2010年6月アーカイブ


写真展の準備

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雨は小刻みに降ったり、止んだり。

それにしても昨夜の雷はけっこう長く続いた。おかげで熟睡できず、目覚めが悪い。

夜中にパソコンの電源を落として、コンセントも抜いておいた。

さて、今日は宮崎市内の「みやざきアートセンター」で明日から開催する写真展の

飾りつけ作業を行った。

P6290019.jpg
P6290013.jpg
交流サロンの壁面書棚にも、A4サイズの写真パネルを埋め込むように並べた↑

交流サロンには高校生や一般の方たち数人が来ていたが、居眠りしている人も多い。

私も高校生のころを振り返ってみれば、こういう公共施設で勉強をしようとすると、

やたら眠くなったことを思い出す。結局、勉強は一つも捗らなかったと記憶している。

正面入り口はこちら。

P6290017.jpgまだ著書のコーナーは完成していない。棚に設置したパネルは立ち位置によっては

天井の照明を拾って反射してしまう。ここの棚はオブジェなどを置くことが多いようだ。

今回の写真展は写真絵本『びっくり!?昆虫館』(岩崎書店)と『むしのかお』(ポプラ社)の

2冊から写真を選んでいる。

なので、著書のコーナーでもこの2冊はとくに際立つようにしている。

せっかく著書がズラリと並ぶので、ここで販売もできればいいのだが施設の規約上

できないのが残念だ。

写真パネルの展示作業を終えてうちに戻る途中、酒屋に立ち寄った。

ここの店には全国の地酒が置いてあり、日本酒飲むならここに来るか、ネット販売に頼る

しかない。今日は、広島県呉市の相原酒造「うごのつき」純米吟醸と、

滋賀県竜王町、松瀬酒造「松の司」純米吟醸の2本を選んでみた。

ここの酒屋は、静岡、愛知などの東海地方から西日本の地酒が多く、東北、新潟の酒は

よく知られた銘柄が少し置いているだけ。

もっとも全国どこの酒屋でも必ず置いてあるような人気銘柄の日本酒など、

私はまったく興味がない。ともかく、ここの酒屋に立ち寄れるのは、こうして宮崎市内に

用事があったときだけなので、数ヶ月に一回程度しか飲みたい日本酒にありつけない。

これはこれで、健康上にはいいのかもしれない。




昨日の写真から。

PXB81455.jpg以前、サラサリンガを見つけたクヌギ小木を下から見上げてみると、

サーモンピンクの卵塊がいくつか付いていた。

その一つには成虫が寄り添っており、おそらく隣の卵塊はこのメスが産んだものだろう。

お疲れさん、とでも声を掛けてみたくなるが、

いづれふ化する幼虫たちはかなりの数になる。幼虫は成長すると樹の幹表面に群生する

ようだが、そういう状況をまだ見たことが無い。

林のほかのクヌギも見て回ると、さらにいくつか卵塊があった。

いづれも低い位置で見易いが、もっと高いところで死角になって見えない卵塊が

けっこうあるのではないか、と思える。






朝から晴れた。こんなことはほんとうに久しぶりのこと。

梅雨明けか、と思いたくなるほど蒸し暑い一日だった。

幸い西風があって、家の窓全部を開放して風通しができた。

洗濯物も一週間ぶりに外に干せた。

日曜日にも関わらず物置小屋工事が再開され、今日一日で完成間近まで進行した。

あとは外壁と、床、棚の設置などの工程を残すのみとなった。

相変わらず室内でやるべきことは多く、フィールドを歩く時間は少なかったが、

今日出会った虫たちを並べてみると。

XA277821.jpg新鮮なヒグラシのメス。サクラの樹にて。

XA277807.jpgふ化して間もない、ヨコヅナサシガメの1令幼虫たち。

XA277782.jpg玄関先で干していた野球のグローブで吸汁するツマグロヒョウモンのオス。

靴や傘などを並べて日干ししていたのだが、このツマグロヒョウモンは

グローブに染込んだ汗が気に入ったようだ。私の姿に驚いて逃げても、すぐに戻ってくる。

PXB71420.jpgそして、食堂の窓のカーテンには、ヨツボシカミキリが。夜の灯りに飛来したのだろうか?

L1276619.jpgヨツボシカミキリは初めて撮影したと思う。

本種はかつて普通種だったそうだが、近年、数が減って採集される機会が少ないと、

「日本産カミキリムシ」図鑑(東海大学出版会)に記載されていた。

ヨツボシカミキリの雰囲気は、ミツギリゾウムシに似ている。









シンジュサンの幼虫は3令となった。

3令になってから集合性は薄れ、分散するようになった。

葉っぱを食べる勢いも増し、集合していたのでは葉っぱの面積が小さ過ぎる。

3令になると、ようやく終令の姿のイメージに近くなってきた。

XA267676.jpgさて、このように幼虫の成長を細かく撮影していくには飼育が必要であり、

写真も飼育中の様子を都合よく切り取ったに過ぎない。

こういう写真は、これはこれで使える場所もあるが、野外観察をしながら撮影することと

比較すれば、ともかく撮影していて面白くはない。しかも、観察データが付与できないという

欠陥がある。どこで、いつ、どのようにして、というキャプションが伴わないのは、写真として

説得力に欠ける。

撮影の目的によっては飼育せざるを得ないことも多いのだが、

飼育そのものにエネルギーと経費をあまり注ぐわけにはいかない。

数日前から車の前輪より異音が出始めた。2ヶ月前にハブベアリングを取り替えたばかり

だから、どうも気分が悪い。走行距離は9万キロ。そろそろ替え時かな、と思うことが多い。

車は仕事だけでなく、生活の上でも欠かせないので、なにはともあれ車の問題は早めに

対処したい。飼育専用小屋を増設するという計画は、私の仕事の方針のこともあって、

そして車を優先せねばならない、ということも目の前にあって、あっけなく頓挫した。

どうせやるなら飼育スペースをしっかり立て直してなどという迷いもあったが、

私の性に合っていないようだ。

せいぜい一つのスチール棚に納まる範囲にとどめておこう。

P6250015.jpg




宮崎県には竜巻注意警報が出たが、どうやって対処すればいいだろうか?

とりあえず雨戸を閉める、くらいか?

さて今朝は嫁さんを宮崎空港まで送り届けたあと、

宮崎市内の「みやざきアートセンター」で写真展の最終打ち合わせをしてきた。

会期は今月30日からで、搬入は29日となる。

「みやざきアートセンター」は宮崎市内の繁華街中心部にあり、しかも専用駐車場はない。

幸いすぐ隣に有料駐車場があるのだが、ここに気付いたのは昨日のこと。

これまでは数百メートル離れたコイン駐車場を使ってきた。

今回の写真展は、いくつかある展示会場を使わず、敢えてパシフィックスペースと呼ばれる、

フロントや交流サロンの、いわゆる空きスペースを使わせてもらうことにした。

ここなら会期の制限が緩い上に、人の流れも多い。熱心に見たい人、そうでない人も

ともかく通る空間であり、ゆったりくつろげる場所。

そこへさり気なく写真パネルを置いておく、そんな感じにした。

だから、キャプションもネームしか付けていない。

会期中、7月、8月の2回、ギャラリートークも行う予定。



奥付けでは7月1日発行となっているが、すでに販売されているようだ。

すごいなぞうきばやし.jpg

エコ育絵本・ちきゅうのなかまたちシリーズ4の『すごいな ぞうきばやし』

(チャイルド本社)。

この本の仕事で、自分の林のクヌギを伐採したが、

近所のおじいちゃんにはたいへんお世話になった。

普段から農業のことなどいろいろと教えていただくことも多い





居間のカーテンにサラサリンガ、がいた。午前6時のこと。

PXB41396.jpg調整.jpgわが家の灯りに飛来したあと、どこからか室内に紛れ込んだらしい。

そのように想像していたのだが、どうもそれ以外の可能性もあるようだ。

というのも、

午前10時過ぎ、仕事部屋の東側にある庭木で羽化直後のサラサリンガが、2匹いた。

XA247585.jpgどう見ても羽化してから数分も経っていないと思われる。地面から這い登って、

高台に落ち着いてから、翅を伸ばし始めた。

XA247605.jpgお尻の部分は赤い。まるで赤色チョークのようだ。たっぷりと粉が付いている。

サラサリンガは産卵のとき、この赤チョークの粉で卵塊を覆い隠すという習性がある。

したがって、葉っぱにべったり着いた赤チョークの粉はとても目立つ。

卵塊が目立てば、天敵の目に触れやすくなるのでは?

と誰でも疑問に思うところだが、卵がふ化した頃の様子を観察してみれば、

なるほど!そういうことか、と納得がいく。

さて、庭の中でサラサリンガが繁殖していたことにこれまで気付かなかったとは、

いかにも迂闊であった。

庭木のなかで食樹となったのは、アラカシとイチイガシくらいしか思いつかない。

クヌギのある林までは距離があって、そこから幼虫が這ってきたとは考えにくいからだ。

居間のカーテンに止まっていたサラサリンガも、庭で羽化した個体なのかもしれない。

わが家の室内には、いったいどこから!?と驚くようなでっかいゲジゲジやムカデが

我が物顔に歩いているくらいだから、小さな蛾が闖入したとしてもまったく何の不思議も

無い。



まぶし

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今日も小雨が続いたが、夕方5時半ころからようやくわずかに陽射しが戻ってきた。

明日は久しぶりに晴れるらしい。

数日前からアカショウビンのさえずりをよく聞くようになった。

早朝、4時半にアカショウビンのさえずりで目を醒ますこともある。

どうやらわが家からそれほど遠くない同じ沢の奥から聞こえてくる。

営巣しているのだろうか。

ともかく、アカショウビンの声が目覚ましになるのだから、いい気分になる。



こんど発売される写真絵本『びっくり!?昆虫館』(岩崎書店)の見本が届いた。

書店に並ぶのはもう少し先だが、見かけた方は是非手にとって観て下さい。

びっくり表紙.jpg

宅配便で送られてくる物品は、大概は段ボール箱に入っているか、包まれている。

飼育中のカイコたちが大きく育ってきたので、前もって「まぶし」を作っておいた。

「まぶし」の材料は、宅配で溜まった梱包物の段ボール板。

できるだけ身の回りにある物を活用する、というのが鉄則だ。買い物に出掛ける

時間の余裕も無いことだし、部屋の中を見渡してみれば、けっこう使わないで眠っている

物があちこちに潜んでいたりする。


段ボール板を細長く切り出し、貼ってあるラベルシールやガムテープなどは、

ドライヤーで暖めて丁寧に剥がす。「まぶし」の小部屋の寸法は、4センチ角。

L1236564.jpgこの仕切り壁を箱に納めて完成。

L1236578.jpg成熟したカイコをこの箱に移し、蓋を閉める。カイコはきちんと個室に篭って繭を紡ぐ、という

寸法だ。こういうちょっとした工作は楽しい。

これまでに養蚕試験場から終令幼虫をいただいて飼育した経験はあるが、

仕事で再びカイコの撮影をすることになって、初めてカイコの卵を購入してみた。

カイコ飼育セットは、卵30粒と人工飼料からなり、これで価格は4095円。

おそらく人工飼料の値段が高いのではないかと思うが、仕事の撮影では本物のクワの葉

を使った。

試しに人工飼料にふ化幼虫を乗せておくと、幼虫たちはこれをよく食べていたが、

後からクワの葉を入れてみると、しばらくして全部の幼虫が葉っぱに移動していた。

やはりカイコの幼虫にとって、本物の餌に適うものは無いようだ。

東京の清瀬に住んでいたころは近所にいくらでもクワやヤマグワが生えていたが、

不思議とうちの辺りではあまり見かけない。

散歩コース内で餌の供給源として使える大きさのクワは一本だけ。これは農家の方に

断って葉っぱをいただいている。他にももう一本あったが、去年の冬に切り倒されていた。

車で少し足を伸ばせば何箇所かマークはしてあるが、歩いていける範囲で餌を確保

できるのは有り難い。

あと数日で、餌の交換作業も終了するだろう。






3週間前の6月2日、ミカンの梢でアゲハの蛹を偶然、見つけた。

なんとなく予感がしていたのだが、一昨日のこと、その蛹に大きな穴ぼこが。

XA227408.jpgおそらくアゲハヒメバチのしわざだろう。アゲハヒメバチはアゲハが幼虫のうちに寄生産卵し、

ふ化したアゲハヒメバチは、アゲハの幼虫が蛹になってから一気に蛹体内を喰い尽くし

成長する。アゲハ蛹の羽化兆候がなかなか進行しなかったのは、そのせいだった。


さて、ある方から芋虫の写真の問い合わせがあった。

メールの添付写真は、ツマグロヒョウモンの幼虫だった。

なるほど、初めてこの幼虫を見た方なら、これがチョウではなく、蛾ではないだろうか?

などと疑問に感じるのも当然かと思う。

体に生えたトゲトゲは手で触っても痛くないし、まして腫れたり、かぶれたりもしない。

もっとも肌の感受性には個人差も大きいから、

むやみに触ることを薦めるわけではないことを断っておこう。

手元にすぐ出るツマグロヒョウモン幼虫の写真があるかと記憶を辿ると、

先月、庭で撮影したのが一枚だけあった。

XA264667.jpgこの写真では幼虫の背面にあるオレンジの帯が見えないので幼虫の特徴を捉えていない。

うちの庭では主にスミレを食べて育っているが、写真のごとく園芸種のパンジーを食べること

もあり、関東など北上した先ではパンジーが主な食草となっているようだ。

ツマグロヒョウモンは南方系のチョウで、西日本以南に分布していたが、

10数年前ころから関東周辺まで北上し分布を広げている。

東京で暮らしていた最初のころは、四国の松山に帰省するたびにツマグロヒョウモンの姿を

見て、ああ、やっぱり、四国は南国だなあ、と感じていた。

それがしだいに、東京でもツマグロヒョウモンは普通に見られるチョウとなってしまい、

なんとも味気無さを感じるようになったものだ。

帰省する楽しみが減ったという、身勝手な感情ではあろうけど。

KKさ~ん、是非、幼虫を飼育なさって、蛹や成虫の姿も見て下さいね。



集団生活

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昨日も今日も、ほぼ一日中、雨。

PXB01267.jpgとくに昨日、日曜日の雨は激しかった。庭の一部に大きな水溜りができ、

あわや床下浸水するのでは、と慌てた。

原因は排水受け口に落ち葉などが詰まっていたためで、これを取り除いたら

すぐに水溜りの水位は下がった。これだけの雨水を捨てるだけでは勿体無い。

雨どいに繋ぐ貯水タンクはいろいろ市販されているので、

検討してみようかとつくづく思った。容量にもよるが、2~4万程度だったと記憶している。

据付工事は自分でもできるのではないだろうか。

先日、ふ化したシンジュサン(神樹蚕)が次々と脱皮し、2令となっていた。

PXB11291.jpgシンジュサンを卵から飼育するのは初めてのことだが、

若令時には集合性が強いことを知った。したがって成長速度も群れごとにほぼ足並みが

揃っている。休むときは仲良く並んでいる。

PXB11284.jpg(写真上: オリンパスEPL-1 LUMIX 45-200ミリズーム )

(写真中、下: オリンパスEPL-1 M.14-42ミリズーム前玉はずし 内臓ストロボ+
                                         ストロボFL-36R )






ヤハズカミキリ

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午前中、雨脚が強いときもあった。まさに豪雨だ。

昼前からしばし晴れ間が出たりしたが、それは束の間のことで、また土砂降り。

雨が多い一日だったが、降り止んだ隙に、うちの林で少し観察を行なった

ずっと課題となっている犯人探しだ。容疑者はいくつか上がっているが、これという決め手

に欠ける。もう一頑張りだろう。ネット検索で調べた結果、それなりに犯人は特定されているが

どうも私には犯人が一種ではないと思える。いや、絶対に複数種であろう。

未だ調査中なので、何の容疑者かは、いずれまた報告したい。

さて、枯れ枝を積んで置いたところに数種のカミキリムシが来ていた。

どれも敏感で、すぐにポロリと地面の藪に消えてしまう。

ヤハズカミキリとアトジロサビカミキリだけ、枯れ枝に留まっている姿を撮影できた。

触角の長いカミキリムシは全身像を撮ってはみるが、それでは体の見事さが表現できない。

XA197375.jpgそこで、さらに寄り込んで撮影。

XA197381.jpg触角の付け根を取り囲むような複眼だから、きっと背面側もちゃんと見えているのだろう。

側面の姿も見ておきたくなる。

XA197385.jpg抱きついている枯れ枝は、去年の冬に伐採したアカメガシワ。

アカメガシワの若い枝は赤いが、ヤハズカミキリもけっこう赤味を帯びている。

ヤハズカミキリの姿態を念入りに観察するには、標本にするしかない。

生きたまま捕らえてじっくり観察したとしても、その時間は限られている。

形態の奥深い謎を理解しようと思えば、何日もいや数ヶ月、いやそれ以上、角度を変え、

見方を変え、しながら時間をたっぷり掛ける必要がある。

昆虫の姿態、形態を理解するには、標本が必要不可欠だ。

日本には約800種類以上のカミキリムシがいる。



羽音

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林の縁で作業をしていると、頭上からウワワワ~ン、ウオオオ~ン、ブオオオ~ン、

という連続音が降ってくるようになったのは、先週あたりからだ。

池の水面に黄色い点々が目立つようにもなった。

PXB61153.jpg今の時期、アカメガシワの花盛りとなっている。水面に浮いているのはアカメガシワのお花

が散ったもの。

花には無数の昆虫たち、とくにハチやハエ、アブ類が集まっている。

唸るような羽音は、ワールドカップでにぎわうサッカー場の騒音に似ていなくも無い。

ブブベラという楽器らしいが、まだその実物を見たことがないので、気になる。

アカメガシワには雌株と雄株があって、遠目にも雌雄の花の違いでよくわかる。

まずは、雄株。

PXB81254.jpgそして、こちらが、雌株。

PXB81259.jpg今年もまた、アカギカメムシが産卵にきっと来てくれることだろう、と期待している。

梅雨本番の激しい雨が朝からずっと降り続ける。

田んぼでは、機械植えしたあと、隙間に手植えするおばあちゃんの姿があった。

PXB81251.jpg物置小屋の工事は、土台の基礎工事が終わったところで休止状態。

雨が上がるまで次の工程に進めない。

コンクリートの土台で、新鮮なルリシジミがしきりと、吸水していた。

XA187318.jpg




午前3時50分、起床。

真っ暗闇の中、人口池を覗いてみたらシオカラトンボはすでに羽化していた。

翅も伸びきっており、推定羽化時刻は午前1時半~2時の間と思われる。

ここ数日、だんだんと羽化時刻が早くなっている。これは偶然だろうか?

深夜の羽化が通常の生態であれば真っ暗の中でも撮影するが、

シオカラトンボはそうではない。

明るくなってから羽化することが多い。羽化時刻にはかなりの巾があるようだが、

敢えて真っ暗の中の羽化写真を使う編集者もいないだろう。

午後から激しい雨になり、明日からの撮影に備えて室内セットを組むことにした。


さて、マイクロフォーサーズの14-42ミリズームレンズの改造について、

先日、海野和男さんが小諸日記で書かれていた。

私も何気なく戯れに前玉をいじっていたら、それがあっさりと外れてしまい、

意に反して改造レンズになってしまった。かなり後悔したのだが、、もう手遅れ。

エイ!!と少しは意地悪く力を込めたのだが、それほど強い力は要らなかった。

どこも折れたりせず綺麗に前玉は外れてしまった。え!?まさか、ほんとに?

これなら元に戻せるだろうと、押し込んでみたら、ボキ!!と音がして

パーツの突起が折れてしまい、もう元には戻せなくなった。

本気で改造しようと思っていない人は、真似をしないほうがいいだろう。

で、ともかくこの改造レンズで何か作例をと、被写体を探していたら、

ちょうどシンジュサンの卵が孵化していたので、そのふ化幼虫を撮影してみた。

まずは最高倍率。

PXB71238.jpg実質最高倍率は、1.8倍。写真はF22で、内臓ストロボはFULL発光それと外部ストロボを

一灯加えている。たしかに画質はかなり良い。

ズームリングを戻して倍率を最低にしてみたのが、次の写真。

PXB71245.jpg作例を撮ったカメラは次の写真。

P6170013.jpgカメラを乗せているのは、自作の超低アングル三脚。

内臓ストロボの前にあり合わせのディフューザーをゴムバンドで留めてある。

前玉をはずすと、大きな隙間ができ逆光が入ると影響が強く出るので、適当な穴を開けた

ゴム蓋をレンズ先端にはめている。

フォーサーズで1.8倍ということは、35ミリ判換算では約3.6倍の接写ということになり、

これはまあまあの高倍率接写と言えるだろう。

EPL-1の電子ビュワーはこういった高倍率撮影では威力を発揮し、たいへん見易い。

メニューの表示で、LVブーストの機能をオンにしておくといい。

ただし、このLVブースト機能は、夜の撮影時にはオフにしないと、

暗闇で懐中電灯などの照明を使った場合、コントラストがきつ過ぎて逆効果になるので

気をつけたい。

14-42ミリズーム改造レンズの欠点は、レンズ先端から被写体までの距離、

ワーキングディスタンスが2センチ程度と短いことで、

神経質でよく動くような被写体には向いていない。

これなら、LEICAの45ミリマクロで等倍撮影して後でトリミングして使った方が、

撮影効率も上がるという考え方もあるだろう。

とはいえ、1.8倍の接写撮影で深度も稼げて、画質も良いとなれば、これはこれでけっこう

使い道があると思う。遊んでいるレンズを有効に使うという大義名分は成立するだろう。

だが、私の場合、この焦点域のマイクロフォーサーズレンズが手許に無くなり、

ちょっと困ってしまった。今月末に14-150ミリズームレンズが発売されるらしいが。


今月末に発売されるといえば、こちら

里山昆虫表紙.jpgこのハンドブックの解説文は、永幡嘉之さんが担当された。

同シリーズの「里山の植物ハンドブック」もそうだが、解説文の内容がたいへん素晴らしく

読んで楽しめる本に仕上がった。

原稿書きの時間が短かかったにも関わらず、永幡さんは的確で楽しい文章をつけて

くださった。




梅雨の合い間

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午前5時。まだ薄暗いが、シオカラトンボは私の気配に驚いて飛び立って行った。

今朝のシオカラトンボの羽化時刻は、推定4時ころだろう。

やけに早い。自然光での撮影は不可能だったから、それほど悔やまない。

しかし、このおかげで明日は4時起きだな。

カナカナカナ~、と今年初めて、ヒグラシの鳴き声を聞く。夕方にも聞いた。

庭のクヌギに、サラサリンガが一匹。

そろそろ現れる頃だろうと探してみたら、やはりいた。

XA167158.jpg物置小屋の造作をお願いしている大工さん御夫婦にも、サラサリンガを見てもらった。

ええ~、こんな綺麗な蛾がいるの~!と驚いていた。


少し気になることが一つ。

昨年からコガネグモの姿が少ない。うちの回り半径500メートル以内での話しだが、

めっきり減ってしまった。

今日の夕方、でっぷり肥えたコガネグモのメスを久々に見た。犬の散歩道。

大きな獲物が掛かったのだろう、巣網はボロボロに破れている。

産卵は間近かと思う。

PXB61181.jpg



雨ニモマケズ

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午前5時、窓のカーテンを開くと、外は雨だった。

これではシオカラトンボの羽化はないだろう、とヤゴの様子を確認しなかった。

午前5時45分、しかし気になって外の人工池を窓ガラス越しに見てみると、、、、、、

XA156994.jpgああ、昨日、予想したとおりの時刻に羽化しおったなあ、と溜息が出た。

トンボは雨の日でも羽化することは、ヒメサナエやアオイトトンボ他でも観察したことがある。

室内セットでの撮影も考えてはみたが、どうしても野外撮影にこだわっている。

野外スタジオという言い方が正しいが、なにより楽であるからだ。

あまりこだわっていると、予定している撮影スケジュールの調整が難しくなってくるが、

明日は晴れるということなので、天気情報を信じることにした。ちょっとした賭けだ。

もしも明日、羽化するヤゴがいなければ、いよいよ室内セットでの撮影に切り替えれば

いいだろう。天候に左右されない室内スタジオの方が結局、効率良く、確実ではあり、

野外スタジオが楽できるとも限らない。

さて、雨脚は断続的に強くなったり、弱まったりしていたが、

しばらくしてシオカラトンボは翅を拡げた。

XA157033.jpg今日は飛び立てないだろう、と見ていたら、正午前に姿を消していた。

小降りになった寸暇を見逃さず、飛び立っていったのだろう。


今月、岩崎書店から『びっくり!?昆虫館』が出版されます。





シオカラトンボ

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昨日、紹介したカニノツメ。

グレバは水気を失い、乾燥してきた。

XA146945.jpg臭いはさほどでもないと書いたが、近づいて撮影していてもほとんど匂わない。

これでは虫の集まりも悪いはずだ。たまにハエ類が来るが、長くは留まらない。

今日はグレバに鼻を思い切り近づけて嗅いでみたら、

ムム!!その臭いたるや、まさに、、、、ウンチ。


今朝、羽化したシオカラトンボ。

私の気配に驚き、飛び立った。しかし、まだ飛翔力は弱く、すぐにヘナヘナとヤマアジサイに

着陸した。

XA146864.jpg推定羽化時刻は午前5時半。霧雨の中、今日は羽化しないだろうと思ったが、

これは大間違い。そしてこのあと、午前7時半ころ、さらに2匹目が羽化。

午後から小雨となったが、早朝の曇り空の下、絶妙なタイミングで羽化が続いた。




グレバ

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庭に生えていたのは、カニノツメ。先々週、草刈りをしたのでこよく目立つ。

カニノツメは秋のキノコのはずだが、、、、、、、。

PXB30981.jpgツメの間に詰まったグレバは悪臭を放つといわれるが、それほどでもない。

ときどきハエ類がやって来ては、そのグレバを旨そうに舐めていく。

XA136836.jpgグレバに集まるハエ類にも種類によって個性が窺え、面白い。

写真に写っているハエは、たいへん用心深く、キノコにいきなり飛来するようなことはしない。

ある程度離れた場所からじっとキノコを眺め、少しづつキノコへとにじり寄ってくる。

撮影しようとこちらがカメラを構える動作をすれば、ちゃんと見ているのだろう、素早く

キノコから飛び去ってしまう。余程、じわりじわりとゆっくりカメラを近づけないと、

あっさり覚られてしまう。

( 写真上: オリンパス EPL-1 M.9-18ミリズーム  )

( 写真下: オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ )





芋虫

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ヤママユの幼虫も最後の一匹となり、他は全て繭の中に姿を消した。

昨晩から今朝にかけて、クヌギで営繭する様子を久しぶりに眺めてみた。

ヤママユが繭を紡ぐとき、3~4枚の葉を引き寄せて糸でつづり合わせ、

舟形の型枠を拵えてから、それを足場にし繭を完成させる。

この型枠作りや繭の支持部分の糸吐き作業は念入りに時間を掛ける。

さて、舟形の出来映えによっては、繭のほとんどが葉に覆われてしまい、

繭作りの様子がうまく観察できないことも少なくない。

「ヤママユガ観察事典」(偕成社)の撮影では、この繭作りをきっちり撮影するために

カシワの葉を使ってみた。カシワの葉は面積が広いので、

幼虫は葉の縁を少し折り曲げるだけで繭作りを始めるから、観察にも撮影にも好都合。

当時、私の手元にはカシワの小さな植木があったし、住んでいたアパートのすぐ近くに

カシワが数本植えられていた。何匹かカシワで飼育してみたところ、例外なく繭が露出した

状態で紡がれることを確認できた。

じつはこの撮影を行う以前に、福島県のある山中のカシワ林で、偶然にもヤママユの繭を

見つけたことがあった。7月のころ、クヌギやコナラなどでは繭を野外で発見できる

確率はたいへん低い。それは梢が複雑に重なっている上、繭はおおかた葉っぱに

包まれて隠れているからだ。

ところがカシワだと、繭が丸見えの状態。見つからないのがおかしい位、よく目立つ。

もっとも、クヌギやコナラでも繭がかなり露出している場合もあって、

そういう幸運に恵まれれば、それに越したことは無い。


近くの畑のサトイモは農家の方が、自家用に栽培しているものだが、

葉っぱの表面にこんなものを見つけた。

XA116645.jpg脱ぎ捨てた靴下と、釣竿のリールからビュルルルルン~とはじけた、テグス

こうまでこんがらがったテグスをほどくのは、容易ではないだろう。

いったい何だろうか?と問いかけるほどのこともないが、

葉っぱの裏側を覗き込めば答えはすぐにわかる。

XA116641.jpgサトイモの葉うらにしがみついているのは、セスジスズメの幼虫。つまり、芋虫。

葉っぱの表で脱皮したのである。

こんがらがったテグスは、脱皮前の休眠から脱皮を無事終えるまでの間、

大事な足場として使われた痕であり、

靴下のようなものは、脱皮殻である。



萌芽更新

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わが家のクヌギの中で西側にある一本は、隣の畑で耕作する方から、

日当たりが悪くなるから切らせて欲しい、と以前に言われたことがあった。

その方は、私がここの土地家屋を購入する以前の持ち主との間で、切り倒すという

約束をとっていたという。このことは以前にも書いたのだが、

しかし結局、耕作する方が他の人に変わった途端、クヌギを切る話は立ち消えてしまった。

今、隣の畑を使っている方は、クヌギのことを全く気に掛けていない。

少なくともクヌギのせいで、畑の作物に悪影響があるとは私には思えないのである。

このクヌギは、真夏の強烈な陽射しを遮ってくれるので、わが家では無くてはならない

存在であり、まさに天然クーラーの役目を果たしてくれる。

さて、南側の斜面林にはクヌギが20数本植わっていたが、昨年の暮れに

4本を伐採した。これは本の仕事のためでもあったが、間伐する必要も感じていたし、

シイタケ栽培もしてみたかった、というまさに一石二鳥ならぬ、一石三鳥の伐採だった。

これまでに何度も書いたが、うちの林のクヌギは大きいものでは樹齢40年以上となり、

数本は樹勢が衰え、枯死している。

樹齢を重ねる樹も残してはおきたいが、クヌギ林としては萌芽更新したほうがいい。

PXB10904.jpg写真上は、樹齢40年以上の一番大きいクヌギ。

昨日、このクヌギを含めて、画面奥にある8本全てのクヌギを売り渡すことに決めた。

林の東半分のクヌギをすべて伐採する、ということである。

じつは昨日、隣町のある方がうちの林のクヌギ全てを売って欲しい、と言ってきた。

その方はホダ木として販売し商売するそうだ。

全部切られては困る、という理由を簡単に説明したが、どうも当人には通じていない

ようであった。何度も全部はダメですか?と繰り返す。わからんかなあ~?

ま、それはそれでいいのだが、私としても林の萌芽更新はしておきたい、

そうも考えていたので、林の半分を伐採してもらうことにした。つまり商談成立。

伐採は9月ころに行うそうだ。

伐採予定の場所には大きなコナラも一本ある。

これらの伐採、そして搬出作業は、私一人ではどうにもなならない。

最初は全部欲しいと言われ、ムッときたが、むしろいいチャンスだと判断した。

PXB10948.jpg昨年の8月に私が切り倒したクヌギは、こうして元気良く萌芽し数多くの昆虫を招いている。

あっという間に人の背丈を越すまでに成長するだろう。


PXB10913.jpgこの写真画面、右側の樹冠部がすべてなくなる予定。林は一段と明るくなるだろう。


さて、潜水艦の船内に例えた私の作業部屋。日々、変化していく。

嫁さん曰く、「模様替えが好きね~」。

とんでもない!少しでも効率よく、スマートに、快適に仕事をしたいだけなのだ。

PXB10952.jpg飼育を一切せずに仕事ができればいいが、そうもいかない。

児童書関係の仕事では明解で説明的な写真が求められる。私はそういう写真は嫌いだが

嫌いでは、仕事にならない。仕事とはそういうものだ。好きなことだけでは成立しない。

しかし、嫌いでもやるとなると、けっこう楽しみながらやっている。だから仕事になる。

矛盾しているようだが、何かを造り出すということは、自分なりのこだわりがそこに発生する。

それが例え人真似であっても、自らの手で一から最後までやり遂げる過程があって、

それが楽しくないわけはない。やってみなければ、ディテールが見えてこない。


少しばかり飼育するのはいいが、やはりそれでも空間が足りない。

先日、物置小屋を近所の大工さんにお願いして、見積もり書を出してもらった。

その金額が予想していたより、かなり安かったので、

これは飼育小屋を増設してもいいかな、と思い直しつつある。

遊んでいる土地は、ある。

もっとも飼育小屋となると、電気配線工事や空調工事なども加わるから、

物置小屋よりかは金額が高くなるだろう。

物置小屋の完成を見てから、考えようかと思う。

飼育部屋は、使わなくなれば倉庫に転用することもできる。




オニヤンマの交尾

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宮崎に来て早3年目となる。

林の整備やら、なにかと仕事に関わる環境整備には時間を費やしてきたが、

水環境についてはまったく手をつけることができないでいた。やろうと思えば

できないでもなかっただろうが、他のことで手一杯だと気持ちがブレーキを掛けていた。

3年目となってようやく、水環境の整備をやる気になってきた。

水生昆虫にも積極的にカメラを向けようと動きだした。

今日は、チョキちゃんを見送ったあと、人工池の拡張作業を行った。

スコップで人工池を埋め込む穴を掘るのだが、かなりくたびれる。スコップもいくつか

作業に適した形状のものが要るなと、文句つけながらひたすら掘る。

ようやく人工池の拡張作業を終えて、休憩兼ねて畑に水撒きしていると、

私の腰の高さあたりをオニヤンマがツイツイツイ、と滑るように舞う。

ときどき小さな虫を捕らえているようだ。獲物が大きいと高い梢に止まって

ムシャムシャ喰っている。

そういえば、一昨年だったか、目の前でオスがメスをさらって、交尾が成立したよな。

そんなことを思い出していたら、なんと数分後にその場面が再現された。

場所もほとんど同じ、敷地の西側。

おおお!空中で交尾が成立して、舞い上がっていく!!

どこに静止するんだい。せめてシルエットでもいいから、見ておきたい。

するとオニヤンマのカップルは、コナラの高い梢の枯れ枝先に落ち着いた。

PXB00753.jpg地上から6~7メートルの高さがある。

場所からして、順光側から撮影するのは不可能だ。

東側にあるアカメガシワに登ってみた。地上高2メートルの高さまで。逆光が眩しい。

IMG_1752.jpgアカメガシワの樹は斜面上部に生えているので、オニヤンマの位置までかなり上がることが

できた。4メートルは上がっているだろう。それでもこの程度の写真しか撮れなかった。

午後4時50分ころ交尾成立してから、

午後6時35分、メスがそわそわし始め、次の瞬間、離れて飛び去った。

PXB00779.jpg交尾時間は約1時間45分。

(写真上、下:オリンパス EPL-1 LUMIX G VARIO 45-200ミリズーム )

(写真中: キャノン EOSキッスデジタルN EF400ミリ )






今日も朝からせっせとヤマトシロアリを与える。

元気な様子なので、林に戻すリハビリをしておこうと思った。早いほいうがいいだろう。

そこで午後2時頃、うちの林に連れ出してみた。

クヌギの大きな朽木に乗せてみると、さっそくチョンチョンとくちばしで突いたあと、

すぐにもはばたいて、隣のクヌギの幹まで3メートルほど移動した。

足場が安定せず、地面の藪の中に落ちてしまい、やっぱりまだダメだろうか、と思えた。

もう一度、朽木の台に乗せてやる。どうだい、久々の外の空気は?

キョトンとしている様子を写真に撮ろうとしたら、いきなり元気に飛び立った。

クヌギの少し高い場所へ移動。

P6100042調整.jpgキーキキキキキ!!と、けたたましくさえずる。

お!調子が戻ったようだな。ゆっくりと近づいてみたら、さらに力強くはばたいて、

コナラの大木の高い梢まで飛んでいった。

そうだよ、人が近づいたら逃げるのが一番。やっとコゲラらしくなったなあ。

樹の幹を突きながら、さっそく餌を探している。

これなら大丈夫だろう、そう思えた。

しばらくは、高い梢をあちこち移動しながら、甲高くさえずっていたが、

やがて他のコゲラがやって来た。成鳥だろうか、自分のなわばりからチョキちゃんを

追い払おうとする。すると、チョキちゃんは飛んで逃げていく。それも高い空をグングンと。


振り返ってみると、チョキちゃんが小学校の玄関先にうずくまっていたのは、

もしかしたらガラス窓にぶつかったショックではなかっただろうか。

その衝撃でダメージを受けて身体の自由が利かなくなったのではないか。

つまり若鳥としてはすでに一人立ちしていたのではないかと思える。

二日半、じゅぶんな餌を得ることができ、静養したことで元気を取り戻せたのかもしれない。

まあ、ともかく、コゲラの若鳥、チョキは、無事に復帰できたわけであるが、

自然界でこの先ぬくぬくと生きていけるわけでもない。

あらゆる試練が待ち受けている。頑張れよ、などという掛け声など、無用かと思う。

彼なりに生きていくだろう。

(写真:オリンパス μーTough 6020  ) 












コゲラの若鳥、チョキちゃんは、少し元気になったようだ。

PXB90686.jpgねぐらの段ボールで目覚めたあと、朽木くずと一緒に入れたシロアリをついばんでいた。

しばらくして、自分から段ボールを抜け出し部屋の中を低く舞い始めた。

PXB90690.jpg窓のカーテンを登る姿はもう一人前のキツツキだが、やはりまだヨタヨタして頼りない。

網戸に止まってしきりと鳴く。このとき、後頭部の赤い羽毛がチラリと見える。

PXB90677.jpg外からはコゲラ成鳥のさえずりが聞こえる。するとチョキちゃんも懸命にキーキーキキキキキ、

と鳴き返す。ウグイスやヒヨドリなどのさえずりにも、よく反応する。

活発になりはしたが、自分で餌を探せるのかどうか、かなり心配だ。

今日は箱から出してにわか作りの網部屋に入れておいた。食事は3回ほどシロアリを

与える。脚の様子を見ていると、骨折はしていないようだ。はばたいて、少しは飛べる。

本来なら、まだ親鳥が餌を与えながら、少しづつ自立していく段階ではないだろうか。

だとすると、いきなり林に戻しても、生き延びていくのは難しい。


(写真:オリンパス EPL-1 M.DIGITAL 9-18ミリズーム
                              ストロボFL-36R、2灯 RCモード)

                                ツインフラッシュブラケット使用



チョキちゃんは、小学校の玄関前にうずくまっていたらしい。

成り行き上、チョキちゃんは私のうちで一時保護することになった。

R君の手からそっとチョキちゃんを受け取る。

P6080002.jpgチョキちゃんはコゲラの若鳥だ。頭のうしろに赤い羽毛が見えるので、オスであろう。

巣立ちして間もないのか、羽ばたいて少しの距離なら滑空できる。

このまま林に戻しても大丈夫なのか、しばらく様子を見てみた。

P6080026.jpgクヌギの幹になんとかしがみつくのだが、そのうちヨタヨタと地面に落っこちる。

チョンチョンと、樹肌をくちばしで突いてみせるのは、さすがにキツツキだが、

どうも脚が不自由で、見ている方が辛くなる。

これはイカンなあ、とやはりうちの中に回収した。放っておけば、いづれヘビかイタチか、

カラスか、何がしかに喰われてしまうだろう。それはそれで仕方がないではないか、という

考え方もあるが、私はこのチョキちゃんのことをもう少し納得いくまで見届けたい、

と思った。なんで、こういう事態になってしまったのか?どこを怪我しているのか?

さて、チョキちゃんはひもじいはずである。

いつごろから悲惨な状況に陥ったのか知らないが、少なくとも今日はほとんど餌を

口にしていないのではないか。そこで、うちの林で見つけたヤマトシロアリを集め、

これを朽木ごとチョキちゃんの前に置いてみた。

チョキちゃん、すぐに反応しシロアリを次々とついばむ。やはりお腹空いていたのだろう。

朽木を崩してやると期待してそこへやってくる。シロアリが出てくることを学習したのか?

餌をちゃんと自分で食べるのだから、少し安心できた。

この様子を下の子供(10歳)は見ながら、ときどき朽木を突いていた。

「朽木の裏側にもシロアリがいるから、裏返してやらないと、お父さん。」

シロアリをついばむとき、チョキちゃんはしばしばバランスを崩してはでんぐり返っていた。

起き上がるにも難儀している。やっぱり脚の具合はかなり悪いらしい。

4回もシロアリを追加して、ようやく午後7時過ぎ、チョキちゃんは眠りについた。

よく食べたなあ。満腹したかな?


チョキちゃん、などと名前をつけたのは、嫁さんである。

キ、キ、キ、キ、キーッと、ときおり甲高く鳴くことと、

うちの飼い犬、チョロの弟分ということになってしまい、(私が熱心に餌やりしている姿を見て)

チョ+キ=チョキ、ということらしい。



水玉レンズ

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玄関先のちょっとした草むらも、私にとっては大事な仕事場。

ここで、2ヶ月前からずっと成長を追跡している虫がいる。

その虫を毎日のように眺めていれば、他のいろいろな虫や生き物にも自然と目がいく。

今日は雨上がりで、水玉レンズがあちこちにできていた。

XA076133.jpg赤いともろこしは、モンキチョウの卵。

画面右奥にボケて見えているのが、モンキチョウの幼虫。

角度を変えて見てみると。

XA076141.jpg( 写真:オリンパス EPL-1  14-42ミリ改造リバースレンズ  ストロボ2灯使用 )







XA025197.jpg
写真のミヤマカラスアゲハ♂の死骸は、四日前に犬の散歩中に撮影したもの。

はたして、これをロードキルと言えるかどうかは怪しい。

つまり、このミヤマカラスアゲハの死因は、鳥の捕食によるものではなかろうかという疑い

の方が濃い、と思われるからだ。

死骸を見つけた道路では車の通行はほとんどなく、車に轢かれる可能性は限りなくゼロに

近い。

胴体にはすでに無数のアリがたかっていた。

この死骸を見つける数日前に、うちの玄関前のサツキ(タカチホ?)の真っ赤な花に飛来した

のはたしかにミヤマカラスアゲハだったと思う。うちの近辺でミヤマカラスアゲハを目撃する

機会は稀である。この死骸と飛来した個体が同一ではないか、などと安易に想像してしまう。



シンジュサンの卵

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クロガネモチの葉表に、シンジュサンが産卵した。

白い卵は行儀良く並んでいる。

うちの嫁さんは歯並びが良いことを自慢にしているが、

その歯医者にも褒められたという歯並びとは、こういうことかい、と思えた。

XA065949.jpgわずかに弧を描くように並ぶのは、母蛾が体を安定させたあと、腹部端を左右どちらかから

振り子状に動かして産卵する動作を思い描くことができる。

XA065967.jpg卵の表面にはベージュ色の縞模様があり、黒点のほうは模様ではなく、

粘着液が空気に触れて固着したものと思われる。


ウスタビガはすべて、そしてヤママユも次々と繭を紡いでいるところだが(野外袋かけ飼育)、

これらと入れ替わりで、シンジュサンの幼虫たちがお目見えする予定となった。

それに加えて、通販で買い求めたカイコの卵がもうすぐ三日後あたりにふ化する。

前にも書いたが、私は飼育がそれほど好きではない。

好き嫌いは言ってられないが、仕事上、必要となる飼育室も敢えて拵えなかった。

飼育室は使わない期間も長く、どうせ物置になってしまうだろう、などと思っていたし、

その費用があるなら軽ワゴンの新車を買ったほうがいい。

ここ二ヶ月ほど飼育ケースなどが撮影部屋まで占拠するようになって、

これはイカン!と、大整理を行った。やはり飼育部屋があればあったほうがいいとは

思ったりするが、飼育のやり方、方針を徹底的に見直してみた。

徹底的とはいっても大した事ではないが、その気になれば、かなり省スペース化できる。

いつぞや潜水艦の船室みたいと書いた私の仕事部屋では、パソコンに向かいながらも

すぐ傍らに飼育棚があって、椅子に座ったまま卵や幼虫、蛹の様子をチェックできる。

同時に野外飼育の工夫もいろいろ試行錯誤していて、こちらでうまくいくものがあると

ずいぶん助かる。

飼育にあまり情熱を注げない自分だが、それでも思惑通りに産卵してくれたり、

野外でまず観察不可能に近い行動を間近で撮影できたときなどは、

やはり嬉しいし、やりがいを感じることがないでもない。

飼育に頼らざるを得ない撮影シーンも多くあるが、それらをできるだけ野外で行う工夫と

努力もつねに必要だと思う。

生活をしていく上で、できるだけモノを増やしたくないものだが、

それでも知らないうちにモノは増えてしまう。

とくに畑仕事、山仕事の道具類が増えてしまった。

それで庭の隅にある倉庫も手狭になり、倉庫の横に物置小屋を拵えることにして、

近所の大工さんに見積もりを出してもらうことにした。

写真展で使用した写真パネルの収納も必要になっているので、物置小屋の完成が

待ち遠しい。



(写真上:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ )

(写真下:オリンパス EPL-1 14-42ミリ リバース改造レンズ )




今日は朝から曇り。

午後3時頃から小雨がパラツキ始めた。

夕方になって雨は止んだ。

そして、午後7時14分。 霧島山の眺望。

PXB40584.jpgさらに10分後。

PXB40606.jpg夕焼けを見ながら、シンジュサンのことが気になって様子を見てみた。

朝からずっと交尾したままだったが、午後7時過ぎには離れていた。

しかし、少なくとも午後6時過ぎまでは交尾していたので、交尾時間は12時間以上だった

ことになるだろう。


(写真:オリンパス EPL-1 LUMIX G VALIO 45ー200ミリズーム )


神樹蚕

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昨晩、一個だけあったシンジュサンの繭から、メスが羽化した。

羽化した場所はうちの庭。

XA035721.jpgシンジュサンはここ南九州では普通に見られる。あちこちで発生しているようだ。

ところが、わが家では3年前に一度だけ、灯りにオスが飛来したのみで、

シンジュサンが多い、という実感を抱けないままだった。

ところが、今朝になってメスの様子を覗いてみれば、オスと交尾していた。

PXB40568.jpg写真画面の右がオス。

つまりメスのところにオスが昨夜のうちに飛来したのであり、

やはり、うちの近辺にもシンジュサンは当たり前に棲息しているのだなあ、と

ようやくそう思えるようになった。

三股町、あるいはお隣の都城市でもそうだが、あちこちにクロガネモチの植樹が多い。

うちの近くでは公民館の西側にズラリとクロガネモチが並んでおり、

引っ越してきた当初から期待していたのだが、幼虫も繭もまだ一度も見つかっていない。

シンジュサンの発生場所は、毎年、安定しているようにも感じるし、そうしたポイントは

案外、局所的にあって、遭遇できればよし、遭遇できないと、いつまでも

シンジュサンとの縁が薄い、ということになるのだろう。

またシンジュサンは周期的に大発生する年があり、そういうときには

クロガネモチが丸裸となり、まさに繭ツリーなる光景も観察できる。

さて、せっかく交尾が成立したのだから、

メスに産卵してもらい、シンジュサンの飼育も少しはやってみよう、という気になった。

(写真上:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ   )

(写真下オリンパス EPL-1 M.DIJITAL 9-18ミリズーム サンパックB3000S )


今朝、小学校に展示してあった水槽で、一匹のタイリクアカネが羽化していた。

翅は羽化不全であったが、ともかく回収するまでに羽化してくれた。

ヤゴは詰め込みすぎたこともあって、死ぬものも出てきたし、土日の前に

回収しておいた。


さなぎ

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朝から雨が降ったり止んだりで、天候は不安定だったが、

夕方五時ころから青空が戻ってきた。

犬の散歩に出てすぐ、ミカンの梢を覗き込めば、

アゲハの蛹が目の前にあった。

XA025170.jpg普通種と言えど、葉が茂ってからアゲハの蛹を野外で見つける機会は少ない。

上の写真では画面中央右よりに蛹がついている。

XA025178.jpg腹部節間が伸びているので羽化が近いのか、あるいは寄生を受けている可能性もある。

羽化する瞬間は無理でも、羽化直後の姿は見ておきたいが、

そういえば庭のススキのヒメジャノメの蛹。

XA025246.jpg留守にしている間に羽化して、抜け殻となっていた。残念。

ふ化、脱皮、羽化、、、、、昆虫の変態シーンは長年やっていても、なかなか思うようには

いかないものだ。


学校のプール

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昨日、こどもの通う小学校に出向いて、プールに網を入れてみた。

明日にはプール開きの清掃が予定されており、ぎりぎりセーフ。

P6010004.jpg学校のプールにはどんな昆虫がいるのか、興味がありながらいつも忘れてしまい、

ハッと気付いたときはすでにプール清掃の後、なんてことを繰り返してきた。

今回はあらかじめ清掃の日程を伺い、準備しておいた。

水面にはアメンボ類が群れていたが、若い幼虫が多い。

水底には泥と藻類が薄く溜まっており、そこを掬っていくと、コミズムシ類が多数網に入った。

次によく入ったのがトンボ科のヤゴ。

ヤゴは全てをきちんと調べていないが、少なくとも、タイリクアカネコシアキトンボ

きわめて多い。

JX013403.jpgタイリクアカネの一匹は昨夜から上陸し、今朝になって羽化した。

XA015117.jpgこのあと起き上がってから水面に落ちてしまった。右前脚の爪がうまく掛からないのか、

枝に戻しても静止するのに難儀していた。一度水面に落ちたダメージのためか、

羽化完了後も翅はきれいに伸びなかった。

XA025124.jpgせっかくの機会だから、子供たちにもプールで見つけた昆虫をみてもらうことにした。

P6020006.jpg学校の廊下に水槽を置き、捕まえたコガタノゲンゴウ、コシマゲンゴロウ、コミズムシ、

そしてヤゴ類を展示してみた。コミズムシのガラスびんには小さく切ったおりがみを入れて、

風船虫の動きを観察できるようにした。

P6020004.jpgさっそく2年生の子供たちが熱心に観覧。プールで捕まえたと説明を聞くと驚く子も多い。

プール清掃する前に、子供たちにもプールの中にどんな生き物が棲んでいるのか経験でき

る時間があってもいいのではないか、と思う。

ヤゴの種名は敢えて書かず、羽化させてから調べてもらうことにした。



口蹄疫

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口蹄疫のため、宮崎県では非常事態宣言が発令されている。

だから県内を移動する際にはたいへん気を使う。

先月の末、宮崎から松山に帰省したが、いつものルートを変更して、

鹿児島空港から一気に空路で松山に戻ることも真剣に検討していた。

だが、撮影中の生き虫を運ばねばならず、

しかも航空運賃は陸路+海路の倍以上もするため、

断念せざるを得なかった。どうしても車で移動するしかなかった。

陸路をとると、渦中の川南町、都濃町、木城町、西都市などを経由することになる。

道中、消毒ポイントは何箇所かあったが、噴霧器による車両全体への消毒を受けたのは

一ヵ所のみで、他はすべて消毒マットの上を徐行して通るだけであった。

消毒マットの通過程度で効果があるのかと疑問に感じたのは、私だけではないだろう。

しかし消毒ポイントを各所に設置して24時間体制の動員を維持するのは、

それだけでもたいへんな労力と経費が必要だ。牛の姿が消えた牛舎を遠目に

見ながら、ことの重大さをあらためて感じた。

今回の移動中、気をつけたことは、とにかく途中下車はしないこと。

消毒マットの上はできる限り最徐行すること。


庭のヒメジョオンで、カノコガがササグモの餌食になっていた。

カノコガの姿を見るようになると、梅雨も間近だ。

霧雨に濡れながら、撮影した。

XA315114.jpgうちの周辺では、クリの花が満開のピークを迎えている。

(写真:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ )