天敵の天敵とは

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三股町 田上

近所のナツグミが、まっかに熟した。実りの重さで枝が全て垂れている。

ナツグミIMG_0189.JPGこのままでも食べれないことはない。えぐみさえ気にしなければ。鳥たちはよく啄ばんでいる。さらに完熟して崩れてくると、昆虫も多く群れる。どうやら人は、味覚について、ある勘違いをしているのかもしれない。

アブラムシの天敵、ナナホシテントウが、そのアブラムシの傍でへんてこりんな格好になっていた。
ナナホシの天敵IMG_0177.JPGへんてこりんに見えるのは、すでに死んでいるからだ。自分の意志が通じない、ただ単に物理法則に支配された姿なのだ。私たち人間は死に直面したとき、そういう事態を忌み嫌い、たいへん恐れる。それはともかく、アブラムシの群れという餌の宝庫にいながらして、ナナホシテントウが死を迎えた理由ははっきりしている。

ナナホシの頭上左寄りに、薄オレンジ色の塊があるが、それは繭であり、繭を紡いだのはテントウハラボソコマユバチ。この寄生バチの♀親は、ナナホシやナミテントウの成虫に、自分の卵を産み付けるのである。写真の場面に出会う少し前に、寄生蜂の用意した時限装置が働き、ナナホシは動きを止めたのだ。ただし、時限装置が可動しても、ナナホシはすぐには死ねない。痺れて自由が効かなくなった状態のまま、繭を紡ぐ天敵の姿をじっくり見学させられるのだ。

繭を逆光で透かして見れば、中は空っぽであったから、テントウハラボソコマユバチはすでに羽化して旅立った後のようである。

                                                                                (使用機材: EOS-80D EF-S60ミリマクロ )
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