霧の朝を迎えた。
玄関出たらすぐのボケの木に、スズミグモの網巣がある。
霧のおかげで白く染まってよく目立つ。
ドーム型の裾回りは、直径20センチ程度とまだ小さい。
ドームの天頂にスズミグモが仰向けになって構えている。 まだ幼体である。
成体になれば、ドームの径も高さも、もっと大きくなる。
スズミグモは関東以南の暖地に生息するクモだが、清瀬に住んでいた頃には
一度も見たことがなかった、と思う。 宮崎では普通に見られるクモだが、
ジョロウグモなどに比べたら、ずっと少ない。
ラデンキンカメムシの撮影で訪れた、
奄美大島ではスズミグモの数は半端でなく多かった。生息密度がきわめて高い。
スズミグモは、南に下るほど勢力が増すようだ。
さて、昨日、来週予定している観察会の下見をしてきた。奇麗に手入れされた
クヌギ林で、林の手前は畑の間の小道をしばらく歩く。
小道を車まで戻る途中、往路では気付かなかった、カナムグラの群落に目が止まった。
地面から高さ2メートル、横幅6〜7メートルの大きな群落だった。
べた〜っと、平面に伏して広がる群落もよく見かけるが、塀のごとく立ちはだかる
カナムグラ(金葎)には、整然とした美しさを感じる。
もみじ型の葉が、互いに譲り合うかのように、しかしそれぞれが懸命に少しでも
多くの太陽光を受けようと、身を乗り出しているような様に、カナムグラの
声が聞こえてくるような気さえする。
タテハチョウ科のキタテハの食草ということで、カナムグラの名前は
高校1年生のときに憶えた。キタテハの食草外産卵という行動を観察したのは
そのころから少し後だった。カナムグラの雌花の穂は、ホップに少し似ているが、
同属で本州中部〜北海道に分布するカラハナソウが、ホップそっくりだ。
カラハナソウの果穂には特有の香りがあるそうだが、ホップの代用にはならないの
だろうか?というか、その香りは一度、嗅いでみたいものだ。どんな香りだろう。
花期は今頃のようだ。北海道に行ってみたくなった。