宮崎神宮の森と虫

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宮崎神宮には宮崎県立博物館があって、ここに来るときは博物館の駐車場に車を

止める。

車を降りてすぐ、目の前で ミカドアゲハ が吸水していた。


ミカドアゲハ吸水2.JPGまあまあ新鮮な個体注1)のようだ。広い駐車場で腹ばいになったり人目を気にせず撮影。

博物館の奥にある民家園に向かって進むと、杉の幹に キノカワハゴロモ が

2匹はりついていた。

ヒメキノカワハゴロモ1.JPG
ヒメキノカワハゴロモ2.JPG本種はうちの庭でも見かけることがあるが、かといってそう多くもないようだ。

今年は5月に竹林で本種の幼虫とおぼしき個体を撮影しているが、マダケでも吸汁する

のだろうか?ともかくキノカワハゴロモの生活史はまだ謎だらけのようだ。

※本種の幼虫はアリの巣内に生息し、地中の根から吸汁して成長するようだ。その際、アリの保護を受け、アリは幼虫から甘露を受け取るらしい。

このあとスミナガシ、ルリタテハ、ゴマダラチョウ、オオスズメバチなどがクヌギの樹液に

来たり周辺を舞っていたりして、しばしそこでも釘付けとなった。

今日の目的は別にあるのだが、そのポイントまでなかなか行き着けない。

民家園の中に植えられているトウオガタマを覗いてみれば、

ミカドアゲハの幼虫がいた。トウオガタマのすぐ横には大きなオガタマノキもある。

ミカドアゲハ幼虫民家園.JPG目玉模様も面白いが、臭角はまだ撮影したことがなかった。

ニュッ!と突き出た角からの匂いはけっこうキツイ。本物の目玉も現れた。

ミカドアゲハ幼虫臭角.JPGこの幼虫はこれから蛹になったあと年内に羽化するのだろう。その次の世代が

蛹で冬越しすると思われる。
※注2)

さていよいよお目当てのものを探す。一昨年、ここで観察会を行ったのはちょうど8月の末。

下見のときと本番の日にセミヤドリガの繭がけっこう見つかった。それを思い出して、

今日はセミヤドリガの繭を探しに来たのであった。

少し歩き回って数は少ないが繭を見つけた。

セミヤドリガ繭.JPGこの場所は一昨年とほぼ同じ。白い綿くずのような繭は遠くからでもよく目に付く。

セミヤドリガの発生は年によって変動が激しいとは聞いているので、少し心配していたが

なんとか見つかってよかった。例年より今年は遅れている可能性もあるかもしれない。

ここまで来たときには博物館に寄って、「月刊むし」や「昆虫と自然」に目を通すのだが、

午後1時近くなって腹が減り、空腹には勝てず博物館をあとにした。

昆虫月刊誌もこのところはまったく読んでいない。

来るときに目をつけておいたラーメン屋に入るつもりが、そこは交差点でつい行き過ぎて

しまった。グルッと迂回して戻れなくもないが、ああ、この店には縁が無かったのだなあ、

と諦めてどんどん先に進み、昼食にありつけたのは午後1時20分ころであった。

注2) 九州以北のミカドアゲハの発生時期については、

通常、5~6月の1化のみで、夏~秋には稀に成虫が現れるようである。

私は一昨年、都城市内街中で真夏に吸水する成虫を見ており、

稀とはいえポツポツと発生するものもいるようだ。

したがって蛹で越冬する世代のほとんんどは、

5~6月ころの春個体が産み落とした卵から育ったものということになり、

ミカド蛹の休眠性には謎が多い。

注1) 他の写真をチェックしていたら、右前翅の一部が欠けていた。

 新鮮個体というよりか、少し飛び古しているようだ。

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