ここのところ、夜の照明に飛来するカメムシが多い。
仕事場の外灯にも来ているが、町中の商店などに行くと、
踏みつぶされた死骸の数が、半端ではない。だが、
ほとんどの人は地面の残骸に気付くこともなく忙しく通り過ぎていく。
一番数が多いのはツヤアオカメムシで、チャバネアオカメムシも混じる。
成虫の発生はダラダラと続くのだろう、両種とも幼虫をあちこちの
薮や草むらで見かける。
ところで、幼虫といえば、イモムシを思い浮かべる方が多いのではないか、
と思う。カマキリやカメムシや、トノサマバッタの幼虫は、あんまり注目
されないか、いや、目の前にいたとしても、成虫との違いがわかりにくいので、
幼虫がいた、という感覚には馴染みにくいのではないだろうか。
やはり、気持ち悪いイモムシのほうがインパクトが大きいし、
脱皮して変態するドラマチックなところが魅力でもあろう。
まあ、しかしカメムシなども、幼虫を見て、カメムシの仲間と判っても、
成虫の姿を思い浮かべ、種名を言い当てるのは普通種でさえ、
そう簡単にはいかない。
写真上は、ヨコヅナサシガメの幼虫。脱皮直後だから鮮血色をしているが、やがて
全身黒色になる。令数は5令だろうか。サシガメというグループは、肉食カメムシで
あって、他の昆虫に口針をブスリと突き刺し、吸血する。サシガメの仲間を
手で摘むと刺されることもあり、そのとき注入される唾液によって、とんでもない
激痛を被る。私はクロモンサシガメに刺されて、
ズキズキする痛みが2週間以上も続いたことがある。クロモンサシガメは、
我が家の庭でもときどき小走りしている姿を見かける。もっとも素手で捕まえたり
しなければ、刺されることはない。生き物を扱うときは、相手の素性をしっかり
知っておく必要があり、知らない初対面の生き物には、距離をおいて
じっくり観察することから始めたい。可愛いからといって、すぐに手を出すのは
あまり好ましいことではない。相手にとっては迷惑なだけだ。
ま、カメムシやイモムシに好奇心を注いで、手を差し伸べる方はそうそう多くは
ないと思うけれど。私がクロモンサシガメに刺されたのは20歳のときだった。
まだまだ昆虫の知識に乏しかったから、何でもかんでも採集していた頃だ。
エノコログサには、アカスジカスミカメがいた。こちらは成虫。
今日は一日中雨。ヒガンバナが咲いてから、これまで晴れた日は二日のみ。
写真は昨日、撮影したもの。昨日はどんより曇り空で、雨はなかった。