台所の勝手口からコンポストまで、歩いてちょうど、32歩。
毎晩、流しに溜まった調理屑をコンポストまで捨てに行くのは、私の仕事。
昨夜も懐中電灯を灯して歩きだしたら、すぐ脇の地面に、黄色い小さな三角帆が
浮き上がった。 キチョウ、だった。 これでも、ねぐらに違いない。
今朝になって様子を見に行ったら、ほぼ横倒しの状態になっていた。
全身夜露をまとっている。 これでは動きようがない。 午前6時45分。
朝陽が届くようになって少し翅を持ち上げ始めた。 午前9時20分。
すっかり体が乾いて、飛び立って行ったのは、午前11時半過ぎのことだった。
キチョウがねぐらをとった庭は、この時期だとあまり陽射しが届かない。
なぜなら南側にある林のクヌギが大きくなりすぎて、日陰を作っているからだ。
ジガバチモドキ属(Tripoxylon) の観察
昨日のこと、ジガバチモドキの一種の営巣場所を見つけた。
ちょうどクモを抱えて、竹筒の中に飛び込むところだった。
Trypoxylon (トリポキシロン)属は、国内に14、5種類もいるそうだ。
ジガバチモドキ T.obsonator (トリポキシロン・オブソナタ)は、西日本どこでも
密度の高い ハエトリグモ狩蜂である、、、と、岩田久仁雄「自然観察者の手記」に
ある。
そしてある夏の観察例では、54巣中、クモの種類・数は、ハエトリグモ類218匹、
ウズキドクグモ109匹、ササグモ17匹、で全て成体、であったと記されている。
ところが、私が昨日~今日にかけて観察したトリポキシロン属の一種(仮にA)は、
巣内にコガネグモばかりを溜め込んでいた。それもこの時期のことだから、
当然ながら全て小さな幼体であった。
完成した泥壁で閉じられた一つの巣房内には9匹のコガネグモが詰まっており、
次の部屋には4匹のコガネグモが入っており、5匹目を持ち帰ったところだった。
狩った獲物のクモの種類を見る限り、本種Aが、普通種とされるジガバチモドキ
( T.obsonator )とは異なるように思えるがどうだろう?
さて、ジガバチモドキ類のことを「自然観察者の手記」で拾い読みしていたら、
すっかり忘れていた内容に目が止まった。 少し長いが引用しておこう。
『とにかくクモを唯一の餌として専攻する昆虫は、
意外に種類が少ないものである。
その代表的なものはなんといってもクモバチ科(ボンピリデー)という
大科に属する狩蜂である。これは明治の粗忽な一昆虫学者によって、
この科の小部分だけに見られる体色にもとづいてベッコウバチと
不適当に呼ばれているが、すべての種が幼虫時代にクモ一頭だけを
食べて成育するので、むしろクモバチと呼ぶべきであろう。』
(岩田久仁雄 著:自然観察者の手記(朝日新聞出版)より)
毎晩、流しに溜まった調理屑をコンポストまで捨てに行くのは、私の仕事。
昨夜も懐中電灯を灯して歩きだしたら、すぐ脇の地面に、黄色い小さな三角帆が
浮き上がった。 キチョウ、だった。 これでも、ねぐらに違いない。
今朝になって様子を見に行ったら、ほぼ横倒しの状態になっていた。
全身夜露をまとっている。 これでは動きようがない。 午前6時45分。
朝陽が届くようになって少し翅を持ち上げ始めた。 午前9時20分。
すっかり体が乾いて、飛び立って行ったのは、午前11時半過ぎのことだった。
キチョウがねぐらをとった庭は、この時期だとあまり陽射しが届かない。
なぜなら南側にある林のクヌギが大きくなりすぎて、日陰を作っているからだ。
ジガバチモドキ属(Tripoxylon) の観察
昨日のこと、ジガバチモドキの一種の営巣場所を見つけた。
ちょうどクモを抱えて、竹筒の中に飛び込むところだった。
Trypoxylon (トリポキシロン)属は、国内に14、5種類もいるそうだ。
ジガバチモドキ T.obsonator (トリポキシロン・オブソナタ)は、西日本どこでも
密度の高い ハエトリグモ狩蜂である、、、と、岩田久仁雄「自然観察者の手記」に
ある。
そしてある夏の観察例では、54巣中、クモの種類・数は、ハエトリグモ類218匹、
ウズキドクグモ109匹、ササグモ17匹、で全て成体、であったと記されている。
ところが、私が昨日~今日にかけて観察したトリポキシロン属の一種(仮にA)は、
巣内にコガネグモばかりを溜め込んでいた。それもこの時期のことだから、
当然ながら全て小さな幼体であった。
完成した泥壁で閉じられた一つの巣房内には9匹のコガネグモが詰まっており、
次の部屋には4匹のコガネグモが入っており、5匹目を持ち帰ったところだった。
狩った獲物のクモの種類を見る限り、本種Aが、普通種とされるジガバチモドキ
( T.obsonator )とは異なるように思えるがどうだろう?
さて、ジガバチモドキ類のことを「自然観察者の手記」で拾い読みしていたら、
すっかり忘れていた内容に目が止まった。 少し長いが引用しておこう。
『とにかくクモを唯一の餌として専攻する昆虫は、
意外に種類が少ないものである。
その代表的なものはなんといってもクモバチ科(ボンピリデー)という
大科に属する狩蜂である。これは明治の粗忽な一昆虫学者によって、
この科の小部分だけに見られる体色にもとづいてベッコウバチと
不適当に呼ばれているが、すべての種が幼虫時代にクモ一頭だけを
食べて成育するので、むしろクモバチと呼ぶべきであろう。』
(岩田久仁雄 著:自然観察者の手記(朝日新聞出版)より)