| | | | 室内にこもったままでの作業が今日も続く。そこでちょっと古い写真を引っ張り出してみた。
写真上は20年前、下は16年前に撮影したもので、場所はいづれも所沢市下新井にある雑木林。所沢市航空公園の東あたり、と書けばわかりやすいかもしれない。
20年前といえば、ちょうど私が結婚したころで、それと同時に大田区の池上から東村山市に引っ越してきた最初の年だと思う。 上の写真に写っているジムニーは2気筒エンジンの古い古い型だが、私が初めて所有した自家用車であった。 このジムニーは愛媛の成川渓谷の山道で横転事故を起こし、そこで受けたダメージが効いてか、その後2年ほどで廃車となった。ガードレールの無い急カーブ手前の坂道でいきなりシフトレバーがはじけてノーマルに戻ってしまい、おかげで急加速してしまい、慌てた私はむやみにブレーキを踏んでしまった。舗装していない山道であり、次の瞬間ズルズルとタイアがスリップし始めて、ハンドルでの制動が全く効かなくなってしまった。眼前は断崖絶壁!そのまま直進すれば原生林へと落下する。 恐怖のあまり、私の視界は真っ白になったのを今でもはっきりと思い出せる。それでも必至で山際へとハンドルを切ったせいで、車は断崖側とは反対の山腹へと乗り上げ、見事に横転し、止まった。運転席側が下になったので、座席に置いていた機材やら荷物が、バラバラと私の体に降ってきた。荷物をかき分けてから、反対のドアを跳ね上げるようにして車から脱出したが、事故を起こした場所から公衆電話のある国道までは、歩いて2時間半かかった。幸い怪我は無かったが、いろいろと他人に迷惑かけることを思うと気が沈んでしまい、薄暗くなっていく山道を歩く時間が余計に長く感じたものだ。
さて、上の写真では水筒のコーヒーを飲んだりして、余裕を見せているが、私の背後にはNikonの600ミリレンズを付けたカメラがある。これは当時、モズやヒヨドリの撮影をしていたころで、長時間滞在したブラインドから解放された一時の様子である。 鳥の撮影に凝っていたのは、昆虫を食べる側の生き物を写真で表現してみたい、というようなねらいがあった。鳥の撮影がいかにたいへんか、ということは学生時代に充分、経験しているつもりであったが、連日、ブラインドの場所替えをしながら、ずいぶんと無駄な時間を費やしていたものだ。 冬の時期だけは鳥の撮影に時間を割く日々が続き、そのおかげで昆虫観察がおろそかになっていく自分がよくわかった。冬だからといって、昆虫観察をおざなりにしたツケは大きかったと反省している。
さて話は逸れてしまったが、わずか20年前、16年前ではあるが、雑木林の様子は、今とまったく違っている。 そのころの雑木林では、毎年必ず、落ち葉の「くずはき」が施され、冬の林の中はとても明るかった。しかも、今のようにゴミの不法投棄もほとんどなく、気持ちよく林を歩くことができたものだ。春になればあちこちでギンラン、キンランが花を咲かせていた。
今日の写真の場所を、同じ地点を撮影するにしても、もうまったく絵にならぬほど、荒れてしまっている。
先日、『昆虫ある記』武蔵野編の終焉にあたりーその1』として、昆虫写真家をめざす方への言葉を書きかけた。その続きは、明日に「その2」として書くつもりでいる。
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