| | | | パッチン、パッチン!というかすかな音が部屋の片隅から聞こえる。
私の部屋では今、ヤママユやウスタビガの幼虫を飼育しているので、その幼虫たちが忙しげに葉をかじる、パチ、パチという音はすでに聞き慣れている。
しかし、パッチン、パッチン!という異質な音は、それではない。何か変だとすぐにわかった。では一体何だろう!? 音源を探ってみれば、机に置いたフィルムケースからだとわかった。 そのフィルムケースを見て、さらに驚いた!
おお!なんとフィルムケースのなかで、繭がはじけてジャンプを繰り返しているのだった!!!
この繭は、チビアメバチの一種のもので、本来なら糸でぶら下がった格好なのだが、その糸が切れてしまったため、フィルムケースの中に入れておいたのであった。 繭が踊る。じつに不思議なその光景にしばし見とれてしまった。
で、繭をケースから取り出してじっくり眺めてみれば、繭壁を透かして中の幼虫のシルエットがわずかに窺える。 どうやら幼虫は口を繭の内壁にあてがい、そのあと大きく屈伸運動をしているらしい。かすかにしか窺えないので、事の真相はわからない。いかにして繭がジャンプするまでの運動力を出し得るのか!?
そうするうちに、もう一つの糸にぶらさがった繭からもプチン、プチンと少し控えめな音がしてきた。ふと見れば、繭が大きく揺れている!!風も無いのに揺れているのは、こちらも中の幼虫の運動によるものだと知れる(写真上)。
しばらくして繭がはじける理由が少しわかったような気がした。
フィルムケースに横たわった繭は、中の幼虫の巧妙な運動によって、繭外部への振動を発生し、その振動力を受け取った固いフィルムケース壁からの反作用がジャンプ力を生み出しているのだろう。
そこで糸にぶら下がって振動する繭に、固いボールペンをあてがってみるというささやかな実験を試みると、なるほど、その振幅は増大するのであった。
だがしかし、この繭の踊りは、いったい何を意味するのだろうか?
さて、このチビアメバチの繭は、今年の中里の林では異常なくらい多く見つかる。写真下は蛾の幼虫から脱出したあと繭を作っている最中のもので、繭の色はまだ白い。
(写真上/EOS-5D マクロ65ミリ) (写真下/E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
本日の(写真上)は、マルチストロボで撮影している。つまり一コマ写真の撮影中、ストロボの発光を数回繰り返す手法である。画面の中で動く被写体があれば、その動きがストロボの発光回数分、写り込むのである。 今回はマルチ発光機能をもったCanonのストロボ540EZを使用した。それと通常のストロボ、パナソニックのPE-28Sを組み合わせている。
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