ミヤマカラスアゲハ、越冬蛹

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[ 宮崎県 三股町 ]

明日が締切の原稿の仕事があって机に向かっていた。

写真の選別、絞込み作業が終わったので、あとは書けばいいという段階になった。

そこで気分転換に林に出て、観察路の落ち葉かき作業をしておいた。

こういう山仕事があって、それが義務でもあるが同時に楽しみにもなっているのは

非常に助かる。ちょっとそこらを散歩ならどこでもできるだろうが、

気晴らしに山仕事をやれる、というのはまったく別次元のことだろう。

ちょっと自慢したい気分だ。

一時間ほど労働してから、自然観察をする。

ササの喰い痕が気になった。クロヒカゲの幼虫がいるかもしれない。

A_000313食痕.JPGコチャバネセセリの可能性もあるが、幼虫巣が無いかそのあった気配が無いことからして

クロヒカゲを期待して良いと思った。そこでさっそく葉をめくる。

クロヒカゲ幼虫は葉裏に潜んでいるからだ。

そっと葉をめくると、意外なものが見つかった。

A_000317カラスアゲハ越冬蛹.JPG一発目に現れたので驚いたが、重量感ある蛹である。

それも、ミヤマカラスアゲハの蛹。

カラスアゲハと明瞭に区別できるのが、頭部の角の開き具合。

A_000320カラスアゲハ越冬蛹背面.JPG
2007年11月の「昆虫ある記」の記事で、カラスアゲハとミヤマカラスアゲハの蛹の

見分け方を書いたことがある。久しぶりに自分の書いた文章を読んでみると、

識別法をネコの耳に例えていた。

それを読んで自分でも驚いた。そんなこと書いたっけ~!?

高校生のころからミヤマカラスアゲハは憧れの蝶であり、

どこか遠くの山地に出向いてやっと出会える蝶だった。

しかし、ここ三股町の我が家では、春と秋に必ず庭に姿を現してくれる。

で、そのミヤマカラスアゲハが、我が家の林で繁殖もしていることを確認できたのが

今朝の出来事だったのである。

蛹があった場所から2メートル離れて2本のカラスザンショウが生えている。

どちらも大木である。

山仕事、その合間に憧れの蝶との出会い。絵に描いたような瞬間だ。

そんな日を憧れて松山を発ったのが、もう30年前もの昔となった。

あの頃の私には、自分がどうなっていくのか、何も見えてなかった。

などと、頭の中で走馬灯のように想い出が駆け巡る中、

そろそろ原稿の書きだ出しを考えようと、家に戻っていったのである。


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