2010年5月アーカイブ


農業用水路を掬う

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本日、愛媛県松山市から宮崎に戻った。

松山の実家では、すぐ脇にある農業用水路に網を入れてみた。

P5290019.jpg三面護岸の小さな用水路には、それでも生き物の姿がけっこう見られる。

生物相としては貧弱であったとしても、人工的な環境にしがみつくように生きるものたちの

まるで隙間を埋めるような生き様が、妙に私の気を惹く。

私が網を入れた目的は、シオカラトンボのヤゴであり、30メートルくらいの流域で次々と

見つかった。ヤゴのステージはさまざま。オオシオカラは混じっていない。

XA284993.jpg用水路の水量は変動が激しい。ときには水がまったく涸れてしまうことすらある。

シオカラトンボのヤゴは、水路の縁にたまった泥や、そこに生えた藻、植物の根っこなどに

潜んでいる。普段は泥の中に埋もれており、水面から彼らの姿を見ることはできない。

さて、今回、ヤゴ掬いをしていてわずかな数だが、二枚貝も入った。

XA284994.jpgマシジミ?だろうか。白いのは稚貝だろうか。これにはちょっとびっくりした。









昨日、ゲンジボタル発生地の下見をしていると、クヌギの梢にぶら下がっていた。

PXB70506.jpgこのヤママユの繭殻は昨年の夏に羽化したもの。繭糸の色はすっかり褪せている。

繭の大きさからしてメスのものだろう。

うちのヤママユ幼虫たちはまだ葉っぱを食べ続けている。

ショウリョウバッタのことを、キチキチバッタとも呼ぶのは、飛翔するときに翅が擦れて

「キチキチ、、、、、、、」と音を立てるからだが、これはオスのみで、

メスは軽いジャンプしかできないので、発音はしない。

XA274944.jpg写真はショウリョウバッタの1令幼虫。キチキチと音を立てるようになるのは成虫。

ところが「キチキチバッタ」という和名は、もともとショウリョウバッタモドキにつけられていた、

ということが『日本昆虫記』(講談社、1967)のなかで書かれてあった。

ええ!そうなんだ。ショウリョウバッタモドキという不名誉な名称はあとで決まったことらしい。

ショウリョウバッタモドキは飛んでも、音がしない。音がしないのでは、

キチキチというのは非常に不適切、とされモドキに改名されたのである。

つけられた和名が、虫の形態、習性、分類学上の位置付けなどにふさわしくないとされ、

変更されることは少なくない。和名変更では不評を買うこともあり、その典型が

ウスバシロチョウをウスバアゲハにしようと提唱されたケースだが、結局ウスバアゲハは

定着しなかった。山手線をE電にしようとした改悪が、あっけなく頓挫したようなものだ。

ところで、アリスアブという和名が、アリノスアブに改変されて、これが定着しつつある。

私は以前、自著「珍虫の愛虫記」(1999)でも書いたけれど、アリノスアブという和名には

馴染めない。アリスアブという和名を改変する根拠は誤解をうけないようにという、

まさに説明的な名称にこだわるゆえなのか。しかし改変する理由が希薄に感じる。

、あえて馴染まれた和名を改変する必要があるのだろうか?と不思議でならない。

アリノスアブという名称に違和感をおぼえる人は私だけではないようだ。

もっともショウリョウバッタのように、アリスアブはメジャーな?虫ではない。

和名が変わろうが、どうしようが、あまり騒がれることもないように見受ける。



さて、本日から四国へ移動。

しばらく、この「ひむか昆虫記」は更新をお休みします。


(写真上:オリンパス EPL-1 M.DIGITAL 9-18ミリズーム )

(写真下:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ  FLー36R使用 ) 

きちきちバッタ

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今年の春は冷え込んだ日も多く、例年よりか出遅れるものが多かった。

そのなかで気になっていたのが、ショウリョウバッタ。

「きちきちバッタ」とも呼ばれるが、ショウリョウバッタのふ化がこれまでまったく見られず、

これはおかしい、と思っていたところ、今朝になって多数のふ化幼虫たちが姿を現した。

XA254623.jpgクローバーの草むらにしゃがみ込めば、パラパラと幼虫たちが跳ねる。けっこうな数だ。

例年ならこういう光景は5月はじめ、いや4月末には見られる。

4月の天候不順が影響しているのだろうが、もう一つ考えられる原因として、

草刈り作業のタイミングも関係しているのでは?と、ふと思った。

今年は冬から初春にかけて仕事が忙しく草刈り作業が例年よりか回数が少ない。

いつもなら裸地に近い芝状の地面をできるだけ確保するよう小まめに草刈りをしていたが、

それが今年はできなかった。そんなことも微妙に影響しているのでは?

きちきちバッタのふ化幼虫はさすがに大きい。


l今日は、霧島山に近い地点で日没となった。

PXB60388.jpg(写真上:オリンパス EPL-1 LEICA45ミリマクロ )

(写真下:オリンパス EPL-1 LUMIX G VARIO 45-200ミリズーム )


ひまわり

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室内撮影に忙しく、午前中のみ林を歩いてみた。

ところが夕方近くになって、ストロボ用ディフュ-ザーが見当たらず、ふたたび林に下りて

みた。

午前中に歩いたルートを辿っているうち足元の落ち葉にオオスズメバチの死骸を見つけた。

よく見れば、冬虫夏草

PXB50136.jpgハチタケのようにも見えるが、なんか弱々しい。これからもっと伸びる?

にしては、枯れた感じがする。これぞハチタケ!というのが見てみたい。

結局、探していたディフュ-ザーはベストのポケットの奥に入っていた。

よく探せよ!と自分を叱咤したくなるが、こういうボケ現象は少なくない。

そう言えば、東京で待ち合わせの時刻を2回も勘違いしていた。危ないかもしれない。

さて、犬の散歩中、近所の方が植えたヒマワリを見せてもらった。

PXB50252.jpgいやこれは凄い数!画面の手前にもほぼ同じ面積、植えてある。

その前はサツマイモを栽培していた畑だそうだ。いっぱい植えられたヒマワリがほとんど

同じ丈に揃って成長しているのも、凄い!

これが全部、1メートル以上の高さになり花をつける。

種蒔きのときから定点撮影していれば、おもしろい映像ができたかもしれない。

(写真上:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ )

(写真下:オリンパス EPL-1 M.DIGITAL 9-18ミリズーム )




コガネムシ

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ウスタビガ幼虫の一匹が繭を紡いでいた。

XA244535.jpgコナラの葉の葉柄を繭の固定場所にうまく利用している。

作業は昨夜あたりから始まったのだろう、幼虫の姿がまだ透けて見える。

ときおり繭上部から幼虫が頭を出してせわしく糸を吐く。

繭を支える柄は、いったい何本の糸が束ねてあるだろうか?かなりガッチリしている。

今朝は風がやたらと強く、風の止む瞬間を待っての撮影。

さて、今月の半ば頃から気になっていたことだが、今年はコガネムシが妙に多い。

妙に、というのも理由がある。

XA244469.jpg宮崎に来て初年度に印象的だったことの一つは、コガネムシがやたらと多いことだったが、

しかし2008年、2009年と、あれだけ数の多かったコガネムシが探してようやく見つかる

程度しか見られず、いったいどうなっているのか?と、ふしぎに感じていた。

コガネムシの発生消長には大きな年変動があるようだが、その原因はわからない。

嬉しいことに、うちの雑木林の中にもコガネムシは数多く見られる。

林縁から草原に棲むコガネムシが林内にも入り込んでいるのは、

徹底したササ刈りと、昨年クヌギの間引き伐採などをして、林内がかなり明るく

風通しもよくなっているせいだろう。

(写真:オリンパス EPL-1 パナソニック45ミリマクロ )

 
 マイクロフォーサーズのレンズが5本揃ったので、EPL-1ブラックを1台追加した。

水中撮影専用と考えていたEPL-1だが、使ううちに通常撮影でもじゅぶん仕事になると

思えた。なんと言っても価格が安い。いづれ後継機が出るにしてもあまり痛手にはならない。

通常の撮影ならEPL-1の小型軽量というメリットはたいへん大きい。

ただし、長時間露光、高感度撮影という面では前にも書いたがオリンパスカメラの場合

ノイズが強く、その場合はキャノンのEOSを使って凌いでいる。




野外飼育しているウスタビガ、ヤママユともほとんどが終令となった。

XA234300.jpgずいぶんと成熟した体つきだが、まだ繭を紡ぐ幼虫はいない。

留守にしていたのは4日間だけだが、林や敷地内の草もかなり伸びていた。

少し林のなかを歩いてみれば、キマワリ、ニセシラホシカミキリ、モノサシトンボのペア、

ウマノオバチ、サトキマダラヒカゲ、ツチイナゴ、サトクダマキモドキ幼虫、タケトゲハムシ、

ヒゲコメツキ、ヨツモンカメノコテントウ、ホオズキカメムシ、などなど。

午後4時過ぎから1時間半ほど草刈り作業をした。草刈り機の刃がボロボロにこぼれていた

ので、新しいものと取り替えた。予定していた面積の3分の一程度しか刈れなかった。

けっこうくたびれる。


さて、昨年の5月27日に群馬県水上で撮影し、キンアリスアブとした写真

じつはコマチアリスアブ、ということが判明した。

両種はきわめてよく似ているが、腹部背面に黒い毛の斑紋があるのがコマチアリスアブで、

しかも混棲はしていないそうだ。

過去に私が町田市や川崎市で観察、撮影したものはキンアリスアブで間違いないようだ。

ご教示いただいた方にお礼を申し上げます。






加藤正世の本

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18日から東京に滞在。宮崎に戻ったのは昨日、22日の午後だった。

空港から高速道を走り、都城ICを降りたら、料金所の外に消毒マットが敷かれていた。


さて、今年は例年よりか多数の方とお会いすることができた。

普段は孤独な作業をコツコツやっているが、

こうしていろいろな方とお会いして会話をする時間はきわめて貴重である。

東京では出版社に出向くこともあれば、街中で待ち合わせをすることもある。

待ち合わせ場所は新宿や池袋が多い。そこで最近は新宿のホテルをよく利用する。

新宿には新宿御苑があるので、空き時間を使って広大な公園を散策できる。

打ち合わせの仕事はほとんどが午後になるから、午前中は移動かあるいは暇になる。

しかし、今回は天気が崩れて午前中の時間はホテルで原稿を見直したり、加筆したり

する作業をしていた。映画でも観ようか、などとも思ったが贅沢すぎるので止めた。


で、ある出版社に出向いたとき、かなりいや無茶苦茶!珍しい本に出会った。

加藤正世の「蝉の生物学」と「学生の昆虫図説」、の2冊である。

トリミング.jpg「蝉の生物学」は、1956年に出版。出版社は岩崎書店。

この本はよく知られている名著だが、もう一冊の「学生の昆虫図説」を私は知らなくて、

その表紙の写真にも驚いた。

P5200019トリミング.jpg「学生の昆虫図説」は副題に「私たちの標本室」とあって、いかにも博物学の栄えた時代を

物語っている。標本箱の写真は、表紙にしては雑であるが、これにはわけがある。

標本箱の右下に小さく説明書きがあって、、、、、、

「 石神井の直翅目  石神井小学校5年生  加藤園子

  昭和26年  文部省動植物標本コンクール特選作品 」 

と、書かれてある。

雑だとは書いたが、じつは小学校5年生の女の子が作った標本箱である。

しかも直翅目に絞った標本箱というのは、この年齢の子供としては、よく出来ている。

いや、出来すぎだと思う。

加藤園子さんは、加藤正世のお嬢さんであったのだろうか?

「学生の昆虫図説」の表紙をめくると大扉には、、、、

P5200020トリミング.jpg         おお!と、思わず溜息の出るイラストがあった!

  この当時として、出窓などはかなりシャレたなお家という感じがする。

  絵のサインを見ると、「Kaori Kato」 とある。

  この絵MO加藤正世のお嬢さんか、あるいは奥さんが描いたものであろうか?

打ち合わせの仕事もあって、両書ともじっくりと読むことができなかったのは残念だった。


 加藤正世が拵えた長野県茅野市にある私設博物館を以前訪れたことがある。

今は封印されているこの小さな博物館にはあらゆる収集物が詰め込まれていて、

博物学時代の栄華を見る思いがした。海から山に至るまで、加藤の研究欲、好奇心、

洞察力の偉大さを感じずにはいられない、膨大なコレクションの宝庫だった。

「学生の昆虫図説」の大扉、彩色画を見たとき、

私は自分が中学生のころチョウの世界にのめりこんだ、その瞬間のときを再び感じた。

ヘルマン・ヘッセの「少年の日の想い出」という、短編小説を読んだ、その日のことを。















猫顔から、だるま

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猫顔のヒメジャノメ幼虫が徘徊していたのは、一昨日のこと。

XA1436566.jpg緑色から象牙色になった体はおデブで、なんとも動きが重たい。

そしたら、夕方ころになって前蛹になった姿を見つけた。 

XA1539671.jpg猫顔のせいか、前蛹の姿勢も丸いね。猫背とも言うけど。

今日の午前中には、腹筋運動?を始めた。  おや、脱皮が近いね。

XA1639992.jpg残念ながらどうしても外出する用事があって、蛹化脱皮の撮影は断念。

今日は撮影どころではないよ。

外から戻ってみれば思ったとおり、透き通った蛹になっていた。

XA1640033.jpg猫顔は捨てたんだね。今はもう、だるま。さかさま、だけど。

XA1640715.jpgこうなると、羽化のときくらいは、立会いたいね。他の仕事で忙しいけど、なんとか隙間で

撮影しておきたい。ジャノメはいいなあ。蛇の目は。

(写真: オリンパス EPL-1 パナソニック45ミリマクロ )

明日から、しばらく東京に滞在。

空き時間に武蔵野のフィールドも歩いてみようかと思っていたが、天気は崩れそうだ。

カメラ機材は要らないことにした。

宮崎では口蹄疫のため、何かとたいへんなことになっている。

空港に向かうにも、いつもより時間の余裕をみたほうが良さそうだ。


野焼き

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XA1539112.jpg
近所の畑で野焼き。

滑り台があるのは、地区公民館の広場。

机上の仕事がうまく進まないのも当然で、撮影作業のほうがどうしても優先となる。

明後日に上京を控え、撮影スケジュールの調整が厳しくなってきた。

(写真: オリンパス EPL-1  パナソニック45ミリマクロ )

明日は近所にある田上地区公民館で、今年最初の一斉清掃がある。

私の班は来月に予定されている。

さて、公民館の生垣にオガタマノキが植えられていることは前にも書いたことがあるが、

オガタマノキは町内の民家の庭や生垣でもポツポツ見られる。

とくに生垣オガタマノキは花の時期には良い香りが漂い、なんとも素晴らしい!

うちでもオガタマノキで生垣を作りたいと思っている。

こういうのは、やはり園芸の職人さんに委ねるのがいいのだろう。

ただ、町内でオガタマノキがまとまって植えられている場所は無く、

オガタマノキを食樹とするミカドアゲハの姿を見る機会はきわめて少ない。

少ないけれど、うちの庭にも毎年一回は姿を現す。

だから公民館のオガタマノキは犬の散歩のときには必ず覗いてきた。

きっとここに卵を産むこともあるはずだ。

宮崎に来て4回目の春を迎え、そして今日。

ついにようやく、ミカドアゲハの幼虫をそこに見つけた。

最初に気付いたのは、若葉に残された小さな食痕だった。

XA143736.jpgじつは過去3年間、公民館のオガタマノキの葉っぱには何ら虫喰い痕が見つかったことが

ない。つまり、ミカドアゲハ幼虫どころか、他の虫すら食べている形跡が無かったのである。

ところが今日、初めての食痕を目にして、すぐにピン!ときた。

先を急ぎたがる犬を制して、オガタマノキに近づいてみた。

やはり、いた!  ミカドアゲハの初令幼虫だ。

XA143741.jpg1令幼虫だろう。脱皮休眠に入っているようだ。脱皮は明日あたりと思われる。

近くの葉っぱでも2匹目が見つかった。

2匹とも葉っぱ表の基部近くで葉先に頭を向けて止まっていた。

ミカドアゲハ初令幼虫にはこういう場所に落ち着く習性があるようだ。

最初に書いたように、明日は一斉清掃がある。

ミカドアゲハ幼虫の止まっている梢などは、間違いなく剪定されるはずで、

今日、私が捕獲しなかったら死んでしまう運命だっただろう。

まさに危機一髪だった。

もっとも、ミカドアゲハ幼虫が命拾いできて良かった、などと言うつもりはない。

そうではなく、ここでミカドアゲハが繁殖する事実を確認できたことが肝心なことで、

そういった観察の隙間時間を失うとしたら、それは残念なことだと思う。

目に付きやすい場所で幼虫が見つかったことがラッキーであり、

そういうチャンスはなかなか得がたいから、この幸運を喜びたい。



ウスタビガ幼虫も終令となった、繭作りは1週間先あたりだろうか。

XA133517.jpgウスタビガ幼虫の体色には青味がかった薄黄色タイプと、山吹色のごとく黄色の強いタイプ

の二つの体色型がある。濃い黄色タイプの幼虫は比較的少ないように感じる。

虫の姿もかなり増えてきたが、フィールド歩きの時間がほとんどない。

しかし、クリ林の樹液が気になって、そこだけ見に行ってみた。

ウマノオバチはどうなっただろうかと思っていたら、

その樹液に来ていた。これにはびっくりした。

XA143702.jpg写真では警戒して顔を上げているが、この直前まで口器を樹液の滲み出ている切り口に

押し当てていた。どう見ても、樹液を吸っていたのではないだろうか。

しかも口吻を深く挿して食事中のサトキマダラヒカゲと向かい合わせという構図が面白い。

サトキマダラヒカゲはかなり神経質だが、このときは樹液に夢中になっていたのか、

顔の正面ギリギリまでレンズを寄せても平気の様子だった。

XA143714.jpg(写真: オリンパス ペンライトEPL-1 パナソニック45ミリマクロ  )




うんち?

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草むらに這いつくばる。

50も過ぎたおっさんが、ごろんと腹ばいになっている様は普通の光景とは言えない。

ましてや、それが労働している姿などとは誰しも思えないだろう。

目線を虫のそれに合わせるには、しばしばこういう姿勢を長時間とる。

まあ、これがうちの敷地内だから問題はない。人目を気に掛けることなく仕事ができるのは

たいへん助かる。

さて、腹ばいになった私の目の前に、ハナアブの一種が舞い降りた。

見るともなく見ていると (このとき別の虫を追いかけていた。だからよそ見なんだが。)、

アブが産卵管を伸ばし始めた。

XA1234653.jpgどう見ても、そこが産卵場所には思えない。何かあるな!?

何かあるなと思った瞬間、カメラを向けていた。

XA1234662.jpgうんちだったのか。これを排泄行動とも言うけれど。

XA1234671.jpgうんちは、ねり辛子みたいだ。   クマバチのうんちも、これによく似た色だったが、

花蜜や花粉を食べていると、こういう、うんちが出るのだろう。

指先で掬い取って舐めてみたい気もしたが、なにせ小さ過ぎる。味なんてするだろうか?


先日、紹介したサツマシジミ幼虫が蛹になった。

XA123474.jpgサンゴジュの花蕾で飼育していると、蛹化場所は必ずこうして花茎部に落ち着く。


(写真: オリンパス EPL-1  パナソニック45ミリマクロレンズ )






ただいま営巣中

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庭で仕事をしていたら、頭上からジャージャーと懐かしいさえずりがする。

見上げればアンテナ塔のてっぺんにヤマガラがいた。

コケだろうか大きな巣材をくわえて、こちらをしきりと警戒している。

IMG_14752.jpg冬の餌台には一度も来なくて残念だったが、うちの庭で巣作りしてくれるとは嬉しい。

同じテレビアンテナ塔では、一昨年にスズメが営巣していた。

そのころは4つがいのスズメ夫婦が、巣場所争奪戦でにぎやかだった。

あまりにも激しい争いに見かねて、大きな巣箱を半分に仕切って2世帯用に改修もした。

今年は2つがいのスズメが巣箱でおとなしく営巣しているが、静かになったわが家に

ヤマガラが目ざとくマイホームを見つけたわけだ。

IMG_14623.jpgしかしいかんせん、アンテナ塔のてっぺんは高すぎて観察も容易ではない。

来年は低い場所に巣箱を設置してみようか、などと考えてみるが、

ヘビも多いので、とくにアオダイショウ対策は厄介だろう。

( 写真: キャノンEOSキッスデジタルN EF400ミリ )




ササグモ

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撮影対象をしつこいくらいに何度も何度も観察していると、時間が経つのも速い。

あ、もう正午だと思えば、急ぎの仕事の連絡が入った。

しかし午後から予定していた風景撮影はどうしてもしておきたいので、

1時間だけ出掛けた。場所は三股町の山村。

L1126314.jpg田植え作業はほとんど終わっていたが、まだチャンスはあるかもしれない。

山から引いた水はとても清らかだ。

XA113318.jpg田んぼの傍では、雑木林の小道が気持ちよい。

たまにはこういう場所で一日ボーっと、していたいものだ。

L1126322.jpg
ササグモの写真は庭で撮影。

XA113119.jpg這いつくばって近寄ると、クルリと葉うらに逃げて影絵になる。

何回もそれを繰り返して、だましだまし撮影してみた。










落日

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L1116306.jpg
  正午過ぎころから陽射しが出てきた。午後から夏日となった。

病院は空いているかと思えばかなり混んでいて、1時間以上の待ち時間に原稿の推敲が

できた。ときどき待合室の大きな液晶テレビに目をやる。

このところの仕事は、大袈裟に言えば24時間体制となっている。

例えば何がいつ脱皮するかもしれず、それも一回撮影できて終わりとは限らない。

徹夜するわけではないが、夜中も2,3回は起きて様子を見たり、常に気が張っている。

おおよそ、どの虫が何をしようとしているのかは解るが、それが何時何分なのかという

細かい時間の見極めが難しいものが多い。個体差もある。

偶然で撮れるということも稀にあるが、ときどきそういう偶然に期待したくなることもある。


久しぶりに霧島山の山容がくっきりと眺望できた、

( 写真:オリンパス EP-1 M 14-42ズームレンズ )




隠蔽擬態

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XA082412.jpg   写真は、サンゴジュの花蕾。 サンゴジュは庭や公園などの生垣でよく見かける。

毎年この時期になると、サツマシジミの幼虫探しは習慣となってしまった。

ともかく見るたびに「おお!!」と唸ってしまう。

本種の幼虫は「昆虫ある記」(2003年~2008年)でも、すでに2回登場したと思う。


今年は、6月と7月に5冊の本が出る予定。

4冊は児童書で、1冊は一般向け。児童書のなかでも1冊は読み物となっている。

文章主体の本は、1999年に出した『珍虫の愛虫記』以来のことで久しぶり。

( 写真: オリンパス ペンライトEPL-1  パナソニック45ミリマクロ 内臓ストロボ使用)

水中撮影に使う目的でペンライトを購入したが、手慣らししているうちに、これがけっこう

主力カメラみたいになっている。

これはちと方向性が違ってきたかなと感じているが、ともかく水中ハウジングは発注した。

EPL-2 なる新機種を待ってからにしたいが、2台目は必要だろうと思い始めた。








今日もクリ林を覗いてみた。

どんより曇っているせいか、ウマノオバチの数は2匹と少ない。

しかし、昨日とまったく同じ場所で産卵していたのには驚いた。

カミキリ幼虫とコウモリガ幼虫の寄生によりクリの幹のあちこちから樹液が滲み出ている。

すでに様々な昆虫が集まっているが、なかでもスミナガシの姿がひときわ目を惹く。

JX0624672.jpg写真の樹液は枝を切断した跡に出ている。

この場所がもっとも賑わっており、オオスズメバチも頻繁に出入りしていた。

スミナガシの赤い口吻を見ていると、いよいよ春も終わりに近づいてきたなあ、と感じる。

JX0624721.jpgクリ林ではヨコヅナサシガメの姿もちらほら見かける。樹液に集まる虫をねらっているの

だろう。

今朝はミノムシの一種を吸血していた。

蓑の外側から中の幼虫を突き刺している。

XA052196.jpgヨコヅナサシガメは、おそらく嗅覚などを使って獲物を探し当てるのではないだろうか。

樹皮の裏側などに口吻を突きいれて獲物を引きずり出すのを何度か見ている。

一方、軽やかな体つきのヨコヅナサシガメだ。

飛翔しているうちにクモの糸に絡んだのであろう。こうなると自重で逃げ切る術はない。

ヒメグモの一種に吸血されていた。

XA052285.jpg
(写真上段2枚:オリンパス E-620 50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

(写真下段2枚:オリンパス ペンライトEPL-1 パナソニック45ミリマクロ )





ヤママユの幼虫がいるコナラを覗いてみた。

そろそろ終令幼虫への脱皮休眠に入っている頃だ。

その様子を確認しているとき、ふと目の前にウマノオバチがいた。

XA0419372.jpg初めて見るウマノオバチに、おそらく誰もが興奮するだろうと思う。

なんと長い産卵管だろうか。が、思っていたより短いと感じた。

XA0421381.jpgウマノオバチはすぐに飛び去ってしまったが、おそらくクリの樹でまた出会えるだろうと

思えた。それで昼食後、ヤママユ幼虫のいるコナラのすぐ隣にあるクリ林を訪れてみた。

案の定、ウマノオバチはカミキリムシが糞を出すために穿った穴のあたりで、次々と

見つかった。一本の樹に3匹いたりして、さすがに私も興奮した。

観察できた個体数は5匹以上はいたはずだ。

そしてもっとも肝心な産卵行動も一個体で観察、撮影できた。なるほどそうか!

ウマノオバチを目の当たりにして、ちょっとやってみたい衝動に駆られた。

そう、あの長~い産卵管を触ってみたい!

実験のつもりで長い産卵管を摘んでみると、面白い行動が見られた。

まあ、ウマノオバチにとっては迷惑な話だ。それがわかって実験はそこそこで止めておいた。

気になるのは、カミキリムシの種類だ。

ウマノオバチはシロスジカミキリ幼虫に産卵寄生するとされているが、

うちの隣にあるクリでは、シロスジカミキリは発生していない。と、思っている。

カミキリムシの正体は早急に調べておかねば。

(写真:オリンパス ペンライトEPL-1 パナソニック45ミリマクロ )













昨年、クヌギの木を数本切り倒した。

その切り株からひこばえが伸びて、今は若葉を茂らせている。

ひこばえでは、ヒメクロオトシブミが盛んにゆりかご作りに励んでいる。

人が活動することで増える虫もいる。ヒメクロオトシブミなどはその典型だろう。

メスをめぐって、オス同士が激しく争う場面もある。

XA031766トリミング.jpg写真では交尾中のオスとそこへ飛来したオスが派手に喧嘩を始めたのだが、

交尾中のオスがどう見ても不利だ。

しかし両者は絡み合って団子になり、そのまま地上へと落ちてしまった。

メスは何事もなかったようにゆりかご作りを続行。

さて、出来上がったゆりかごは、ほぼ9割は切り落とされている。

切り落とす瞬間をこれまでに何度も撮影しようと試みたが、うまくいかなかった。

そこで、高速連続撮影可能なカシオのEX-FH25を使って撮影してみた。

カメラはゴールデンウィーク最中にも関わらず、発注して翌日には届いたので、びっくり。

で、さっそく触ってみて何となく使えそうだったのですぐに撮影開始。

電源がアルカリ単三電池4本、とういのも有り難い。接写もほどほどにできる。

ヒメクロオトシブミがゆりかごを巻き終えてから、いよいよ切り落とし作業に入ると、

かなり緊張する。

カメラは三脚に固定し、シャッターボタンに指を添えたまま、ひたすらゆりかごの揺れ具合を

じっと観察する。その微妙な揺れを読んで半押し状態からいつ本押しをするか決断する。

本押しのタイミングはかなり微妙だ。押したい気持ちを抑え、ギリギリ、あ!切れた!!

という瞬間にグイッと本押しする。慎重になりすぎて、早めに押してしまうとその時点から

高速連写撮影になり、そのあとしばらくはメモリーカードへの書き込み時間が必要で

撮影できない。あ!という瞬間、そこが肝心。

これまで通常のカメラだと、あ!という瞬間にシャターを押しても遅すぎた。

カメラの作動タイムラグが大きすぎるからだ。

ところが、EX-FH25ではパスト連続撮影という機能があって、

シャッターを本押しした以前の設定コマ数分、遡って撮影できる。

半押しした状態ですでに撮影記録が始まっているから、こういうことができる。

CIMG0301トリミング3.jpg
CIMG0302トリミング2.jpg
CIMG0303トリミング1.jpg写真ではシャッター速度が500分の1秒。それでも落下するゆりかごはブレている。

ISO感度、200に設定してみたが、

EX-FH25はCMOS裏面照射型で高感度にも強いらしいので、ISO400以上に設定して

シャッター速度を上げればよかったのかもしれない。

デジタルカメラもいろいろな機種が登場し、多様化してきた。

フィルムカメラのフィルムが、デジタル受像素子に置き換わっただけのカメラから、ようやく

デジタルらしい多機能性カメラへと展開してきた。

今は撮影目的に合わせて、カメラを選ぶ時代となった。




冬の間に見つけることができなかったのは、クヌギカメムシのゼリー状卵塊だ。

意外にも都城市の中心部の公園で多数の卵塊を発見して、

卵塊が集中するのはクヌギの樹齢に関係しているのでは、と推測してみた。

しかし、うちの林のクヌギも樹齢は40年を超えている。

少ないながらもクヌギカメムシはいるはずなのだ。

そして、今日。クヌギのひこばえで、クヌギカメムシの終令幼虫を見つけた。

これはちょっと嬉しかった。

XA0216121.jpg成虫は緑色一色で地味であるが、幼虫には赤い紋様がある。

XA0216082.jpgもうじき羽化すると思われるほど、成熟した体つきである。

田んぼでは田植えの前の草刈り作業が盛んだが、冬の間に育った牧草の刈り込み作業も

あちこちで行われている。

XA0216591.jpg牧草は刈った後、天日で乾燥し、細長く土手状に整列させる。

刈り草の土手をまたぐように機械がそれを拾い集める。

ある程度集まると、ロールケーキにして、吐き出す。

XA0216532.jpg牧草ひとつにしても、さまざまな農機具が使われている。

うちの東にある池の水面に点々と白い浮遊物が目立つ。なんだろう?

XA0216344.jpg浮遊物の正体は、ハゼノキの落花だ。

うちの林には、ただ一本だけヒョロヒョロのエゴノキが生えているが、

すでに花盛りも過ぎ、地面に白い絨毯のごとく花を落としている。

池一面がハゼノキの落花に覆われているのを眺めていると、

突然、バシャン!!と派手に魚が跳ねた。

でっかいことは間違いない。誰かがここの池に魚を放つからだ。








飼育の仕事

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繭を紡ぐ蛾のなかでも、とくにヤママユガ科に含まれる種類は「野蚕」と呼ばれる。

野蚕の代表種とも言えるヤママユ、ウスタビガの飼育は例年行っている。

木洩れ日に透けるヤママユ幼虫の体はなんともいえぬ色合い。

葉っぱを胸脚で押さえて食べる仕草、その噛み音、、、、。

XA301481.jpg緑色に染められた絹糸の繭は、惚れ惚れとする出来映え。宝物にしたい!

魅力溢れるイモムシたちの姿を前にして、時間よ止まれ!と言いたくなる。

それは叶わないので、写真に撮る。撮ることがいつのまにか、仕事になっていた。

さて、野蚕の撮影にあたっては飼育が必要である。

自然林のなかで野蚕の姿を探し出すことは容易ではない。

稀に遭遇することはあっても、そのわずかな出会いを積み重ねているうちに

自分の寿命が尽きてしまうだろう。

例えば室内でふ化した幼虫を元の林に放したとしよう。

それが20~30匹という数だとしても、その幼虫たちが繭を紡ぐまでを追跡するのは

まず不可能である。いや、50~100匹の数であっても。

イモムシというのはそのほとんどが、鳥や他、小動物のなのである。

餌となって消えぬよう、なんらかの保護をしながらようやく撮影ができる。

一昨日、室内飼育していた幼虫たちを野外のコナラに放した。

もちろん袋がけして、保護している。

L1306254.jpgいづれ葉の数が足りなくなれば、袋がけの場所も替える。

この方法とて手の届く範囲で手頃な梢があればよし。そうでなければ高い場所での袋がけ

というのは、まず実用的ではない。

こういう飼育方法ができるのも、自分の所有する林があればこそ。東京のマンション暮らしで

は到底叶わない夢物語だった。

ま、もっとも林があるということは、その管理手入れに費やす時間、労働力も相当なもんである。

近頃は腰痛も絶えない。パソコンに向かっている時間も長いからだろうか。

山仕事はやるならやるで、朝から夜までずっとやり続けるほうが体に馴染むというもの。

ヤママユ幼虫のいるコナラの梢で、ムシヒキアブの一種が交尾していた。

XA301536.jpgさて、この光景を目の当たりにしてまず思ったことは、これは困るなあ、という溜息に近い

もの。つまり、ムシヒキアブの一種とわかっても種名まで調べるのはかなり厄介であり

とくに写真で判別するのは不可能に近い、ということである。

(写真上、下:オリンパス ライトペンEPL-1 パナソニック45ミリマクロ )
(写真中: オリンパス ペンEP-1    M 9-18ミリ  )