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驚異の体外寄生バチ、その成虫 2006/05/31(その2)
 5月12日に繭をつくったヒメコバチ科の寄生バチは、その後22日になって一斉に羽化した。

 ところがその成虫を撮影する時間がなく、どうしたものかと思っていたら、今日は秋が瀬公園でおそらく同属と思われる羽化成虫に出会した。

 ハンノキの葉うらで、以前にアップした幼虫の干涸びたミイラテントの下に繭が並んでいるのと全く同じ状況のものを発見できた。しかもそこには羽脱したばかりの寄生バチ3匹がたむろしていたのである。
 
 (E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

リンゴコブガ幼虫 2006/05/31
 毛虫が葉っぱの上で見つかった。すぐリンゴコブガの幼虫とわかったが、実物を見るのは初めてのことで、かなり驚いた。

 大きく反り上げたような突起は、いかにも幼虫のおしりに見えるのだが、じつはそうではない。
 このサソリの尻尾のごときは、幼虫がこれまでに脱皮しては脱いだ、自分の頭の抜け殻なのである。その抜け殻を自分の頭上に乗せているわけだ。したがって一番突端の殻は一番若いときの頭だから、一番サイズも小さい(写真上)。
 
 抜け殻の積み重ねの一番下に毛束に隠れるようにして、本物の頭が少し見えている(写真下)。

 頭の抜け殻は全部で10個も並んでいる。ということは、これまでにこの幼虫は脱皮を10回も繰り返してきたわけだ。つまり現時点での令数は11令ということになる。
 ただし図鑑を見るとリンゴコブガ幼虫は7回脱皮して(つまり抜け殻の
装飾は7個となる)、終令は8令とある。

(EOS-5D 65ミリマクロ)新開 孝

ミナミアオカメムシ 2006/05/30(その2)
 宮崎市内の叔父の家の裏で、家庭菜園を覗いてみた。午前6時半。

 キャベツには相当数のモンシロチョウ幼虫がたかっており、葉っぱはほとんど残っていなかった。ふと畑の隅を見れば、ミナミアオカメムシの3令幼虫がいた。よく似たものではアオクサカメムシがいて、成虫も幼虫も区別できるようになるには時間がかかる。

(E-330 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)


 昨日は、朝一番の飛行機で宮崎空港に向った。
 
 今年に入って宮崎はこれで3回目だが、この先年内にあと2、3回は通う事になりそうだ。
 事情あって、とりあえずあちらのある地方銀行で銀行口座を作ったのだが、その口座開設にはえらく時間がかかり待たされてしまった。
 ようやくにして通帳を受け取るとき、念のためと携帯電話の番号まで聞かれ(どうしてだろうか?)、なおかつできるだけ早めの住所変更をして欲しいと懇願された。どうやら銀行の顧客としては不適切と判断されたようだ。
 そこで、心配しなくても自分はいずれ宮崎県人となり、ここの銀行にもきっとお世話になりますよ、と説明したのだが、、、。
 私が来年、移転先として選んだ町や近接する市内には、現在使っている都市銀行の支店もATMもないのである。

 ともかくもこうして頻繁に宮崎に通えるのも、宮崎市内には嫁さんの叔父や親戚の方達がいらっしゃるからで、とても助かっている。
 私が「ヤギを庭で飼いたいのですが、いくら位でしょうかね?」と焼酎をちびちびやりながら聞けば、
 叔父は「何言よるん、ヤギの仔ならもろたげるがなあ。もらうんよ、ヤギというのはな。」
 さらに「スタジオ棟も敷地内に設えたいのですが、とりあえずプレハブでも、、、」と私が言えば、先の叔父は「何言よるん、あるがな、儂が昔務めとった○○会社にはなあ、いろんな大きさの別棟建物をなあ、基礎も含めてセット販売しとるんぜ。それがええわい。それにしいや。」

 なるほど、、、、なあ。

 それにしても、再び物件の庭に立って山林を眺めれば、林床にはもの凄い笹薮がはびこっている。まるっきり放置したまま。こりゃあ、草刈り機どころかチェンソーがいるなあ、、、、、。でもって、その刈り取った笹をどこに始末すればいいのだろうか?
 そりゃあ、刈り取った笹の一部で、狩りバチの大アパート程度は作れるけれど、それ以外の大半はどうすれば、いいのだろうか?
 笹炭でも、作るか?それには炭焼き釜を作らんとなあ。
 笹材を有効に利用する方法を調べてみるも、考えるも、こりゃあ、引っ越してからしばらくは、昆虫写真の仕事どころではないなあ、と真剣に思い悩むのであった。

 
 

 
 新開 孝

スクミリンゴガイ 2006/05/30(その1)
 これまで松山や高知に行った際、田んぼの用水路でよく見かけたのが、スクミリンゴガイだ。

 そして今朝の宮崎でも、久しぶりにこの貝を見た。
 スクミリンゴガイはタニシに似ているが、ピンク色の卵塊はとてもよく目立つ。卵塊は水中ではなくこうして植物の茎など、空中に晒された場所に産みつけられるので何の卵だろうかと、初めて見たときはかなり驚く。

 スクミリンゴガイは1981年ごろ、台湾から食材として輸入されたものらしい。台湾ではもともと味の評判は悪く、しかも農作物に害をなすと指摘されていたにも関わらず、佃煮ならおいしく食べられると、日本ではかなりの高額で飼育セットが販売されたようだ。
 ところが国内での売れ行きは芳しくなく、売れ残ったものが放置され野生化してしまったという。しかも、この貝はイネやレンコンなどに多大な害を与えているようだ。他の在来生物との関係も無視できないだろう。
 金儲けのみに走る輩は、こうして見境無く生物界のかく乱までにも励んでしまうので、ほんとうに始末が悪い。そういうエネルギーがあるなら、もっと他で賢く使って欲しいものだ。

(E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

キクスイカミキリとヨモギ 2006/05/28
 ヨモギの頂部が、萎れてうなだれている(写真上)。

 これはキクスイカミキリの仕業だ(写真下)。

 キクスイカミキリはどこにでもいる普通種だが、体が小さいのであまり目立たないのかもしれない。
 名前のごとくヨモギやキク科の植物に集まり、その茎の内部に卵を産みつけ幼虫が育つ。産卵を受けた株は写真のごとく頂部が萎れてしまうので、キクスイカミキリの居所が知れてしまうわけである。

(EOS-5D マクロ100ミリ)

 新開 孝

ゴミムシの一種 2006/05/27
 マンション裏の草地で石を起こすと見つかったのが本種。

 ゴミムシ類は日射しを避けるように地面で活動するので、普段はほとんど見かけない。だから、生活感の溢れる写真を撮影することも、野外ではかなり難しいグループだ。

 しかも、この仲間は似たようなものが多くて、同定には神経を使う。

(E-500    35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

羽化不全 2006/05/26
 稲城市からうちに戻ったのが、午後6時過ぎ。

 夕食の支度に取りかかる前に撮影台を覗いてみれば、アカスジキンカメムシ幼虫が今にも羽化を始めようとしていた。昨日から撮影待機していた幼虫だ。

 子供達にはとりあえず板チョコを与えておいて、撮影に入った。
 しかし、しばらくしてどうも脱皮の様子がおかしいことに気付いた。

 まず触角が付け根近くで切れており、そこから体液が浸出していること。そして、脚の先の爪が萎縮しているのか、まったく踏ん張ることができないのであった。
 したがって、抜けた6本の脚がしっかりしても、自分の体を葉っぱ上に留めることができず、脚先はツルツルと滑るばかり。最後にお尻が幼虫殻から抜けた瞬間には、真新しい成虫の体は落下してしまった。
 この状況は自然界であれば、ほぼ死を意味する。

 昆虫の脱皮や、羽化など、いわゆる変態においては、このような事故は決して珍しくない。ただ、先日からいくつかの脱皮シーンを撮影していて、今日のも含めて立て続けに3例もが、なにがしかの不具合を生じて失敗に終わった。
 そうなると、なにかお祓いでもしなければいけんのかなあ、と思ったりする。

(EOS-5D マクロ100ミリ)
 
 新開 孝

サトクダマキモドキのふ化幼虫 2006/05/25
 梢の葉っぱの上で長ーい脚と、長ーい触角を自慢しているのが、サトクダマキモドキのふ化幼虫だ。体本体の体長は3ミリ弱しかない。

 前年の秋に、サトクダマキモドキのメス親は、様々な木の枝に卵を産み込む。その卵が一斉にふ化するのが、例年5月の末ころとなる。
 ふ化時刻は決まって、早朝4時から5時半ころにかけて。新開 孝

水のお家 2006/05/24
 どこを歩いても白い泡の塊が目立つ。これはシロオビアワフキ幼虫の隠れ家だ。
 
 しかし今日、出会ったシロオビアワフキ幼虫は、金魚鉢に体を突っ込んでいるかのようで、まるで泡になっていない、、、。(そう、丸でだめお、、、、って、そんな漫画ありました!?)

 おそらくその金魚鉢の中身は水ではなく、シロオビアワフキ幼虫が植物体から吸い上げた特殊な液体とでも呼んでおこうか。
 まるで胎水に没したような姿には、何かを感じないではいられないものがあった。

 幸せな時間を発見。
新開 孝

八王子市、長池公園を歩く 2006/05/23
 八王子市にある長池公園に赴いた。

 来月3日、長池ネイチャーセンター主催の自然観察会があり、私は講師として参加するので、その下見に行ってみた。
 ネイチャーセンターの担当の方やボランティアの方々など4名の方と一緒に歩いた。長池公園は里山環境の自然保全型の公園だから、整備されていても生物の豊かさを感じ取れる。
 ちょうどホオノキの開花時期とあって、あの心地よい香りが漂ってきて、それだけでも気分が良い。

 久しぶりに交尾中のアリスアブを見た(写真上)。今頃はちょうど羽化して出始めのころだ。アリスアブは名前のごとく、トビイロケアリの巣の中に幼虫が居候して育つという、変わった習性のハナアブ類。
 アリスアブには体毛が金色と銀色の2タイプがあり、写真ではメスがゴールド、オスがシルバータイプだ。この体毛の色型は雌雄に関係なく発現する。

 少し歩くと、今度はキンアリスアブが見つかった。こちらは体毛が全体に長く、幼虫が居候するアリの種類も、クロヤマアリを選ぶ。つまりアリスアブとキンアリスアブは同所的に棲息するが、宿主を違えて、すみわけているのである。

 切った竹が積まれてある場所では、ベニカミキリのメスが見つかった(写真下)。上翅に黒い紋があるから、一瞬、ヘリグロベニカミキリに間違えそうになったが、ベニカミキリにもこういう黒点が出るようだ。逆にヘリグロでもこの黒点が消失する個体もあるようだから、上翅の紋だけで両種を区別してはいけないようだ。
 
 それにしてもここ数年、昆虫の名前をどんどん忘れていくような気がする。花上にいたキイロアシナガコガネの和名がどうしても出て来なかったのには、ショック。もう私の脳内では老化現象が進行しているのだろう。ヨモギにつくヒメジンガサハムシの名前も出なかった。また、ツマキシャチホコの幼虫を、モンクロシャチホコと間違えてしまった。

 東京で昆虫観察会の講師を務めるのは、この長池公園が最後となるだろう。観察会当日は、子供達をできるだけ楽しませてあげたい、と思う。

 新開 孝

ヘラクヌギカメムシの成虫 2006/05/22
 中里の雑木林では、ヘラクヌギカメムシの新成虫が目立つようになった。

 今朝見つけたこの成虫は、まだ羽化してさほど時間を経ていないようだ。体色が淡く、動きもどこかぎこちない。

 ヘラクヌギカメムシ成虫の体色は、もっと鮮やかな緑色となる。写真では腹部気門部が黒くふちどられていないので、クヌギカメムシではなくヘラクヌギカメムシであろうと断定した。ただし、時間が経過して体色が完全に浮き上がるまでは断定しないほうがいいのかもしれない。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)


新開 孝

エゴノキと昆虫たち 2006/05/21(その2)
 エゴノキの白い花が盛りとなった(写真上)。
 この白いシャンデリアが林に溢れる出すと、もう平地の春は終わったと感じる。

 無数に咲き乱れるエゴノキの白花には、様々な昆虫たちが訪れていた。

 写真中は、コアオハナムグリ。
 写真下は、ダイミョウセセリ。

(写真上/E-330 8ミリ魚眼)
(写真中、下/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 
新開 孝

オオカマキリ幼虫 2006/05/21(その1)
 中里の雑木林では、ここ1週間くらいでオオカマキリ幼虫が目立ち始めた。
 まだふ化して数日を経たばかりの若い幼虫だから、体長は7ミリ前後と小さい。

 小さいオオカマキリ幼虫がどういった獲物を捕らえているのか、その食事メニューには興味がわく。
 逆に、オオカマキリの若い幼虫たちはいかにも弱々しく見えるので、どんな天敵に喰われてしまうのだろかと、それも気にかかる。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

アカシジミ 2006/05/20(その2)
 羽化間もないアカシジミがいた。
 おそらく本日の午前中に羽化したものだろう。
 一旦飛び立ってもその飛び方は弱々しく、すぐに低い梢にすがるように止まる。

 きょうは夏日のごとく蒸し暑かったせいで、いろいろな昆虫の活動が活発だった。すでにアカスジキンカメムシの成虫も姿を現した。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝
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