2015年2月アーカイブ


待ちぼうけ

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歩いて2分の畦道。午後1時過ぎ〜2時半までにフチグロトゲエダシャクの♀3頭を発見。
フチグロトゲエダシャク♀701A6287.JPGそれに対して、オスの飛翔はせいぜい2頭で、すぐ近く(1m)を通過しながらも、♀に気付くことなく配偶行動まで至らず。少し冷たい風があったのも影響していたかもしれない。オスの飛翔は散発的。
フチグロトゲエダシャク♀701A6301.JPG
メスはずっとコーリングを続けていた。しかし、午後2時半、曇りとなってからオスの飛翔は皆無となった。明日、明後日と雨が続く。メスは何日、待ち続ければいいのだろう?

もっとも、今日、見つけた3♀が交尾済みの可能性もある。多回交尾するとしたら今日の行動の説明はつくが。

正午過ぎ、庭でアゲハ(ナミアゲハ)1Ex.とすれ違った。

お堂の越冬蛹

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昨日のこと、ある本の仕事で、ある虫を探しに出掛けた。その虫を見つけるうってつけの場所まで車で10分程度。どうしても必要な写真をこれまでサボッて、撮ってなかったからだ。いづれ必要になることはわかっていたが、判り易い写真を撮るためには、それなりの観察と準備に時間を要する。現場についてしばらくして、目的の虫を探し当てた。さて、戻ろうかというとき、目の前のお堂が気になった。
アオスジアゲハ越冬蛹P2250002.jpg小さなお堂は画面左。狭い道路を挟んで、右手にはクスノキの大木がある。この構図からして何かあるなと、アンテナが上がる。なるほど、アオスジアゲハの越冬蛹が、お堂の壁看板にくっついていた。

アオスジアゲハ越冬蛹701A6118.JPG白塗りトタン板は、表面がスベスベだからだろう。アオスジアゲハ幼虫が蛹化場所を選ぶときは、こうした平滑な条件を好むようだ。漆喰の白壁などにもよく蛹が見つかるのもそれを物語る。

さて、目的の虫の写真撮影はスタジオで時間を掛けて今日のこと、無事に終了できた。ちょっと苦労したが、自分も初めて見るシーンに興奮しながら撮影した。さらに、夕方、犬の散歩に出歩いているうちに、ふとあるヒントを思いついた。家に戻ってさっそく、別のシーンの撮影。
本の筋書きを考え、写真の整理、そして観察、撮影、、、なんとも終わりの見えない作業が続く。

雲が多く、陽射しはわずかの時間。それでも正午過ぎには、フチグロトゲエダシャク♂、羽化直後の姿と、日光浴する別個体を見る事ができた。
フチグロトゲエダシャク♂P2250008.jpg
         (写真:OLYMPUS TG−3)

しかしやはり、気温もさほど上がらず飛翔活動するオスの姿は皆無だった。おいおい、待っているメスはどうなるんや!?と気に掛かる。
ヤハズハエトリ♂701A6158.JPG
枯れススキの上では、マミジロハエトリや写真のヤハズハエトリ♂などが盛んに徘徊するようになっている。ヤハズハエトリの太く長い前脚に捕らえられたら、羽化直後のフチグロトゲエダシャクなどは、一溜まりもないだろう。
フチトゲエダシャク♂701A6184.JPG
茶色の排泄物を出したばかりの、オス。地面で羽化したのは推定で、12時半〜13時と思われる。
(写真中段、下は Canon EOS 5D Mark III シグマ50mmマクロとEF24mm f/2.8 IS USM )


昨日とは打って変わって、どんより曇り空の一日だった。風はほとんどないものの気温が低く、さすがにフチグロトゲエダシャクの姿を見ることはなかった。
仕事部屋の外灯に昨夜飛来した、トビモンオオエダシャクの♂が庭にいた。

トビモンオオエダシャク♂701A6086.JPG体全体の紋様が、例えばそのまま絨毯の柄にしたいほど、素晴らしい。
トビモンオオエダシャクは、毎春、飛来するが、数は多くない。

明日は晴れるようだが、さて、フチグロトゲエダシャクの交尾が見られるだろうか?



確定申告の書類提出をするため都城市内へ出掛けた。毎年のことだが、一年経つのが速いと感じるのも今日のこの行事。e-taxを使えば在宅申告もできるが、なんとなく嫌なので、税務署HPサイトで入力後、ダウンロードしている。やはり紙の書類にハンコもらって安心できる。

空はどんより曇り空で、これならフチグロのことも気にせずに済む。しかし用事を済ませて家に戻る頃には、陽射しが出始めた。おお〜、これならいい具合だろう。さっそく、歩いて2分の畦道に降りてみた。すぐにも視界の隅を白い飛翔虫がかすめる。一瞬のことだったが、期待できる。ゆっくり着地点と思われる薮に回り込んでみた。 そしたら、いました。

フチグロトゲエダシャク♂IMG_0248.JPGこの写真は別個体で、羽化直後のオス。最初に撮影したオスは翅の縁が擦り減っていたのと、翅の畳み方がいびつになっていたので、せっかくだから新鮮なオスの写真を載せてみた(当ブログ初登場)。
陽射しは1時間と保たなく、雲がしだいに増えて正午過ぎからはまた、どんより曇り空となった。
風も出て、気温が下がったのでさすがにオスの活動は見られない。最後の見納めと草薮の地面近くを眺めていたら、羽化直後と思われる、メスがいた。
フチグロトゲエダシャク♀701A6044.JPGメスは翅がない姿。草薮でじっとオスの飛来を待つ。
今日確認できたオスは全部で、4頭。うち、3頭は今朝羽化したばかり。出始めかと思うが、もうメスも現れている。明日、天候が回復すれば交尾なども観察できるだろう。

さて、歩いて2分。犬の散歩コースでもあるこんな近場に、フチグロトゲエダシャクが生息している。なのに過去7年間、見落としていた。頻繁に歩いていて、灯台下暗し、とはまさにこのことだが、見落としていた理由もはっきりしている。その理由は主に二つ。

①  本種の生息地は、全国的に見ても局所的なうえに、既知産地が主に河川敷。鼻から河川敷という環境に行かなければ出会えない、と思い込んでいた。それと宮崎県内での産地情報は、やはり河川敷の某所一カ所のみを聞き及んでいただけだった。本種の生息環境が、草地環境だという基本に立ってあらゆる可能性にまで、探索の目を注ぐ努力を怠っていた。つまり、本種との遭遇は諦めていた。

②  本種発生時期が2月の半ば〜3月初めのごく短期間であること。この時期は例年、4〜6月の出版本の編集作業に携わることがもっぱらで、加えて山仕事にも時間を割くことが多い。フィールドに出る時間はかなり減り、出歩いても運動がてらで、①の理由からアンテナを下げたままの休眠状態に近い。

と、言い訳めいているが、そういうわけで、おそらくこれまで発生時期にこの場を歩いていたとしても、サッさと通り過ぎていた。フチグロトゲエダシャクは、結構、目立つ姿(♂は)ではあるが、やはりそれなりにアンテナを繰り出していないと、気付かないままに終わる。

続きは、また明日に。

              オスの触角は、、まるで鳥の羽毛のごとし!
フチグロトゲエダシャク♂P2230091.jpg  (触角写真のみ、 OLYMPUS TGー3  深度合成 )



古つわものの証

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先日、庭で見つけたヒラタクワガタ♂。身体検査をしてみたら、左上翅に亀裂があった。
ヒラタクワガタ_MG_3818.JPG
体長は4センチと小柄ではあるが、昨年の夏頃、クワガタ相撲に明け暮れたのであろう、深い傷痕がそれを物語っている。相手が同種のヒラタクワガタだったのか、それともコクワガタやノコギリクワガタであったのかは、わからない。

今日は昨夜からの雨が夕方まで降り続いた。おかげで人工池の水かさが回復したし、ちょうどいいお湿りになった。それでも気になっていることがあって、ポンチョを被って観察歩きをした。それ以外ほとんど室内で作業をしていたが、ようやく確定申告書類を仕上げることができた。
昨日は山仕事と観察歩きで動き過ぎたせいか、ドッと疲れが出てしまった。ほどほどにせねば、とも思うが、これくらいで疲れるとは、とガックリした。

腕時計を見れば午後2時半。黒い櫛状のアンテナが私を見据えていた。白い枯れススキの葉上ではよく目立つ。なるほどこれがフチグロトゲエダシャクの♂なんだ。これまで冬の昆虫観察では、相手が逃げる心配はなかった。しかし久しぶりに、カメラを構えるちょっとした動作にも緊張感の要る瞬間だった。残念ながらカメラを構えて近づいた瞬間、フチグロトゲエダシャク♂は上空へと高く舞い上がり、懸命にその姿を目で追いかけたが、10m先の薮に着地したところで姿を見失ってしまった。さらに二頭目が足下から飛び立った。同じように目で追いかけたが、着地点に駆けつけたときにはすでにいなかった。
それでもとにかく、フチグロトゲエダシャクが、我が家のすぐ傍で発生していることを成虫の姿で確認できた。ここ数日、本種の出現を期待して歩いていたが、ようやくオスを見る事ができた。午前中には全く発見できていないので、もしかしたら出始めなのかもしれない。

庭ではタテハモドキが日光浴したり、オオイヌノフグリで吸蜜していた。翅はかなり擦れている。

タテハモドキ701A5947.JPG
タテハモドキ701A5949.JPG

フチグロトゲエダシャクについては、幼虫の発見を少し載せたことがあるが、4年前から本種の幼虫を確認しており、この件についての詳細は宮崎昆虫同好会の会誌「タテハモドキ」に来年度投稿する予定。



南九州地方は概ね、快晴。ここのところ桜島の噴火活動盛んで、我が家の窓も空振でガタガタと不気味な音を立てている。地震か?と一瞬錯覚するような、激しい響きが家全体を襲う。車のフロントガラスを見れば一目瞭然。火山灰で真っ白になっている。都城市とか三股町とか、そういう環境であります。
写真は霧島山。今はおとなしいけれど、いつ噴火するか知れません。
霧島山m_MG_3757.JPG昨日、紹介したベニシジミ幼虫、スイバの葉っぱに被さるようにして食事していた。
ベニシジミ幼虫P2190009.jpgこれは、羽田モノレールみたいだ。 幼虫は頭を隠したいんだ、どうしても。
庭にいたトノサマバッタ。褐色型です。
トノサマバッタ_MG_3755.JPG小学校の教科書では、トノサマバッタは卵で越冬となっているけれど、ここ南九州では事情が違う。卵越冬もあれば、幼虫、成虫、と越冬ステージは様々。学校の先生は、ちゃんとフィールドに出て歩いてから理科の授業をして欲しいですね。

桃色いもむし

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陽当たりのいい畦道や土手では、緑色の盛り上がりがあちこちで目立ってきた。スイバやギシギシである。農家の方からは雑草として嫌われるが、四季の移ろいを告げてくれる野草である。
丸く透けた食痕を辿っていけば、桃色を帯びた草鞋型のイモムシが見つかる。
ベニシジミの幼虫である。 (画面中央下よりにいます。)
ベニシジミ_MG_3677.JPG全身緑色の幼虫もいるが、今日見つかった4頭は全部、桃色型(紅色)であった。
ベニシジミ_MG_3704.JPGころんと横倒しになったこの幼虫は、なんだか様子がおかしい。
ベニシジミ_MG_3690.JPGかなり衰弱しているか、あるいはすでに死んでいるかのようであった。体が硬直している。
ベニシジミの幼虫たちは、これからさらに食欲を増し、今月末〜来月はじめ頃には蛹になるだろうか。


ゴミムシダマシ科という甲虫のなかまは、国内では約305種もいるそうだ。
姿、大きさもまちまちで、中にはテントウムシそっくりの者もいる。今日はテントウゴミムシダマシという種類を見つけた。いた場所は、イチイガシの樹皮裏。
テントウゴミムシダマシP2170006.jpg頭の向きは画面左側であるが、パッと見た目にはなんだかよくわからない。こういう場合は、でんぐり返しをしてみる。ちなみに、この虫の体長は4ミリ程度。
テントウゴミムシダマシP2170008.jpg頭や脚の納まり具合から、陣笠ハムシの仲間にも似ている。

今日は、今年度最後となる観察会の下見に出掛けた。場所は日南市、猪八重渓谷、「学習の森」。

学習の森P2170015.jpg       (写真全て:OLYMPUS TG-3 )




チョウセンカマキリの卵しょうを探し歩いたあと、仕事部屋の外壁にキノカワガがいることに気付いた。
キノカワガP2160025.jpg東向きの外壁には外灯も設置してあり、夜の虫もいろいろ飛来する。蛍光灯の色温度を替えようと準備はしたのだが、交換作業が煩雑でほったらかしのままだ。今一つ、虫の集まりは良くない。とはいえ、シンジュサン、ヤママユ、クスサン、イボタガ、アゲハモドキ、ミヤマカラスアゲハ♀、、、、など嬉しい顔ぶれが来てはいるのだ。一方、この8年間期待を抱き続けてきた、カマキリモドキ類の姿は全くない。いるはずなんだが、なぜ来ないのか?
ふと、机上の隅にあった管ビンを眺めているうちに、21年前の自分を思い出していた。さっそくその当時のフィールドノートも開いてみた。

カマキリモドキP2160005.jpgアルコール漬けにしたオーイクビカマキリモドキは、石垣島で初めて出会った個体である。
色はかなり褪せてしまったが、体つきなど雰囲気は当時を思い起こすには十分なほど新鮮である。
カマキリモドキP2160010.jpg※追記:和名「ヒメヤツボシハンミョウ」を誤って「ヒメツヤボシハンミョウ」としている。
「トンボ(4)」というのは、現地で種名を確認できていなかった。

1994年5月25日のノートには、「石垣島(最終日)」と書かれてある。その最終日にようやくして、目的のオーイクビカマキリモドキに出会えたのであったが、発見時の興奮した文章がこの頁の最後のほうに記されてある。字が汚いのでここでは割愛するけれど。
石垣島には22日の午後から入っているが、滞在中、天候は不安定で雨もしばしば降っていた。蒸し暑かったのが特に印象に強く残っている。泊まった民宿は「なぎさ荘」だったが、何度か泊まったこの民宿はそのときが最後になった。この宿には蝶屋さんの宿泊客が多かったが、同宿した虫屋さんとお話をしたのは一度だけだった。そのとき携帯展翅板を見せてもらい「シジミチョウ類だけは滞在中に展翅して持ち帰るようにしています。このまま空港で手荷物に預けても大丈夫ですよ。」と教えてもらいびっくりした。逆に私がカマキリモドキの撮影で渡島したことを告げても、まったく相手の反応は無かった。

1994年、つまり21年前だから、私は当時、35歳。その翌年、長男が産まれている。
カマキリモドキに憑かれて観察・飼育実験などを盛んにやっていた頃で、あげくに石垣島まで行ったりした。昆虫写真家の仕事としては、まったくお金にならないことへとのめり込んでいた。まさに情熱に溢れていたとは思うが、仕事として稼げる計算はまったくできてなかった。それが仕事か?と問いつめられていたら、私はどう答えていただろうか。「わしは日本で初めてのカマキリモドキの本を作るのです!」と言ったかもしれないけど、それが売れるかどうかは、考えもしなかったはずだ。
他人がやろうとしないこと、それが仕事になるかどうか考えてみたところで答えなどはない。
ともかくは、自分がやりたいことを素直に実行するしかない、と腹をくくった、というか、ほとんど本能的に動いていた。ま、通常なら子供を抱えた嫁さんから、見放されてもおかしくない状況でもあったが、運良くそうはならなかった。

曲がりくねったメダケやホテイチクの伐採作業など、山仕事をやった。台風で落下した枝の重みなどで、メダケやホテイチクがまっすぐ伸びきれず、水平に伸びたりしている。そこに蔓草が絡み、ゴチャゴチャになったところを整理するわけだ。けっこう疲れる。

昨年伐採し、ころがしてあったクヌギ朽ち木を起すと、ヒラタクワガタのオスがいた。ヒラタクワガタ♂701A5825.JPG朽ち木の下に小部屋を掘って潜んでいた。
ヒラタクワガタ701A5829.JPG庭のススキ原にフキノトウがたくさんあった。そこで天ぷらにして夕餉に添えた。旨かった!
ヒラタクワガタ701A5837.JPG


もう春

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陽射しが肌をジリジリと焼く。午前中家の近くを歩きながら感じた。
風景_MG_3572.JPGしかし、期待していた早春の虫はまだ出ていなかった。この辺でツンツン、舞っているはずなんだが。
地面を眺めていたら、キタテハの蛹が枯れ草にぶら下がっていた。
キタテハ蛹_MG_3569.JPG
キタテハは成虫越冬だから、この蛹が死んでいることは明らかだ。背中から見ると寄生バチが出た穴が空いていた。
キタテハ蛹_MG_3570.JPG
梅が開花し始め、ヤマアカガエルの産卵ピークも終了した。 もう春はすぐそこである。


青空が広がりすっきりと晴れたが、冷たい北風が一日中強く吹き荒れた。
これではあの虫もまだ出ないだろうと、タカをくくって室内作業に没頭する。撮影スタジオの整理をしていたら、壁際の隙間にアシダカグモの♀がいた。大きくて立派な姿だ。
アシダカグモP2120012.jpg気温が低いので、さすがに動きは鈍い。アシダカグモの特徴を見たくて顔をアップにしてみた。
アシダカグモP2120017.jpgさて、夕方、犬の散歩で外に出てみた。日当りのいいコンクリート壁では、ナナホシテントウの卵があって、ちょうどふ化の最中であった。寒さに強いナナホシテントウならではだ。赤い矢印の位置に卵塊があった。
ナンアホシテントウの卵場所P2130026.jpg


ふ化のタイミングにはバラツキがあった。
ナナホシテントウふ化P2130025.jpg写真はすべて、OLYMPUS TGー3。

ゲッチョ先生、盛口満さんの絵本です。今回は3冊(少年写真新聞社)。

ゲッ著先生P2120004.jpg端的に言うと食宅の博物学、というテーマ。3冊以外にも「食べられたがる果物のヒミツ」があり、さらに続刊が出るとのこと。普段の食生活を博物学的に眺めると、知らなかったり、驚きの事実がいっぱいある、ということ。そして何より、私たちが無意識に口に入れている食物も、生き物だという、当たり前のことを再認識させられる。

盛口さんの著作はたくさんあり、私も何冊か読んでいるが、2001年、「ぼくのコレクション」(福音館書店)を手にしたとき、ちょうど私は同じ出版社から虫の本を出す準備をしていたときだった。昆虫写真家・藤丸篤夫さんと共著の「虫の飼いかたさがしかた」である。盛口さんの著作からずいぶん影響を受けた一人である。

今月初め刊行された、永幡嘉之さんの写真絵本です(少年写真新聞社)。

大津波のあと写真絵本.JPGタイトルおよび、帯に書かれたメッセージ、とくに2行目の文字サイズが強調されていることからも、本書の内容はおおよそ想像できるかと思う。表紙の写真といい、本書に掲載されている生きものたちの写真はどれも鮮明で奇麗で生き生きとしている。それだけに、著者の訴えたい事柄が痛烈に伝わって来る。本書を読んだ子供達はどういう思いを抱くのだろうか?
本との出会いから、生き方に大きく影響を受けることがある。私もその一人だった。
贅沢を言わせてもらえば、もっと大きいサイズ、倍の判型であったなら、と思う。


今取り組んでいる本の仕事に必要で、なおかつずっと宿題であったある虫を探してみた。これまでに何度も挑戦してみたが、いつも空振りだった。ところが、今日のこと、探す場所は同じだけど、いつもと違う光景が飛び込んで来た。一瞬の閃きだった。「あ!!コレか!?」。一旦、見え始めるとこれまでの自分がまるで他人にさえ思えるほどだ。この距離感をしみじみと噛み締める。それで余裕もできて、先日のミカドテントウをもう一度撮影し直しておいた。イチイガシの梢を見上げると、次々に見つかる。
画面中央の少し左下に二頭が並んでいる。
ミカドテントウ_MG_3375.JPGこちらの二頭組には寄生バチが寄り添っていた。
ミカドテントウ_MG_3434.JPG


やはり顔は見ておきたい。でんぐり返しをしてもらった。ゴメンネ。
ミカドテントウ_MG_3419.JPG

四国〜九州

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昨日は松山市から宇和島市に移動。少し時間が空いたので薬師谷に行ってみた。
薬師谷P2080069.jpg1992年、2月、スミナガシの越冬蛹を初めて見つけたのが、この渓谷であった。「里山昆虫ガイドブック」の30頁に掲載している蛹の写真である。当時、最初は抜け殻や死蛹だったりして、かなり苦労して探し当てたのを覚えている。
薬師谷P2080074.jpg今日は八幡浜港から大分の臼杵までフェリーで移動。大型トラックが一台も載らず、乗用車数台のみで船内は車載デッキも客室もガラガラだった。二等客室は貸し切り状態。ここでゴロゴロと2時間半を過ごす。
二等客室P2090089.jpg

窓の外を覗いていて、スプリンクラーのノズルが設置されていることに気付いた。
P2090093.jpgガラス窓には海水の飛沫により潮がこびりつく。それを洗い流すためのスプリンクラーだろうと思う。
九州道は臼杵IC〜佐伯ICまで。ここからしばらく一般道を走るが、今日は初めて蒲江ICに向かってみた。来月には佐伯〜蒲江間が開通するから、こうして一般道を走るのは最後になるかもしれない、と思う。見上げるとほぼ完成した高速道路が続いている。
九州道P2090099.jpg山間の曲がりくねった国道を抜ける。
蒲江P2090103.jpg蒲江ICからは宮崎県、都城ICまでずっと高速道路を走行。予定より20分も早く帰宅できた。佐伯〜蒲江間が開通すると30分以上短縮できるはずだ。



空は灰色、薄暗い森の撮影にはちょいと、条件が良くない。午前、午後と2回、昨日の森に入ってみた。
カクレミノ_MG_3172.jpgおそらくアブラゼミの抜け殻だろう。ミンミンではあるまいなあ。抜け殻の多さにもちょっと驚く。夏はさぞかし賑わっていたのだろう。森にはカクレミノがやたらと生えている。台風の影響か?倒木も多い。自然観察家にとっては、まるで宝庫のような森である。ここがうちのすぐ傍ならなあ~と、チラリと願う。タテジマカミキリ越冬成虫は、結局、3頭。彼らの生活痕を重点的に撮影しておく。
タテジマカミキリ_MG_3251.jpgさて、松山といえば、愛媛大学昆虫学研究室、となる。
私も卒業生の一人だが、もっと若い世代の優秀な方々がいる。その若い世代の方々と懇親を深めるのも今回の目的の一つだ。皆、私と同じ松山出身、まさに松山人。


松山の実家から車で10分ほどにある、鎮守の森に行ってみた。森の東隣にはクヌギ林。
雑木林_MG_3028.jpg画面奥に見えているのが、松山平野の街並み。この場所はもともとミカン園だったのだろうか?クヌギの樹齢はせいぜい10年前後かと思われる。若い林だ。これまでに萌芽更新した形跡は見られない。林の中にはポツンと蜂箱(ニホンミツバチ)が置かれてあった。
松山平野_MG_3042.jpg鎮守の森は20数年前からあまり変わっていない。薄暗い林内をしばし彷徨う。いい森だ。カクレミノでは、越冬中のタテジマカミキリが見つかる。
タテジマカミキリ_MG_3144.jpg今回はタテジマカミキリよりか、カクレミノの撮影に力を入れてみる。木の姿を表現するのはたいへん難しいものだ。それと、森そのものの息吹も感じ取ってみたい。明日も訪れる予定。



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伐採した庭木で薪ができた。乾燥はトリカルネットに巻いて吊るす。まあ、紐でくくっても同じことではあるが、、、。
薪P2030002.jpgネットを筒状にするには、結索バンドを使います。
ナイロンコードP2030004.jpg薪はカクレミノ、ユズリハ、クロガネモチ、の3種。これらが薪としてどうなのかは、今後試してみたいところではある。

今日は好天の九州から、暗雲に包まれた四国・愛媛に移動。夜中には大雪ともラジオで流れていた。乗用車は6台と少なく、客室のあるデッキと同じ階上に収容された。ここは天井が低い。 
フェリーP2050008.jpgトラックの台数が多いときは、乗用車専用デッキが使われることもあるが稀で、今回で3回目。このデッキへの出入り口は2箇所あるが、接岸する港によっては、その一つは構造上使用できない。八幡浜港では左舷付けになるため、右舷に開口する出口は使えない。などと、船に乗船するといろいろ気になることが多い。





イチイガシの葉っぱが重なった隙間に、キボシアシナガバチの女王が潜んでいた。
キボシアシナガバチ_MG_2909.JPGずいぶん安直な場所を選んだものだ。越冬中のアシナガバチ女王にはあまり遭遇したことがなく、これまでには、石の下やコロギス類の空き巣の中、など、数回しか見た事がない。写真は昨日撮影。ミカドテントウが多数見つかった場所であり、アシナガバチのすぐ上の葉にも2頭並んでいた。
ミカドテントウ_MG_2905.JPG
ミカドテントウ、脚は体の底に畳込み、どこが頭か尻かすらわかりづらい。写真は頭部側から見ている。画像を拡大してよ〜く眺めると、眼がわかるが、まるでヘルメットか陣笠そのもの。ピンセットで摘もうにもツルツル滑ってうまくいかない。それにしても、レンズ先端に付けたディフューザーが写り込んでうるさい。この写真は撮り直しせねば、使えない。

場所:三股町、上米公園(かみよね)。お天気:快晴、風なく穏やか。
お目当ての虫が見つからないので、ツバキの葉裏をめくったら、1枚目に、何かの抜け殻があった。
ヒゲナガサシガメ抜け殻_MG_2835.JPG遠目には白っぽいクモに見えた。触角も脚に数えると、8脚あるように見える。何かあるなと、隣の葉裏に目をやると、この抜け殻を脱いだ当人がいた。ヒゲナガサシガメの幼虫だった。
ヒゲナガサシガメ幼虫_MG_2825.JPG
体長、翅芽の発達具合からして、この幼虫は3令か4令あたりだろうか。
こうして脱皮成長しているのだから、餌もとるのだろう。肉食の彼らが捕らえる獲物は、なんだろうか?ツバキの手が届く範囲は全部見たので、次に隣のイチイガシへ場所替えしてみた。セモンジンガサハムシがポツポツ見つかるなか、黒いテントウ類もいた。一瞬、ヒメアカホシテントウに見えたが、近づいてみると赤い二つの紋がない。
ミカドテントウ_MG_2885.JPG大きさも体型もヒメアカホシテントウそっくりの、ミカドテントウ、だった。葉裏で冬越し中なのだろう。イチイガシの梢を下側から見上げてみると、こちらにもあちらにもと、次々に見つかる。単独でいるものが多いが、2頭が並んだ姿もチラホラ。
_ミカドテントウMG_2898.JPG集団というには寂しい光景だが、互いに認知し合って集まる習性があるようだ。

アリと言えば、小さいことの代名詞でもあるが、そのアリの中でも体長2ミリというウロコアリは、やっぱり小さい。
4年前に伐採したクヌギの小枝が、今では土のごとく腐朽が進んでいる。樹皮は軽々と摘んで外せるほどだ。そうやって樹皮をめくってみれば、なにやら茶色の塊が現れた。どうやらアリだろう、とまではわかったが、アリ一匹の姿がまったく見えてこない。さっそく高倍率レンズで覗いてみれば、ウロコアリのコロニーであった。
ウロコアリIMG_0042.JPGかつてウロコアリを撮影したのは30年ほど前のことで、東京都大田区の池上本門寺境内だったと思う。池上のアパートで一人暮らしをしていた頃だ。あの当時、ウロコアリは結構、頻繁に見つかっていたようにも記憶している。
ともかく、おとなしいアリで、動きはきわめておっとりしている。この大きさで機敏に動かれたら、写真撮影はとてもできたものではない。庭で腹這いになって撮影してみた。懐かしい、アリ達だ。


クヌギ朽ち木の、樹皮はがしをしてみた。
次々と一番多く見つかったのが、ゴミムシダマシ類の幼虫。
ゴミムシダマシ幼虫_MG_2632.JPG大きさは、5ミリ〜25ミリまでと、大小様々である。
ゴミムシダマシ幼虫_MG_2668.JPG

本種が何者か?ある程度、予想はしているが、まだ確証はない。
ゴミムシダマシ幼虫_MG_2656.JPG頭をぐいっとそり返す仕草が、特徴的である。

撮影を終えて縁側に座っていたら、ジョウビタキが、ヒンヒンと囀りながらやって来た。
私が鉈をふるった朽ち木に舞い降りては、獲物をついばみ始めた。鉈の音を聞きつけたのか、ジョウビタキの登場はすぐだった。
嫁さんが花壇で耕しもしたので、そちらでも獲物が次々と見つかり、ジョウビタキの興奮した様子が窺えた。