クマバチの巣は、巣といっても出入り口の穴しか外見上の特徴がなく、
案外、知らない人の方が多いのかもしれない。
いや、「クマバチ」と聞くと「スズメバチ」のことと解釈する人が大概で、
「ああ、そういえば以前に巣を駆除してもらいましたよ。」という返事が返ってくる。
駆除の対象となるスズメバチの巣は軒先に下がるでっかいキイロスズメバチの巣か、
あるいは植え込みの繁みにハンドボールの球が挟まったようなコガタスズメバチの巣か、
だいたいはそのいづれかであろう。
クマバチの巣はそうしたハチの巣の概念からはまったくかけ離れているので、
スズメバチと誤解した方に、一から説明するのは案外厄介である。
クマバチの巣はひっそりと営まれており、自分の庭で営巣していても気付かない、
おそらくそういう日常が世の中では延々と繰り返されている。
それもそのはずで、クマバチの巣を出入りする個体数も一匹かせいぜい、数匹に留まるので
ハチの姿に出くわす機会も稀である。
さて、今日このブログを読まれた方で、これまでクマバチの巣の実物を見たことがない方は
ちょっと記憶に留めていただきたい。ご自分の庭にもクマバチの巣があるかもしれない。
クマバチの営巣場所は一度その特徴を把握したら、どこにでも営巣適所が溢れていることに
気付くだろう。
樹種は関係なく、クマバチが穿孔できる程良い硬さの枯れ枝、枯れ幹が
適当なサイズの径そして長さがあればいい。いや自然木でなくても、
お寺や納屋などの古い梁や柱でもいい。うっかりするとお宅の物置小屋の梁にも
いつのまにやら巣穴がポッカリ、ということもあリ得る。
ちょうど今、うちの林のナナミノキにある巣を紹介しておこう。
ナナミノキの枯れ枝は長さが45センチほどで、写真画面の右側が少し上向きに突き出て
いる。写真は巣穴の真下から、
巣穴奥に控えているクマバチの顔が見える角度から仰いで撮影しているので
右下がりに見えるが、この角度は無視してもらいたい。茶色のキノコが表面に生えている。
巣口の直径はだいたい13ミリ前後。枝が水平、あるいはそれに近い角度で突き出ている
場合、穴は必ず下向きに開いている。つまり雨水が入らない設計。
枝が垂直の場合、穴は広い空間に向けて開いている。
垂直枝に穿孔してできた巣は、巣口からすぐ奥で上向きにトンネルが曲がっており、
やはり雨水が入りにくい構造となっている。まあ、詳しい巣の構造は一度古巣を見つけ
手にとって分解してみてじっくりと実物を見るのがいい。
巣穴から材の繊維方向に平行して太いトンネルが、穴を中心に両方向に続いている。
うちの庭のヤシャブシで、今日のこと掘りかけの巣穴を見つけた。
枝の下のほうに見える白い穴がそれ。
この枯れ枝は斜めに傾いてほぼ垂直方向に伸びており、長さは60センチ以上ある。
枝の表面にはキノコが生えておりこの枝の腐朽がある程度進んでいることもわかる。
穴は穿ち始めたばかりで、直径は10.5ミリしかない。少しえぐった程度なのでまだ
径が小さいのだろう。穿孔作業をこの段階で止めたのは昨夜からの激しい風雨の影響
なのか、それとも営巣場所として材質が気に入らなかったのかどちらとも判断がつかない。
クマバチのあのでっかい幅のある頭は、硬い材を穿孔するだけの筋肉を必要としている
からであるらしい。でっかい頭をしているから細くて狭い花の中には頭が入らない。
そこでクマバチには盗蜜という行動が発達したとされている。なるほど!!
じつは先日、ヒラズゲンセイのメスを見つけたことから、
クマバチの生態について実際の観察をしながら、少しおさらいをしている。
文献のなかでも岩田久二雄・著「昆虫を見つめて50年」、「自然観察者の手記」は
とくに読み耽ってしまう。観察の記述が明解で正確で、無駄が無い。
生き物の神秘や不思議への驚嘆といった感情的な部分は完全に抑えられているので、
いかにも学者の文章であるが、まるで実物を観察しているような気分に引き込まれる
というリアル感がたまらない。
夕食のカレーを作りながら図書館で借りた映画DVD「博士の愛した数式」を観た。
料理しながらチビチビやるのは奈良県の地酒「往馬」(いこま)。
映画鑑賞しながら酒を飲むというのも久しぶりだが、
これはある撮影がうまくいったからであり、そういうめでたい気分は滅多に味わえないので
大事にしたくなった。
案外、知らない人の方が多いのかもしれない。
いや、「クマバチ」と聞くと「スズメバチ」のことと解釈する人が大概で、
「ああ、そういえば以前に巣を駆除してもらいましたよ。」という返事が返ってくる。
駆除の対象となるスズメバチの巣は軒先に下がるでっかいキイロスズメバチの巣か、
あるいは植え込みの繁みにハンドボールの球が挟まったようなコガタスズメバチの巣か、
だいたいはそのいづれかであろう。
クマバチの巣はそうしたハチの巣の概念からはまったくかけ離れているので、
スズメバチと誤解した方に、一から説明するのは案外厄介である。
クマバチの巣はひっそりと営まれており、自分の庭で営巣していても気付かない、
おそらくそういう日常が世の中では延々と繰り返されている。
それもそのはずで、クマバチの巣を出入りする個体数も一匹かせいぜい、数匹に留まるので
ハチの姿に出くわす機会も稀である。
さて、今日このブログを読まれた方で、これまでクマバチの巣の実物を見たことがない方は
ちょっと記憶に留めていただきたい。ご自分の庭にもクマバチの巣があるかもしれない。
クマバチの営巣場所は一度その特徴を把握したら、どこにでも営巣適所が溢れていることに
気付くだろう。
樹種は関係なく、クマバチが穿孔できる程良い硬さの枯れ枝、枯れ幹が
適当なサイズの径そして長さがあればいい。いや自然木でなくても、
お寺や納屋などの古い梁や柱でもいい。うっかりするとお宅の物置小屋の梁にも
いつのまにやら巣穴がポッカリ、ということもあリ得る。
ちょうど今、うちの林のナナミノキにある巣を紹介しておこう。
ナナミノキの枯れ枝は長さが45センチほどで、写真画面の右側が少し上向きに突き出て
いる。写真は巣穴の真下から、
巣穴奥に控えているクマバチの顔が見える角度から仰いで撮影しているので
右下がりに見えるが、この角度は無視してもらいたい。茶色のキノコが表面に生えている。
巣口の直径はだいたい13ミリ前後。枝が水平、あるいはそれに近い角度で突き出ている
場合、穴は必ず下向きに開いている。つまり雨水が入らない設計。
枝が垂直の場合、穴は広い空間に向けて開いている。
垂直枝に穿孔してできた巣は、巣口からすぐ奥で上向きにトンネルが曲がっており、
やはり雨水が入りにくい構造となっている。まあ、詳しい巣の構造は一度古巣を見つけ
手にとって分解してみてじっくりと実物を見るのがいい。
巣穴から材の繊維方向に平行して太いトンネルが、穴を中心に両方向に続いている。
うちの庭のヤシャブシで、今日のこと掘りかけの巣穴を見つけた。
枝の下のほうに見える白い穴がそれ。
この枯れ枝は斜めに傾いてほぼ垂直方向に伸びており、長さは60センチ以上ある。
枝の表面にはキノコが生えておりこの枝の腐朽がある程度進んでいることもわかる。
穴は穿ち始めたばかりで、直径は10.5ミリしかない。少しえぐった程度なのでまだ
径が小さいのだろう。穿孔作業をこの段階で止めたのは昨夜からの激しい風雨の影響
なのか、それとも営巣場所として材質が気に入らなかったのかどちらとも判断がつかない。
クマバチのあのでっかい幅のある頭は、硬い材を穿孔するだけの筋肉を必要としている
からであるらしい。でっかい頭をしているから細くて狭い花の中には頭が入らない。
そこでクマバチには盗蜜という行動が発達したとされている。なるほど!!
じつは先日、ヒラズゲンセイのメスを見つけたことから、
クマバチの生態について実際の観察をしながら、少しおさらいをしている。
文献のなかでも岩田久二雄・著「昆虫を見つめて50年」、「自然観察者の手記」は
とくに読み耽ってしまう。観察の記述が明解で正確で、無駄が無い。
生き物の神秘や不思議への驚嘆といった感情的な部分は完全に抑えられているので、
いかにも学者の文章であるが、まるで実物を観察しているような気分に引き込まれる
というリアル感がたまらない。
夕食のカレーを作りながら図書館で借りた映画DVD「博士の愛した数式」を観た。
料理しながらチビチビやるのは奈良県の地酒「往馬」(いこま)。
映画鑑賞しながら酒を飲むというのも久しぶりだが、
これはある撮影がうまくいったからであり、そういうめでたい気分は滅多に味わえないので
大事にしたくなった。