スズミグモ、産卵を終えて

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午前6時半。スズミグモはすでに大きな卵のうを抱えていた。

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パンパンに張っていた腹部は萎んでしわくちゃになっている。

卵のうの形は今ひとつ面白味に欠けるが、ゴミのように見える茶色の部分は糸の色が

あとから変色したと思われる。ナガコガネグモの卵のうも違う色の糸を使い分けているが、

最初は白い卵のう外皮があとから茶色に変わる。

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スズミグモが絹網巣を構え、産卵をおこなったのは家の東側で窓の庇の下。

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ここなら風雨の影響を受けにくいだろうが、こういう場所をとくに好むのかどうかはよくわか

らない。理由はともかく、スズミグモが居ついてくれるのは嬉しい。

このスズミグモ、餌をとって2個目以降の卵のうを作るのであろうか?



初夏から夏にかけて産卵を行うコガネグモでは、一匹のメスが8回産卵したのを観察

したことがある。さすがに6個目あたりから卵のうサイズもしだいに小さくなっていった。

このメスは仕事部屋の傍に巣網を構えていたが、その場所はたいへん獲物が多く

産卵を終えてもすぐにお腹が大きく膨らんでいた。

獲物が多いのは風通しが良いのと、家壁に外灯が設置してあったからたくさんの虫が

網に掛かるのであった。

8個目の卵のうを作ったあと、しわくちゃぺちゃんこの腹になったコガネグモ。

もう糸を張る元気もなく、私が近寄ってもほとんど反応しなくなった姿には、

哀れというより、尊厳さすら感じるのであった。

数日後のこと、そのコガネグモ婆ちゃんがヨタヨタと梢を這い、

そしてポトリと地面に落ちる姿を見た。

私は思わず駆け寄り、婆ちゃんの体にそっと指で触れてみた。

「婆ちゃん!!どうしたんだい!?」

婆ちゃんはほんの少し脚を伸ばして歩こうとしたが、次の瞬間すーっと力が抜けて

落ち葉の間にうずもれてしまった。

私は産まれて初めて、クモの屍を前に合掌をした。


( 写真上、中: EOS-7D EF100ミリマクロ  写真中はトリミング )

( 写真下: EPL-1  M.ZUIKO DIGITAL 9-18ミリズーム ) 



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