足下の世界

| | トラックバック(0)
さすがに、体のあちこちが筋肉痛となった。

今朝は、いや昨日もだが、我が家の林で土掘り作業を行った。

正確に言うと、もう数ヶ月前から続いている作業だ。

その成果が出るまでに要した時間は、5時間。 長い、じつに長い。

5時間と言えば、うちから大分市内まで、車だとその位掛かるし、

あと1時間足して6時間だと、電車に乗って博多まで行けてしまう。

いっそ、博多で一杯やりたくなる。

気の遠くなるような作業をしながら、私は何を考えていただろうか?

あまり考えていると、こうした作業はうまく続かないものだ。

成功した場面ばかりを描いて、そのゴールの瞬間の感激を想像していると

疲れるだけで、作業の効率は上がらない。

無心に掘る、それしかない。目標に向けて、ひたすら掘る。

掘る手つきも、休憩の取り方も、だんだん板についてくる。

ああ、これがプロの仕事かもしれん、と自分に酔う。それも危ない。

しかし、思う。

昆虫写真家の仕事とは、儲からん稼業だ。これは言っておく。

昆虫写真家になりたい、などという人は稀有だろうが、忠告しておく。

もしも、私の仕事場に厳格な経理の人間がいたら、事務所からすっ飛んできて、

即「止めなさい!」と叱咤されることは間違いない。

幸い、経理の人はいないので、誰かに怒られることはないが、

家族はとっくに呆れており、私との関わりを避けている。

「お父さん、また変なことばかりしている。」 「あれが、仕事け?」

それはともかく、痛風発作で半月ばかり、掘る作業ができなかったのが痛かった。

掘っている間に、目の前のカラスウリの葉に、ミナミマエグロハネナガウンカがいた。

IMG_8868.JPGミナミマエグロハネナガウンカ.JPGハネナガウンカの視線を感じたとき、

「焦るなよ。」と、自分に言い聞かせたのである。いつものセリフであまり効果はないが、

こうして気分転換するのは、大事なことだ。


今日は写真展の撤収作業もあったが、撤収はすぐに終わった。

なごり惜しい、という役場のある女性の言葉が、耳に残った。

主催は三股町役場であるから、私の意思とは別ではあるが、

少しでも多くの方が自然に関心を寄せて欲しい、とは思う。

都城市も三股町も、その土地柄か、自然に興味を抱く人は少ないと感じる。

虫だけでなく、虫をきっかけにして、自然観察の楽しみに気づいて欲しい。


« オニヤンマの交尾カップル       お歯黒 »