鱗粉転写

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今日は珍しく一枚も写真を撮っていない。

午後1時から都城市、安久児童館で20分ほどのお話をしたあと、鱗粉転写を

皆に体験してもらった。午前中は作例を作っていたり、同好会誌の原稿を仕上げていたり

と慌ただしかった。

鱗粉転写は高校生のときに少し嵌って、ドイツ箱も買い足せない貧乏だったので、

標本箱の要らない鱗粉転写は好都合だった。標本箱を買えない、

展翅版も買えない、採集に出掛ける交通費もない、、、、、、

という環境にいて、私は早々と昆虫採集趣味から離れざるを得なかった。

そこで私がのめり込んでいったのは、身近な蝶の生態観察であり、

カメラも買えなかったので、スケッチをしていた。あの時代ほどカメラに憧れた

時期はないだろう。ペンタックスのカタログを集めては眺めていた。

私は自慢ではないがそういう制約の中に生きていた。

標本を集めそれを保管し管理するにはそれなりの経済力が必要である。

中途半端なことはやりたくない。したがって今でも昆虫標本は必要最小限しか

作らない。昆虫の正確な同定には標本が不可欠だから、だから写真に撮った

昆虫の同定はたいへん困る。困るから怪しい写真は使えない。

種名のわからない写真を集めてもそれはほとんど、意味がない。

名前がつかない写真の主は、何も語ってくれないのである。

ちょっと誤解を受けそうだが、昆虫を、生き物を撮影するとは、そういうことも

大事な要素である、ということを言いたい。主格が何か?は極めて大事なのである。

さてさて、鱗粉転写。参加していただいた方々には若いお父さんもいて、

その方々はさすがに綺麗な仕上がりだった。で、1年生~3年生の子供たち。

皆それぞれ個性があって、ハラハラしながら見ていたが、なんとかできた。

鱗粉転写は鱗粉が裏返しになるので、色が違ってくるとか、体のスケッチをするとか、

ロウソクのロウを丁寧に塗るとか、あるいは翅の裏と表をうまく組みわせるとか、

低学年の子供たちには少しハードルが高かったと思う。

でも皆、私がお手本を披露したあと、夢中になって取り組んでくれた。

できた台紙は最後にラミネートして完成。この機会に昆虫の種名には

世界共通の学名があることも伝えてみた。

小学3年生の子供たちはもうローマ字を習っていた。

さすがに今日は、子供たちの様子を撮影している余裕はなかった。

それよりも手を出し、声を掛け、とまるで小学校の教師のような半日を過ごした。

写真ないついでに、私の本棚の一部を紹介。

CIMG1770図鑑.JPGカメムシ図鑑、3巻が揃った。図鑑は時間ある限り眺め、読み物として楽しむべし。

調べる本ではなく、読む本でもあります。








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