menu前ページTOPページ次ページspace.gif

羽化したシンジュサン 2006/05/20
 今朝早く、シンジュサンのオスが羽化した。羽化の推定時刻は午前5時半ころ。
 気付いたときにはしわしわの翅がどんどん伸展している最中であった(写真上、中)。

 このシンジュサンは愛媛県、松山市で冬に繭を見つけておいたもの。繭は神社境内のクロガネモチについていた。

 シンジュサンはこうして5月に一回目、そして8月〜9月に二回目の成虫が現れる。ただし北の地方では年一回の発生のようだ。
 5月の羽化時期は例年、関東地方ではエゴノキが咲き始めるころだが、今日の羽化もまさにその開花時期ぴったりだった。

 シンジュサンは、八重山諸島に棲息する巨大なヨナグニサンと同族。ヨナグニサンには前翅先にヘビの頭のような紋様があるが、シンジュサンにも控えめながら眼玉模様がある(写真下)。

(写真上/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中、下/EOS-5D 100ミリマクロ)
新開 孝

ポジ写真の整理とは 2006/05/19

 本日は子供の小学校で公開授業とあって、午前中いっぱいは参観に赴いていた。
 1年生と5年生の二人だから、授業の内容によって参観を振り分けて教室を移動しなければならない。
 学校の授業参観をしたのは2回目だが、今回は上の子の音楽の時間を特に注目してみた。そこでは私の子供の頃の音楽の授業とは比べものにならないくらい、楽しいことに驚いた。これなら確かに音を楽しむ時間になっていると思った。もちろん音響機器の進歩もあるけれど、先生が弾んでいた。子供もそれにすっかりノッている。
 私が子供のときは音楽の時間が嫌いだった。音楽は難しいと感じていた。今の息子はたいへんうらやましいと思う。

 さて、午後からは室内撮影もしたが、宮崎移転の物件に関わる書類の検討などが忙しく、フィールドを歩けなかった。
 そこで、ポジ写真のキャビネットなどを紹介してみたい(写真上)。

 今でこそデジタル撮影が主流となり、銀塩フィルムを使うことはほとんどないが、ほんの4年前までは銀塩フィルムで仕事をしてきた。
 約20年間の昆虫写真業のうち16年間はフィルムで撮影していたのだから、当然そのストックというものがある。
 で、ポジ写真の保管整理法については紆余曲折があって、今の形に落ち着いた。

 まずポジフィルムはスリーブ仕上げで現像し、写真をチェックしてから一コマづつハサミで切り分け、特注の透明ビニールポケットに入れる。ラベルも特注のネーム入りで、それをあらかじめポケットには貼ってある(このラベル貼りはまさに内職仕事)。
 ラベルに写真データを書き込むと、今度は4×5のフィルム箱に分類別に入れる。この箱には写真入りビニールポケットがおよそ100枚くらい入る(写真下)。
 4×5のフィルム箱はラボでいくらでもタダでくれる。もっとも今ではラボに行く事もなくなり、もしかしたら私の売り掛け口座は抹消されているころかもしれない、、、。

 現像したポジフィルムのスリーブも最後の2年間分はほとんど、スリーブのまま。それはちょうどデジタル撮影への移行期でもあり、フィルムを整理する時間も意欲も失せていた。
 しかし、宮崎移転の前にはこの2年間のフィルム撮影ストックを整理しておかねばならない。

新開 孝

オカダンゴムシとタマヤスデ 2006/05/18
 オカダンゴムシとタマヤスデは、外見上はよく似ているが、それぞれ甲殻綱ワラジムシ目とヤスデ綱タマヤスデ目であり、まったく別のグループに属する生きもの。

 オカダンゴムシは脚が7対で、タマヤスデは17対もあるから、まずは脚の数を見るだけでも違いの差がよくわかる。

 写真上は、オカダンゴムシの交尾の様子(画面左が頭)。上がオスだが、こうしてメスの体の頭越しに覗き込む様な姿勢が特徴的だ。どうやら生殖肢の位置が関係しているようだ。
 いっぽう写真下はタマヤスデだが(画面左が頭)、雌雄の区別がわからない。とりあえず両者は尾端でつながっており、見た目は交尾しているかのようだ。
 タマヤスデのオスの生殖肢は尾端にあるというから、こうしてオカダンゴムシとは交尾ポーズも違うのかもしれない。
 
 タマヤスデの雌雄の区別法から、交尾の仕方など、これから少しは調べてみなければならない。

 なお、本日の写真は昨日、撮影したもの。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

今日のヤママユ幼虫 2006/05/17(その2)
 午前中、曇ってはいてもわずかに日射しがあったので中里の林で仕事をした。
 いずれ出す予定の本の表紙用の写真を撮影してみた。

 表紙の写真に使うモデルの候補が昨日見つかり、絵柄も昨夜のうちにテスト撮影して決めておいたので、作業は早く済んだ。
 薄い雲の下では、ちょうどいい光加減となりモデルの虫もいい動きをしてくれた。
 今回の本は来年に出版を予定しており、テーマはかなり絞りこんでいるのだが、表紙を決めるのはけっこう苦労しそうなので、できるかぎり表紙の候補写真をかため撮りしておこうと考えた。

 さて、撮影を終えて引き上げ際にコナラの梢を見上げれば、ヤママユの4令幼虫が休んでいた。
 うまくコナラの葉っぱに溶け込んでいる。こうしてじっとしている限り、鳥などの天敵には見つからないようだ。

(D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ダンゴムシ、キノコを喰う 2006/05/17(その1)
 今朝の雑木林では、雨上がりのためかダンゴムシの活動が盛んだった。
 とりわけ犬の糞に多数がたかっているシーンを撮影できてラッキーだった。

 どうやら早朝の散歩で、犬の糞を始末せずに逃走した方がいらっしゃったようだ。もっとも日頃から始末をしない常習犯の飼い主を数名はチェックしてあるのだが。
 糞は数個の団子で円周上に並んでいたが、その中央部の地面には直径1センチ程度の穴と、そこから掘り出された土がこんもりと塚を形成していた。
 一目でその穴がセンチコガネの仕業であることがわかった。

 しばらくダンゴムシを撮影していると、地面の穴の奥からセンチコガネがもぞもぞと登場した。自分の掘ったトンネル内に糞塊を運び込むつもりだが、そこには多数のダンゴムシがたかっている。
 そのときのセンチコガネの様子は、ダンゴムシに対してじつに不機嫌になっていたように、私には感じられた。
 
 ふと近くの朽ち木に目を移すと、キノコをかじっているダンゴムシのメスを見つけた。しかもアカハバビロオオキノコと並んで食事中(写真)。

(D200 マイクロニッコール105ミリ)
 新開 孝

タマヤスデ、木に登る 2006/05/16(その2)
 ダンゴムシのようだが、ちょっと違うのがこのタマヤスデの仲間だ。

 今日は朝から雨で肌寒いくらいの一日だったが、夕方近くなって雨はやんだ。
そこで雨あがりの雑木林を少し歩いてみた。

 タマヤスデ類は、国内では約10種が記録されているようだが、ほとんど一般の方には知られていないと思われる。
 ダンゴムシのように刺激を受けると体を丸くするが、体型や体表面のつやなど、ダンゴムシとは体の特徴が違う。

 雨滴に濡れたイイギリの木の枝にこのタマヤスデを見つけた。
 こうして地上で活動するタマヤスデの姿は初めて見る様な気がして、撮影してみた。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

驚異の体外寄生、その5 (Euplecturs sp.) 2006/05/16
 先日からお伝えして来た寄生バチは、繭を完成し蛹になっていた(写真上)。

 まず、黒変して萎縮した宿主スモモキリガ幼虫の死骸をそっとはがしてみた。
 すると寄生バチの蛹が12匹、整然と並んでいる。各蛹の間には薄壁があり、一応は個室に納まっているが、繭の糸は非常に粗い(写真中)。
 つまり繭全体の天井部分は宿主の死骸を利用しており、まるで糸を倹約しているかのようだ。
 
 もう一つ気にかかるのは数粒の糞らしきものが繭外部に付着していたことだ。これは繭完成近くになって出現したものだが、どう見ても12匹の幼虫の数にはあわない量だ。個体によって排便したものと、そうでないものがいたのだろうか?

 蛹は濃いチョコレート色をしている(写真下)。大きさにはややばらつきがあり、頭の向きも定まっていない。

 さて、ある方からご教示いただき、この寄生バチはコバチ上科、ヒメコバチ科のEuplecturs属であることがわかった。

 このあとどんな姿のハチが羽化するのであろうか!?

(EOS-5D   マクロ65ミリ)


新開 孝

頭隠して、尻隠さず 2006/05/15(その2)
 今日は秋が瀬公園に出向いてみた。
 どうしてもオオミズアオの卵を探す必要があったので、去年見つけたあたりをくまなく探してみた。

 ただし、去年見つけた卵はオナガミズアオだったが、オオミズアオと両種は混生しているらしい。
 とりあえずハンノキの葉っぱをていねいに見ていくと、去年とまったく同じ木で卵が見つかった。

 こうしてハンノキを見て回ると、ミドリシジミの幼虫巣もけっこう見つかる(写真上)。葉っぱを二つ折りにしたような袋状になっているので、ミドリシジミの幼虫はゼフィルスのなかでももっとも見つけ易い幼虫と言える。

 幼虫は巣袋の中に隠れているはずだが、なかにはこうして頭かくして尻かくさず、という手合いもいる(写真中)。もっともミドリシジミ幼虫の頭と尻の区別は大方の人にとってはわかりづらいのだが。

 ミドリシジミの幼虫たちも、その多くは終令であったが、一匹だけハンノキの幹を下り降りる姿を見つけた(写真下)。

 おそらく地上へと移動して、落ち葉の間で蛹になるための準備をするのだろうと思う。しかし、こんな昼間に移動するのは危険ではないかと案じられる。
 葉っぱの隠れ家で幼虫時代を過ごしてきたのに、ここにきて大冒険するとは!?


(写真上、中/D200 マイクロニッコール105ミリ)
(写真下/E-500 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

糞もどき 2006/05/15(その1)
 小さなヤマグワの木に無数のクワゴ幼虫がたかっていた。
そのうちヤマグワは丸坊主になるだろう。枝を見れば去年の秋に産みつけられた卵の殻がもの凄い数だ。

 どうやら寄生バチなどの天敵などから見事に逃れて、ほとんどがふ化してしまったのだろう。もっともこのあと、幼虫をねらってなにかしらの天敵がやってくるに違いない。

 で、クワゴの姿をあらためて眺めていると、やはりこれは鳥の糞だ。

 クワゴを撮影したあと目についたのが、この小さな蛾だった。
 種名はまだ調べていないが、これもまさに糞、だ。

(D200  マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

オオワラジカイガラムシの交尾 2006/05/14
 オオワラジカイガラムシの成虫が目につく。
 近所で観察し易いのはコブシの幹で、そこにはメスが多数貼付いている。

 そこへオスがやって来る(写真上)。

 オスは大きな翅があって、メスとはまるで別種のような姿をしている。
 翅があるからもちろん飛翔もする。

 オスはメスのところへくると、しきりに交尾しようとする。すでに交尾が成立しているカップルもいる(写真中)。カップルに割り込もうとするオスもいて、さながら蛙合戦のような場面も見られる。

 交尾しているときのオスは必ず、黒いマントのような翅を大きく拡げている。最初はなぜだろうかと不思議に感じたが、どうやらメスの生殖器の位置が奥にあるかららしい。オスはメスの腹の下に自分のおしりを深く潜り込ませないと、オスの生殖器が届かないのだろう。
 そういう格好をとると大きな翅は邪魔になるので、拡げておくのだろうと思う。

 もうひとつ面白い行動はメスのお尻上げである(写真下)。
 これはオスを招いているのだろうか?

どこにでもいるオオワラジカイガラムシだが、案外おもしろい習性があるようだ。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン) 新開 孝

徘徊性ウスバカゲロ幼虫、繭を紡ぐ 2006/05/13
 4/14にアップした徘徊性ウスバカゲロウ幼虫の一種が、一昨日になって繭を紡いでいた。 繭は土粒を糸で絡めた、直径11ミリのほぼ球状の形をしている。

 飼育当初は、キバネツノトンボのように枯れ草などを利用して営繭(えいけん)するものと考え、そういった枯れ草屑などもしこたま用意していたのだが、それは材料として選ばれなかった。
 結局、出来上がった繭は、すり鉢状の罠をこしらえるウスバカゲロウ類のものとまったく同じ形状であった。

 さて、この繭から成虫が無事羽化すれば、謎だった徘徊性ウスバカゲロウ幼虫の種名も同定できるはずだ。

 (E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)


 『訂正のお知らせ』

 昨日の「街路灯の支柱で蛹化したアカシジミの蛹」ですが、アカシジミは誤りで、正しくは「ウラナミアカシジミの蛹」でした。ここに訂正します。
 ウラナミアカシジミとアカシジミの蛹は互いによく似ていますが、ウラナミアカシジミは体が細長いのに対して、アカシジミではだるま型に近いので、よく見比べれば区別は難しくありません。新開 孝

街路灯の支柱で蛹化したウラナミアカシジミ 2006/05/12(その2)
 空堀川の遊歩道には水銀灯が設置されている。

 今日は、その街路灯の一本でウラナミアカシジミの蛹を見つけた(写真上/画面中央)。 
蛹の着いていた高さは1メートル10センチ程度。

 この街路灯にはコナラの梢が接しており、ウラナミアカシジミ幼虫が渡り歩いて来ることができたようだ。
 しかし、このような剥き出しの場所で蛹化するとは、、、。

 今頃の雑木林では、こうして平地性ゼフィルス幼虫たちが食樹(コナラやクヌギ)から降りて、蛹化のためにあちこち徘徊している時期なのである。
 昨日には林床を歩くアカシジミやウラナミアカシジミの熟令幼虫も見つけた。

(写真上/E-330 魚眼8ミリレンズ)
(写真下/E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

驚異の体外寄生、その4 2006/05/12(その1)
 一昨日からスモモキリガ幼虫への体外寄生をアップしてきた。

 さて、昨夜から今朝にかけての寄生バチ幼虫の様子を報告したい。

 肥大化した寄生幼虫たちは、糸を吐きつつも、しだいに宿主の背中から、腹側へと一斉に移動し始めたのである(写真上)。
 そして、ここで興味深いのは、幼虫たちの糸を吐くテンポが非常に鈍いことであった。頭を振り動かしてはいるが、いっこうに繭作りを始めたようには見受けないのである。

 幼虫たちの挙動はむしろ宿主の腹側に潜り込むことに専念しているようで、しかもしばらくするうちに、宿主幼虫の体長にぴったり納まるよう、12匹の幼虫たちは見事に整列したのであった(写真中)!!
 幼虫たちが潜り込んだことによって、宿主スモモキリガ幼虫の体はまさにジャッキアップされてしまい、しかもしだいに体が扁平へと萎縮してしまった。
宿主の体がここにきて萎縮してしまった理由がよくわからない。

 で、糸を吐くテンポが遅いことと、幼虫たちの繭作り行動にはもう一つの特徴がある。それは、個々が納まる繭、つまり個室を設えるのではなく、どうやら12匹全員が納まるべく、大部屋の繭を紡いでいるのではないか、そう思えるのであった。
 その様子を俯瞰してみた(写真上)。

 こうして見ると、宿主の背中に大きな穴が開いていた事がわかる。
 この穴は何を意味するのだろうか?12匹の幼虫たちが吸血していた穴だろうか、それとももしかしたら、、、、、、、!?

 いずれにせよ、この寄生バチ幼虫集団の繭作りは極めて鈍く、いまだに粗い糸網のごとくである。

(EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝

やられちゃいました! 2006/05/11(その2)
 「やられちゃいました!」を伊予弁で表現すると、「やられたんよ!」あるいは「やられたわい!」かもしれない。これが日向弁だと?、、、、、、。

 さて、先日から蛾の幼虫にとりついた寄生昆虫のネタが続いているのだが、とにもかくも、今年の雑木林では芋虫が例年以上に多いのである。
 多い、というのはもちろん私の体感的なものであり、科学的な根拠はないのであるが、芋虫とくに蛾類幼虫が林に溢れていると感じる。

 であるからか、例年ならあまり観察できない寄生昆虫の様子が次々に目に入るのである。あちらでもこちらでも、蛾の幼虫の養分を得て寄生バチの幼虫たちが様々な繭を紡いでいる。

 写真のシャクガ幼虫の背負っているのは、やはり寄生バチの繭である。
 この繭は初めて見るタイプであり、種名はわからない。
 驚くべきことに、このシャクガ幼虫は元気に歩くのである。繭を紡いだ寄生バチ幼虫は、このシャクガ幼虫の体内で養分を摂取して成長したのであるが、宿主の生命を奪う事無く、まさに生かさず殺さずの技を駆使してきたのだ。

 だが、宿主であるこのシャクガ幼虫は、いずれ死ぬ運命であることは確実である。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール