほとんど無い。誰かに見られていることもない。

私は人の気配には相当、敏感であり、もし誰かが視界の届く範囲にいるならば、

必ず私の方が先に察知する。雑木林や山の中でもっとも注意を払うべきなのは、

案外、人間であろうかと思う。


もう25年も昔のことだが、大きなアカメガシワの根元の落ち葉から、

オオツノカメムシの雌雄を合わせて7匹見つけ出したことがある。

これには驚いた。場所は東京都大田区、池上本門寺。

カメムシには秋の頃に遠距離移動するものが多いが、オオツノもそうであるらしい。

どこをどう見渡してもオオツノカメムシの育つケンポナシの樹がない上に

普段はまったく見かけないにも関わらず、突如都会の公園などに現れることがある。

発生場所から遠く離れ適当な越冬場所を見つけるとそこに潜りこむのだろう。

オオツノカメムシは人間でいう肩にあたる部分に真っ赤で立派な角がある。

そして体はつややかな緑色。その緑と赤のコントラストがたいへん美しいカメムシだ。

落ち葉の下から見つけ出したオオツノカメムシはくすんだ茶褐色をしており、

角の赤色もいくぶん色あせている。

カメムシの仲間は冬になると地味な色に衣替えするものが多い。

これを私は勝手に「越冬カラー」と呼んでいる。

今日紹介した写真のアオクサカメムシは、越冬カラーから活動期の綺麗な緑色へと

移行しつつあるのではないだろうか。




ギリギリの空間

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オキナグサの様子を見に行ってみた。

近所のある方の庭にはオキナグサがたくさん生えている。

犬の散歩をかねて庭を覗き込んでみれば、もう今にも咲きそうな蕾が垂れていた。

来週、晴れたら開花するだろうと思う。

オキナグサは昔、うちの集落あたりでも普通に生えていたそうだ。

帰り道、ふと落ちていた板切れを起こしてみれば、なんとアゲハの越冬蛹がついていた。

W2061367.jpg地面から1センチ程度は離れているが、よくもまあこんな狭苦しい所を選んだものだ。

板切れのすぐ近くにはミカンの木があった。


ハナアブだろうか、池の水面で死んでいた。

しかしよく見れば、水面下でマツモムシがしがみついている。

マツモムシはときおりオールのような後ろ脚で漕いでは移動する。

この動きを察知したか、アメンボがやって来た。

獲物の下にマツモムシが喰らいついているとは気付いていないようだ。

アメンボは脚で獲物を押さえると同時に口吻を突きたてた。

つまり下の写真はアメンボの捕食シーンではあるが、

獲物を先に捕らえたマツモムシが水面下にいるのである。

画面をよく見るとマツモムシの顔や脚が写っているのがわかる。

IMG_1141.jpg









しいたけ

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よく雨が降る。

今朝も陽射しがあったのはほんの一時で、午後3時頃から雨となった。

しかし、雨が降り出す直前にシイタケのコマ打ち作業を終えることができた。

L1055303.jpg去年の暮れにクヌギを切ってくれた方が、今日も手伝ってくれた。

電動ドリルで穴を開けてもらった材に、菌コマをトンカチで打ち込んでいく役目が私。

材の一番重いものでは40キロ以上はある。うんしょ!と腰を入れて材を持ち上げる作業も

慣れてきた。打ったコマの数は約250個。

L10553022.jpg「きのこ種菌」はドクターモリこと「森産業株式会社」の『にく丸 森290号』。

この菌は肉厚のシイタケに育つそうだ。

種菌(コマ)は一袋500個詰めで、1575円也。

シイタケ栽培をこうして自分の敷地で行うのは初めてのことだ。

今回のクヌギは通常のホダ木よりか径が大きいので、ほぼ3年間はシイタケの収穫が

楽しめるらしい。そうなるといいなあと思うが、湿度管理に気を配る必要があり、

今後も気を抜けない。


さて、宮崎に来てから読むようになった月刊誌の一つが『現代農業』(農文協)。

山仕事もそうだが、農業そのものにも興味が尽きない。

今月3月号には、「竹は1mの高さで切れば根まで枯れる!?」という、記事が載っていた。

さっそく読んでみると、なるほど!と思わせる内容である。

さっそく実践してみたい。

「農家の法律相談」コーナーでは、野焼きについての法律条文と解説が書かれてあって、

これも参考になった。野焼きについてはかなり微妙な解釈があり、そのやり方などにも

細心の注意が必要であることを再認識できた。


6月ころ出版予定の本の仕事があり、室内作業が続いている。

一日中、パソコンに向かってばかりでイカンなあ、と思っていたら、

シイタケのコマうち作業やらんかね、と声を掛けていただいた。まさに天の声だった。


ベニシジミ

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オオイヌノフグリの花は夕方から翌朝まで閉じてしまう。

その萎んだ花を撮影してみた。

オオイヌノフグリの青い花絨毯はこれまでにもよく撮影してきたが、

萎んだ花にカメラを向けたことがなかったことに気付いた。

閉じた花を撮影してから2時間後。

花は一斉に開いていた。

花の一個一個は、良く見れば個性がある。

オオイヌノフグリ.jpgさて、庭のスイバをふと見下ろしてみたら、ベニシジミの幼虫がいた。

JX0379753.jpgベニシジミ幼虫の体色にも様々なタイプがあるが、写真のような綺麗なピンクのふちどりが

ある幼虫は久々に見た。スイバの葉っぱを縁からモリモリ食べている(画面右が頭)。

他のスイバを見て回ると食痕があった。少し古い食痕だ。

そのスイバの横にあった石を起こしてみれば落ち葉がぶら下がっていた。

JX0380472.jpgどうも怪しいのでこの落ち葉をめくってみれば、、、、、、、、、、、、、、、、、


JX0380491.jpgひょうたん型の蛹が包まれてあった。もちろんベニシジミの蛹である。

野外で蛹を見つけたのはこれで3回目だと思う。過去の2回は偶然に近いものだったが、

今回は食痕から検討をつけたので探索成功例と言えるだろう。


夕方の犬の散歩ついでに、ツクシを摘んでみた。

入れ物を用意していなかったので片手に持てるだけ目一杯摘んだ。

摘むほどに欲が出てくる。

ソンナモノノドコガイイノヨ?とばかり犬のチョロはツクシの臭いを何度も嗅いでいた。

春にはこのツクシの味わいをいただくのが楽しみの一つだ。

素朴だからこそ飽きないのかもしれないが、

春の空気を感じながら摘んでいるときの嬉しさ、

そしてうちに戻ってはかまをていねいに取るときの落ち着いた気分。

夕餉のささやかな一品にたどりつくまでの一時が、何ものにも変えがたい貴重な時間だ。



死にまね

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昨日のこと。

郵便局に用事があって玄関を出ようとしたら、

交尾しているキハラゴマダラヒトリが目に入った。

いや見つけた時点では何ヒトリかわからなかったので、ちょっとペアを突いてみた。

腹部の紋様を見たかったのだが、悪いことをしてしまった。

交尾が解けてしまったのだ。

JX0279071.jpg画面左がオスで、右がメス。

オスの翅にはゴマダラ模様があるのがわかるが、腹部の紋様が気に掛かる。

そこで、さらに優しく、藁屑の先でツンツンと突いてみた。

JX0279042.jpgオス、メスともに脚を縮め、翅を上げる姿勢をとった。これは威嚇行動とも考えられているが、

腹部の黄色い模様からして、本種がキハラゴマダラヒトリと確認できた。

もちろん交尾の様子も撮影はしておいた。いきなり突いたりはしない。

交尾時の腹側から撮影した写真ではオスとメスの違いの特徴がよくわかる。

ともかく、このキハラゴマダラヒトリの雌雄はたいへん綺麗な体をしている。

羽化して間もないのだろう。

わが家の門灯は午後9時半までには消してしまうので、彼らが飛来したのは日暮れてから

午後9時頃までの間と推測することができる。

灯りに惹かれてやって来た彼らがタイミング良く出会いを果たしたのだろう。

撮影を終えて立ち上がったら、オオイヌノフグリの花でルリシジミが吸蜜をしていた。

去年の3月1日、ほぼ同じ場所でルリシジミを撮影したことを思い出した。




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先日、紹介したアカスジアオリンガ。

パッと見た目にはクヌギやコナラのほころびかけた若芽のようだ。

フサフサした筆を思わせる細かい毛並びに隠れて、顔の様子はまったくわからない。

そこでガラス板に止まらせて顔を撮影してみた。

JX027884.jpg細い枝にでも止まってくれれば顔を見ることができるが、野外で出会ったときにはそういう

状態のことは滅多に無い。やはり、彼らは顔や頭部全体をできるだけ隠したい

のではないだろうか。だから静止する場所は細い枝よりも面積のある葉っぱや幹を

選ぶことが多いのではないか、と想像する。

本棚から森上信夫さんの『虫のくる宿』(アリス館)をとって開いてみた

22ページにはガラス窓に止まった様々な虫たちの写真がにぎやかに並んでいる。

「万華鏡!まどガラスは、着かざった虫たちの万華鏡だ!」というコピーが添えてある。

ガラス窓のこちら側には部屋の灯りがある。

虫たちはその灯りに向かって進みたいのだが、ガラス板に阻まれてしまったのだ。

万華鏡の写真を眺めていると虫たちの視線を感じると同時に、

バラエティーに富んだこの姿の数々はいったい何なんだい!とつぶやきたくなる。

4ページ分の見開き写真は、虫が多くの人を虜にする理由を端的に語っているように思う。

万華鏡写真をもっと大きくして壁に飾ってみたい気もした。