クロセセリの卵を撮る、とは?

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梅雨らしい雨が降り続く。

昨日、アブラギリの観察に出向いた場所の一つは、虫の種類が濃くてわずか数メートルの

草むらで1時間以上も過ごしてしまった。

下見のつもりですぐにも引き揚げようと予定していたが、動くに動けない嬉しい状況だった。

そのとき目の前にクロセセリのメスがやって来て、ハナミョウガの葉に産卵していった。

すかさずその卵を撮影。レンズは100ミリマクロだったので等倍が精一杯。

クロセセリ卵1.JPG指先を針で突いたときの血豆に似ていると感じた。チクッ、痛い!!

赤い卵全体、しっとりと透明粘液で覆われている。

産下直後の様子はすぐに撮影しておくべし。

さて、クロセセリの卵を持ち帰り今日はオリンパスのズイコー38ミリマクロレンズで

撮影してみた。卵を被っていた粘液は予想通り、すでに乾ききっていた。

まず、卵を横斜め上方から撮影。

クロセセリ卵3.jpg写真ではわかりづらいが、卵表面には縦条が40数本走っている。

葉っぱの接地面にその縦条の一部が数本見えている。

パッと見た目はイチゴゼリーあるいはイチゴ水羊羹の詰まったプラ容器を逆さまに伏せた

みたいで、なんとなく美味しそうだ。

生命体の中でもタマゴとは、全てとまでは言えないまでも、

美味しい姿をしているものかもしれない。

今度は卵の上部から俯瞰して撮影。

クロセセリ卵2.jpg卵の頂天部分は濃い赤色に見えているが、ここはわずかに窪んでいる。

じつはこの窪みがあることに気付いたのは撮影している最中のこと。

1ミリに満たない卵などを撮影する場合、あらかじめ実体双眼顕微鏡や高倍率ルーペで

しっかり観察しその形状を理解しておく。形状を頭の中で描きながら、どういう写真に

仕上げるか考えて撮影のライティングを組む。

ところが今回、事前の観察が雑だったせいもあり、卵の頂部が窪んでいる、ということが

わからず、平坦であると解釈していた。

物体が小さければ、ちょっとした光の当て方で影の出方や反射の仕方が微妙に変わる。

観察するときも照明の仕方をあれこれ変えてみて様々な角度から見ておく必要がある。

撮影を進めながら、ようやく窪みに気付き、それ以前に撮影したカットは全て消去した。

高倍率接写での技術的な難しさは、ライティングの自由度が低い中でいかに

思い通りの照明効果を得るかにある。そのためには撮影対象が変わるたびに

ライティングのやり方を工夫することで対処するしかなく、

ときには手の込んだ工作も行う。


夕方になって小雨のなかを犬の散歩に出た。

道沿いのススキを何となくめくってみたら、マダラハネナガウンカ が張り付いていた。

マダラハネナガウンカ.JPG上の写真は、キャノンのスピードライト270EXⅡをスレーブモードで使用

ストロボは左手を伸ばして支える

最初はE-TTLモードで発光させてみたが、こういう逆光条件だとレンズへの入射角の

微妙な違いで露出が安定しないので、補正調光がうまく効かない。

通常、スレーブモードを使う場合、私は必ずマニュアルモードを使用することがほとんど。

そこでさっそくマニュアルモードに変更して撮影した。

スレーブストロボの光量と被写体からの距離を、露出値から割り出すというのは

銀塩フィルム時代から培ってきたものだ。

スピードライト270EXⅡのスレーブモードはカメラ側に受光部を向けておかないと

発光しないことがあるので気をつけたい。それとこの小型ストロボは手から滑り

落ちやすい。ので、ミニスタンドなどをかませるなど保持しやすい工夫も必要だ。

撮影中に雨がだんだんと強くなってきて、カメラが濡れ始めた。

カメラとレンズは防塵防滴仕様だが、それでも内蔵ストロボをポップアップさせているし、

左手に持ったストロボは水対策はまったく為されていない。

気に掛かりつつも撮影がうまく終了するまで我慢だ。

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