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ケバエの一種 2006/04/30
 マンション裏の草地では2週間ほど前から、真っ黒のケバエの一種が一斉に羽化して、その数はおびただしい。そしてあちこちの路上で踏みつぶされた死骸もよく目にする。

 あまりにも多く、そして草にしがみついて動きも鈍いことから、子供達が飼っているカナヘビの毎日の餌にもなっている。

 本種の幼虫は落ち葉を食べて育つようだが、冬の雑木林で落ち葉をめくるとウジャウジャ見つかる毛虫の類いであろう。
 ただし、普通種だからといって安易に図鑑で絵合わせできないし、またDiptera類の充実した図鑑もないので同定はやっかいだ。

 今日は交尾しているカップルのすぐ傍らで、ワカバグモの餌食となった不運なオスも見かけた。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)

新開 孝

ミツボシツチカメムシ 2006/04/29(その2)
 ヒメオドリコソウで見つかるのがミツボシツチカメムシ。

体長は5ミリ前後と小さいうえに、ヒメオドリコソウの実の部分に潜り込んでいるので、目に触れる機会は意外と少ない。しかし、本種はどこにでもいる普通種である。

 今日は葉っぱの上で姿を晒したオスがいたので撮影してみた。
 本種のメスはオスよりか少し大きく、体型も丸みを帯びている。
 メスは地面で産卵した卵塊を保護するという習性がある。しかも幼虫に餌を運んだりして世話もするらしい。
 ミツボシツチカメムシのメスが卵塊を守っている様子の写真は、平凡社の『日本動物大百科』8/昆虫1に掲載されている。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

ベッコウガガンボのメス 2006/04/29
 ベッコウガガンボは以前に幼虫の写真をアップしたことがある。
幼虫は朽ち木の中で育ち、ガガンボ類としては変わった生活と思える。

 ただし、Dipteraの幼虫には、例えばムシヒキアブ類のオオイシアブなどは、幼虫が朽ち木内で育つことがよく知られている。私も朽ち木から体を半分乗り出して羽化した後の蛹の殻をいくつも見た事があるし、冬に朽ち木崩しをしていると本種の幼虫が稀に見つかる。
 オオイシアブの羽化の様子は、リンクさせていただいている真さんの『虫撮り散策記』に見事な連続写真が出ているので参照されたい(散策記の4月24日)。

 話がそれてしまったが、ベッコウガガンボがちょうど良い場所に止まっていた。これだと体の特徴がよくわかる。
 またベッコウガガンボのメスの腹端には尖った産卵管があるが、ここを上向きにそらして静止するポーズは、何か意味ありげで気にかかる。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

ヒメヤママユの2令幼虫 2006/04/28
 ミズキの枝ぶりは水平に広がる。それは緩い弧を描く枝が規則正しく枝分かれしているからだ。
 そしてその水平に広がる若葉の梢の下をくぐれば、緑色のフィルター天井に色酔いしてしまいそうだ。

 で、ミズキの若葉を見上げれば、次々とヒメヤママユの若い幼虫が見つかった。まだふ化したばかりの1令や、すでに2令となった幼虫など。写真は2令幼虫。
 若い幼虫は体色が黒いので、梢の下から見上げるだけで簡単に見つかる。

 ヒメヤママユは卵越冬だが、その食樹は多種多様で、ミズキやエゴノキ、ヤマザクラ、コナラ、クヌギ、ヤナギ、カエデなど。
 卵は木の幹に数個づつかためて産卵されていることが多いが、冬のあいだに鳥たちに一粒づつ丁寧に喰われてしまうものも少なくない。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

枯れ枝に化けた、シャクトリムシ 2006/04/27
 コブシの葉もかなり繁ってきた。そろそろアカスジキンカメムシの越冬幼虫が登ってきているだろうか、と思いながら梢を見上げてみた。

 すると一瞬、枯れ枝にしか見えなかったが、しかしやはり私の目は見逃さなかった。とはいえ、その次の瞬間には、シャクトリムシにそっくりの枯れ枝だろうと思ったのである。
 シャクトリムシにそっくりの枝も、写真としては欲しかったので、少し高めの梢を手で引き下げたのである。
 
 ところがそれは、間近で見れば本物のシャクトリムシであった。

 種名についてはハミスジエダシャクではないか、と思うが確かではない。
 

(D-200 DXニッコール10.5ミリ/マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ワカバグモの交接 2006/04/26(その2)
 コナラの梢で、ワカバグモのオスがメスに抱きつく格好でぶら下がっていた。
どちらもお尻から出した糸で自分の体を支えている。

 画面右の体が大きいほうがメス。メスは終始、脚を全部伸ばした格好のままであった。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ヨコヅナサシガメ、羽化を迎える 2006/04/26(その1)
 ヨコヅナサシガメは、ここ清瀬市でも年々増加傾向にあるのではないかと感じる。

 そのヨコヅナサシガメはコールタールのような体色の5令幼虫で集団越冬する。このところすっかり若葉の季節に移行し始めた雑木林では、成虫への羽化が連日続いている。

 真っ黒な幼虫の背中の皮が割れて、鮮やかな赤色の成虫の姿が現れる瞬間はけっこう見応えがある。遠目からでもよく目立つ。しかし、この赤い姿も数時間後には黒色に変じ、まだ羽化しない幼虫組と合流すれば、やはり地味な姿に戻ってしまう。

 ヨコヅナサシガメは羽化して成虫になっても、しばらくは冬越ししていた場所に留まって、集合生活を送っている。これは集団内にまだ羽化しない幼虫たちが残っていることも関係しているのかもしれない。
 もうしばらくしてさらに暖かくなると、ヨコヅナサシガメ成虫はこれまでの集団定着型生活に終止符を打ち、各自がそれぞれ風に乗って大空へと旅立っていく。
 バルーニングとも呼ばれるように、彼らが軽々と空中浮遊していく様はなかなか心地よい光景でもある。ヨコヅナサシガメの体には、団扇のごとく張り出した薄い腹部が目立つが、それが翼の役目も担っているのではないだろうか。

(Nikon D-200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

オニグモとツマキチョウ 2006/04/25
 ベランダに網を張ったオニグモに気付いたのは、昨日の夕方ころであった。

 少し小柄なことから、このオニグモはまだ成体ではないようだが、しかし捕らえて吸血していた獲物はけっこう大きい。
 獲物の正体はすぐにはわからなかったが、よくよく見れば、なんと昨日の昼間にさかんに飛び交っていたツマキチョウのオスである。
 オニグモの糸でぐるぐる巻きにされてはいるが、翅裏の複雑な紋様と、翅先の橙色が見て取れる(写真上)。

 オニグモの巣網にかかったツマキチョウのオスは、私の部屋のベランダに彷徨い込んだ瞬間があったことを物語っている。それもそのはずで、今年もまたベランダのすぐ外側にはセイヨウカラシナが群生しており、ツマキチョウたちの蝶道が幾本もここを通っているからだ(写真中)。

 日没後、ふたたびオニグモの巣網を覗いてみれば、すでにツマキチョウは網から捨て去られた後だった(写真下)。

(EOS-5D EFマクロ100ミリ/シグマ20ミリ)新開 孝

コアシナガバチ女王の巣造り 2006/04/24(その2)
 いったい何処で越冬していたのだろう?
 コアシナガバチ女王の巣造りが始まると、毎年思うのである。

 アシナガバチ類の越冬場所は、例えば枯れ竹筒の中などらしいが、その様子を私は観察したことがない。

 さて、コアシナガバチの巣造りはざっと見渡したところ狭い範囲で3匹の女王がほぼ同時期に開始していて、いずれもマンションの外壁、倉庫の壁など、建造物の垂直面を利用している。しかも南向きの明るい場所で、とても目立つ。
 せっかく巣を拡張できても、いずれは草刈り作業が始まれば、これらはさっさと駆除される運命だ。

 しかし、こうして毎年、新女王たちが舞い戻って来て営巣をするということは、人がいくら懸命に駆除をしても、どこかでうまく繁栄できるコアシナバチの巣があるということであろう。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

アシベニカギバの幼虫の仕草とは 2006/04/24(その1)
 ガマズミの葉っぱにはすでにサンゴジュハムシ幼虫たちの丸い食痕が目立つが、その傍らで摂食中のアシベニカギバ幼虫を見つけた(写真上)。

 さかんに葉っぱを食べているところで幼虫に少し刺激を与えてみると、ピタリと食事を中断して頭を持ち上げる(写真中)。
 と同時に、お尻の針のような突起を持ち上げ、体をU字型に曲げるのである(写真下)。

 この仕草の意味は何だろうか?威嚇のつもりだろうか?「刺すよ!」とでも言うつもりなのだろうか?あるいは「枯れ草よ!」とでも偽るつもりだろうか?


(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

スズバチの泥巣 2006/04/23(その2)
 近所の資材置き場の前を通りかかると、捨て置かれたようなドラム缶にスズバチの泥巣がついていた(写真上)。

 このまま放置されていれば、おそらくは誰も気付かないと思うが、ドラム缶がいずれ動かされるようなことでもあれば、手荒く除去、破壊されるだろうことも疑いない。
 そこでちょうど携えていた根堀りを使って、手早く剥ぎ取ってみた(写真中)。

 オブラートのような薄い繭袋を切り開くと、スズバチの幼虫がまだ前蛹の段階であった。

 写真を見れば気付いた方もいるかもしれないが、幼虫の頭の向きは皆、泥巣の外側へと向いている。これはいずれ羽化して脱出するときのためであろう。
 泥巣の壁はカチカチで非常に固いが、スズバチはこれにトンネルを穿って外へと出るのである。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

逆子?の蛹 2006/04/23(その1)
 ツツハムシ類の幼虫は、自分の糞を使ってカプセルを造り、それをシェルターとして過ごす。シェルターから体前半部を乗り出して移動する様は、まるでヤドカリのようだ。

 今日は、冬のあいだに見つけておいた幼虫入りカプセル(写真上)の中を見てみた。
 すると中ではすでに蛹となっていた(写真下)。透けた体の様子からは、まだ蛹化してからさほど日数を経ていないと思われる。

 意外だったのは、蛹の頭の向きがカプセルの出入り口ではなく、底の方に向いていたことである。糞カプセルは2個あったので、もう1個でも調べてみると、蛹の頭の向きはやはり同じであった。
 
 蛹は糞ケース内いっぱいの大きさであり、蛹化してから体を反転したのではなく、幼虫時期に反転したことがわかる。また幼虫の抜け殻が入り口の方にあることもその証となっている。
 
 しかし、なぜ、蛹は幼虫時代に体を乗り出していた入り口穴のほうではなく、カプセルの底の方に頭を向けているのだろうか?
 その理由は案外、次のようなことだと思う。

 まず、カプセルの入り口は幼虫時代には自分の頭で塞いでいたが、蛹になる前にはしっかりと自分の糞を使って完全に塗り固めていることがわかる。
 つまりこのふた固めの作業をする上で、幼虫はお尻を入り口のほうに向ける必要があったのだ。

 幼虫はふた固め作業の後、蛹化に先だって再び反転することが可能だったはずだが、なぜそれをしなかったのか?という疑問も湧く。
 で、こういう疑問が湧くのはカプセルの出入り口にこだわっているからに過ぎないのだろう。おそらくは、蛹化に先だって入り口を塞いだ時点から、カプセルの壁はどの部分もほとんど均質の密閉壁になってしまったのではないか、と想像するのである。
 羽化したあとの成虫は、口器を使い時間を掛けて脱出口を穿つのではないか、と思う。

 いずれにせよ、じきに成虫が羽化して姿を現せば、この謎?も解明できるはずだ。
 
(EOS-5D  マクロ65ミリ)新開 孝

コンボウアメバチの蛹、そして意外な発見! 2006/04/22
 冬の雑木林で見つけたヤママユの繭が一つ、ずっと私の机の上にころがっていた。
 ずっしりと重みもあるけれど、それは寄生バチに侵されている証、ということを、「ある記」バックナンバー、3/28の「ヤママユの繭の中」で書き込んだ。

 さて、そろそろ繭の中のヤママユ蛹のなかでは、寄生バチのコンボウアメバチが蛹になっている頃と見当をつけ、本日、中を切り開いてみた(写真上)。

 するとどうだろう!?まずは目に飛び込んで来たのが、濃緑茶色の液状物質であった。その液状物質に埋もれるようにして、コンボウアメバチの頭部が見えている。
 最初は切開時に手元が狂って、ハチを傷つけてしまったか!と驚いたが、いくらなんでも体液がこんなに一気に浸出するはずもない。
 で、ピンセットでそっと除去してみたら、これがすんなり摘め出せたのである。
 つまり液状物質はゼラチン質の膜で覆われており、ピンセットで摘む程度では破れないのであった(写真中)。
 
 そして、液状物質に埋もれていたコンボウアメバチの蛹は、すでに眼の部分が色付き始めていた(写真下)。

 コンボウアメバチ蛹の繭中を大きく占めていた液状物質は、おそらくアメバチ幼虫が成長するに伴い生じた排泄物であろうと思う。
 このように排泄物がゼラチン質の膜袋で覆われていることで、蛹が汚物で溺れてしまう危険を避けているのでは、と考えられる。
 
 そう言えば、野鳥のヒナは巣の中で、やはりゼラチン質膜に覆われた糞をする。親鳥は自分に尻を差し向けて排泄された糞をそっと嘴でくわえとり、巣の外に捨てにいくのである。鳥の糞は未消化物が多く、腐敗しやすいので、狭い巣のなかに捨て置くわけにはいかないそうだ。
 
(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

「てんとう虫」はナナホシテントウ 2006/04/21
 和名のテントウムシは、ナミテントウとも呼ばれる。
それは「てんとう虫」と言えば「ナナホシテントウ」のことと広く認識されているからだ。ナナホシとテントウムシを混同しないがために、ナミテントウと呼ぶ必要があった。
 テントウムシ類でもっとも人気があるのはナナホシテントウだ。
 
 ナナホシテントウはじっくり観察してみると、けっこう表情豊かな昆虫だということがわかる。昆虫にはあまり表情がないと言われるが、ナナホシの動きや仕草には愛嬌すら感じる。
 またナナホシの頭部は体に比して小さく、そして細かく動かすことができるので、余計に表情を豊かにしている。

 (EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝
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