私が小学・中学生の頃、昆虫少年ではなかったことは、拙著「ぼくは昆虫カメラマン」
(岩崎書店)にも書いたし、講演の折りにもお話しすることもある。
先週、熊本市での講演では「私と本との出会い」というタイトルでお話をして
そのことについて、少し詳しく触れた。初めての演目でもあったが
下書きや原稿もないまま、思うことだけを語った。
私が幼少の頃は、ゲームもなく、野遊びがまだ全盛だった時代ではあったし、
たしかに、私はよく虫採りに出掛けた記憶が多く残っている。
だが、あるきっかけで、虫を採ったりすることが嫌になり、
すっかり虫の世界に背中を向けてしまったのも事実だ。
さて、今日も午前中、都城市のある児童館の子供たちと昆虫観察会を行った。
1年生から3年生までの子供達を見ていて、ちょうどこのころ
私は虫嫌いになったのだなあと、記憶を辿っていた。
なにが原因で虫が嫌いになったか? そのことは明日に書くとして、
今朝の観察会では嬉しいことが多くあった。
参加してれた子供たちは総勢40名くらいだったと思うが、
この企画に乗り気でない子もかなりいたのである。これまでは、
参加したい子だけを募っていたのだが、今日は児童館皆、参加であった。
だから、いやいや参加した子も多くいた。それは仕方が無いことだ。
しかし、歩き始めてしばらくすると、
「ぼくは、見学するだけだからね!」と乗り気のないことを宣言していた男の子が
私の捕虫網を手にして虫を追いかけ始めたのである。
さらに、もっとイヤイヤをしていた女の子が、「あ、これなに?」
「先生、ここに何かいる!」と、積極的に虫探しをしてくれたのであった。
昆虫観察会とは、私が思うに、主役は参加者の子供達である。
何かを教育せねばと資料を揃えたり、準備を工夫するのも否定はしないが、
できれば子供たちの旺盛な好奇心に期待したい。
だから、私は観察会のときに一切、資料などは持ち込まない主義を通している。
野外にフィールドに子供たちを連れ出せば、彼らはきっと眼を輝かせる。
好奇心を発動させる。そのとき、少しだけ大人が答えのヒントを語ればいい。
現場で一緒に見ながら、ちょっと知っているヒントを語ればいいのである。で、
一緒に驚き、感動を共有できればいいのである。
大人は、立派な大人になるほど、無邪気に感動できなくなるものだ。
さてさて、私が虫嫌いになった理由は明日にでも。