ベニカミキリのふ化、とは?

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先日、産卵行動を観察したベニカミキリ

竹の節に産みつけられた卵が、昨日あたりからふ化し始めた。

ベニカミキリのふ化はしかし、ふ化の様子そのものを見ることはできない。

なぜなら、ふ化幼虫は卵の底に穴を穿ち、竹材の中へと潜行してしまうからだ。

しかも卵全体は泥壁(見た目には)に厚く覆われているから卵の変化そのものも

まったくわからない。

ふ化を終えた卵を剥がし取り、卵の底を見てみると 

ベニカキミリ卵底.JPG綺麗な楕円形の脱出口が大きく開いている。

ふ化した幼虫は卵底にこのような穴を開けたあと、すぐに突き当たる竹を掘り始める。

掘ったときに出る堀り屑をどうするかだが、卵の天井に小さな穴を開け、

その小さな穴から外へと掘り屑を捨てるのである。

その小さな穴とはこちら    赤い矢印先。とてもとても小さい。

ベニカミキリふ化幼虫3のコピー.jpgこの穴からせっせと掘り屑を掃き出す様子も観察できる。もっと大きな穴にすれば

効率も良いのにと思うが、穴を大きくすれば外敵に襲われる危険もあるだろう。

掘り屑が増えてくるとその小さな穴もわからなくなる 

ベニカミキリふ化卵.JPG卵を引き剥がしてみると、幼虫の潜行穴が見える。

ベニカミキリふ化幼虫2.JPG潜行穴の形は、卵の底に穿たれた穴と同じ形をしている。

ベニカミキリのふ化とは、卵殻を食い破ったあとすぐに、竹材を穿つ作業も連続して

行われるのである。

潜行穴のあたりからトンネルの断面を割り出してみたら、ふ化幼虫(矢印先)の姿が

ようやく見えた。右側の茶色のところが頭部。

ベニカミキリふ化幼虫1のコピー.jpgカミキリムシの多くは、卵を食樹の材中に産み込むが、ベニカミキリの場合は材の外側。

ただし、卵は外気に晒されることなく、厚い泥壁(見た目)にがっちりガードされている。

泥壁のガードは材の中に産みこまれなかったぶん、それを補う役目を果たしている。


(写真全て:EOS-7D  EF65ミリマクロ スピードライト270EXⅡ+オリンパス
                ストロボFL-36R )







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