うわさ

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敷地内にやぐらを2基、組んでいる。

そのうちの1基は道路からもよく見える場所にある。

P7210003調整.jpgやぐらは上画面の右端にちょこんと見えているが、実際にはもっと目立つ。

さて、このやぐらのことがご近所の方達の間で、ちょっとうわさになってしまったようだ。

いかにも怪しい、という。     源泉のボーリング調査? それとも、井戸掘り?

そうでもなければ、一体なんだい、ありゃあ!?

先日、うちに寄ってくれた近所の大工さんが

「みんなから聞かれるとですよ。

新開さんちでは、何が始まると?と。

なんか、虫の研究でもしとるとよ、と言っておきましたが。で、いったい何ですか?」

高所というほどでもないが、脚立ではこなせない撮影をするために、やぐらを組んだ。

とは、以前にも書いたが、

昨晩のこと、ちょうどやぐらの上で撮影中に近所の方が回覧板を持って来られた。

やぐらの一つは玄関からすぐ目立つ場所にある。

私の姿に気付いたその方は、「なんば、しちょると?」と怪訝そうに私を見上げる。

「嫁さん、うちにいますから、、、、ごめんなさい、こんな高いところから、、、、」


まあ、やぐらの上であろうと、畦道であろうと、場所は関係ないのである。

要するに私がカメラを向けて熱心に撮影している姿は、なかなか理解されにくいには

違いない。いったい、何を撮影するんだい???こんなありふれた田舎で、、、、。

私が昆虫写真家という職業であることは、一応伝わっているとは思うが、

昆虫に情熱を注ぐ、あるいは大いに興味を抱く、という行為、思想、、、そういうことが

まずは理解しづらい、と見受ける。

これは私の努力も足りないことと思う。

さて、さて。

3メートルといえど、この高さで機材を長時間に渡って扱うからには、いろいろ対策が

必要。下の地面は柔らかい土ではあるが、ところどころ石もある。機材を落としたら

悪いことはあっても、良いことはないだろう。

その一つ。三脚はずっと置きぱなっしであるから、しっかり固定している。

PXB12584.jpg2種類の金具を組み合わせ、三脚の脚部をやぐらの足場板にネジ留めしている。

金具は奮発してステンレス製。


昔、小学4年生のとき遊園地に『ビックリハウス』というのがあった。

友達と二人でそのビックリハウスの小部屋に入った。

中には窓や家具などが描かれてあったが、外は見えない。

二人とも何が起こるかまったく知らない。

テーブルを挟んで二人は向かい合わせの椅子に座り、ビックリが始まるのを待つ。

しばらくすると椅子がゆっくり振り子運動を始め出す。

だんだんと揺れが激しくなっていくにつれ、椅子から落ちぬよう、

二人は悲鳴を上げながら必死で椅子にしがみついていた。

振幅がおさまってから小部屋を出ても、さっきまでの恐怖がまだ残っていた。

あれは一体なんだったんだ!?

まあ、見事に引っ掛かったのだが、こういう錯覚は日常生活の中でもよくある。

運転席で信号待ちしていると、自分の車がいつのまにか後ろに動き出している!

と、驚いてサイドブレーキを引いたり、ブレーキを踏み込む、という経験は多い。

じつは横に並んだ車がゆっくり前進し始めたのであり、

相対的にこちらが動いているように感じるわけだ。


今、毎日のように登っているやぐらは、樹木との間5センチという近距離にある。

やぐらの上でじっと目の前の樹木を見ていると、

自分の座り込んでいるやぐらが、ユラリ、ユラリとかなり揺れている。

3メートルの高さでもこれは気持ちがいいものではない。6メートルも上がれば、

きっとさらに恐いだろう。

これも相対的な動きからくる錯覚なのだが、それと頭ではわかっていても、

体の平衡感覚はどうしても騙され続ける。

人によっては気分が悪くなるかもしれない。

樹木はがっしりと根を張っていて、通常は揺れているようには見えないし、

それくらいガッシリとした印象を樹木に対しては抱いているから余計に錯覚は大きい。

しかし、けっこう幹回りが大きい樹木であっても、枝葉を広げているぶん、

ちょっとした風圧でもかなりの抵抗力が発生する。

じっさい、樹木はよく揺れているのだ。

もっとも揺れることで、折れたり倒れたりせずにしっかりと大地に踏みとどまっている。

ということで、樹齢15~20年程度のクヌギなどは、傍でじっと見ていると、

ずいぶんユラユラしていることがわかる。

やぐらも柔らかい地面に設置してあり、頑強な構造でもないので、

足場で身動きするたびに、グリグラ、グラグラと、細かく揺れる。

桜島が噴火すれば、けっこう揺れるだろうなあ、とも思うが、

やぐら上で噴火振動の経験はまだない。

グリグラと来る前に少し補強しておこうか、と今日は思った。


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