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ナナホシテントウの食事メニュー 2006/04/20
 明るい草地ではナナホシテントウが盛んに活動している。

 交尾カップルも多いが、すでに卵塊もあちこちで見つかる。
 ナナホシテントウの餌は主にアブラムシだが、よく見ているとアブラムシ以外のものもよく食べている。

 (写真上)/種名がわからない何かの幼虫を食べている。この幼虫はカラスノエンドウにつくが、クロヤマアリに持ち去られて行くのもよく見かける。

 (写真中)/カラスノエンドウの花外蜜線をしきりに舐めている。

 (写真下)/同種の産んだ卵を食べるメス。このメスはお腹が大きかった。

 ナナホシテントウはこの他にも様々な花の花粉や、熟れた落ち柿などを副食として食べている。

(Canon EOS-5D マクロ100ミリ/マクロ65ミリ)新開 孝

コウチスズメの眼玉模様 2006/04/19(その2)
 ウチスズメは刺激を受けると、うしろ翅の眼玉模様を誇示することはよく知られており、拙著「虫たちのふしぎ」(福音館書店)でもその様子を掲載している。

 ところで、本日、飼育して保管していたコウチスズメの蛹が羽化していた(写真上)。コウチスズメはウチスズメによく似ているので、うしろ翅の眼玉模様が簡単に撮影できると思っていた。ところが、これがまったくうまくいかない。

 コウチスズメが落ち着いて静止しているときは、前翅と後ろ翅を重ねている。そこで刺激を与えると、ウチスズメのように翅を拡げるかと思いきや、そうではないのであった。
 コウチスズメは刺激を受けると激しく翅をはばたき、しばらくするとピタリと最初の状態に戻ってしまうのである。これは何度やっても同じで、ついには飛翔移動してしまう。

 で、肝心の眼玉模様はプルプルとはばたいている間に、チラチラと瞬間的に見えるのであった(写真下)。

(E-500 マクロ50ミリ)新開 孝

羽化しないツマキチョウの蛹 2006/04/19(その1)
 先日、ツマキチョウの羽化撮影について書き込んだが、そのころは羽化のピークとも言える状況で、数日間にわたって羽化が続いた。

 ところが、いまだに羽化しない蛹が4つ残ってしまった。

 蛹を強い光にかざしていくら眺めても、蛹の体内で成虫の体つくりが進行している様子は微塵もないのである。もしかしたら寄生を受けているのだろうか?
 しかし、そうであればとっくに寄生バチなり寄生バエが登場してもおかしくないはずだ。

 この4つの蛹は、今年の春の羽化を見合わせて、来年に羽化する可能性も考えられる。ツマキチョウにはそのような2越年する蛹もあるのである。
 だが、どういった条件でそうなってしまうのか、まったくよくわからない。少なくとも去年の飼育条件はみな一緒であったはずだ。

 チョウの世界では、同じ個体群のなかでも蛹が休眠を決め込んで、羽化時期をずらすという現象は他でもよく知られている。
 
(E-500 マクロ50ミリ)新開 孝

タンポポと春の蝶 2006/04/18
日本在来種のタンポポが群生している場所に行ってみた。
 これまでカントウタンポポと呼ばれていたものも、今では整理されて「タンポポ」と統合されているとも言われる。

 さて、ここのタンポポは背丈が低く、吸蜜に訪れるチョウや昆虫を撮影する上では、OLYMPUS E-330と魚眼レンズの組み合わせでライブビュー機能がおおいに役立った。現場でレンズの選択をしながら撮影するときは、その切り替えのタイミングが実に微妙で、この選択を誤ると写真は中途半端なものになってしまう。
 E-500には50-200の望遠ズーム、E-330には魚眼8ミリ、E-300には14-54ズームレンズをそれぞれ装着して撮影に臨んだが、チョウの動きしだいでどの組み合わせがベストかは、刻々と変化する流れでこまめに選択するしかない。

 今日、一番多く飛来したのはスプリングエフェメラルのツマキチョウ(写真上)で、次にキタテハ(写真中)、そしてミヤマセセリ(写真下)であった。

 一度だけコツバメの飛翔する姿を見たが、撮影はできず残念!あとはモンシロチョウとスジグロシロチョウがそれぞれ一度だけ姿を現したが、とにかくチョウが少なくなったなあ!と感じる。清瀬市近辺で思いっきり撮影しようにも、昆虫はあまりにも減ってしまったのだ。

(写真上/E-500 ズイコーズーム50-200ミリ)
(写真中/同上)
(写真下/E-330 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

春のゴマダラチョウ幼虫 2006/04/17(その2)
 ゴマダラチョウの越冬幼虫は、毎年サクラの開花とおよそ時期を合わせるかのように脱皮し始める。
  脱皮したての幼虫の体は鮮やかな色彩をしていてとても綺麗だが、また一方ではエノキの若葉にうまく溶け込む擬態色ともなっている。

 マンション裏の幼虫もここ数日、撮影したり眺めてきたが、今日は午前中を
中心によく晴れた。そこで青空も取り入れての撮影をしてみた(写真上)。
 
 この幼虫を横から見た様子が、写真下である。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 マンション裏というすぐ近場でもあり、相手は逃げもしないので、今日は同じゴマダラチョウ幼虫をNikonD200とOLYMPUSのデジカメE330,500で比較撮影してみた。
 CanonのEOS5Dも使ってみたかったのだが、今は室内セットで撮影待機中のため、カメラを動かしたくなかったのでCanonはキャンセルとなった。まあ、総合実力では5Dの画質がダントツに良いのではないか、と思えるのだが、、、。
 
 およそNikonカメラの描写特性も掴めてきたころで、その結果は予想通りであった。今回、一番注目したのは空の色だが、忠実な再現をしたのはNikonで、OLYMPUSはやや強調した青となる。ここは好みの問題でもあろう。また同じ絞りでは当然ながらOLYMPUSフォーサーズの方が深度がより深く、特に魚眼接写で遠景までフォーカスが欲しいときにはOLYMPUSに軍配が上がる。もっともアスペクト比で横長いNikonの画角は若干ワイド感が強く感じられる。
 カメラ操作感の上で心地良いのはNikonである。Nikonはさすがにメカとしての完成度の高さを感じる。また内蔵ストロボの露出制御でもNikonはまったくオートで安心して使えるが、OLYMPUSの場合、オートではマイナス2の露出補正でもオーバー気味で制御が効かない場面があった。かと言ってマニュアル発光に切り替えての調整にも制約の狭さがあり、OLYMPUSのオートストロボ制御については、もう少し改善して欲しいと願う。
 こういったメーカー間での性能比較については、カメラ雑誌などでよく特集記事になっていることでもあり、特に私が付け加える事は無い。
 ただ、比較撮影してみた結果、今後の仕事をする上でメーカーを違えての撮影が製版結果に大きく影響するかどうかは疑わしいとの感触も改めて得た。
 つまり写真データを印刷所に入稿する上で、事前に色調を揃える作業も可能な範囲ではないかと思える。
 デジタルデータの印刷製版については、もっと複雑な事情もあるが、その辺はまたじっくり書き込みたい。


 新開 孝

ミツバツチグリ 2006/04/17(その1)
 確かめたいことがあって、近所の雑木林に赴いてみた。
 去年の春の観察で、ある昆虫の羽化について実に興味深い事実を掴んだ。その事実をきちんと見極めておこうと思ったのだが、少し時期が早過ぎたようだ。
そして、その羽化の瞬間はぜひとも撮影しようと思っている。今はその準備中。

 ちょっと当てが外れた気分を取り直すつもりで、すっかり芽生えた雑木林をゆっくり一巡してみれば、ほんとうに気分が良い。早春のこの華やいだ風景は心落ち着く。
 巡り歩いているうちに、林床の一部がぽっかりと黄色く染まっているのが目に入った。
 カメラ目線を小さな小人に据え替えてみると、まるで林床一面が花畑になった。

(写真上/E-300 ズイコーデジタル14-58ズーム)
(写真下/E-330 魚眼8ミリ)
新開 孝

羽化不全のツマキチョウ 2006/04/16(その2)
 マンション裏の草地でじっと静止しているツマキチョウのオスがいる。見つけたのは昨日の午後4時頃だ。

 このオスは右のうしろ翅が伸び切らずにそのまま固まっている。飛翔はできると思うが、かなりぎこちない飛び方となるだろう。
 そしてこのオスが今後、番相手のメスをうまく探し当てることができるのか、いささか不安に思える。

(E-330 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

ゴマダラチョウ眠起幼虫 2006/04/16
 いつも歩く小道のエノキに、ゴマダラチョウの眠起幼虫がデーンと構えていた。今年の春はここのエノキにはゴマダラチョウ幼虫が登っていないと確認済みであったので、少し驚いた。
 そこで慌てて枝又を見ていくと、ちょうど道から死角になったところに脱皮殻がついていた。これまでずっと幼虫のすがたを見落としていたのだ。
 
 (E-330 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ソラマメの花外蜜腺とクロヤマアリ 2006/04/15
 モンシロチョウがときおり訪れる畑のソラマメ(写真上)を見ていたら、クロヤマアリの姿が多い事に気付いた。

 クロヤマアリのワーカーがソラマメに登ってきている理由のひとつは、ソラマメの花の脇にある花外蜜腺がお目当てである(写真中、下)。

 クロヤマアリは花外蜜腺に頭をつっこむようにして、盛んに蜜を嘗めとっているようだ。
 
(OLYMPUS E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

中里の春 2006/04/14(その2)
 清瀬市、中里にある雑木林は、うちのマンションから歩いて1分とかからないフィールドのひとつだが、ここは通称「化け山」とも呼ばれているようだ。

 さすがにカタクリの花もすっかり終わり、雑木林の芽吹きもますます盛んとなった。そしてヤマザクラの花びらが林床一面に降り積もっている。
 このところ悪天候続きだが、午前中だけは晴れ間もあって、この中里の雑木林で撮影の仕事をした。

 撮影は順調に終わり、帰り際に林をゆっくり歩いてみるとイヌシデはすっかり若葉を広げ(写真上)、空堀川沿いのヤマブキも次々と開花していた。

(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)
新開 孝

ウスバカゲロウ類の徘徊性幼虫 2006/04/14(その1)
 セイヨウタンポポでツマキチョウのオスが吸蜜していた。花から離れてもまたすぐ戻ってくるので、よほどお腹が減っていたのだろうか。

 そこでタンポポに近づいて魚眼レンズで撮影してみようと思った。私が近づく前にツマキチョウは飛び去ってしまったが、とにかく待ってみることにした。
 しばらくしゃがみ込んで花を眺めていると、すぐそばの地面をトコトコ歩くものがいる。

 なんと、ウスバカゲロウ類の幼虫であった。

 種名まではわからないが、おそらくはマダラウスバカゲロウかもしれない。幼虫の姿格好はまさにあの「アリジゴク」タイプであるが、この種類は砂地にすり鉢状の落とし罠をつくらない。
 そしてアリジゴクが後ずさりにしか歩けないのとは違って、この徘徊性幼虫は前向きに歩く事が出来るのが特徴である。
 体がよくわかるように、白地の上で撮影してみた。

 体つきは丸々と肥えており、これはしばらくすると繭をつくるかもしれない。
 羽化まで飼育して、種名を確かめてみようと思う。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナミテントウ、卵を食べる 2006/04/13
 イヌシデの枯れ枝で、ナミテントウが同種の卵を食べていた。

 イヌシデやケヤキ、エノキほか、雑木林や公園などに多い樹種には、この季節から多種類のアブラムシがつく。そのアブラムシを餌にして繁殖するのがナミテントウだ。一方、ナナホシテントウはカラスノエンドウ、ナズナ、アブラナなど草本植物につくアブラムシを主に餌にしている。
 だからナナホシテントウは明るい草地環境に棲み、ナミテントウは林に棲んでいると言える。ただ、ナミテントウはノイバラや草本植物のアブラムシも食べるので、ナナホシと混生していることも珍しくはない。厳密な棲み分けの境界線があるわけではないが、しかし、ナナホシテントウは林の中ではほとんど見かけない。

 ナミテントウの場合、こうして同種が産みつけた卵を横取りして食べてしまう光景に遭遇する機会は多い。もっと極端には、産卵している最中にその後ろから、産み落とされる卵を食べられたりする。まだアブラムシの数が少ないためなのか、あるいは別の理由があるのか、よくわからない。

 それで足下のギシギシを見れば、コガタルリハムシの卵が多数ついている。
しかもギシギシの上を歩く成虫も数多いのだが、どうやら草食昆虫のハムシでは同種の卵を食べてしまうようなことは無いのかもしれない。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

モンシロチョウの雨宿り 2006/04/12
 本日は群馬県、前橋に赴いた。
 ようやく標本撮影の仕事を終了することができ、機材も撤収した。

 前橋は今もサクラは見頃で、日射しさえあれば歩いてみたかった。残念ながらどんより曇り空。昼過ぎには前橋を後にして関越道に入った。

 うちに戻ってからマンション裏の草地でモンシロチョウを見つけた。
 今朝からの雨はたいしたことなかったが、このモンシロチョウはセイヨウカラシナで雨宿りしていたようだ。

(OLYMPUS E-330  8ミリ魚眼)

新開 孝

雨の雑木林 2006/04/11
 清瀬市中里の雑木林は空堀川沿いに細長く続く。林の主な樹種はコナラやクヌギ、イヌシデなどで、シラカシなど常緑樹は数少ない。

 ようやく芽吹きも盛んになってきたが、昨日あたりからしばらくは雨続きになるようだ。マンションから出て歩いてみると、遠景は白く霞んでしまっている。
雨脚はこれからさらに強まるとのことだ。

(D200 AF-Sニッコール18ー200ミリ)


 『深夜のビデオ撮影』

 さて、前にも書いたように「キマエアオシャク幼虫」の脱皮を昨日、ビデオ撮影した(写真下)。
 脱皮が始まったのは深夜11時過ぎ。
 幸いにもうまく撮影できた幼虫は2匹目の方で、もう後が無いという状況だった。1匹目はわずかに脱皮開始に間に合わず、撮り逃して失敗している。もっともこの1匹目は脱皮途中でガクンと体を前に倒してしまったので、撮影できても使いものにならなかっただろう。
 わずか2匹の幼虫で脱皮シーンをものにするというのは、いかにも無謀であったが、こういうケースは今までにも無かったわけではなく、むしろ私の場合は多いほうかもしれない。
 モンシロチョウやカブトムシなどのように、いくらでも個体数を揃えることができる昆虫ならば、飼育の手間暇の分、撮影そのものは楽になる。その上、少しでもいいカットやシーンを追求するなど欲も出せるというものだ。
 室内セットでの変態シーン撮影は、数で勝負とも言えるが、それができないときには、気合いの入った集中力を必要とするが、最後には運しだいとなる。
 
 それにしても今回のビデオ撮影は後が無いということもあって、この二日間、睡眠時間が3時間程度となった。ふだんは7〜8時間くらいの睡眠時間をとっている私にとっては、かなり堪えた。
 お昼を過ぎるころから少し頭が重くなってきたが、今夜は都内で編集者の方々と、昆虫写真家のFさんと一緒に飲むことになっている。
  
 美酒とおいしい中華料理で、元気を盛り返してみよう。
 
 新開 孝
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