センダンの種子

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関東に住まわれているある方が、ミカンキンカメムシを飼育するために、

センダンを栽培している、と聞き及んだ。

センダンは暖地性の木だから関東などでは稀であるからだ。

ちなみに沖縄県地方に生息するミカンキンカメムシは、幼虫がセンダンの実の

汁を吸って育つゆえ、本種カメムシの子育てにはセンダンが欠かせない。

昨年暮れに埼玉県の飯能市を歩いた際、いっぱい実をつけたセンダンがあったが、

やはりどこにでも普通に見られる木ではないと思う。

18年間、清瀬に住んでいた私もセンダンを見かけたのは数カ所のみだった。

一方、西日本であれば普通に見られ、もちろん九州では当たり前に生えている。

そこで我が家の林に生えているセンダンの数を改めて数えてみたら、5本あった。

小さな幼木や若木は見落としているかもしれないが、5本のうち4本はかなりの大木。

さらに根元を見下ろすと、センダンの実がまだ残っていた。

センダンの実701A5500.JPG
先週、延岡植物園を歩いた際には、遊歩道の路面に白い種子がたくさん落ちていた。

センダン種子IMG_9923.JPG果肉がとれた種子は、白くて目立つ。しかもスターフルーツを思わせる形がさらに

目を惹く。

意識してみると、こんなにも落ちているのか!と今更ながら気付いた。

我が家のでっかいセンダンの木の一本は、昨年の台風襲来により、

かなり大きな枝が折れた。

落下した場所は観察路でもあったので、こういう危険もあることを知った上で、普段から

気をつけておかねばならない。

折れた部位を見れば、病気だったのかあるいは昆虫などの食害だったのか

判然とはしなかったが、赤く変色していた。外見からは全くわからないが、

そこが弱っていたのだろう。こういうのを見ていると、

当たり前だが、木も人間と同じ生き物であることを強く感じる。

枝が折れたセンダンの木の幹を思わず撫でながら、

「お前さんも、たいへんだねえ〜」なんて偉そうな独り言をつぶやいたら、

かのセンダンは、「お前さんこそ、そう毎晩、酒ばっか飲んでいて大丈夫かあ?」

と、頭上から睨まれたような気がした。
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