25日から28日の朝まで、松山市に滞在していた。
フルに動けるのは一日しかなかったが、ナニワトンボを一度は見ておきたい。
「ナニワ詣で」と言わしめるほどの魅力とは何だろうか?
百聞は一見に如かず。ナニワトンボは一体どんなトンボか自分の目で確かめたい。
松山では天候が不安定だったが、27日当日だけは午後から晴れるということだった。
母親を道後温泉に送ってから国道196号線に入り、北条方面へと赴いた。
瀬戸内地方にはため池が多いが、地図を広げると北条にもため池が点々と数多くある。
あらかじめ、ある方から教わっていたポイントの辺りを探索してみた。
ため池があれば、どこでもいいということだった。
まずは高縄神社を訪れてみる。ここにもため池があるからだが、
それよりか神社そのものに惹かれる。どこへ行っても必ず神社には立ち寄りたい。
境内に入ってみると、大きな武将が座っていた。
武将さんのお名前を調べ損なったが、立ち上がって歩き出したら恐そうだ。
そういう幼稚な感想しか抱けないが、それもちょっと寂しいなあ、とか独り言をつぶやきつつ、
別のため池を目指す。神社横の池にはまったくトンボの姿がなかった。
午前中、近辺のため池を回ってみたが、雲があって陽射しがほとんどなく、
しかも風がたいへん強く吹き荒れる。トンボが活動できるような状況ではない。
カトリヤンマと思われるヤンマが林の縁からヨレヨレと飛び出したのと、足元から
アカトンボ類が一匹、サッと飛び立っただけ。ともかく寒い。
これではイカンなあ、と場所を山間へと替えてみることにした。少しは風の影響が少ない
だろうか。
山すそに近いこの池からは沖合いの鹿島が見えていた(画面奥の小さな島)。
鹿島は昔からおいしい「鯛めし」で有名。
私が小学2年生のころ「鯛めし」を生まれて初めて食べたのがここ鹿島であった。
あのときの味の記憶は今でも蘇るほど、鮮烈であった。たいへん懐かしい。
それはともかく、この池に沿ってあるコンクリートの道、これは山間のミカン畑に続く
農道であり、軽トラックが一台通るだけでギリギリの道幅である。
白い轍の痕がおわかりになるだろうか。
片や池、片や水路というまるで橋のような細道を車で通過するときは少し緊張した。
こういうとき軽自動車であるといいなあとか、いやジムニーだと最適だよ!、と思うことは
よくある。幸い私の車、フェスティバミニワゴンのような小型車ならギリギリ通過可能
であり、ヒヤヒヤするだけで済んだ。田舎道ではともかく軽がいい。いづれは検討したい。
上の写真の池を背にして奥へと坂道を登っていくと、二つ目の池が左手にあった。
そこも通過して3つ目の池に到着。池の雰囲気はいい。ここで少し粘ろう。決めた。
それにしても風は相変わらず吹き続く。池の水面はいつまでもさざ波が治まらない。
それでも正午を過ぎて1時になる頃には、陽射しが安定してきた。
車を降りて池の様子を眺めていると、足元のコンクリート面に小さな青いトンボがいた。
どうやらこれがナニワトンボらしい。いや、そうに違いない。
なんとも可愛らしいトンボじゃのう。
ナニワトンボはアカネ属の一種であり、いわゆる赤トンボの仲間だ。
でも体の色は青い。そして小柄で可愛い姿。
実際にナニワトンボを目の前にして、なるほど!!と得心がいった。
たしかに魅力的なトンボである。
思わずニコニコしながら撮影体勢を整える。
三つ目の池からさらに奥へと歩いてみれば、山の最奥にもう一つ大きな池があった。
ナニワトンボが多かったのは三つ目の池の周囲と最奥の池に向かう道の路上だった。
しかし、強風のためナニワトンボもコノシメトンボも、そしてオオキトンボも、
皆、地面にしがみついているだけ。飛翔する美しい姿はまったく見ることが出来ない。
こちらも地面に這いつくばって、ナニワトンボの顔を正面から見てみた。
トンボの活き活きした姿の撮影は諦めるしかない。強風がいっこうに止まないからだ。
しかし、このことが幸いしたと言えようか。
池の土手道を歩いていると、足元からバタバタと翅音がした。
足元を見れば、オオキトンボがコカマキリの鎌脚に押さえ込まれ、もがいていたのだ。
こういう場面はそうそう見れるものでもないだろう。と、思う。
コカマキリにとっては大き過ぎる獲物ではないかと感じるが、鎌脚の筋力はたいしたものだ。
暴れるオオキトンボの胸にガブリと噛み付き始めた。
どうやら私が気付いたのはオオキトンボを押さえ込んだ直後のようである。
周りに草があること、地面であることなどから、撮影にとっていいアングルがとりづらい。
オオキトンボもクズの葉に止まったものと、コンクリート地面にペタリと張り付いた姿しか
見ることできずじまいだった。
次々と見つかるナニワトンボも全部、コンクリート地面で日光浴するものばかり。
近づいても逃げない。意外とおっとりしたトンボだ。
それならばと、指をそっと差し出してみた。何回か失敗してのち、
ようやく「この指、止まれ!!」が、できた。
こうでもしないと、ナニワトンボの小柄な姿がわかりにくい。
上画面の路上や道端のコンクリート管にはナニワトンボが多かった。
そして交尾カップルも現れた。こちらはさすがに用心深い。近づくとすぐにフワリと
飛び立ちミカン畑に入って行った。すぐに地面に降りるも近づけばまた飛び立って
場所を替える。急峻な斜面を何度も這い上がりながら、ようやく証拠写真だけは撮れた。
ナニワトンボというかなり稀なトンボが自分の郷里の近くに棲息していることを知ったのは
トンボ写真家の方達から教えてもらえたからだ。
お名前は省略させていただくが、ここに改めてお礼申し上げます。
★ 「ナニワ参り」ではなく、「ナニワ詣で」でした。訂正しました。★
27日の北条での使用機材は、
オリンパス E-620 14-54ミリズームレンズ
キャノン EOS-7D 15ミリ魚眼、60ミリマクロ、100ミリマクロ
フルに動けるのは一日しかなかったが、ナニワトンボを一度は見ておきたい。
「ナニワ詣で」と言わしめるほどの魅力とは何だろうか?
百聞は一見に如かず。ナニワトンボは一体どんなトンボか自分の目で確かめたい。
松山では天候が不安定だったが、27日当日だけは午後から晴れるということだった。
母親を道後温泉に送ってから国道196号線に入り、北条方面へと赴いた。
瀬戸内地方にはため池が多いが、地図を広げると北条にもため池が点々と数多くある。
あらかじめ、ある方から教わっていたポイントの辺りを探索してみた。
ため池があれば、どこでもいいということだった。
まずは高縄神社を訪れてみる。ここにもため池があるからだが、
それよりか神社そのものに惹かれる。どこへ行っても必ず神社には立ち寄りたい。
境内に入ってみると、大きな武将が座っていた。
武将さんのお名前を調べ損なったが、立ち上がって歩き出したら恐そうだ。
そういう幼稚な感想しか抱けないが、それもちょっと寂しいなあ、とか独り言をつぶやきつつ、
別のため池を目指す。神社横の池にはまったくトンボの姿がなかった。
午前中、近辺のため池を回ってみたが、雲があって陽射しがほとんどなく、
しかも風がたいへん強く吹き荒れる。トンボが活動できるような状況ではない。
カトリヤンマと思われるヤンマが林の縁からヨレヨレと飛び出したのと、足元から
アカトンボ類が一匹、サッと飛び立っただけ。ともかく寒い。
これではイカンなあ、と場所を山間へと替えてみることにした。少しは風の影響が少ない
だろうか。
山すそに近いこの池からは沖合いの鹿島が見えていた(画面奥の小さな島)。
鹿島は昔からおいしい「鯛めし」で有名。
私が小学2年生のころ「鯛めし」を生まれて初めて食べたのがここ鹿島であった。
あのときの味の記憶は今でも蘇るほど、鮮烈であった。たいへん懐かしい。
それはともかく、この池に沿ってあるコンクリートの道、これは山間のミカン畑に続く
農道であり、軽トラックが一台通るだけでギリギリの道幅である。
白い轍の痕がおわかりになるだろうか。
片や池、片や水路というまるで橋のような細道を車で通過するときは少し緊張した。
こういうとき軽自動車であるといいなあとか、いやジムニーだと最適だよ!、と思うことは
よくある。幸い私の車、フェスティバミニワゴンのような小型車ならギリギリ通過可能
であり、ヒヤヒヤするだけで済んだ。田舎道ではともかく軽がいい。いづれは検討したい。
上の写真の池を背にして奥へと坂道を登っていくと、二つ目の池が左手にあった。
そこも通過して3つ目の池に到着。池の雰囲気はいい。ここで少し粘ろう。決めた。
それにしても風は相変わらず吹き続く。池の水面はいつまでもさざ波が治まらない。
それでも正午を過ぎて1時になる頃には、陽射しが安定してきた。
車を降りて池の様子を眺めていると、足元のコンクリート面に小さな青いトンボがいた。
どうやらこれがナニワトンボらしい。いや、そうに違いない。
なんとも可愛らしいトンボじゃのう。
ナニワトンボはアカネ属の一種であり、いわゆる赤トンボの仲間だ。
でも体の色は青い。そして小柄で可愛い姿。
実際にナニワトンボを目の前にして、なるほど!!と得心がいった。
たしかに魅力的なトンボである。
思わずニコニコしながら撮影体勢を整える。
三つ目の池からさらに奥へと歩いてみれば、山の最奥にもう一つ大きな池があった。
ナニワトンボが多かったのは三つ目の池の周囲と最奥の池に向かう道の路上だった。
しかし、強風のためナニワトンボもコノシメトンボも、そしてオオキトンボも、
皆、地面にしがみついているだけ。飛翔する美しい姿はまったく見ることが出来ない。
こちらも地面に這いつくばって、ナニワトンボの顔を正面から見てみた。
トンボの活き活きした姿の撮影は諦めるしかない。強風がいっこうに止まないからだ。
しかし、このことが幸いしたと言えようか。
池の土手道を歩いていると、足元からバタバタと翅音がした。
足元を見れば、オオキトンボがコカマキリの鎌脚に押さえ込まれ、もがいていたのだ。
こういう場面はそうそう見れるものでもないだろう。と、思う。
コカマキリにとっては大き過ぎる獲物ではないかと感じるが、鎌脚の筋力はたいしたものだ。
暴れるオオキトンボの胸にガブリと噛み付き始めた。
どうやら私が気付いたのはオオキトンボを押さえ込んだ直後のようである。
周りに草があること、地面であることなどから、撮影にとっていいアングルがとりづらい。
オオキトンボもクズの葉に止まったものと、コンクリート地面にペタリと張り付いた姿しか
見ることできずじまいだった。
次々と見つかるナニワトンボも全部、コンクリート地面で日光浴するものばかり。
近づいても逃げない。意外とおっとりしたトンボだ。
それならばと、指をそっと差し出してみた。何回か失敗してのち、
ようやく「この指、止まれ!!」が、できた。
こうでもしないと、ナニワトンボの小柄な姿がわかりにくい。
上画面の路上や道端のコンクリート管にはナニワトンボが多かった。
そして交尾カップルも現れた。こちらはさすがに用心深い。近づくとすぐにフワリと
飛び立ちミカン畑に入って行った。すぐに地面に降りるも近づけばまた飛び立って
場所を替える。急峻な斜面を何度も這い上がりながら、ようやく証拠写真だけは撮れた。
ナニワトンボというかなり稀なトンボが自分の郷里の近くに棲息していることを知ったのは
トンボ写真家の方達から教えてもらえたからだ。
お名前は省略させていただくが、ここに改めてお礼申し上げます。
★ 「ナニワ参り」ではなく、「ナニワ詣で」でした。訂正しました。★
27日の北条での使用機材は、
オリンパス E-620 14-54ミリズームレンズ
キャノン EOS-7D 15ミリ魚眼、60ミリマクロ、100ミリマクロ