2011年6月アーカイブ


タイミング

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今朝は延岡市内のホテルで朝を迎えた。

午前6時。窓の外からお寺の鐘をつく音が聞こえてきた。これはいいなあ、と感じる。

朝食をすませてからフィールドへ向かう途中、小雨が降ってきた。

今はネムノキが花盛り。雨に打たれながら撮影。

ネムノキ.JPG今日もベニツチカメムシの観察だが、ベニツチの幼虫たちは2令となり落ち葉の下で

群れて過ごしている。こういうとき季節カレンダーをいろいろと記録しておけば、

何かと便利だ。

ベニツチカメムシ成虫の徘徊する場所は

ボロボロノキの果実が落下する辺りに集中している。

しかし、個体数は多くないし、いつも外気に身を晒しているわけではない。

落ち葉の下に身を潜めていることが多い。時間帯、天候という条件も関係あるようで、

いつもベニツチの姿が見られるわけでもない。

ベニツチ♀.JPG今回、ベニツチカメムシの観察と撮影をする中で、タイミングはあらためて大事だと感じた。

ベニツチの産卵、ふ化、などは2年前に行った福岡県での観察データを参考にして、

タイミングをはずすことなく仕事を進行できた。しかし、それもあと一日遅れていたらアウト

という際どいものだった。延岡市のフィールドはうちからは遠い。遠すぎる。

時間と経費の制約からそう頻繁に通うことができないから、どのタイミングで出掛けるかは、

たいへん判断が難しい。

昆虫写真に限らず、自然を相手にする撮影では、このタイミングをいかに掴むかが、

撮影の成功、失敗に大きく関わる。観察データの蓄積と、それに加えて季節の流れを

感じ取る勘、というものも大事になってくる。

勘を養うには、ある意味で、無駄も必要である。

無駄は今の時代の節約ムードの中では皮肉にも歓迎され得ないだろうが、

無駄というのは、迷い、考え悩む、そういう時間を過ごすこと。

欲は行動の原動力だが、欲もある程度、そぎ落としていいのではないか、とも思う。

欲を満たそうとするとき、無駄をできるだけ排除しようと、そうなる。

ベニツチカメムシはボロボロノキときわめて深い関係にある。

ボロボロノキの落果はしかし、他の生き物、昆虫にとっても餌資源となっており、

森全体の生き物の姿にまで目がいくようになる。いやそうなりたい。

アシナガアリだろうか。ボロボロノキの落果をしきりと舐めていた。

ボロボロノキ落果とアリ.JPG



午前中、三股町のハッチョウトンボを撮影したあと、県北の延岡市に移動。

ベニツチカメムシの観察と撮影は長いこと宿題になっていた。

ボロボロノキの結実とベニツチカメムシの繁殖は見事に同調しており、

今日は3時間ほど狭いフィールドに滞在して、その同調ぶりを体感できた。

落下してくるボロボロノキの実を集めてみた。

ボロボロノキ落果1.JPG今日、予定していた撮影もほぼ完了できた。

午後5時半、機材を撤収して車に乗ろうとしたらすぐ傍らに怪しい花を見つけた。

車を降りるときには気づかなかったのはなぜだろう?

20110629_4怪しい花.jpg
花を拡大してみると、

怪しい花2.JPG※怪しい花は腐生植物、タシロラン であるらしい。

種名についてご指摘いただいた方に、お礼申し上げます。

タシロランは九州、沖縄、そして本州の限られた地域に分布する希少なランということを

初めて知った。昨日撮影した株は高さ20~30センチ。大きな株は43センチの記録も

あるようだ。






梅雨明け

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宮崎県は今日にも梅雨明けしたそうだ。

昨日から猛暑が続く。

ミヤマカワトンボの潜水産卵 をねらって渓流に行ってみたが、産卵も配偶行動も

まったく見られなかった。カワトンボの交尾を見ただけ。

水中散歩1.jpg主役がいない画像は寂しい。

水中散歩2.jpg久しぶりにサワガニ漁のお爺ちゃんに会った。

「サワガニはどこに出荷するのですか?」

の質問には、大阪の料亭で買い上げてくれる、という返事だった。

サワガニ漁は、都城市周辺だけでも30人はいる、と聞いてびっくり。

それぞれ漁場のなわばりが決まってはいるそうだが、うっかりしていると自分のなわばりを

侵されることもあるそうだ。どれくらい収入があるのか聞いてみたかったが、

聞く側の自分の方こそ、じつに怪しい。

「何を撮影しているの?」「へえ~!?トンボの写真」「写真はどうするの?」

逆に質問されて「本、作ってます。児童書が多いですけど」の答えにどれだけ納得できたか。

ええ!!写真で仕事!?嘘だろ、そう、お爺さんの顔には描いていた。

渓流だけど、ハッチョウトンボがやって来た。

ハッチョウトンボ渓流にて.jpgすぐ近くに発生地があるのだが、こうして少しづつ分布を広げていくのだろう。

水分補給せずに2時間、炎天下で撮影していたら、やはり頭がおかしくなった。



今朝、ヒラズゲンセイの卵がふ化し始めた。

先日、保育園の桃の木でクマバチの巣を見つけ、それを割り開いてみたら、

トンネルの両端にヒラズゲンセイの疑蛹部屋があったことを書いた。

じつはその疑蛹部屋の一つには、ヒラズゲンセイの卵塊が詰まっていたのである。

L1279998.jpg写真はふ化が近づいた卵群で、卵の数は数百以上はあるだろう。

さて、ふ化した幼虫はたいへん活発に歩き回る。

ヒラズゲンセイ1令幼虫.jpgこうした三爪幼虫(triungulin)を見るのは数年前にヒメカマキリモドキのふ化幼虫を

観察して以来のこと。

ヒラズゲンセイの生態については、手持ちの文献を読み直し、整理しているところだが、

読み返す程に、私の勘違いや記憶の曖昧だったことなどが明らかになってきた。

過去の観察記録などを統合し、整理してみると、推測を交えながらヒラズゲンセイの

生活史の全容がぼんやりながら浮かび上がってくる。

ふ化幼虫がクマバチに乗り移るのは今年の夏の間であろうかと想像するが、

産卵されていたクマバチの巣は2年前に作られた古巣と考えられる。

この古巣を夜間、および越冬期の休息場所として今年生まれのクマバチ新成虫が

使うなら、寄主への乗り移りも可能となるはずだ。

しかし、今回卵を発見できたクマバチの巣は私が幹ごと回収し割り開いてしまった。

知らなかったこととは言え、これでヒラズゲンセイの次なる繁殖を私の手で断ってしまった

ことになる。


今日は午前中は動けず、午後から都城市のヒラズゲンセイ発見地へと赴き、

その周辺をしつこく探索してみた。が、クマバチの古巣がいくつか見つかっただけ。

今日の探索をもってとりあえずヒラズゲンセイの調査から一旦離れることにした。

機会あればアンテナは張っておくが、他にせねばならない観察、撮影が控えている。


クマバチの巣

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クマバチの巣は、巣といっても出入り口の穴しか外見上の特徴がなく、

案外、知らない人の方が多いのかもしれない。

いや、「クマバチ」と聞くと「スズメバチ」のことと解釈する人が大概で、

「ああ、そういえば以前に巣を駆除してもらいましたよ。」という返事が返ってくる。

駆除の対象となるスズメバチの巣は軒先に下がるでっかいキイロスズメバチの巣か、

あるいは植え込みの繁みにハンドボールの球が挟まったようなコガタスズメバチの巣か、

だいたいはそのいづれかであろう。

クマバチの巣はそうしたハチの巣の概念からはまったくかけ離れているので、

スズメバチと誤解した方に、一から説明するのは案外厄介である。

クマバチの巣はひっそりと営まれており、自分の庭で営巣していても気付かない、

おそらくそういう日常が世の中では延々と繰り返されている。

それもそのはずで、クマバチの巣を出入りする個体数も一匹かせいぜい、数匹に留まるので

ハチの姿に出くわす機会も稀である。

さて、今日このブログを読まれた方で、これまでクマバチの巣の実物を見たことがない方は

ちょっと記憶に留めていただきたい。ご自分の庭にもクマバチの巣があるかもしれない。

クマバチの営巣場所は一度その特徴を把握したら、どこにでも営巣適所が溢れていることに

気付くだろう。

樹種は関係なく、クマバチが穿孔できる程良い硬さの枯れ枝、枯れ幹が

適当なサイズの径そして長さがあればいい。いや自然木でなくても、

お寺や納屋などの古い梁や柱でもいい。うっかりするとお宅の物置小屋の梁にも

いつのまにやら巣穴がポッカリ、ということもあリ得る。

ちょうど今、うちの林のナナミノキにある巣を紹介しておこう。

クマバチ営巣初期.jpgナナミノキの枯れ枝は長さが45センチほどで、写真画面の右側が少し上向きに突き出て

いる。写真は巣穴の真下から、

巣穴奥に控えているクマバチの顔が見える角度から仰いで撮影しているので

右下がりに見えるが、この角度は無視してもらいたい。茶色のキノコが表面に生えている。

巣口の直径はだいたい13ミリ前後。枝が水平、あるいはそれに近い角度で突き出ている

場合、穴は必ず下向きに開いている。つまり雨水が入らない設計。

枝が垂直の場合、穴は広い空間に向けて開いている。

垂直枝に穿孔してできた巣は、巣口からすぐ奥で上向きにトンネルが曲がっており、

やはり雨水が入りにくい構造となっている。まあ、詳しい巣の構造は一度古巣を見つけ

手にとって分解してみてじっくりと実物を見るのがいい。

巣穴から材の繊維方向に平行して太いトンネルが、穴を中心に両方向に続いている。

うちの庭のヤシャブシで、今日のこと掘りかけの巣穴を見つけた。

枝の下のほうに見える白い穴がそれ。

クマバチ巣掘りかけ.JPGこの枯れ枝は斜めに傾いてほぼ垂直方向に伸びており、長さは60センチ以上ある。

枝の表面にはキノコが生えておりこの枝の腐朽がある程度進んでいることもわかる。

クマバチ掘り始め.JPG穴は穿ち始めたばかりで、直径は10.5ミリしかない。少しえぐった程度なのでまだ

径が小さいのだろう。穿孔作業をこの段階で止めたのは昨夜からの激しい風雨の影響

なのか、それとも営巣場所として材質が気に入らなかったのかどちらとも判断がつかない。

クマバチのあのでっかい幅のある頭は、硬い材を穿孔するだけの筋肉を必要としている

からであるらしい。でっかい頭をしているから細くて狭い花の中には頭が入らない。

そこでクマバチには盗蜜という行動が発達したとされている。なるほど!!

じつは先日、ヒラズゲンセイのメスを見つけたことから、

クマバチの生態について実際の観察をしながら、少しおさらいをしている。

文献のなかでも岩田久二雄・著「昆虫を見つめて50年」、「自然観察者の手記」

とくに読み耽ってしまう。観察の記述が明解で正確で、無駄が無い。

生き物の神秘や不思議への驚嘆といった感情的な部分は完全に抑えられているので、

いかにも学者の文章であるが、まるで実物を観察しているような気分に引き込まれる

というリアル感がたまらない。


夕食のカレーを作りながら図書館で借りた映画DVD「博士の愛した数式」を観た。

料理しながらチビチビやるのは奈良県の地酒「往馬」(いこま)。

映画鑑賞しながら酒を飲むというのも久しぶりだが、

これはある撮影がうまくいったからであり、そういうめでたい気分は滅多に味わえないので

大事にしたくなった。


蒸し暑い。雨も断続的に降る。台風の影響もあるようだ。

昨日、前蛹を確認しておいたイヌビワを見に行ったら、すでに蛹となっていた。

もちろん、イシガケチョウの蛹 である。

イシガケ蛹1.JPG葉っぱをグシャっとしたような、このいい加減な形がいい。

前日に見た前蛹はこちら↓

イシガケ前蛹.JPGイシガケチョウの蛹化場所は食樹からほとんど離れないので、

蛹を見つけるのは容易い。

さて、松山に移動する新たな日程を決めた。




赤いカメムシ

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県北のフィールドまでは高速を使っても約2時間半は掛かる。

今の時期はベニツチカメムシの産卵期でもあり、その状況を確認しておこうと思った。

現地に到着後、1時間あまりベニツチカメムシの姿を探したが、見つからず。

地べたに座り込んで、はて、これはどうしたものか?とのんびりかまえてみた。

探すポイントがはずれているか?微妙にハズしている可能性は高いが、大筋では

間違ってはいないはず。風が強くなってきて、ときおりボロボロノキの梢が揺れている。

ボロボロノキの実.JPGボロボロノキの実はそこそこついていたが、地面に落下した実はわずかしかない。

ベニツチカメムシの幼虫が育つためには、ボロボロノキの落果が欠かせない。

座り込んでこれからの作戦を考えていたら、

落ち葉の上をトコトコ歩くベニツチカメムシの姿が目に入った。

歩くベニツチカメムシ.JPGやはり、いたな。歩くと速い。

おもむろに立ち上がり、近くの落ち葉をそっとめくってみれば、抱卵中のメスが見つかった。

ベニツチカメ抱卵.JPG今日は県北でのベニツチカメムシ観察を終えたあと、松山に移動するつもりでいたが、

天候が思わしくないので、日を改めることにした。

ベニツチのふ化は数日後には始まるのだろう。


県北から三股町に戻る途中、宮崎市清武の酒屋に立ち寄った。

滅多に行けない酒屋なので、こういう機会に日本酒を買っておいた。





先日21日にヒラズゲンセイを見つけたという情報を聞いた。

見つかった場所は都城市のある保育園であった。

そこで昨日22日にその保育園に出向いてみた。細かい観察は省略するが、

最初にヒラズゲンセイの♂が見つかったという場所で、♀を見つけることができた。

ヒラズゲンセイ♀.JPG保育園に植えられた小さな桃の木にはクマバチの巣があって、ヒラズゲンセイはそこで

育ったことを確認できた。桃の木の枯れた幹を割ってみると、クマバチの巣トンネルの両端

にはヒラズゲンセイの疑蛹部屋があったのである。

保育園で最初にヒラズゲンセイを見つけたのは小学生の男の子で、21,22日と連続して

♂2個体が見つかっている。そして22日は私が3個体目となる♀を追加したわけである。

さて、ヒラズゲンセイの生活史には謎が多く、断片的な観察報告があるが、その全容は

明らかでない。

ヒラズゲンセイには集合習性があるという観察例があるので、じつは昨日、♀を茶漉しの

中に入れて、桃の木に吊り下げておいたのであった。しかし、この実験はうまくいかず、

今朝のこと9時~10時過ぎまで待ってみたが、♂も♀も飛来しなかった。

保育園で見つかった3個体は桃の木の巣内ともう一箇所別の巣内で育った可能性が高い。


夕方、犬の散歩は午後6時を過ぎてから。その前に1時間ほど草刈り作業を行った。

近くの田んぼでは畦の草刈りと除草剤をまいていた。

田の手入れ.JPGこの田んぼの持ち主は私も知っているおじいちゃんだが、足腰が悪くご自分では作業が

できない。で、親戚など人にやってもらうのだと、現場で教えてもらった。いつも笑顔が

素敵なお爺ちゃんだ。私も笑顔いっぱいの爺ちゃんになれるだろうか?

クヌギ林ではサラサリンガの卵塊があった。

サラサリンガ卵.JPG


晴れ間の昆虫

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天気情報では曇り時々雨だったが、今日一日カンカン照りだった。

久しぶりの青空の下、サツマシジミやテングチョウがうちの庭で羽化していた。

サツマシジミの一匹は残念ながら羽化不全。

サツマシジミ羽化不全.JPGテングチョウは駐車場の隅のエノキで羽化したやつだ。蛹殻が二つあった。

アカメガシワではノコギリクワガタのオスがひもじそうに登っていた。

ノコギリクワガタ第一号.jpg樹液レストランはどこやあ!! そんな声が聞こえそうだ。かなり気の強いオスだった。

夕食中、今年初めてヒグラシの鳴き声を聞いた。

「ほら、ヒグラシだよ}

私が一生懸命、実況中継して、うちの嫁さんもようやく、ヒグラシの鳴き声がわかった。

そうか、そういうものなんだなあ。虫の鳴き声というのは、それなりに意識していないと

まったく聞こえていない、のである。

昨日、期待していると書いた虫については明日にも紹介する予定。

ある実験の結果が楽しみである。

さて、本日、もうすぐ発売となる写真本の見本誌(日本文芸社)が届いた。

脱皮コレクション.jpg
この本の写真は私と、関 慎太郎さん、が担当した。関さんは水生生物や両生は虫類

を撮影なさっている。



サラサリンガ

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去年から庭や林でサラサリンガがかなり繁殖しており、今年初めての成虫が羽化した。

サラサリンガ2011.jpgサラサリンガの幼虫はクヌギとアラカシで育っていたが、それぞれの根元を探ってみれば

繭もたくさん見つかっていた。成虫の目を奪うような紋様に比べれば、

繭の形状は面白さに欠ける。ましてや幼虫の姿ときたら嫌われても仕方が無いほど

極めて地味過ぎる。

振り返ってみれば東京にいたころは本種に一度も出会っていない。

したがって宮崎に来て3年目にして庭やうちの林で本種を見たときはけっこう嬉しかった。

この派手な蛾が、もしも花を訪れるなら一層人気が高くなっていたはずだ。

しかし、昆虫は何も人を喜ばすために生きているのではない。

サラサリンガの魅力は、かなりマイナーなところで留まっている。

欲を言えばサラサリンガがせめてモンシロチョウほどの大きさあれば、、、、、、、、、

そう願うのも人間は欲深い生き物であるから、ちょっとは許して欲しい。


修理に出していたEOS-7Dが戻ってきた。

内蔵ストロボがポップアップしなくなる故障は去年の10月にもあって、

今回の修理は2度目であるから、修理代が無料であることは当然としても

これはちょっと嫌な気分になる。気分はしかし引きづらないほうがいい。

さて、明日は意外な虫の調査に出かけるかもしれないので、期待が高まる。

オオスジコガネ

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夕方の犬の散歩途中、ヒメジョオンで見つけたのがオオスジコガネ

オオスジコガネ.jpgこういう被写体にはオリンパスの35ミリマクロがちょうど良い。

E-620に35ミリマクロレンズをつけて撮影してみた。

土砂降りと雷が続いたが、夕方になって雨は一旦、小休止のようだ。

V6202088.jpg
V6202091.jpg晴れ間が出るのは三日後の木曜日あたりだろうか。



午前5時、起床するも外は激しい雷雨。

観察会は延期かと思ったが、午前7時ころには小雨となる。

午前9時半、都城市「神柱公園」に集合。観察会は予定通り開催。

雨は止んだが火山灰が降ってきた。傘をさしている人もいたが、それは雨ではなく

火山灰対策だ。

公園のサクラ並木でしばらく虫探し。リンゴカミキリは見つからず残念。

キマダラカメムシのふ化幼虫や2令幼虫の集団が多い。

観察会神柱公園061901.jpg上の写真は2令へ脱皮中の集団。1令は3匹残っている。

2令になっても卵殻の周りで集団を形成しているのは興味深い

P6190007.jpgふ化前の卵塊もようやく見つかった。

キマダラカメムシ卵ふ化兆候.JPG卵に可愛い顔が透けて見えるので、これは参加者の方に受けていた。

「まるでポケモンみたい!」

口のように見える黒い部分は、卵殻破砕器 だ。

卵殻破砕器は鋭い爪のようなもので、これを卵上部のミシン線に押し当てて蓋を切り開く。

キマダラカメムシの卵はカメムシの中でもサイズが大きいので観察や撮影には好都合だ。

観察会が終わってしばらくすると、また雨となった。

運が良かったと思うが、雨の合い間でも自然観察は楽しめる、ということを参加者の皆さんに

体験してもらえて、私も嬉しかった。

天候の条件が良いに越したことはないが、雨だから外には出ない、では寂しい。

むしろ雨の中の観察会も面白い!という企画も今後は考えてみたい。


さて、雨の中で観察するにも傘を片手に持ってでは辛い。

カッパが是非欲しい。できればちゃんとした高機能で軽いものが。

そう思っていたら、植物写真家の高橋修さんのブログにモンベルの新製品のことが

紹介されていた。




先日、都城市「東公園」のサクラで見つけたキマダラカメムシの卵塊が二つ。

見た瞬間に寄生されていることがわかりがっかりした。

ふ化の撮影は先送りになっているが、雨が続いて卵塊探しは捗らない。

寄生バチがなかなか出てこないので、無理やり卵のハッチをこじ開けてみた。

柄付き針の先端を卵蓋のミシン線にグイッとねじ込むと蓋は開いた。

寄生バチとキマダラカメムシ.jpgキマダラカメムシの卵内には寄生バチの蛹が入っている。寄生バチはここで羽化してから

口で卵壁に穴を穿ち出てくる。カメムシの幼虫なら蓋を開ける要領とその道具を備えて

いて、パッカンと卵蓋を押し開けることができる。

うちの林や庭でキノコを見て回るうち、ナガニジゴミムシダマシが出てきた。

ナガニジゴミムシダマシ201106.jpg長男は土曜日だが午前中、授業がある。進学校とはそういうものらしい。

行きは雨が止んでいたが、帰りはかなりの土砂降り。カッパを持っているのに着用せず、

ずぶぬれで帰ってきた。カッパを着るのを嫌がる気持ちもわからないではない。

着たくなるような高機能でデザインの良いものならどうだろう。

ま、そういうカッパがあったとしても学校側が認可しないだろう、と思う。

いやじつは、私が欲しいのである、そういうカッパが。









昨日、交尾を撮影した場所(庭)ではササグモがいっぱい待機している。

当然、ベニシジミササグモの餌になってしまう。

ベニシジミクモに捕われる.JPG写真のササグモはメスだが、オスの姿もちらほら見える。

オスは狩りよりか、メスとの出会いに夢中のようであった。


都城市の「東公園」は広大な芝生を取り囲むようにサクラなどが植えられているが、

ここも観察会の候補地。下見をかねてキマダラカメムシとリンゴカミキリの観察。

キマダラカメムシ.JPG写真はソメイヨシノの幹で吸汁している成虫。枝よりも幹で吸汁する成虫が多い。

キマダラカメムシは成虫よりか、幼虫の姿の方が奇抜で派手で人目を惹くのかもしれない。

今の時期はまだ2令幼虫がちらほら見える程度。


キノコと虫の関係にこだわり、その撮影も進めている。

キノコは幼菌から地上に姿を現してから成長が物凄く早いので、一度きりのチャンスを逃す

とあとがない。



梅雨とベニシジミ

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土砂降りの雨が朝から続く。

窓から外を眺めていると、雨脚が弱まったころベニシジミが盛んに舞う。

とくにオスがメスに求愛する姿が多い。

これは交尾カップルが見つかるかもしれない、そう思って外に出てみた。

雨は断続的に中休みをするが10分も持たない。その束の間、一組だけ見つかった。

ベニシジミ交尾.JPG写真では下の個体がメスだと思われる。

雨に急かされて部屋に戻った。10分と言わず、5分も止んでいない。

室内に置いていたカメラを外に持ち出すと、たちまちレンズの前球が結露してしまう。

家の中の気温より外の方が高いことと、湿度もあるからだ。

こういうとき焦ってはいけない。とりあえずモヤモヤ湯煙の中の濡れ場を一枚、二枚撮る。


月刊連載記事の内容を決めかねていたが、昨夜考えておいたネタに決めた。

ふと思いついたのは記事のネタだけでなく、写真絵本の新しいテーマも。

テーマが決まったときは心弾むが、そこから先の展開がうまくいくかどうか。

忘れてはいけないのでとりあえずメモ帳に書き記しておいた。

忘れるといえば、講演のスケジュールを混同してしまい慌ててしまった。

ダブルブッキングになっていると思いこんで対策を練っていたが、先方から間違いを

指摘してもらって安堵した。メモの書き込みが曖昧だったのがイケナカッタ。

携帯電話を持っていないから、紙の手帳は手離せない。

しかし「書く」という行為がすっかり減ってしまい、書き下手になっている。

そこを補うつもりで次々と筆記用具を取り替えてみる。これは解決策にはなっていないが、

文具で遊ぶ楽しみもある。



雨でも脱皮

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駐車場の隅にエノキが一本生えている。

コンクリートのすき間からたくましく育った実生。いつの間にか人の背丈を越えた。

一昨日、車から降りようとして目の前の葉っぱにゴマダラチョウの幼虫を見つけた。

これまで気付かなかったとは迂闊だった。

今日は朝から雨がよく降っているが、ゴマダラ幼虫はそれでも脱皮していた。

雨のなか脱皮.JPG
一昨日、都城市、神柱(かんばしら)公園で見つけたキマダラカメムシのふ化幼虫

これまで本種の若令幼虫は各ステージを見ているが、1令を見るのは初めて。

2令以降の幼虫とはかなり雰囲気が違う姿をしている(13日撮影)。

もしもこの幼虫だけが歩いていたら、正体がわからず仰天しただろうが、

幸いにも卵殻に寄り添っていたのですぐに身元が判明した。

キマダラカメムシ1令.jpg幼虫と卵殻が見つかった樹は、アメリカハナミズキ。

キマダラカメムシは公園の植栽や街路樹などで繁殖しており、食樹も様々。

先日、別の公園では交尾カップルを多数観察できたので近いうちに卵塊を探してみよう。

(写真上:EOS-7D  EF60ミリマクロ )
(写真下:E-PL2   14-42ミリ改造マクロ )


タマゴタケと昆虫

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午前中は晴れていたが、正午前には曇ってしまった。

予定していた水中撮影は観察のみとして早々と引き揚げ、

タマゴタケの生えている上米公園の林に場所替え。

トビムシがたくさんたかっていたタマゴタケはすでにドロドロに溶けて跡形も無い。

そうかと思えばその隣で幼菌が待機していた。菌輪に沿っている場所である。

IMG_5436.JPG昨日見たオオキバハネカクシの一種が離れた場所のタマゴタケに来ていた。

たいへん神経質で近寄るとすぐに飛んで離れてしまう。

本種は調べてみると、オオズオオキバハネカクシ と判明した。独特なポーズが印象的。

オオズオオキバハネカクシ.JPG飛んでいる姿もじつにカッコいい。傘を開いたばかりのタマゴタケに来ている。

他の虫がまったく集まっていないそのようなキノコで何をしたいのだろう?

オオズオオキバハネカクシを目で追っているうちに、ブワワワワ~ン!と翅音がして

センチコガネが着地した。

センチコガネもキノコの匂いをかぎつけたようだ。ドロドロになった傘に潜りこんでいく。

センチコガネたまごたけ摂食.JPGサビハネカクシは2匹が同じ場所でウロウロしていた。近づくとすぐに落ち葉の間に姿を

隠してしまう。しばらく離れているとまた戻ってきて、ウロウロを再開する。

サビハネカクシたまごたけ.JPGサビハネカクシはキノコに集まる虫を狙っている。

本種は樹液にもやって来てそこに集まる虫を襲うこともあるし、牛糞などでも見かける。

つまり、虫の集まるようなところを巡回しているかのようだ。

タマゴタケ4本.JPG


午前5時15分、起床。

昨夜はクロセセリのふ化撮影を行っていて、撮影が終了できたのは午前2時だった。

2台並べてあるパソコンの配置換えのため、寝る前に結線類をすべてはずしておいた。

午前10時、都城市神柱公園にて来週予定の観察会下見。

アメリカハナミズキの葉うらでキマダラカメムシのふ化幼虫集団を見つける。

観察会のメインは公園の中を流れる川の虫探し。

午後2時、三股町の上米公園に出向いてアオバセセリ、スミナガシ幼虫の様子を窺う。

両種とも若令が多い。食樹はヤマビワ

林のいたるところにタマゴタケが生えていて、もう崩れかかったのや傘を開いたばかりとか、

まだ幼菌とか成長段階は様々。

タマゴタケ2.JPG崩れかかったタマゴタケにはトビムシの一種が群がっていた。

トビムシの一種タマゴタケ.jpgこのトビムシを、アリがくわえては運んでいく。今日は大漁だあ!


タマゴタケに一匹だけ、オオキバハネカクシの一種(Oxyporus)がやって来た。

オオキバハネカクシSP.JPGせかせかと歩いては何かを探しているように見える。けっこう敏感だ。

私が近寄って撮影しようとすると、なかなか落ち着かない。

タマゴタケを撮影中、EOS-7Dの一台が不調となる。

内蔵ストロボがポップアップしなくなった。これは修理に出すしかない。

午後7時45分。嫁さんと一緒にゲンジボタルの撮影に。

数日前よりかいくぶん数が減ったか。

月明かりが強くなり長時間露光撮影には向いていない。

それでもホタルの観察としては十分楽しめたと思う。今夜は飛翔個体が少なく、

静止して点滅するものが多い。

午後9時、ホタルの谷から引き揚げる。




昆虫観察会

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「新開孝さんと、歩こう!」

そんな題目で今日は観察会を行った。この観察会は8月、11月、そして来年2月と

4回を予定。主催はNPO法人「こじいの森・こどもの時間」。

観察会の場所は、都城市安久児童館の周辺で

田んぼや池、人家の生垣などの人里環境。

昨夜から梅雨前線の影響で風雨が強く、これでは観察会は中止かと思っていたが

なんと開始時刻ともなると雨は降ったり止んだり。小雨なら決行としていたので、

予定通りみんなで出かけた。

歩き出して最初に人気があったのは迷彩カラーのアマガエル

アマガエル迷彩色.jpg小雨がときおりパラつく中、みんな雨ガッパを着て元気に虫探しをしてくれた。

外を歩くと時間が経つのも速い。

安久児童館観察会0611.jpg生垣に絡んでいたナツフジではコミスジの幼虫が枯葉に化けていた。

コミスジ幼虫ナツフジ.JPGこどもたちの生き物への反応ぶりを眺めているだけでも楽しいが、

自分が見つけたもの、捕らえたものを私に質問してくる姿には教えられることも多い。

1時間程度の観察会が終わったころ、どしゃぶりの雨となった。

夜になっても雨は止まないので、今夜のホタル撮影は中止にした。

ウスタビガ幼虫が繭つくりを始めたのは昨日の夕方。

2匹の幼虫が間をあけて作り始めたので、作り始めも観察できた。

今朝はだいぶ進行していたが、まだかろうじて中で作業する幼虫の姿が透けて見える。

ウスタビガまゆ作りとアリ.JPG繭つくりの最中にアリが頻繁にやって来る。アリは餌探しに夢中なのだろう。

ウスタビガ幼虫はときおりアリの徘徊に神経を尖らせ、

「チィー」とねずみ鳴きする。

繭の上部の穴からときおり顔を出して繭の柄を補強する。

まさに蛇腹のごとくよく伸びる。

ウスタビガまゆの柄補強.JPG繭つくりの途中で体を外に乗り出すのは、ウスタビガならではの光景だ。


ヒメイワダレソウで飼育していたタテハモドキが無事に羽化したのは四日前の6日。

タテハモドキ夏型2.JPGタテハモドキには申し訳ないが、今日まで冷蔵庫の野菜室で冬眠してもらった。

しばらく電灯で温浴させてから撮影。

タテハモドキ夏型1.JPG写真のタテハモドキがふ化したのは5月4日である。

タテハモドキの発生数は年により変動が大きいようだが、さて今年はどうだろうか?


川の虫

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三箇所ほど川の様子を見て回ったが、雨のためかなり水量が増えていた。

それでも最後の川は川虫の撮影にはちょうど良いと思えた。

ただし、ここに日が射し込んでいるのは午後2時半まで。

細目川砂防堰.JPG日が当たっているうちに撮影したミヤマカワトンボ

オスどうしがなわばりをめぐって激しい追飛行を繰り返していた。

ミヤマカワトンボなわばり.jpg
帰り際に川辺のコアカソの葉をめくってみれば、ゲンジボタルのオスが休んでいた。

ゲンジボタル昼下がり.JPGこれはもしかしたら!? と、夜になってから出直すことにした。

谷間の細い道を下る途中で、路面からカラスアゲハが舞い上がった。

カラスアゲハ夏型吸水.JPGさて、午後8時半にふたたび谷奥に入ってみれば、

ゲンジボタルの大乱舞。

これほどの乱舞を見たのは何年ぶりだろうか。

しかも車で10分程度の場所である。



昨日の記録が埋もれてしまう前に書きとめておこう。

まずは朝。玄関を駐車場へ歩き出したところへ、見慣れないチョウが胸元を舞った。

サカハチチョウのメス夏型であった。玄関の柱でしきりと口吻を伸ばしていたが、

ツワブキの葉上で日光浴を始めた。

サカハチめす.JPG見たところかなり新鮮な個体。サカハチがうちの敷地内に現れたのは初めてであり、

近辺でも目撃すらしたことがない。少し山間に行かないと会えないチョウである。

食草のコアカソは散歩コースにもわずかだが生えている。


さて、もう一件はアブラギリを求めて昨日出向いた鰐塚山の林道沿い。

キブシでアカスジキンカメムシを見つけたことは前の記事で書いたが、

そのキブシでけったいな姿のゾウムシも見つかった。

全身赤い粉で覆われており、カツオゾウムシみたいだが、口のところが大きく肥大して

おり、まるでカモノハシだ。サビマルクチゾウムシのメス。

サビマルクチゾウムシ.JPG体長は5ミリ前後。拡大接写用のカメラに切り替えようとしているうちに逃げられてしまった。



昨日の午前中は次男の小学校で恒例の田植えがあった。

次男は6年生。最後の田植え、ということもあって撮影に出かけた。

田植え2011.JPG父兄で男性は私ともう一方だけ。

多くのお母さんカメラマンが手にしていたのは意外と一眼レフデジカメ。

キャノンのカメラがほとんどの中、お一人がオリンパスのEシリーズであった。


今日もアブラギリの花を探して日南市方面へ。

キブシを注意深く見ていたら、アカスジキンカメムシのオスが潜んでいた。

アカスジキンカメムシ.JPG関東では平地の虫だが、九州南部では山地に行かないと出会えない。

キブシはアカスジキンカメムシの産卵場所となり、ここで幼虫が育つ。

したがってオスとメスの出会いもキブシに集まることからはじまる。

写真のオスは辛抱強くメスが飛来するのを待っているのではないだろうか。


一昨日、カラスシジミを目撃したアブラギリにも立ち寄ってみた。

おそらく今日も花に来ているだろうと思っていたが適中した。

しかも綺麗な個体が来ていた。橋から遠い花に来ているのは前回とまったく同じ。

写真は少しトリミングしてある。

カラスシジミとアブラギリ.jpgこのあと帰り際にもう一度寄ってみれば、ボロボロの個体も加わって2頭のカラスシジミが

来ていた。しかし、またもや橋からは遠く離れた場所。

それでも一昨日、撮り逃した綺麗な個体を再び見ることができたのは嬉しい。

(写真上:EOS-7D EF-S 60ミリマクロ )

(写真下:E-PL1s  40-150ミリズームレンズ )





梅雨らしい雨が降り続く。

昨日、アブラギリの観察に出向いた場所の一つは、虫の種類が濃くてわずか数メートルの

草むらで1時間以上も過ごしてしまった。

下見のつもりですぐにも引き揚げようと予定していたが、動くに動けない嬉しい状況だった。

そのとき目の前にクロセセリのメスがやって来て、ハナミョウガの葉に産卵していった。

すかさずその卵を撮影。レンズは100ミリマクロだったので等倍が精一杯。

クロセセリ卵1.JPG指先を針で突いたときの血豆に似ていると感じた。チクッ、痛い!!

赤い卵全体、しっとりと透明粘液で覆われている。

産下直後の様子はすぐに撮影しておくべし。

さて、クロセセリの卵を持ち帰り今日はオリンパスのズイコー38ミリマクロレンズで

撮影してみた。卵を被っていた粘液は予想通り、すでに乾ききっていた。

まず、卵を横斜め上方から撮影。

クロセセリ卵3.jpg写真ではわかりづらいが、卵表面には縦条が40数本走っている。

葉っぱの接地面にその縦条の一部が数本見えている。

パッと見た目はイチゴゼリーあるいはイチゴ水羊羹の詰まったプラ容器を逆さまに伏せた

みたいで、なんとなく美味しそうだ。

生命体の中でもタマゴとは、全てとまでは言えないまでも、

美味しい姿をしているものかもしれない。

今度は卵の上部から俯瞰して撮影。

クロセセリ卵2.jpg卵の頂天部分は濃い赤色に見えているが、ここはわずかに窪んでいる。

じつはこの窪みがあることに気付いたのは撮影している最中のこと。

1ミリに満たない卵などを撮影する場合、あらかじめ実体双眼顕微鏡や高倍率ルーペで

しっかり観察しその形状を理解しておく。形状を頭の中で描きながら、どういう写真に

仕上げるか考えて撮影のライティングを組む。

ところが今回、事前の観察が雑だったせいもあり、卵の頂部が窪んでいる、ということが

わからず、平坦であると解釈していた。

物体が小さければ、ちょっとした光の当て方で影の出方や反射の仕方が微妙に変わる。

観察するときも照明の仕方をあれこれ変えてみて様々な角度から見ておく必要がある。

撮影を進めながら、ようやく窪みに気付き、それ以前に撮影したカットは全て消去した。

高倍率接写での技術的な難しさは、ライティングの自由度が低い中でいかに

思い通りの照明効果を得るかにある。そのためには撮影対象が変わるたびに

ライティングのやり方を工夫することで対処するしかなく、

ときには手の込んだ工作も行う。


夕方になって小雨のなかを犬の散歩に出た。

道沿いのススキを何となくめくってみたら、マダラハネナガウンカ が張り付いていた。

マダラハネナガウンカ.JPG上の写真は、キャノンのスピードライト270EXⅡをスレーブモードで使用

ストロボは左手を伸ばして支える

最初はE-TTLモードで発光させてみたが、こういう逆光条件だとレンズへの入射角の

微妙な違いで露出が安定しないので、補正調光がうまく効かない。

通常、スレーブモードを使う場合、私は必ずマニュアルモードを使用することがほとんど。

そこでさっそくマニュアルモードに変更して撮影した。

スレーブストロボの光量と被写体からの距離を、露出値から割り出すというのは

銀塩フィルム時代から培ってきたものだ。

スピードライト270EXⅡのスレーブモードはカメラ側に受光部を向けておかないと

発光しないことがあるので気をつけたい。それとこの小型ストロボは手から滑り

落ちやすい。ので、ミニスタンドなどをかませるなど保持しやすい工夫も必要だ。

撮影中に雨がだんだんと強くなってきて、カメラが濡れ始めた。

カメラとレンズは防塵防滴仕様だが、それでも内蔵ストロボをポップアップさせているし、

左手に持ったストロボは水対策はまったく為されていない。

気に掛かりつつも撮影がうまく終了するまで我慢だ。


アブラギリの多く見られる日南市に行ってみた。

20分ほど車を走らせ、峠を越えれば日南市。

目線で花を撮影できる場所を巡ってみた。花の時期だとアブラギリのある場所も

わかり易い。オオキンカメムシの繁殖を観察するには、アブラギリの場所をできるだけ

多く知っておいたほうがいい。

アブラギリの花1.jpg梅雨の合い間だが陽射しもほんのわずかあった。少し蒸し暑い。

アブラギリの花を訪れる昆虫は多く、マルハナバチ類がもっとも目立ち、

ジャコウアゲハ、カラスアゲハ、イチモンジチョウ、カラスシジミ

ハナアブ、ニホンミツバチ、キイロクチキムシ、などなど。

花の吸引力も通常よりかアップし、虫たちの集まりもいいようだ。

カラスシジミは新鮮な個体を発見し、カメラを車まで取りに戻っている間に、

ボロボロのカラスシジミに入れ替わっていた。    なんでえ~!?

ピカピカのカラスシジミを初めて見たのに、たいへん悔しい。

橋の欄干から身を乗り出すようにしての撮影はまことにスリル満点。いや、危ない。

落ちたら、死ぬ。あそこの梢に当たってから、次の梢でブレーキが掛かり、案外、

ゆるりと着地できるかもしれない、などと楽観的に眺めてみるが、

やはり高度差50メートル以上はある。幸運を願っても叶わぬだろう。絶対、死ぬ。

思っていたよりアブラギリの花には昆虫が多くやって来るので、つい夢中になる。

夢中になるあまり欄干をちょっと越えたくなる。超えればたちまち、死んでしまう。


さて、紫に輝く虫がいたのだが、これがオオキンカメムシだった。

アブラギリの実がなるのはずっと先の7月だが、オオキンカメムシはすでに集まり始めて

いるようだ。雌雄の出会いは満開の花の中でということか。なるほど。

オオキンカメムシ初見.JPG今年はオオキンカメムシの生活史について、やっておきたいことがある。


先日、産卵行動を観察したベニカミキリ

竹の節に産みつけられた卵が、昨日あたりからふ化し始めた。

ベニカミキリのふ化はしかし、ふ化の様子そのものを見ることはできない。

なぜなら、ふ化幼虫は卵の底に穴を穿ち、竹材の中へと潜行してしまうからだ。

しかも卵全体は泥壁(見た目には)に厚く覆われているから卵の変化そのものも

まったくわからない。

ふ化を終えた卵を剥がし取り、卵の底を見てみると 

ベニカキミリ卵底.JPG綺麗な楕円形の脱出口が大きく開いている。

ふ化した幼虫は卵底にこのような穴を開けたあと、すぐに突き当たる竹を掘り始める。

掘ったときに出る堀り屑をどうするかだが、卵の天井に小さな穴を開け、

その小さな穴から外へと掘り屑を捨てるのである。

その小さな穴とはこちら    赤い矢印先。とてもとても小さい。

ベニカミキリふ化幼虫3のコピー.jpgこの穴からせっせと掘り屑を掃き出す様子も観察できる。もっと大きな穴にすれば

効率も良いのにと思うが、穴を大きくすれば外敵に襲われる危険もあるだろう。

掘り屑が増えてくるとその小さな穴もわからなくなる 

ベニカミキリふ化卵.JPG卵を引き剥がしてみると、幼虫の潜行穴が見える。

ベニカミキリふ化幼虫2.JPG潜行穴の形は、卵の底に穿たれた穴と同じ形をしている。

ベニカミキリのふ化とは、卵殻を食い破ったあとすぐに、竹材を穿つ作業も連続して

行われるのである。

潜行穴のあたりからトンネルの断面を割り出してみたら、ふ化幼虫(矢印先)の姿が

ようやく見えた。右側の茶色のところが頭部。

ベニカミキリふ化幼虫1のコピー.jpgカミキリムシの多くは、卵を食樹の材中に産み込むが、ベニカミキリの場合は材の外側。

ただし、卵は外気に晒されることなく、厚い泥壁(見た目)にがっちりガードされている。

泥壁のガードは材の中に産みこまれなかったぶん、それを補う役目を果たしている。


(写真全て:EOS-7D  EF65ミリマクロ スピードライト270EXⅡ+オリンパス
                ストロボFL-36R )








先月半ばころ、梅の木でウメエダシャク幼虫が大発生していた。

場所は松山市の実家近く。

そのときに採集した蛹が今朝になって羽化した。

ウメエダシャク新成虫.JPG横から見れば、キハダカノコを思い出す。なんとなく毒々しいだろうか。

ウメエダシャク新成虫2.JPG
昨日、機嫌を取り戻した赤外線センサーの回路だが、一夜明けたらまた不調になった。

いったい原因はどこだろう?時間を置いて電源を入れてみると復帰する。

2年間、眠らせておいたら不機嫌になってしまったようだ。





都城市の城山公園に行ってみた。目的は観察会の下見である。

しかし残念ながらこの公園での観察会は無理だとわかった。

急斜面のわずかな法面に常緑樹林が残されているだけで、歩ける場所は

見事に整備された植栽公園。虫との出会いはかなり上級者でないと楽しめない。

公園内にある狭野神社の境内にはオガタマノキが植わっており、食痕やシルエットから

ミカドアゲハ若令幼虫を多数見つけることができた。

ミカドアゲハ若令.jpg薄暗い境内の裏を歩いていると、目の前を鮮やかな黄色い甲虫がゆるりと飛んでいた。

イヌビワに着地したところへ駆け寄ってみれば、キイロクチキムシであった。

キイロクチキムシ.jpgまあ、その程度のことであったが、境内の地面にはハンミョウ幼虫の巣穴が多かった。

「ハンミョウ釣り」くらいは楽しめるだろうが、1時間もそればかりではもたない。




午後3時近くとなって遅くなったが、20分ほど車を走らせて都城市、山之口町の

山間部に出向いてみた。

ダムの奥に進むと路面に白い花の絨毯が。遠目にはエゴノキの花にも見えなくは無いが

エゴノキの花はとっくに終わっているし、今日の花は大きい。

アブラギリ落花.jpg道路に被さるように枝を茂らせていたのはアブラギリであった。ちょうど今が満開。

アブラギリ満開.JPG東京に住んでいた頃、房総半島でアブラギリを探し回ったのも懐かしい。アブラギリは

オオキンカメムシが繁殖する木であり、アブラギリへの思い入れは強かった。

アブラギリの花を初めて見たのは屋久島であり、オオキンカメムシの卵から

幼生期を最初に撮影できたのも屋久島だった。

今は宮崎の地でオオキンカメムシの生活史を観察しながら、少しづつ撮影も進めることが

できるようになった。アブラギリはあちこちに多く自生し、昔に感動したことが嘘のような

気がする。花はにぎやかで圧倒される。アブラギリのもっと多い場所へ行きたくなった。

道路沿いのセイタカアワダチソウではテングアワフキが見つかった。

ずいぶんとご無沙汰していた。本種の写真は四国の山中で撮影した古いポジしかなく、

それもどこかに紛れて今となっては見つからない。

最初の個体はあっさりジャンプして逃げられてしまったが、しつこく探したら2匹目が

おとなしくしてくれていた。3匹目は見つからず、そう多くもないようだ。

テングアワフキ.jpg( テングアワフキの写真:オリンパスPENライト 14-42ミリズーム前球はずし )

( アブラギリの写真上:オリンパスPENライトS 14-42ミリズームⅡ 
          写真下:EOS-7D EF100ミリマクロIS            ) 



失敗の記録

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失敗は成功のもと、とも言う。

先日、はじめて飼育したシータテハが無事に羽化した。

ピカピカの翅のシータテハを見るのも初めて。そこで記念撮影してから放すつもりだった。

ところがカメラを構える間も無く、シータテハはあっという間に上空へと姿を消したのであった。

シータテハ失敗.JPGシータテハ蛹のぬけがらが虚しく風に揺れている。

こんどはいつピカピカのシータテハを撮影できるのか、新たな期待もこめて記念撮影とした。

(写真:EOS-7D EF100ミリマクロIS、 ストロボ 270EXⅡ+オリンパスFL-36R) 



ナナミノキはナナメノキとも呼ばれる。

うちの敷地には一本だけ、クヌギとコナラに挟まれた場所に生えている。

以前にも何回か紹介した木だ。枝を切ると凄まじい萌芽力に驚く。

今朝のことコナラの袋かけ飼育(ウスタビガ、ヤママユ)の様子を見に行ってみれば、

地面がピンク色に染まっていた。

ふと見上げればナナミノキの花が満開で、花を訪れているハチたちの翅音が

かすかに聞こえてきた。この花蕾にはサツマシジミも産卵に来る。

木の下に立っていると、ポツン、ポツンと頭に当たるものがある。ナナミノキの落花だ。

ナナミノキ落花2.JPG花には花粉がたっぷりの雄しべがついている。何か勿体無いような気もする。

ナナミノキは雌雄異株だから、うちの木は雄株である。

花は直径5ミリで花弁4枚、おしべ4本だが、写真には花弁が3枚のものも混じっている。

ナナミノキのメス株をまだ見たことがない。もしできればメス株も植えてみたいものだ。


さて、昨日のこと。

予約してあった歯医者へ出かけようとしていたら、真新しいメスグロヒョウモンのオスが

庭のノアザミで吸蜜していた。

メスグロヒョウモンおす1.JPG毎年、秋には必ずメスがやって来てクヌギの幹などに産卵していくが、

それ以外の時期にメスグロヒョウモンの姿を見ていない。

わが家の敷地内で定着しているのはツマグロヒョウモンだけ。

メスグロヒョウモンは少ないながらも、細々と繁殖を繰り返しているのだろう。

庭をゆっくり舞うメスグロヒョウモンのオスはまだ羽化して間もないようだった。

飛んではすぐに止まる、それを繰り返すのだが、それでいてかなり神経質でどうしても

うまく寄れない。出掛ける間際だったので撮影は証拠写真程度で諦めることにした。

メスグロヒョウモンおす2.JPG
数日前からキャノンの小型ストロボ、スピードライト270EXⅡ を使い始めた。

いろいろ試すこともなくいきなり仕事の本番に使ってみているが、

スレーブ機能に問題があることがわかった。どうやら受光可能範囲が狭いようだ。

ストロボの受光センサー窓をしっかりとマスターストロボであるカメラ側に向けておかないと

発光しないことがある。それが野外だけでなく室内でもほぼ同じ現象が生じた。

これには驚いた。

オリンパスのストロボFL-36Rと比較するとそれがなおさらはっきりする。

270EXⅡの発光部は上部へのバウンスしかできず、回転できないので、

受光センサー窓だけを任意の向きに固定するのは限界がある。

なんとか受光センサー窓をカメラ側に向けるように設置して凌いだり、

それがどうしてもできないときは、急遽、オリンパスのストロボFL-36Rに取り替えた。

小型なのはいいが、スレーブ機能に信頼が置けないのは困る。

発光部の首部分が回転できればまだいいのだが。



ベニカミキリの卵

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昨日、産卵行動を観察したベニカミキリ。

その卵の写真はこちら。

ベニカミキリ卵1.JPG写真の竹は直径36ミリとかなり細い。竹の節の谷間に並んでいるのが卵(4コ)。

卵には竹表面のゴミが厚く塗りつけられており、卵そのものは見えない。

濡らしてから柄つき針でゴミを掻き落としてみたが、完全には除去できなかった。

産卵時に卵は粘着物質で覆われ、その層自体も意外と厚い。

このゴミ塗り付け行動について確認しておきたいことがあったのだが、

今日は他の仕事で忙しく、ついに竹林へ行けなかった。