陶芸家の仕事

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三股町 田上

昨日は泥巣第二部屋が完成し、産卵したところで作業は終わった。

いよいよ今日は、イモムシの搬入作業が始まるはずだ。
とは言っても、それがいつになるのか全く予測が立たないので、ずっと見張っているしかない。

デスクワークの原稿と絵コンテを傍に置いてはみたものの、視線はほぼずっと泥巣に釘付け。
「二兎を追うもの、一兎を得ず」である。ここは腹をくくるしかない。

観察を始めて2時間半。
午前11時半頃、部屋の用事を済ませて玄関に出てみると、なんとイモムシを抱えたスズバチ♀が泥巣に着地しようとする瞬間だった。
ちょっとの間とはいえ迂闊だった。

「ちょっと、待ったああ〜!!」と声を張り上げて、手を大きく振り回して着地を阻止した。
スズバチは驚いて一旦、遠ざかった。
「なんやねん! このオッサンは」

その隙にカメラを取り上げて、踏み台に上がり撮影態勢をとった。
ちなみに踏み台は、一升瓶6本が納まる酒箱。丈夫な上、軽いので重宝する。

泥巣から30センチほど離れた宙から、スズバチはすぐに戻ってきた。
着地してから、イモムシを泥巣壷に押し込むまではあっと言う間だった。

「間に合ったあ〜!」
スズバチのイモムシ搬入の一瞬を撮影できたのだ。

なるほど、スズバチが狩ったイモムシは、たしかに  フトスジエダシャクの幼虫  であった。
このあと間隔を置いて、計3頭のフトスジエダシャク幼虫を泥巣の中に押し込んだ。

最後の一頭を入れたあとは、すぐに泥玉を持ち帰り、穴を閉ざす作業を始めた。

さらにこのあと、第三番目の泥巣作りに着手。一旦、作り始めると結構なテンポで仕上がっていった。
今日もその陶芸技をしっかり観察できた。
そして、第三番目の泥巣が完成したところで産卵し、スズバチ♀はどこかへと姿を消した。


スズバチ二日目IMG_4625.JPG泥巣壷の中には、糸でぶら下がった卵が残されている。
径4ミリの穴が空いたままなので、アリとかに侵入される心配もある。
いや、実際、二ヶ月前にイエヒメアリの侵入にあった泥巣を見ている。
その泥巣は一個完成したあと、放棄されてしまった。

今回の泥巣作りに気付いたとき、またもやアリの侵入で失敗するのではないか、という心配があったが、どうやら現時点では大丈夫のようだ。

明日にはどういう展開になるか。

もっとも、明日はどうしてもデスクワークを進めないと困ることになる。
イモムシ搬入の瞬間に立ち会うのは、無理なことと、ここは腹をくくろう。
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