2010年7月アーカイブ


無駄な産卵?

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ゴマフリドクガのペアを撮影したのは昨日の午前6時半ころだが、

今朝になっても同じ場所でまだ交尾していた。

その後、午後2時過ぎになってようやく交尾が解けていた。

観察できた範囲でも交尾時間は約32時間となる。

IMG_1830.JPGさてはと見渡せば、産卵直後の卵塊が2箇所で見つかった。

IMG_1834.JPG卵はメスの腹部の毛で覆い隠れているが、窓ガラスなので卵の様子がわかる。

これを反対側から撮影してみたのが、網戸の上の卵塊。

IMG_1838.JPG本種のホストはサクラやヒサカキらしいが、窓から近くにどちらの樹も植わっていない。

孵化したとしても餌に辿りつけず、餓死してしまうのではないだろうか。

そういえば、洗濯物を取り込もうとして、マルカメムシがそこに止まっているのに気付いた。

よく見れば洗濯物の生地の上に産卵していた。それも2匹がやっていた。

洗濯物干場の近くにクズの群落があるが、それにしても2メートル以上は離れており、

その間はコンクリートの地面と壁のみ。

この場合も孵化幼虫がクズに辿りつくのはかなり難しいかと思える。

ホストからやたら離れた場所に産卵するという現象は、

いろいろな昆虫で観察されているが、人の目で見てたいへんな隔たりと感じても、

どっこい孵化幼虫は時間をかけてちゃんとホストへ到達できる場合もあるようだ。

それは敢えて母虫がホストから離れた場所へ産卵するケースで、それなりの理由も

ちゃんとあるとする研究例もある。

しかし、マルカメムシとゴマフリドクガの今日の産卵例は、そういう理由に当てはまらない

のではないかと思える。では、なぜ無駄と思える産卵をするのであろうか?

もしかしたら未受精卵なのかもしれない?、、、、、、、。

と、少しは考察したにもかかわらず、

洗濯物の山をカゴに詰めきったころには服に付着した卵のこともすっかり忘れて

あたふたと家の中に運んでいた。


夕方、ツクツクボウシの鳴き声を聞いた。

ツクツクボウシの抜け殻はもう1週間以上前に見つけていたが、

鳴き声を確認できたのは今日が初めて。




夜の灯りと虫屋

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朝食の前に居間のカーテンを開けば、

ゴマフリドクガだろうか? 交尾カップルが窓ガラスに貼り付いていた。

JX295097トリミング.jpg画面上のお腹が大きい方がメスで、下の眼が大きいのがオス。

やはり背中側も見ておきたいので、外に出てからもう一枚。

JX295116トリミング.jpgふ~む、メスのスカートの中にオスが紛れ込んでいる、じつにわかり易い体勢だ。

などと感心しているが、本種も毒針毛を持っているので、

フサフサしていて気持ちよさそうなどと、迂闊に触ってはいけない。

かと言って、私はいまだかつてドクガに被れた経験も無く、どれほど痛いのか知らない。

朝、このカップルを見つけたのだが、このままの姿勢で夕方になってもじっとしていた。


さて、今日は急遽、夜の山に入った。

ミヤマクワガタの立派な個体、そしてカマキリモドキなどを撮影しておきたかったのだが、

知り合いの虫屋さんと初めてお会いする虫屋さんと、山間のダムで合流することになった。

XA290266.jpg自動販売機の灯りに来ている虫でもっとも目立ったのがサツマコフキコガネ。

ダムの上で水銀灯を炊いてナイターを行ったのだが、

風もあって虫の集まりはあまり良くなかった。それでもヘビトンボの飛来は多かった。

水銀灯の灯りの中、集まった5人の虫屋はずっと話が弾んで、

ナイターを11時ころに切り上げてからも、駐車場で立ち話が続いた。

とくに奄美大島の虫やいろいろな動物の話は興味深かった。

キンカメムシの新情報や撮影されたばかりの写真も拝見でき、

来年はどうしても奄美大島に行きたくなってしまった。

ということで、わが家に帰り着いたのは零時過ぎ。

こんな遅くまで起きていたのは久しぶりのことだ。

虫に夢中になっている人の話は、ほんとうに楽しい。

もっとも普通の人が傍で聞いていたら、なんと子どもじみた!と感じるかもしれないが。


わが家のテレビ電波受信の状況はきわめて悪い。

さすがにNHKはまともに映るが、民放できちんと受信できるのは宮崎放送の一局のみ。

私としてはそれで全然かまわないのだが、子どもたちはそうもいかないらしい。

ザラザラのまるでモザイクが掛かったような映像でも、見たい番組は見ている。

どうせなら、テレビなんぞ全部映らなければいいのに、と思う私だが、

いよいよデジタル化すれば、民放どころか、NHKも受信できなくなるよ、

という話が舞い込んできた。

オオオ!! 願うところではないか。

デジタル移行すると発信アンテナも場所が変わるようで、そうなるとわが家の条件は、

ますます悪くなる、という理屈らしい。

それで私は大いに喜んでいたのだが、じつはさらに別の話が舞い込んできて、

いやいや、デジタルになると霧島山がよく見える家なら、かえってどの局も受信できるよ、

ということらしい。

いったい真相はどちらなのかよくわからないままだが、

このままでは、古いテレビを買い替えようという計画はとりあえず棚上げということになる。

オオオ!! 願うところではないか。


さて、昨日、紹介した「ライト三脚」だが。

ライトスタンドと三脚の合体で一番のポイントとなるのは、

三脚のセンターポールの直径であり、この径がライトスタンドの支柱の径よりか小さいと

合体はできない。

P7270032.jpg写真のごとく、ライトスタンドの支柱が三脚にぴったり納まっているが、これは偶然。

支柱の径は25ミリ。

そこでセンターポールの径が25ミリないしはそれ以上の三脚を探してみた。

三脚のメーカー、ベルボンとスリックの2社で調べてみたら、

スリックでは、センターポールの径が機種ごとにちゃんと表示されていたが、

ベルボンでは表示が無い。したがってベルボンの三脚はカタログ上では調べようがない。

しかし新品の三脚を使うには抵抗もある。よほど廉価であればいいが、

できれば三脚は中古のものにしたい。

しかし、ネットオークションなどで出物があっても、センターポールの径までは表示されて

いないだろうから、これも難しい。

東京のフジヤカメラなどには少ないながらも中古三脚が売っているが、

上京する予定は秋まで無いので、これも不可。


カメラ機材のなかで、できるだけ数があったほうがいいものは、

私の場合、ストロボとそれを支持固定する器具、三脚ないしはライト三脚である。

したがって、とくにストロボの支持器具類はいろいろな条件に併せて、

形状も機能も多様化するので、既製品だけでは対応できない。

三脚というものが、中古市場にほとんど出て来ないということは、

全国の埋め立てゴミ処分場とか、そういうった場所に消えていくか、

あるいは各家庭の物置小屋の隅に眠っているのではないか、と想像するのである。



少し高い場所(2~3メートル程度)で撮影するとき、まず脚立を用意して

カメラを構える位置を高くする。長時間の撮影でなければ手っ取り早い方法である。

昼間ならこれでほぼ問題ないが、

さて夜の撮影となると照明を工夫しなければならない。

夜の照明は撮影意図に沿っていろいろやり方があるが、

カメラと離れた位置に照明器具(ストロボ)を配置したい場合が多い。

そこで高い位置にストロボを簡単にもっていける、ライト三脚なるものを拵えた。

P7270030.jpg上画面の左がライト三脚で、右はスタジオ撮影でよく使われるライトスタンド。

ライトスタンドは軽くて、高く伸びるので照明器具の設置には便利で扱い易いが、

もともと室内用なので凸凹した地面では不安定となり、斜面ではまったく使い物に

ならない。

そこで、高く伸びるセンターポールを活かし、これを三脚と合体させてみた。

まず、ライトスタンドの脚部をはずす。

P7270018.jpg工程としては、脚部底面の固定ピンを抜くだけでいいのだが、このピンをはずすには少し

手間取る。頑丈なので木槌とマイナスドライバーでピンを叩き割ってみた。

小型のリーマーがあれば簡単だろうが、生憎リーマーのモーターが焼けて壊れている。

次に三脚のセンターポールをはずす。三脚の機種によっては簡単なはずだが、

手元にあったスリックの三脚は古く、ロックネジ部が錆び付いていてはずれないので

そこをグラインダーで強引に切断した。

センターポールを上下作動させるウォームギアが邪魔になるのでこのギアもはずしておく。

(ちなみにウォームギアというのは、ワームギアと言うのが英語のカタカナ読みとしては

正しいようだ。しかしウォームギアが日本語では定着している)

今回、偶然にもライトスタンドのポール径と三脚のポール径がぴったし合っていた。

三脚にスタンドのポールを差し込んで、出来上がり。

P7270036.jpgこのライト三脚は、脚を全部伸ばし、そしてセンターポールを最大に伸ばせば、

4メートル程度の高さまで照明器具を固定できる。

もちろん脚部は三脚だから設置場所の起伏や斜面に併せて脚の長さを調整すれば

安定させることができる。もっとも風が強いときなど、そのままでは倒れる危険性がある。

首がキリンのように長いのと、三脚を開いた姿がキリンの脚にも見えて、

当初この合体スタンドの名称を「キリン ライト」にしようかと思っていたが、

それだとまるでビールの商品名なので止めて、

「ライト三脚」などというそのまんまの名称に落ち着いた。

この「ライト三脚」さっそくテスト撮影で使ってみたが、仕組みが単純なだけに使い易い。

今夜の夜間撮影で使う予定だが、「ライト三脚」、最低もう一台は必要。

となると、適当な三脚をどうやって探し出すかだが、、、、、、、、、。



林のお客さん

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今日はわが家の林にお客さんが次々と来て賑やかだった。

朝一番はカブトムシのペア。

仲良く樹液を吸っていた。

次はおっさん達3名。林の下から登ってきた。

うちのクヌギをホダ木用に伐採したい、と言っていた元庭師の方と、

実際にホダ木を販売する業者の方達。

「ここのクヌギは樹齢40年は越えてますよ。」と説明すれば、

クヌギを見上げながら「こんなでっかいクヌギは使い物になりませんワ!

運び出すのもたいへんだ!」

ということで、あっさり商談は消滅した。

私としてはタダで萌芽更新できると期待していただけに少々がっかり。

まあ、たしかに切り倒すのは簡単でも、その後始末は相当な労力が必要ではある。

でっかいクヌギはまったく無価値ということだ。フ~む、そういう捉え方もあるか。

次に現れたのは、なんとミヤマクワガタのオス

3年前にでっかいオスを見たきりだ。この辺りでミヤマクワガタはたいへん稀。

XA260110.jpg小ぶりなオスではあるが、まさに珍客さんだ。

どこから来たんだい?君は。

気になっていたやぐらの補強をしておいた。単管を直交ジョイントで増設する。

足場板の固定もロープ留めではなく、金具を使ってでネジ止めとした。

作業していると電話が立て続けに掛かってきた。

電話の応対をしていると、うちにお客さんがみえた。

昆虫学の研究者の方。まさに珍客さんだ。

うちの近くを少しだけご案内したが、いろいろ興味深いお話を伺うことができた。



「ぼくは昆虫カメラマン」(岩崎書店)の見本が届いた。

ぼくは昆虫カメラマン.rtf.jpg読み物本の書き下ろしは初めてだが、この原稿の書き出しにはずいぶんと時間が掛かって

しまい、編集者の方にはご迷惑を掛けた。

今回のような表題でどこまで、どのように書くか、いろいろ考えてみたが、

昆虫観察記の内容を多めに盛り込む、という基本方針でいくことにした。

対象読者の年齢層も配慮し、ページ数もあまり欲張ることなく納めた。

大人の方が読むと、全体のボリュームに物足りなさを感じるかもしれない。

この本を読んだ子どもたちには、何かのヒントを掴んでもらえたなら、と願っている。

私自身が思春期から青年期にかけて、

数多くの本との出会いのなかで、さまざまな刺激を受けてきた。

いつのまにか自分が子ども達に向けてメッセージを発する立場になったのだなあ、

という感慨を、今回の本を書き上げてみてあらためて強く抱いた。

虫のことであまり熱くなってもらっても困ることもあるが、

近頃はそういう熱血昆虫少年はきわめて珍しい存在になってしまった。

とくに昆虫少年という肩書きなど必要はないと思うが、

自然のことにまったく背をむけてしまう大人になるよりか、

いつの日も自然ありきという観念を持てる大人になって欲しいとは思う。




田舎暮らしとは

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東京から宮崎に移転しようと決めたとき、中古物件をネットで検索してみた。

キーワードはもちろん「田舎暮らし」だった。

いくつか条件に見合う物件があった中で、今住んでいる家は2件目にヒットしたものだった。

そして2007年の春から暮らし始めて、4年目となった。

XA199618.jpgこれまでにもいろいろ生活面の話も書いてきたが将来田舎暮らしを考えている人にとって、

もっとも関心を寄せる部分であろう、電気、水など生活の基本をなすエネルギー環境に

ついて少し触れておこう。

わが家は田舎に違いないが、かといって山奥でもなく、たいへん見晴らしが良い開けた

環境にある。車の通行量も少なくない県道もすぐ近くを通っている。

だがしかし、、、、、、、、、、。

まずもって、わが家には水道がない。生活用水は全て井戸水。

水道管は400メートル離れた県道沿いを走っているが、そこから水道管をわが家まで

ひくとなると膨大な費用が必要だ。個人負担などできようはずがない。

三股町役場で調べてもらったのだが、我が家はともかく町内の隅っこにあって、

「ええ~!!こんなところに家があったと!!」と地図を眺めながら担当者も驚いたので

あった。

この場所では到底、水道管を新たに敷設することは不可能と言われた。

もっとも保健所で井戸水の検査をしてもらったところ、飲料水として問題無いことは

確認できている。

飲料水としてはたいへん美味しい水であり、冬は暖かく、夏は冷たい、という

井戸水ならではの長所があって、やはり田舎暮らしはいいなあ~と感じるのである。

がしかし、、、、、、、、、、、、、。

井戸水ならではの問題が最近になって発覚した。

入居当初から気になってはいたのだが、わが家の風呂は温水機で湯を沸かす。

夜間の低料金電気を使うシステムだが、電気温水機の普及率は九州では高いようだ。

ところがお湯の蛇口を見ると白い付着物が目立っていた。

そしてお湯の蛇口から熱湯の出が良くない。あきらかに配管が詰まっているようだ。

あまりにも給湯機からのお湯の出が悪いので、温水器も替え時とみて、

業者に相談してみたところ、電気温水機には井戸水は相性が悪く、

井戸水専用の機種は、日立にしか無い、ということがわかった。

しかも、その日立の井戸水対応機種であっても、井戸水の水質検査に適合しないと

設置できないことがわかった。

その水質検査の結果が今日になって届き、なんとわが家の井戸水は不適格であった。

その原因は、シリカ成分の含有量が多いためで、温水機内部の腐食につながるそうだ。

温水機もエコキュートという最近の機種だと工事費併せて、80万は越す。

けっこうなお値段だが、うちではエコキュートなどはそもそも設置できないのだ。

膨大な出費が無くなって、逆にホッとした。諦めるしかないのだ。

全国で井戸水を生活用水としている家庭はわずか3%という数字も聞いている。

田舎暮らしに井戸水はいかにも似合っているが、条件によっては電気温水機は

使えないのである。

では、これまで使ってきた我が家の温水機は、なぜ設置できたのか?

まあ、設置当時はけっこういい加減なことやっていた時代だったらしい。

水質など無視していたというのが真相であろうかと思う。

となると、わが家の風呂は今後どうやってお湯を沸かすのがいいのであろうか。

薪窯で沸かすというのが田舎暮らしには向いている。

薪の調達、火おこし、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。

風呂の問題はにわかに浮上してきたのだが、

今稼動している温水機が完全に壊れるまで、、、、あるいは冬を迎えるまでには

結論を出さねばならない。

まあ、要するにわが家では、オール電化などとはまったく無縁であることだけは確かである。

PXB71774.jpg


大きい芋虫

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うちの林で毎年、よく見かけるのがクチバスズメの幼虫。

よりによって庭の小さなクヌギに必ず卵が産みつけられている。

幼虫は大きな体になるが、卵もでっかいのでよく目立つ。

ああ、今年も卵産んだな、と卵に気付いてからいつもそのことを忘れてしまう。

ふと思い出した頃に小さなクヌギを覗き込んでみれば、でっぷり肥えた芋虫がいた。

XA229925.jpg写真では驚いて体を縮めているが、おもいきり伸長すると最大で15センチほどの体長と

なる。


さて、オリンパスのストロボFL36R(下写真、画面右)は手持ちのクリップオンタイプの

ストロボではもっとも活躍してくれるスレーブ内臓の優れたストロボ。電源も単三2本なので

軽いし、予備電池の数も少なくて済む。

ところで、池や川など水中にカメラを入れる撮影は、できるだけ自然光で行いたいが、

条件によってはストロボが必要になることもある。

今、EPL-1用の水中ハウジングを製作依頼しているところだが、このハウジングで使用

できる水中専用のストロボも用意した。

XA229881.jpg写真画面左の赤いストロボがINONのS-2000、という水中ハウジング専用ストロボ。

FL36Rと比べてほぼ同じ程度の大きさだが、電源は単三4本。

小型ながらマニュアル発光量は12段階調光できるし、もちろんスレーブ機構内臓。

フル発光させてもチャージ時間はきわめて短い。

だいぶ昔1996年のこと、屋久島の浅瀬に潜って海の生物を撮影したことがある。

カメラはニコノスⅤ。ウェットスーツも水中カメラのニコノスも借りたものだったが、

ウェイトが無くて撮影にはたいへん苦労した。ウェイトがいかに大事なものか身にしみた。

ニコノスⅤはレンジファインダー式のため、とくに接写撮影はやりづらかった。

この手のカメラの操作体験が無かったので、まるで素人そのもの。

接写装置のアームを被写体のへばりついている岩などに押し付けると、

アームからの反動でレンズがはずれそうになり、ヒヤヒヤさせられたり、

ともかく撮影の成果は悲惨なものだった。

この撮影の経験をきっかけに、水中撮影というものに俄然興味を抱き、

水中ハウジングシステムやドライスーツまで、いろいろ調べてその気になっていた。

ところが水中ハウジングや水中専用ストロボのメカそのものに興味が向いてしまい、

結局、では水中撮影と言って何を撮るのか?という疑問に立ち返り、

あっさり水中撮影入門の扉を閉じてしまったのであった。

それから14年。

INONのS-2000を手に乗せて、屋久島の海辺で過ごした日々を懐かしく思い出した。



うわさ

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敷地内にやぐらを2基、組んでいる。

そのうちの1基は道路からもよく見える場所にある。

P7210003調整.jpgやぐらは上画面の右端にちょこんと見えているが、実際にはもっと目立つ。

さて、このやぐらのことがご近所の方達の間で、ちょっとうわさになってしまったようだ。

いかにも怪しい、という。     源泉のボーリング調査? それとも、井戸掘り?

そうでもなければ、一体なんだい、ありゃあ!?

先日、うちに寄ってくれた近所の大工さんが

「みんなから聞かれるとですよ。

新開さんちでは、何が始まると?と。

なんか、虫の研究でもしとるとよ、と言っておきましたが。で、いったい何ですか?」

高所というほどでもないが、脚立ではこなせない撮影をするために、やぐらを組んだ。

とは、以前にも書いたが、

昨晩のこと、ちょうどやぐらの上で撮影中に近所の方が回覧板を持って来られた。

やぐらの一つは玄関からすぐ目立つ場所にある。

私の姿に気付いたその方は、「なんば、しちょると?」と怪訝そうに私を見上げる。

「嫁さん、うちにいますから、、、、ごめんなさい、こんな高いところから、、、、」


まあ、やぐらの上であろうと、畦道であろうと、場所は関係ないのである。

要するに私がカメラを向けて熱心に撮影している姿は、なかなか理解されにくいには

違いない。いったい、何を撮影するんだい???こんなありふれた田舎で、、、、。

私が昆虫写真家という職業であることは、一応伝わっているとは思うが、

昆虫に情熱を注ぐ、あるいは大いに興味を抱く、という行為、思想、、、そういうことが

まずは理解しづらい、と見受ける。

これは私の努力も足りないことと思う。

さて、さて。

3メートルといえど、この高さで機材を長時間に渡って扱うからには、いろいろ対策が

必要。下の地面は柔らかい土ではあるが、ところどころ石もある。機材を落としたら

悪いことはあっても、良いことはないだろう。

その一つ。三脚はずっと置きぱなっしであるから、しっかり固定している。

PXB12584.jpg2種類の金具を組み合わせ、三脚の脚部をやぐらの足場板にネジ留めしている。

金具は奮発してステンレス製。


昔、小学4年生のとき遊園地に『ビックリハウス』というのがあった。

友達と二人でそのビックリハウスの小部屋に入った。

中には窓や家具などが描かれてあったが、外は見えない。

二人とも何が起こるかまったく知らない。

テーブルを挟んで二人は向かい合わせの椅子に座り、ビックリが始まるのを待つ。

しばらくすると椅子がゆっくり振り子運動を始め出す。

だんだんと揺れが激しくなっていくにつれ、椅子から落ちぬよう、

二人は悲鳴を上げながら必死で椅子にしがみついていた。

振幅がおさまってから小部屋を出ても、さっきまでの恐怖がまだ残っていた。

あれは一体なんだったんだ!?

まあ、見事に引っ掛かったのだが、こういう錯覚は日常生活の中でもよくある。

運転席で信号待ちしていると、自分の車がいつのまにか後ろに動き出している!

と、驚いてサイドブレーキを引いたり、ブレーキを踏み込む、という経験は多い。

じつは横に並んだ車がゆっくり前進し始めたのであり、

相対的にこちらが動いているように感じるわけだ。


今、毎日のように登っているやぐらは、樹木との間5センチという近距離にある。

やぐらの上でじっと目の前の樹木を見ていると、

自分の座り込んでいるやぐらが、ユラリ、ユラリとかなり揺れている。

3メートルの高さでもこれは気持ちがいいものではない。6メートルも上がれば、

きっとさらに恐いだろう。

これも相対的な動きからくる錯覚なのだが、それと頭ではわかっていても、

体の平衡感覚はどうしても騙され続ける。

人によっては気分が悪くなるかもしれない。

樹木はがっしりと根を張っていて、通常は揺れているようには見えないし、

それくらいガッシリとした印象を樹木に対しては抱いているから余計に錯覚は大きい。

しかし、けっこう幹回りが大きい樹木であっても、枝葉を広げているぶん、

ちょっとした風圧でもかなりの抵抗力が発生する。

じっさい、樹木はよく揺れているのだ。

もっとも揺れることで、折れたり倒れたりせずにしっかりと大地に踏みとどまっている。

ということで、樹齢15~20年程度のクヌギなどは、傍でじっと見ていると、

ずいぶんユラユラしていることがわかる。

やぐらも柔らかい地面に設置してあり、頑強な構造でもないので、

足場で身動きするたびに、グリグラ、グラグラと、細かく揺れる。

桜島が噴火すれば、けっこう揺れるだろうなあ、とも思うが、

やぐら上で噴火振動の経験はまだない。

グリグラと来る前に少し補強しておこうか、と今日は思った。



梅雨明け!?

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今日も昨日と似たような天候だった。

午前中、西の方角に虹を見る。

午後3時頃になると晴れ間が安定した。もうさすがに梅雨明けだろうと思えた。

L1196745.jpgうちの林が青空を背景にするのも久しぶりのこと。

林の下草では、すでにツクツクボウシの抜け殻があった。

連日、カイコの羽化が続いているが、メスのコーリングのときにフェロモンのうがよく目立つ。

XA199510.jpg黄色い風船のようなフェロモンのうは、驚かすと引っ込めてしまう。

さかんにコーリングしているが、オスの羽化のタイミングが合わない。

婿さん不足なのだ。2匹いるオスはどちらもすでに交尾中。

なのにメスは次々と羽化しては、オスを招いている。


ニシキリギリス

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青空が見えてきつい陽射しがあるかと思えば、すぐにも霧雨が降る。

そういうことが数分おきに繰り返され、仕事がなかなか捗らなかった。

ときにはいきなり雲が濃くなり、ザアー!!と勢いよく降りだす。

午後5時半頃には本格的な夕立となった。

それでもなんとか今日予定していた撮影だけは完了。

陽射しが強くなった合い間に姿を晒していたのは、キリギリスのオスだった。

JX184427.jpg正確にはニシキリギリスらしいが、ヒガシキリギリスとどこがどう違うのか、

細かく調べてみたことはない。

東京にいたころに見ていたキリギリスはヒガシキリギリスだが、

宮崎に来てから見るキリギリスも同じようにしか見えない。

生態や形態の細かい違いが理解できたとき、はじめてニシとかヒガシとか

使い分けてもいいように思える。

それまではとりあえず、キリギリスでいい。

(オリンパス E-620   50ミリマクロ ストロボB3000S )



ニホンミツバチ

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うちの林に近づくと、ワンワン、ウォンウォン、というような虫の羽音が降り注いでくる。

少し前から気になっていたが、羽音はメダラの梢に集中している。

L1176674.jpgタコの脚のように放射状に広がった花茎(?)を撮影するには脚立が必要で、なおかつ

脚立の最上段に登って思い切り手を伸ばしてからノーファインダーで俯瞰撮影してみた。

花の数はいくつあるだろう?ともかく凄い数には違いない。

今、このメダラの群花には夥しい数の昆虫が訪れている。

その中でもひときわ多いのがニホンミツバチである。

JX174173.jpg宮崎に移転してから、うちの敷地内そして近辺でもニホンミツバチを見かける頻度が低い

ということは、何度も書いてきたかと思うが、ほんとうに久々に多数の飛来を見て、

けっこう感激した。その中にわずかだが、セイヨウミツバチも混じっているが、きわめて

少ない。

で、このニホンミツバチ達がどこから飛来してくるのか?

じつは数日前にその場所を見つけており、そこはわが家から直線距離で1キロ先の場所。

L1176732.jpg丁寧に拵えた巣箱が雑木林やお庭の片隅に置かれていたのである。

わが家のメダラを訪れているニホンミツバチは、まず間違いなくここの巣箱の住人である。

今日は巣箱の持ち主の方のお宅を訪れ、いろいろと詳しいいきさつを伺った。

巣箱は全部で5台あったが、今年の春から始めたそうだ。

ニホンミツバチの飼育は10年ぶりとおっしゃる。

1キロ内のそれも顔見知りの方のお家であったので、今後も採蜜や分蜂などの作業を

撮影させてもらうようお願いした。

だいぶ以前に愛媛県の山村でニホンミツバチの撮影や取材をしたが、

そのときの飼い方に比べるとかなり進化している。

進化というと少し語弊があるが、巣箱の構造などは重箱方式となっており、

細かい改良や工夫があって、愛媛で見た単純な作りとはかなり違う。

もっとも、愛媛の方のやり方には名人芸的な要素が強く、それは人が真似できない

技に近いものだった。その方は事故で亡くなってしまい、もう二度とその技を拝見することは

できない。

ニホンミバチは今や、ちょっとしたブームになってしまい、

飼育の仕方に関する情報もネット検索すれば、ものすごくたくさんヒットする。

飼う人もこの三股町内だけでもけっこういるそうだ。




梅雨明け間近?

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朝方、晴れ間が出たのは束の間のことで、昼前から雨となった。

今朝から始まったカイコの羽化を撮影し、

しばらく外出したあと再びスタジオでメスの産卵を待った。

待っている間にウトウトしてしまい、ふと気付けば雨は止んでいた。

XA169031.jpgカイコの飼育は6月のはじめにふ化から始まり、ちょうど38日目にして羽化となった。

今朝羽化したのはオスが数匹とメスが一匹(上の写真は、オス)。

メスは繭から抜け出るとすぐにお尻を振り回し、コーリングを始め、これに応えるようにオスが

やって来て交尾が成立した。

メスが産卵を始めたのは、午後7時半。交尾成立から約13時間後のことだった。

カイコは「黄白」という品種で、メスの紡ぐ繭は黄色。繭の段階で性別がわかる。

カイコは翅はあっても飛ぶことはできない。オスとメスは羽化したとき互いに傍にいる、

という大前提の下、生きている。人が長い年月を掛けて改良したからとは言われるけれど、

むしろカイコ自身が選らんだ結果ではないか、そんな風にも感じる。

カイコが人の生活にうまく潜りこんだのであり、カイコが人を利用したとも考えてみると

面白い。



夕方、犬の散歩でハルニレの樹液を覗いてみた。

数多くのカナブンをはじめ、アカタテハ2、ゴマダラチョウ、キタテハ、ルリタテハ、コクワガタ

他、たいへんな賑わいだった。カブトムシのオスはカラスに喰われて無残な姿で

ころがっていた。

うちの林のクヌギ樹液では初めてカブトムシのでっかいメスが来ていた。

このメス一匹で樹液を独占状態。

XA169237.jpg西の方角に大きな入道雲が浮かんでいた。

今朝は雷もゴロゴロ鳴ったし、もう梅雨明けではないかと思いたくなる。


夕方、犬の散歩中に見つけた。

ヤマノイモの葉っぱをモリモリ食べているキイロスズメの幼虫である。

スズメガ科でヤマノイモを食すのは本種だけだから、見誤ることは無い。

それにしても丸々と肥えた超熟幼虫だ。でっかい!!

高い位置で堂々と食事をしている。

XA158959.jpg幼虫の体の質感は、大福餅のようでもあり、たっぷりと餡子が詰まって美味しそう。

芋虫型大福餅なんて、作っても売れんだろうが、食べてみたい!.

写真の幼虫は緑色型と呼ばれるが、色彩は薄青色である。

他に黄色型と呼ばれる茶色の幼虫も見かける。

ハルニレの樹液にはアカタテハ、キタテハ、クロコノマチョウ、クロヒカゲ、他いろいろな

甲虫が来ていた。

その中でも、ルリタテハの翅裏がブルーに輝いていた。

XA158984.jpgルリタテハの翅裏は隠蔽擬態で地味な模様だと思っていたが、

ストロボの光の当たり具合だろうか、地味とばかりも言えない。

今日もまた、単管で2台目のやぐらを組んでみた。

単管でやぐらを組むというのは、けっこう難しいものだと感じる。

垂直、水平を保ちながら立体空間を造り出すのは容易ではないくらい、わかっているつもり

だが、実際にこれをしかも一人で実行するのはなかなか厄介である。

斜面のしかもフニャフニャの地面に足場を設置して、やぐらを組んでみると微妙に歪んで

しまう。まあ、実用面では支障無いので見てくれは無視するとしても、

やぐらを組む技術はもっと経験を積んで、カッコよく組めるようになりたいものだ。

3メートル程度の高さと言えど、その位置で三脚を構え、長時間待機しながら

撮影するとなると、脚立などでは到底無理。やはりしっかりした、足場が必要だ。

やぐらを組んでいる私を見ていた嫁さんが、

「高所クレーン車をレンタルしたら~!その方が早いでしょ!」と、言うのだが、

「わかっちゃいないね~!!

クレーン車がどうやってここまで入るのよ。斜面だよ!狭いんだよ!うちの林は。

所沢のだだっ広い平地林とは、わけが違うんだからね~!!」







新規パソコン

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五日前にDELLのデスクトップパソコンが届いた。

予定より六日も早かったので驚いた。アメリカからの船便とはそういうものか。

これまでVAIOを使ってきて、2台目もVAIOにしようかと思っていたが、

VAIOのデスクトップはボードパソコンのみとなりいろいろ拡張できないので止めた。

DELLのデスクトップは余計なソフトも入っておらず、拡張性が高いのも良い。

さっそくパソコン内部を開けてみて端子を確認してから、内臓HDD用ラックを注文した。

P7120012.jpgDELLパソコン(画面左)はまだ本格始動していないが同じ画像ソフトで作業時間を

比べてみたら、当然ながら圧倒的にDELLの方が速い。






チャイルド本社のエコ育絵本・ちきゅうの なかまたちシリーズの第4巻目、

すごいな ぞうきばやし(写真/新開孝・文/西沢杏子)は、

写真を私が担当した。見本は先月のうちに届いており、7月に入ってから紹介しようと

思っていたら、遅くなってしまった。

すごいな.jpg今年に入って出版に関わった本は、

『里山の昆虫ハンドブック』 (NHK出版)
『びっくり!?昆虫館』 (岩崎書店)
『むしのかお』 (ポプラ社)

そして来月には、『ぼくは昆虫カメラマン』(岩崎書店)が出る予定。
この本は小学中学年~中学向けの読み物。


物置小屋

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降りそうで降らなかった、雨。

ときおり強い陽射しもあり、おかげでうちでやるべき作業に励むことができた。

その一つは完成した物置小屋の整理整頓作業。

合い間を見て、やぐらの補強など。

P7110009.jpg角っこを使って、草刈り機の収納スペースとした。

肩掛け式と背負い式の2機は、壁に垂直に固定できるようにした。

この物置小屋には自転車が2台入る余裕もある。

物置小屋に畑仕事や山仕事用の道具が移ったので、これまで使っていたスチール製

物置小屋が空いた。こちらは綺麗に掃除したあと、土足厳禁にして、写真パネルや

家財道具類を収納することにした。

写真パネルはかなりかざばるので、これを収納できて助かる。

P7110011.jpg

新しく出来た物置小屋にはもうアシダカグモが入っていた。ほかにもいろいろな虫が

わが新居にと、やってくるだろう。

朝から晩までこの作業をやっていたが、ふと思い出したのは、明日が締め切りの原稿の

仕事。すっかり忘れていた。





夜の主

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久しぶりにホームセンターへ行く。これから組む単管の価格をチェック。

買い物はラチェットレンチのみ。ソケットは17ミリを選ぶ。

去年は2月に手術をしてから体力的に自信がなく、撮影を取り止めたテーマがあった。

今年はその仕事を再開することにした。自然相手だから、どこまで思い通りに進めることが

できるかは、やってみなければわからないことが多い。

ラチェットレンチは価格もいろいろ。4000円も5000円もするのは、欲しいと

思わせる道具としてのカッコ良さも備えている。が、ここはソケットも合わせて2000円程度

にしておく。


夜の庭を歩いていると、もう少しで蹴っ飛ばしそうになって慌てた。

前にも見たヤツだろうか?このところ、夜になると遭遇するようになった。

PXB81941.jpg何匹かいるのだろうか?  この顔、しかと目に焼き付けておこう。




今朝、ときどき気にして覗いていたが、朝食の間に羽化していた。

XA078631.jpgタイワンオオテントウダマシの体長は、ほぼ1センチ。

ときどき、こういう白バックで撮影してみるが、これはまさに標本写真に違いない。

こういうやり方は、なんとなく卑怯な気もする。


今日の写真もそしてこのところずっと、このブログに載せている写真はほとんど全て

マイクロフォーサーズカメラで撮影したものばかり。

電子ビューファインダーは、まだこれから発展していくだろうが、

ともかく暗い条件でピント合わせが楽にできるので助かる。

昨日書いた、遠隔操作カメラだが、

電子ビューファインダーの取り付け接点に小型送信機を取り付けるようにすれば、

受信機側のモニターで画像チェックしながら遠隔撮影が可能になる。

ズーミング操作はできなくても、じゅうぶん使い道はある。

そういう点でも小型軽量のマイクロフォーサーズカメラは応用範囲が広い。

さて、そんなリモコンセットをカメラメーカーが作ってくれるわけがないだろうなあ、

とは思う。




タイワンオオテントウダマシの蛹が色づいてきた。

XA068578.jpgどこが何だかわかりづらいかもしれないが、眼と眼の下から伸びた触角、が見える。

降りた畳んだ6本の脚もどこだかわかるだろうか。

幼虫では試したことがないが、

タイワンオオテントウダマシの前蛹に触れると、白い液体を体から滲み出す。

そのときに臭いも発散されるが、その臭いとはタイワントビナナフシの放つ臭いと

そっくりだ。独特な臭いに不快感はなく、朝鮮人参の臭いによく似ている。






雨続きだったが、今日は久しぶりに晴れた。

XA058350.jpg朝陽を浴びるオオミズアオの3令幼虫。庭のサクラで数匹が育っている。

その隣のクロガネモチでは、シンジュサン幼虫が全て終令となった。

XA058375.jpgシンジュサン幼虫は、終令前期まで室内で飼育していたが、ここに至って食欲も猛烈に

増してきたので庭のクロガネモチに移動させた。放っておけば、いづれ適当な場所で

繭を紡ぐだろう。

XA058407.jpgああ、しかし、シンジュサン幼虫を見ていると、「こんぺいとう」を思い出す。

もちろんお菓子の「こんぺいとう」である。昔は大好きだった。

食べ終わる頃に、核となっているケシ粒の食感が嬉しかった。

まだおまけがあるよ、という感じ。

庭のサクラにはこんな芋虫もいる。テングイラガだ。

XA058444.jpg
テングイラガは刺さないそうだが、誰か試してみてほしい。

そう書いておきながら、私は実験したくない。

室内のカイコたちはすべてが繭作りに入った。

XA058505.jpgシンジュサンやオオミズアオや、ヤママユやウスタビガを野蚕と呼ぶのに対して、

カイコは、家蚕と呼ばれる。たしかに、そうだ。カイコはもはや、野外では生き残れない。

人が手を掛けないと育たない。完全な飼育虫だ。これはこれで、たいしたものだ。

カイコが繭の土台を作る途中、最後の脱糞とおしっこをすることを、先日書いた。

今日は2匹のカイコのおしっこをねらってみた。というか、その気配を察知してしまった。

おしっこの量や、放出する勢いにも個体差がずいぶんとあることがわかった。

XA058520.jpgピューッピュピュー!!、とその勢いは凄まじく、60センチ近くの放物線を描いた。

そうとわかっていたら、こんなフレーミングはしなかったのだが。



昨日、写真絵本「むしのかお」(ポプラ社)が届いた。

むしのかお表紙.jpg先月、30日から開催されている写真展では、この絵本に載っている写真が大サイズで

展示されている。


虫の顔の撮影には拡大率の高いマクロレンズが必要で、この本でも数々のレンズが

使われている。撮影の古いものは、キャノンの65ミリマクロレンズ、そのあとからは

オリンパスの35ミリマクロレンズ(テレコンバーターとの組み合わせ)が多い。

倍率が低くて済む大型の虫では、等倍まで撮れる50ミリ、100ミリマクロで撮影したもの

もある。

昆虫写真家として駆け出しの頃、嫌がる虫を無理やり押さえ込んで、室内で撮影し

ていたことがあった。売れる写真を確実にモノにする。量産せねばとの焦りもあったろう。

背景を整理してライティングもきちんとして綺麗に仕上げようとしていた。

しかし、無理やり押さえこまれた虫の顔は写真にしてみるとやはりどこか、悲しい。

気合を入れて昔撮った顔のポジ写真のほとんどはけっきょく全部捨てて、今は無い。

野外で出会う虫の顔をアップで撮影、というのは偶然うまくいく場合もあって、

時間をかければ数も増えてくるが、種類を増やすとなると、さらに長い年月が掛かる。

どうしても撮りたいが、どうやっても落ち着かない虫もいる。

そういうときはあっさり諦める。

しかし、虫にも個体差があり、ちょっとした休憩時間、あるいは食事に夢中になっているとき

とか、なにかしらシャッターチャンスにつながる時が必ずある。

そういう瞬間は偶然に頼るだけでなく、積極的に掴もうとすればどんどん増えていく。


野外で小さな虫の小さな顔を大きく撮影するとき、

オリンパスのフォーサーズ、あるいはマイクロフォーサーズカメラと

マクロレンズの組み合わせ、あるいはリバース改造ズームレンズとの組み合わせは、

軽量かつ小型であり、レンズ長も短いために、

このシステムを使い始めてから、顔写真の撮影効率がずいぶんと上がった。

以前は高倍率撮影をキャノンの65ミリマクロレンズでこなしてきたが、

今、このレンズは室内で使うだけとなり、野外での出番はほとんど無くなった。

むしのかお裏表紙.jpg









身を清める、とは

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      先月から飼育していたカイコが、次々と繭作りを始めた。

     ようやく餌替えの苦労から解放されるときがきた。ホッとする。

IMG_2973.jpg
 段ボールで拵えた「まぶし」の中で、カイコは体を捻りながら繭を紡ぐ。

最初は「まぶし」の枠の中で大雑把な足場網を掛けていくが、しばらくしてその足場の隙間

からお尻を突き出す。

お尻が外へ突き出てから、ほんのわずかな静止状態のあと、最後の脱糞をする。

このときの糞は赤っぽい色をしていて、クワの葉を食べながらポロポロひねり出していた

黒い糞とは明らかに違う。

XA038291.jpg赤い糞をした後、今度は透き通った真水のような尿をポタポタと排出する。

XA038308.jpgカイコの幼虫は、クワの葉の上でただただ葉っぱをモリモリ食べては糞をする、

という繰り返しの日々で、なんともグウタラな生活に思えて見栄えがしなかったが、

繭作りに入ってからは、性格が一変する。

「まぶし」の壁と、自分の吐いた糸壁で構成される空間の認知をしっかりできているからこそ、

お尻を突き出すという行為がきちんととれるのだろう。自分の繭内や繭そのものを

汚さないようにという行動には感心する。


昨日の何だこれ!? の解答。

発見場所は、クヌギ朽木置き場。

PXB11590.jpg2007年の春からずっと、この場所にはクヌギの伐採木を置いてある。

腐朽してボロボロになっても、毎年、新しい伐採木を追加してきた。

こうしておけばここに様々な昆虫たちが集まってくる。カブトムシの幼虫も必ずここで育つ。

つい先日、ここで数多くのある幼虫を確認できた。その幼虫とはこちら。

XA018077.jpg上の画面には3匹の幼虫が写っており、右端にはヒシバッタの一種がいる。

初めて知ったのだが、ヒシバッタの一種は朽木表面に付いた菌類を盛んに食べている。

幼虫3匹も同じように忙しく頭を振りながら、菌類を食べている。

幼虫はここだけではなく、朽木の至るところを徘徊しており、ざっと眺めても視野に数匹の

姿が入る。おそらく全体では、20匹以上はいるものと思える。

いや、もっといるのかもしれない。


大袈裟に言えば、ウジャ、ウジャ、いると表現してもいいだろう。これまでになかった光景

だけに。

さて、朽木をどかしながら幼虫の行動を観察していると、そこに絡んだヤマイモの葉に

前蛹が見つかった。前蛹は二日ほどして蛹となった。

XA308044.jpg昨日の写真は、この蛹を別アングルで撮影したもの。

            正体は、タイワンオオテントウダマシ、の蛹である。

成虫の写真は去年の6月にも紹介した、こちら↓

JX1901753タイワンオオテントウダマシ.jpg去年は幼虫を飼育したものの、蛹を観察できなかった。

しかし、今年は前蛹を見つけ、蛹の姿も確認することができた。

タイワンオオテントウダマシは、国内では今のところ対馬と宮崎県でしか記録がない。

うちの林で、タイワンオオテントウダマシは繁栄している。

どうやら私がせっせと朽木置き場を維持していることも、その繁栄に貢献しているようだ。



XA018143.jpg
7月10日から「プレデターズ」というSF映画が全国で公開される。

と、いうことを知ったのは今夜のことだが、そのきっかけは上の写真。

プレデターが散髪してすっきりした、という感じに見えなくも無い。

これって、何よ!?    その正体は、明日、説明します。