| ツマキチョウの蛹はメスだった 2005/04/24 | | すでに春の蝶ツマキチョウは、野原に出掛ければたくさんその姿を見る事ができる。ツマキチョウは春、卵からふ化して成長し蛹となると、そのまま10ヶ月以上もの長い休眠に入る。つまり、今活動している成虫たちが卵から誕生したのは1年前ということだ。羽化を控えたツマキチョウの蛹を眺めていると、一年が経つのも早くなったなあ、とため息をつきたくなる。そして写真の蛹は浮き出たはねの模様から、メスであることがよくわかる。 メスの羽化シーンは昆虫写真の仕事でまず使われることがない。これはやはり模様が地味なオオムラサキのメスなどでも同じ事が言える。だからツマキチョウのメスの羽化を撮影するかどうかはちょっと迷っている。 メスが地味な模様であっても、その羽化する瞬間の劇的なことにはオスと変わりがない。ただ、これが写真となり誌面を飾る段になると、やっぱり見栄えのするオスでないと、という人の感情が働く。私だってオスのあのオレンジ色が蛹の皮を透かして見えていたら、迷わず撮影作業に張り切っていたはずだ。この蝶の名前にしても「ツマ黄蝶」だ。メスの存在はこうして人の感情からすれば希薄となるのであるが、それだけ目立たないということが、自然界で生き残る上で少しでも有利かというと、そんなことはないように思う。はねの先にオレンジ模様があろうがなかろうが、白いはねのチョウがヒラヒラと舞えば、目立ってしようがない。 むしろ、オスのはねにはどうしてあのようなオレンジ色の模様がついているのだろうか?というまさに答えのない問いかけを繰り返すしかない。
(Canon EOS-1Dマーク2 マクロ100ミリ使用) | |