2016年5月アーカイブ


三股町 田上

蒸し暑く、こんな一気に気温が上がると何かしらあるんじゃない!?との予測は的中した。

犬の散歩から戻った午後6時半、玄関前のツツジ植え込みに、ムラサキアオカミキリがいた。

ムラサキアオカミキリIMG_4720.JPGすぐ傍らにあるイロハカエデで育ったのだと思う。うちにあるイロハカエデはこの一本だけだが、幼虫が潜入している証に、あちこちから糞塊が出ている。

「綺麗なカミキリがいるよ。何これ?」とツツジの花を見ていた嫁さんが唐突に言うので、
「ああ、ラミーカミキリだよ。水色と黒縞模様でしょ」と私は決めつけた。
「違うって、そんなカミキリムシじゃないよ」
「素人はそうやって、大袈裟に言うもんだよ。ラミーカミキリって、そこいらにいくらでもいるけど、結構、綺麗なんだよ」
「違う違う、それとは違う」としつこく言うものだから、

「どれどれ」と嫁さんが指差すところへ、渋々目を向けると、
「あ〜!!これはムラサキアオカミキリじゃん!!」となったしだい。




赤い虫こぶ

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三股町 田上

居間の窓から赤い虫コブが見えた。小さいけれど、その深紅の色は際立っていた。

ナラワカメハナツボタマフシIMG_4638.JPGコナラの新梢の芽にできる、ナラワカメハナツボタマフシで、このしわざの主は、ナラワカメハナツボタマバチである。拙著「むしこぶ みつけた」(ポプラ社)にもこの虫コブを掲載したが、これほど鮮やかな色は初めて見た。まるでマッチ棒のようだ。この虫こぶの成長は極めて早いそうだ。1週間〜10日間で成熟すると地面に落下する。ハチの子一匹のゆりかごである。
ナラワカメツボタマフシIMG_4635.JPG夕方、霧島山が浮遊島のごとく不気味に見えた。

霧島山IMG_4658.JPG




樹液レストラン

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三股町 田上

昨夜は庭のクヌギ樹液に、ネブトクワガタ、コクワガタ、そしてヒラタクワガタが、来ていた。で、今日の昼間は、ヒラタだけ。この樹液は西側にある台場クヌギ。

ヒラタクワガタIMG_4611.JPG一方、クヌギ小木の樹液では地味なお客さんがひっそりと、お食事中。
樹液レストランIMG_4467.JPGヒメジャノメ、サビキコリ、そして、ノコギリクワガタ♀。地味だけど、こういう雰囲気が好きだなあ。

クリの開花が始まっている。もうじき梅雨だ。
クリの花IMG_4622.JPG
昨日から飼育を始めたばかりのミミズク♀だが、本日、午後4時05分、シラカシの枝に産卵していた。
産卵管は硬い生木をグサリと割開いて、深く刺し込まれていた。

うんちを、見よ!

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三股町 田上

今朝、玄関を出たら足下に、ミミズク♀の新成虫が転がっていた。思わず「おお〜!!」と大仰な声を発してから、嬉しそうに拾い上げる私を、犬の散歩の準備をしていた嫁さんが傍で見ていた。

「なに、その虫?」
「味、味、図、区、、といって、ヨコバイやウンカ、なんかの仲間だよ。きっと、門灯の明かりに飛んで来たんだと思うよ」

ミミズクの羽化時期が今頃で、新成虫は伴侶を求めて、夜な夜な婚活をしておるのだと思う。しかし、今朝、拾った♀は、既婚者であると勝手に断じて、またもや飼育を試みることにした。産卵行動を観察し撮影しておきたいからだ。もっとも、これと並行して野外観察にも気合いを入れたい。玄関に来るのだから、庭のそこいらで産卵していても、ちっともおかしくはないはずだ。

しかし、実際には彼らの目撃頻度は極めて低い。宮崎の今の家に越して9年、その間に目撃できたのは室内天井灯に紛れ込んでいた死骸と、林の梢に刺さっていた羽化殻、の2件のみで、敷地内で生きた姿を拝めたのは、今日が唯一最初なのである。敷地の外、出先で出会う頻度も、例年、年に2回程度ではないだろうか。

「それにしても、よくクモの巣網に掛からなかったね。ほら、毎晩、いろんな虫がクモの餌食になっているよ」

玄関先にはヒメグモの仲間が多くいて、昆虫トラップ群となっている。それと、昨年の暮れからずっと居座っている、コガタコガネグモ。

コガタコガネグモIMG_3460.JPG
きっちりX字型のかくれ帯をこしらえている。腹の太り具合からしても、獲物には不自由していないようだ。
玄関前の庇下というのは、クモにとっての一等地かもしれない。


本種の2倍以上の体格をしたコガネグモに比べて、数は少ないように思える。姿が見つけにくいせいもあるだろうが、コガネグモが目につく割に、コガタコガネグモは簡単には見つからない。しかも大変、神経質で、人がちょっと近づいただけで、ピョンと飛び降りて姿をくらましてしまう個体が多い。ただ、この写真のコガタコガネグモはいつも平然としており、撮影のたびに近づくも逃げることはほとんどない。

カラムシの葉上にいくらでも見つかるラミーカミキリ。
ラミーカミキリIMG_3495.JPG彼らの派手な紋様に目が行きがちだが、この写真画面で注目しておくべきは、お尻のすぐ傍にあるウンチだろう。ウンチをする前はどこで何をしていたのか?ここでウンチをしたのはいつ頃だろう?といった、行動の微細が気に掛かるのである。「次はどこへ行く?何したい?」などと声掛けしている、おっさんがいたとしたら、やはりそれは気味が悪いだろうとは思うけど。

三股町 田上

ヤママユの幼虫を、庭のコナラで袋かけ飼育している。すでに終令となっているが、終令になってからが長くほぼ一ヶ月あまり、葉を食べては休む、という日々を送る。
葉っぱが少なくなったので、袋かけ場所を替えようとしたら、そこにシュレーゲルアオガエルがいた。

シュレーゲルアオガエルIMG_3393.JPG


コガネムシ

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三股町 田上

コガネグモの幼体が、ここのところ成体へと脱皮している。仕事部屋のすぐ傍でも今朝のこと脱皮を終えたメスがいた。

一方、この時期に姿をよく見かけるようになるのが、コガネムシだ。

コガネムシIMG_4318.JPG


三股町 田上

先月末頃から姿を見るようになった、ホオアカオサゾウムシ。ネザサに抱きつき、長い口吻の付け根まで茎の中に突き刺している。結構、長い時間こうしている。我慢強く眺めていると、一旦口吻を抜き下へ少し移動して、また同じ動作を繰り返す。

ホオアカオサゾムシIMG_4269.JPG彼らの食事スタイルはこうして、ほとんど下向きである。

ササの葉に並ぶミシン穴という「しわざ」の主探しでは、このホオアカオサゾウムシをまず疑ってみたが、マーキンング調査の結果、推測は外れた。しかし、それはそれとして、ホオアカオサゾウムシの生活史についての疑問が未解決のままである。ササに穴を穿ち、おそらく植物汁を糧にしていると思うが、ではどこに産卵し、幼虫はどこで育つのか、何一つ観察できたことがない。本種の生態について真剣にくらいついてないから、無理もない。成虫は年一回、5月〜6月頃に見られる。

冬の間、カラカラに乾いていたコモウリガ幼虫巣の蓋が、湿り気を帯びてきた。つまり、白かった蓋が写真のように茶色になった。幼虫が活動を再開した証だろう。
コウモリガIMG_3260.JPG
コウモリガ幼虫は樹木の芯部にトンネル巣を穿ち、そこに潜んでいる。トンネルの長さは15〜20センチ程度で意外と短い。蓋を外すと、翌日にはほぼ完璧に補修されている。一時期、ここから羽化脱出する成虫の撮影にずいぶん時間を費やしたが、昨年から別のターゲットに注目し始めている。

『機材のお話』

Canonのミラーレスカメラ、EOS-M3用のマクロレンズ、EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMが来月末発売予定となった。専用レンズでマクロレンズが欲しかったところだ。迷わず予約した。
EOS-M3は、OLYMPUSのマイクロフォーサーズと比べて、慣れのせいもあるだろうが、操作性の上では若干見劣りする。例えば、不用意にダイアルが動かない設定だろうが、露出補正ダイアルは硬過ぎて、扱いにくい。ボタン類もレスポンスが鈍い。しかし、たしかに画質はいい。サブカメラとして一眼レフカメラのお伴に携えることもある。だが、このカメラだけで仕事に臨む勇気は今のところない。
三股町 田上

例年ならもうとっくに出ている。気になって下の谷津田に降りてみた。途中、アカメガシワが倒れていたので、ちょっと不思議に思ったが、まずはゲンジボタルの確認を。やはり、いた。
ゲンジボタル♀IMG_4190.JPGほかにもいないか、少し探してみたが、このメス1頭だけだった。きっと見落としているのだろう。

倒れたアカメガシワに近寄ってみて、驚いた。池の対岸の杉大木がうちの山林に倒れ込んでいたのだ。アカメガシワはこの大木に、なぎ倒されたのである。アカメガシワにぶつかる前に、エノキの大きな枝も叩き落としていた。
杉倒木IMG_3257.JPGこの場所はうちの観察路の一部である。以前、写真画面奥でもセンダンのでっかい枝が強風のため落下していたことがある。いづれも、ここをもし歩いていたら、と想像すると恐ろしいものがある。

さあ、しかし困ったものだ。撤去作業にはかなりの労力がいる。今夏はもう無理だ。冬になるまで放置するしかない。

池を挟んだ向こう岸の杉林の地主は以前、調べておいた。もし地主と連絡がとれたとして、果たしてすぐに撤去してもらえるだろうか。そして、ふと逆の立場のことも看過できないなあ、と思った。うちの林の大木が隣の例えば畑に倒れたとしたら。

いづれにせよ、山林にはこうした危険も潜んでいることを忘れてはいけない。これからの時期、大木の倒木までいかなくても、重量級の落枝は頻繁にある。

仕事部屋に戻る途中、「うんちむし」のマダラエグリバ幼虫が、アオツヅラフジの葉っぱを食べていた。
マダラエグリバIMG_4260.JPG


伸びるホテイチク

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三股町 田上

近所の杉林の縁に、ホテイチクの筍が伸びていた。
ホテイチクIMG_3216.JPGこのまま放っておくと、ホテイチクの生け垣で覆われてしまう。我が家の林でも、ニョキニョキ生えた筍を先週刈ったばかりだ。このホテイチクと競うように生えるのが、メダケだ。ホテイチクは節から側芽を二本伸ばし、これがやがて水平に広がると、ますます頑丈な生け垣、つまりは壁のごとく茂みとなり、人の進路を阻む。メダケはヒュルヒュルと高く伸びるが側芽は一本で、柔らかく、伸びても刈りとる労力はホテイチクの数分の一で済む。ホテイチクが竹で、メダケが笹であることの違いがそこにある。

ホテイチクの側芽と、剥がれかかった竹皮。

ホテイチクIMG_3222.JPG
パソコンに向かうデスクワークが長時間となるので、気分転換に犬の散歩に出る。
出会うトンボは、ハラビロトンボ、シオカラトンボ、ヤマサナエ、そして、アサヒナカワトンボ。
アサヒナカワトンボIMG_3230.JPG飼育中のアケビコノハは全部、繭部屋に籠ったが、まだ蛹化していない。

日中の気温は高いが、朝晩は冷える。霧島山が夕焼けに染まっていた。
霧島山夕焼け701A1990.JPG



安曇野市 長峰山

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安曇野市穂高町有明〜長峰山

安曇野、滞在最終日。今回は天候に恵まれて連日、晴れ。気温もかなり上がったが、その割に汗をかかなかった。湿度が低いからだが、そのことを実感したのは福岡空港に着いて空港ロビーに出た瞬間。博多の大気はベットリ肌にまとわりつく。まあ、雨も降り出したのだけど。

さて、宿泊をさせていただいたお家のすぐ傍で、久しぶりに、いや20数年ぶりにイタドリハムシを見ることができた。イタドリははまだ若く、イタドリハムシも出始めのようで個体数は少ないが、数匹、見つけることができた。オツネントンボも多数いた。
イタドリハムシ701A1880.JPG今回、取材撮影をさせていただいた「やまこの学校」 のスタッフの方に、長峰山に案内していただいた。ちなみにここの近くには「田淵行男記念館」がある。
長峰山ではレンゲツツジが花盛り。
レンゲツツジ701A1980.JPGハルゼミの合唱も賑やかだった。頂上近くではツマグロヒョウモンのオスが2頭いた。ヨコヅナサシガメもいた。そして、一番目についたのはウスバシロチョウ。安曇野の里山ではどこに行ってもウスバシロチョウがいる。
ウスバシロチョウ701A1973.JPGウスバシロチョウも10数年前に群馬県猿ケ京で撮影して以来のこと。だからデジタル撮影では初めてとなる。九州には生息していないし、この時期に県外へ遠征すること自体、滅多に無い。 (記憶違いにあとで気付いた。ウスバシロチョウの写真データが入っているフォルダーを見つけたから。撮影場所は群馬県水上町。)

サクラの葉っぱには、チャバネフユエダシャクの幼虫がいた。
チャバネフユエダシャク幼虫701A1977.JPG三日間、安曇野では「やまこの学校」の方に大変、お世話になりました。ありがとうございました。次回は7月、再び取材撮影で訪れる予定。

福岡からは高速バスで都城まで戻ったが、熊本県の益城町近辺での高速道路の被害が甚大で、一部対面通行のため5キロの渋滞となり、到着が予定より50分遅れとなった。被害の様子を車窓から見ていると、復旧にはかなりの日数が必要のように感じた。





キエダシャク

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安曇野市 穂高町有明

朝食後、林の入り口にノイバラの群落があったので、もしやと覗き込んでみれば、キエダシャク幼虫がいた。熟令だと思われる。 翌日脱皮したので、訂正します。亜終令あたりかと。)

キエダシャク幼虫_Z5A5334.jpg
見事な擬態だ。
キエダシャク_Z5A5315.jpg
午前9時から、「やまこの学校」で天蚕(ヤママユ)の「山付け」作業に参加した。まずは渋柿汁とわらび粉、そして水を混ぜ合わせて、貼付け用の糊を作った。何千粒もの洗浄したヤママユの卵を糊にまぶし、乾いたら台紙ごと切り取り、これを飼育林ケージ内のクヌギにホッチキスで留めていく。飼育林周辺ではウスバシロチョウの舞う姿があった。
安曇野クラフトゲート_Z5A5359.jpg

午後から、「国営アルプスあずみの公園」に移動し、ここにある「安曇野クラフトゲート匠の杜」で天蚕繭からの座繰り作業を撮影。諏訪式座繰り機を使用した繰糸は初めて見た。

少し時間があったので、公園内を歩いてみた。日当りのいい草地では。キバネツノトンボが乱舞し、ミヤマセセリの♀、ツマキチョウ雌雄がまだ飛んでいた。
キバネツノトンボ701A1866.jpg
クララの保護域ではオオルリシジミがいた。
オオルリシジミ701A1860.jpg



安曇市穂高町有明

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長野県 安曇市

古くは江戸時代から「天蚕」ヤママユの蚕糸産業で知られる、穂高町有明に来ている。
2000年「ヤママユ観察事典」(偕成社)を出して以来、ずっと気に掛けていた土地だが、ようやくにしてここを訪れることができた。この機会を得たのも、ある方との出会いがあったからだ。東京にいた頃、長野は近いようで遠い場所だった。

今日は松本市内の染織り工房で、天蚕糸を使った織物や、織り作業を取材撮影させてもらった。
夕方、お世話になる方のお家に到着。家のすぐ周りには森があり、赤松が多い。それならば、と幹を覗いてみれば、ハルゼミの抜け殻があった。
ハルゼミ701A1726.jpg
家から十数歩先にハルゼミの生息地があって、一声だったが、鳴き声も聴けた。
ちょっと散歩しただけで、ヤママユの繭殻や、コナラにできたナラメリンゴフシが多数、みつかった。

明日は、飼育林で「山付け」作業の様子を撮影する。「山付け」とは台紙にヤママユの卵を糊付したあと、クヌギの枝に留めていく作業だ。

三股町 田上

気付いたときにはもう、お尻が抜ける寸前だった。午前6時59分。

ミミズク羽化IMG_3123.JPG午前6時15分に様子を見たときは変わりなかったのだが、他の虫の世話をしたりしているうちに、羽化脱皮が始まったようだ。じつに残念。羽化したのは、ミミズクのメスだった。

庭のイヌビワに、ギンツバメが止まっていた。 羽化して間もないのだろう、傷一つない。

ギンツバメIMG_3314.JPG
庭のクヌギの樹液には、コクワガタ♂とクロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ヨツボシケシキスイなどが集まっていた。サトキマダラヒカゲだけは用心深く、すぐに飛び去ってしまう。
樹液クロヒカゲIMG_3266.JPG
明日から長野県。戻ってからやるべき仕事の段取りや、草刈り(これも仕事だが)、などで慌ただしく一日が過ぎた。


三股町 田上

先月、17〜18日にふ化したアケビコノハが終令になって数日経った。3令になったところで、ほとんどを近所のアケビに放ち、現在、飼育しているのは7頭。屋外の庇の下で飼っている。

アケビコノハ飼育IMG_3068.JPGふ化してから4回脱皮し、5令で終令となった。アケビは水揚げがいいので飼育は楽だ。しかし、終令になってしばらくすると、猛烈に食べまくるようになる。

IMG_3069.JPG
玄関先の睡蓮蜂では、ヒメスイレンが開花していた。
ヒメスイレン開花IMG_3090.JPG雨でずっと先送りしていた草刈り作業を行った。下の池周辺から始めて、斜面林を登りながら観察路を中心に刈った。2時間で予定の8割を終えた。続きは明日。



繭の中

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三股町 田上

強い風雨となって、野外観察はできなかった。こういう悪天候下では、我が家のテレビはほとんど受信できなくなる。

さて、スズバチの固い泥巣の中では蛹に変化が現れてきた。
オオフタオビドロバチ蛹.JPG右端は繭を切り開いた状態。繭壁は薄く、ハトロン紙みたいだ。茶色のところは、翅。右から二番目がメスで、他はオス。メスは一回り大きい。

松山の実家の庭から一個だけ持ち帰っていた、イラガの繭の中も覗いてみた。
イラガに寄生.JPG
こちらは、寄生バチの幼虫がぎっしり詰まっていた。イラガ前蛹の黒い残骸がわずかに見えている。やがて、成虫になる寄生バチは、イラガの繭に仕組まれた秘密の蓋を知らない。したがって、この超固い繭壁のどこかに内側から脱出口を穿ち掘るのであろう。かなりの重労働になるはずだ。

( 写真: OLYMPUS  E-M5 Mark2    フォーカスブラケット撮影+深度合成 )

三股町 田上

飼育中のミミズク幼虫は、扁平だった体があきらかに盛り上がってきた。

ミミズク4令.JPG飼育にはクヌギの水差しだけで、充分なことがわかった。枝に落ち着いたまま、ほとんど動かない。もし動いて、ケースの壁などに移動していたりしたら、餌の替え時だとわかる。新しい水差しに替えておく。

羽化するとしても、あと三日以内にしてくれないと、撮影はできなくなる。
13日からしばらく遠征するから。

写真の幼虫は、2月に松山の実家近くで見つけてから、ずっと飼育観察している。



三股町 田上

今月、12日配本予定の「むしこぶ みつけた」(ポプラ社:ふしぎいっぱい写真絵本)

むしこぶ表紙.JPG本書には虫の姿はあまり登場しない。虫コブにはどんな形や色のものがあるのか、そして虫コブは「虫のしわざ」であることを、まずは知って欲しいと思う。

虫コブの生態は複雑で、これを掘り下げて紹介する絵本を作るには、私の観察不足で、まだまだ先のことになるが、いつかはそれを実現したい。
こどもたちに不思議な虫コブの存在に気付いてもらって、少しでも自然への興味を抱くきっかけの一つになれば、とも願っている。もちろん、お母さんやお父さん、も一緒に。

雨が止んだ寸暇、犬の散歩に出てみれば、カラムシには、ラミーカミキリ(♂)が、
ラミーカミキリP5080030.jpg
イタドリには、キボシツツハムシ、がいた。
キボシツツハムシP5080023.jpg ( 写真: OLYMPUS  TG-3  )

今朝は地区の公民館で一斉清掃があった。午前5時半起床、6時に作業開始。小雨が降っていたが作業は予定通り。草刈り機を背負って参加。草むらで休む、ヤマサナエがいた。生憎、カメラは持っていなかった。







三股町 田上

仕事場のライトに飛来した蛾のなかで多かったのが、キオビゴマダラエダシャク。数えてみれば、13頭。
他にも初登場の蛾がいて、撮影していると、ふと背後に何やら気配を感じた。チラ、チラ、と視界の隅に入って来るシルエットが、カレハガだろう、としばらくして気付いた。

カレハガ_Z5A5082.JPG陽射しが出てから、改めて見てみるとよくわかる。やはり、カレハガだ。

カレハガ_Z5A5111.JPG

さて、この時期になると、コガネグモ幼体は成長著しく、今日は成体を1頭見た。まだまだ小柄な幼体も残っているが、ずっと観察してきた、玄関先の幼体が昨日、脱皮して成体となっていた。成体となったところで、この個体はコガネグモではなく、コガタコガネグモであることがわかった。

コガタコガネグモ_Z5A5158.JPG
脱皮したばかりで腹部が萎んでいるが、いづれふっくらと大きくなる。このコガタコガネグモの幼体の姿は、コガネグモ幼体とはかなり違う色模様をしていたが、家の周囲にはコガネグモが圧倒的に多く、コガネグモの色変異だろうか?などと想像してしまった。

三股町 田上

庭のスイカズラは、嫁さんが植えたもので、ずいぶんと蔓が伸びて花も多数咲かせている。

「ほら林の下のところに白い花がたくさん咲いているでしょ。あれ、なんて花なの?」
と聞かれたのは2年前だった。
「ああ、あれは、スイカズラだよ。逞しい植物だからすぐ根付くんじゃない」

嫁さんが、30センチほどの蔓を大事そうに植えてから、一度は私が誤って草刈り機で払ってしまい、えらく叱られたこともある。しかしその後、グングンと成長し今年は花数も多い。

数日前、嫁さんが「サナギがあるよ」と教えてくれた。
「へええ〜、よく気付いたね」

イチモンジチョウ蛹_Z5A5063.JPG
「今日あたり蝶がかえっているんじゃない?」と 気に掛けているようだ。
たしかに少し色づいている。寄生されていなければいいのだが。
越冬組の早い者は一ヶ月前に蛹化しており、先月の中頃から新成虫もときおり飛来している。

もし、この蛹がメスならば、ここにオスが来て求愛するシーンも観察できるのではないか、と淡い期待を抱いている。

ハルゼミの羽化

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鹿児島県 霧島市 〜霧島山

ハルゼミの羽化撮影は明日に予定していたが、雨になりそうなので、一日繰り上げて、本日出掛けてみた。現場には午後2時頃、到着。気温も高めだったので、条件は良い。

森を歩き始めて10分のうちに羽化殻を3個、見つけた。先日に比べると発見効率が高い気がする。さらに20分後、アカマツの幹を這い上るハルゼミの幼虫がいた。
はるぜみ幼虫IMG_4086.JPGこの幼虫から目が離せないので、ここのアカマツを中心にして50メートル半径を限定して見回ることにした。待つこと2時間。ようやく幼虫は、定位してくれた。一旦、定位すれば、もうそこから動くことは無い。

ハルゼミの羽化は午後7時以降の夜間が多いようだが、こうして日中にもしばしば羽化が見られるようだ。以前、ミヤマキリシマの撮影で高千穂岳に登った際、下山途中に、昼間に羽化直後のメスを撮影したこともある。

ハルゼミは、所沢市の下新井の雑木林で毎春、羽化殻を見ていたが、今はどうだろう?まだ生息しているだろうか。羽化殻は目線の高さに見つかるので、小さくてもよく目立ったが、羽化シーンの撮影はずっと宿題のままだった。今日は、その羽化シーンをようやく最初から撮影できた。

ここの森には、ツタウルシがやたらと多い。




菜種のお味は?

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三股町 田上

冬枯れのなか、春の到来を告げて賑わったセイヨウアブラナ。今は熟した種子が莢のなかで待機しているか、あるいはすでに弾けて地面に散っている。先月の半ば頃から、この菜種を啄みにカワラヒワが舞い降りて来る。

カワラヒワ♀IMG_4002.JPG今朝は番で飛来した。コロコロリ〜♪♪ という囀りもダブルで賑やかだった。写真上は、莢を物色するメス。先に降りたオスは、すぐにも莢をくわえ始めた。
カワラヒワ♂IMG_4040.JPG莢を割開きながら、中に納まっている種子を次々と啄んでいく。一莢に20個程度の種子が入っていると思う。鳥の動きはじつに速い。焦点を外さないよう確実に撮影する作業に集中していると、何莢、平らげるのかカウントするのを忘れてしまった。それでも10莢くらいは啄んでいくようだから、おおよそ200粒くらいは食べているのではないだろうか?

カワラヒワ♂IMG_4060.JPG
食べごろの種子は粘りがあるので、嘴にくっつく。こういう種子はアブラナの茎に擦り付けてから掬いとっている。(この写真はかなりトリミングしてます)

カワラヒワにとって、食べごろの種子の状態というのがよくわかった。

庭にやって来て、ゆっくり旋回して、そのあとコナラの梢で休憩していたのは、ナガサキアゲハのメス。お腹はパンパンに膨らんでいる。これから産卵に忙しくなるはずだ。

ナガサキアゲハ701A1586.JPG10数分以上、こうして休んでいた。玄関前ではオスがせっかちに飛んでいて、いづれこのメスに出会うのでは、と期待したが、オスはさっさと飛び去ってしまった。


カワラヒワの撮影は、居間の西向きの窓から行った。そんな場所なので、レースのカーテンをブラインドとして使えた。セイヨウアブラナまでの距離が少しあったので、400ミリ望遠レンズに2倍テレコンを使用。カメラはEOS70D。テレコンはCanon純正で、以前テスト撮影したときも画像が良好だったが、今回の本番撮影でも威力を発揮してくれた。パソコン画面の等倍ピクセルでチェックしてもほぼ問題はない。2倍テレコンは2絞り分、露出倍数が掛かるので陽射しのある好天日しか使えないが、そういう制約があるにしてもじゅうぶん活用できる。


新刊本 『うんちみたいなむしがいた』 伊藤知紗 さく     月刊かがくのとも 6月号

かがくのとも_Z5A4755.JPG

うちから車で7分、三股町内に小さな小さな書店があった。店のカウンターには、おばあちゃんが、ポツンと座っておられた。すぐ隣が食料品店なので、買い物ついでに立ち寄っていた。近在の書店では扱っていない、福音館書店の月刊誌「かがくのとも」と「たくさんのふしぎ」が置いてあったからだ。冊子を手にとり眺めることができるのは唯一、この書店だけだった。もちろん気に入った号は買っていた。しかし、数年前、この書店は閉店した。書店を訪れる楽しみ、って結構大きいと改めて感じた。

さて、伊藤知紗さんの新作「うんちみたいなむしがいた」。伊藤さんの自然観察眼には驚かされることがしばしば。その繊細な眼差しから、ブログ「てくてく日記」の読者に惹き込まれることになる。私もその一人だ。

ハルゼミ

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霧島山〜高千穂河原 (5月1日)

昨日は霧島山のえびの高原〜高千穂河原に出掛けてみた。GWとあって有料駐車場は満車。しかし、正午を過ぎると下山する人も多くなり、高千穂河原の駐車場に入ることができた。
狙いはハルゼミ。羽化の撮影のための下見であった。松の木を見て行くと、少ないながら羽化殻が見つかった。
ハルゼミ羽化殻_Z5A4685.JPG羽化殻の付いている高さは、地上高10センチ〜2メートルの間で、一番多かったのは1メートル前後の高さだった。オスの鳴き声は時々聴こえていたが、まだ数は少ない。羽化の撮影本番は数日後に行うことにした。

羽化殻を探していると、ニホンジカの角研ぎの痕がいくつか目についた。
ニホンジカしわざ_Z5A4696.JPG

この松の幹では、黒い縦筋が多数あり、樹液が白く滲み出ていた。