| | | | 駐車場からマンションに戻る途中の小道で、オオミズアオ幼虫の死骸を見つけた(写真上)。
体の後半部分がほとんど消失しており、激しく喰いちぎられた痕が痛々しい。幼虫の胸脚はわずかに動いているが、もちろん蘇生などするはずもない。無数の小さなアリたちがその肉片を収穫し、こぼれる体液を自らの胃壷に貯めている。
この死骸を見つけてすぐに、近くの地面を見渡せば、幼虫が落とした糞もいくつか見つかった(写真下)。さらに頭上のイヌシデを見上げれば、幼虫が暴食したと思われる食べ痕もあった。
ほとんど毎日のようにここの小道を歩いていながら、頭上ででっぷりと肥えたオオミズアオ幼虫が育っていたことにこれまで気付かなかった。このことは少々、悔やまれる。
ただ、今年の春に近所の雑木林では、イヌシデの葉に産み付けられたオオミズアオの卵を撮影している。そのときはイヌシデが食樹となりうるのかどうか、疑問に思っていたのだが、どうやらイヌシデもオオミズアオの食樹の一つと確認できたようだ。
(EOSキッスデジタルN シグマ50ミリマクロ)
『おばあちゃんの玉手箱』
今日は、吉祥寺にある児童書専門店「おばあちゃんの玉手箱」で、昆虫のお話の講演をさせていただいた。(「おばあちゃんの玉手箱」で検索してもらうとホームページあります。)
こういったユニークな書店があることをこれまで私は知らなかったのだが、吉祥寺という街には、おもちゃ屋さんから書店までけっこう面白い店が多い事をあらためて知って驚いた。というか、20年以上東京に暮らしていても、これまで吉祥寺には一度も行ったことがなかったのだが、その街のにぎわいぶりに驚愕し、これだけの人が集まるなら、それなりにユニークなお店が多く繁盛しているのもうなずけるのであった。聞けば人の多さは今日のような日曜日だけでなく、平日も変わらず多くにぎわっているそうだ。 あちこちで行列をなしている飲食店があれば、ローカルな民芸店も多く、また沖縄料理関係の食材店やら、昔ながらの魚屋さんなどと、まさに日本の庶民の生活市場が凝縮したような街、そんな気がした。しかもまるで迷路のような細い路地裏にそういうお店がぎっしりと並んでいる。 こんな活気に満ちた街など、そうそうあるまいなあ、と今日は思ったりしたが、考えてみれば、私は普段からそういう人が多く集まる場所を避けるようにして、できるだけ自然のフィールドに、しかも孤独に身を置く生活をしているのだから、吉祥寺のようなにぎわいに接してみれば、まさに未開人が都会に初めて出たような状況に近いものがあったろうと思う。それは異様な活気に久しぶりに触れたとでも言えよう。
今日の講演に駆けつけていただいたポプラ社の担当者の方からは、帰り際にとてもユニークな書店を教えてもらったのであるが、その店のみならず、なんだか街の隅々を探検してみたい誘惑すら感じてしまった。街中ぜんぶがお祭りなのだ。そういえばテント張りの「おもちゃ市場」という催しもあって、ここは人だかりが一杯で、ものすごく盛況であった。 しかし、今日は講演後、せっかくここまで来たからと、吉祥寺を出て中央線沿いの中野まで脚を伸ばしてみた。カメラのアクセサリーの中古品でも漁ってみるつもりだったが、しかしお目当てのものは見当たらず、手ぶらで帰ることになってしまった。
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