| 今の家に引っ越してきた当初から気に掛かる柿の木がある。
その柿の木は、うちから歩いて2分とかからないすぐ近くにあって、道路の傍らでもあるので毎日、目にしている。特別、樹齢がどうのこうのというような特徴らしきものもない、普通の柿の木だ(写真/日の出の時刻に撮影)。
普通の何の変哲も無い柿の木だが、日々、歩く時間帯によって、見る方角によって、天候の状況によって、その柿の木の表情が変わって見える。何故かと言えば、その柿の木はぽつんと一本だけ取り残されたように畑の中に植わっているからだ。 ぽつんと孤立していると、妙に気になるのは、そのように姿の様々な変化を感じとることができるせいだろう。
その柿の木は、畏敬の念を抱かせるほどに樹形が立派であるとか、そういう特徴があるわけではない、と先に書いたが、まさにその普通の姿の柿の木に違いないのだ。しかし、遠く離れた場所から眺めてみたり、早朝の日の出前からそっと近くで仰いだりとかできる、そんな孤立木は、おそらく身辺にそうそうあるものではない。
この柿の木については、これまで真剣に撮影してきたわけではなく、散歩がてらいろんな場所から眺めてきて、ときおりカメラを向けてきたに過ぎない。
一本の孤立した柿の木は、その回りの環境を眺めながら、過去の出来事も含めて、私にいろんなことを教えてくれるのではないか、そんな期待がしてならない。
(E-330 ズイコーデジタル50ミリマクロ)
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