menu前ページTOPページ次ページspace.gif

ふ化したウスタビガ幼虫 2006/04/10
 昨日、ウスタビガの卵がふ化した。

 ヤママユの卵も同時にふ化し始めたが、じつは林から持ち帰ったあと、ウスタビガやヤママユたちの卵は冷蔵庫で保管しておいたものだ。
 採取後、一旦はベランダに吊るしてあったが、3月末には冷蔵庫に取り込んだ。これは林の芽吹きのタイミングにふ化を合わせるためである。ベランダなどで外気に晒しておいてもふ化のタイミングが早まってしまい、餌がない!ない!と言ってあわてふためくことになる。

 冷蔵庫での保管期間や温度によって違ってくるが、室内温度に戻してやれば10日から2週間程度でふ化が始まる。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

キマエアオシャク幼虫の脱皮シーン 2006/04/09
 真冬にはコナラの枝そっくりの体つきをしているのがキマエアオシャクの幼虫(写真上)。

 それが春になって、芽吹きとともにやがて脱皮すると、今度はコナラの若芽や葉っぱに姿が似てくる(写真中)。

 季節の移ろいが際立ついまごろの雑木林では、尺取り虫たちの衣替えも進行しているわけである。

 さて、キマエアオシャク幼虫のその脱皮シーンをビデオ撮影することが決まっていて、その撮影準備に入った。ところが本種の幼虫を多数、用意することはたいへん難しい。結局、入手できた2匹の幼虫で撮影することになった。これはかなりの冒険であるが仕方が無い。

 ところでこういった脱皮や羽化、ふ化など昆虫の変態シーンを撮影する場合、その兆候を正確に把握して待機する必要がある。できれば事前に数多くの観察を積み、個体差も含めた変態の様子を頭に叩き込んでおくのが理想的だ。
 そうでないといたずらに待機時間が長くなるばかりだし、しかも肝心なところで撮影チャンスを逃すというリスクも大きい。待つにしても自分なりの体力の限界があるから、無理はしない。
 だが今回のキマエアオシャク幼虫の脱皮などは、事前の観察どころか本番撮影に至っても数を揃えるのは困難であるから、とにかく自分のこれまでの観察や撮影経験をフルに活かして、慎重に臨むしか他に手が無い。
 
 で、変態の兆候を時々刻々、こまめに観察するのであるが、その場合によく使う道具が(写真下)のマクロレンズとレンズスコープコンバーター(Nikon)の組み合わせである。この組み合わせでは、少し離れた場所から拡大観察ができるので重宝する。
 このレンズスコープコンバーター(Nikon)というのは、望遠レンズに取り付けて望遠鏡として使うのが本来の使い方であり、私も購入した時点では野鳥観察に使うつもりだった。望遠ズームレンズに取り付ければ、ズーム望遠鏡として威力を発揮しただろうが結局、望遠ルーペとして使っている。

(写真上、中/EOS-5D マクロ65ミリ)
(写真下/D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

アオクチブトカメムシ幼虫の今日 2006/04/08
 昨日の朝ふ化したアオクチブトカメムシの幼虫たちは、コナラの若葉に落ち着いた。カメムシのなかまは、このように互いに身を寄せ合い集団で生活するものが多い。
 
 成長して令を重ねていくにつれ、この集合性はやがて薄れて、分散していく。


 (EOS-5D マクロ100ミリ)新開 孝

アオクチブトカメムシのふ化 2006/04/07
 今朝はアオクチブトカメムシの卵塊がふ化を始めた。
 時刻は午前8時過ぎ頃。

 びっしり並んだ卵は数匹づつが一斉にふ化していくが、卵全部のふ化タイミングは各グループごとにずれている。これは撮影する側としては助かるのだが、卵塊全体が一斉ふ化する方が、よりドラマチックなシーンとなるだろう。

 卵上部が潜水艦のハッチのように開いてふ化するが、その際幼虫頭部に見える黒い部分が、Egg-bustar「卵殻破砕器」だ。
 この破砕器でハッチに強い圧力をかけ、ふたを内側から押し開けるようだ。幼虫の体は風船のようにふくらんだり、しぼんだりを繰り返しながら徐々に卵の外へと体を抜いていく。
 ふ化幼虫はまさに「赤ちゃん」である。ふ化した後は兄弟どうしで寄り集まり、じっと休んでいるが、そのうち体色が浮き出てくる。

 アオクチブトカメムシは蛾やチョウ、ハバチなどの芋虫を吸血する肉食カメムシだが、このふ化幼虫から脱皮した2令幼虫まではコナラなどの汁を餌として吸う。

 アオクチブトカメムシの卵はコナラについていたものを、所沢市の雑木林で見つけて持ち帰っていたものだ。卵塊は二つあったが、二つ目も少し遅れて今朝中にふ化を始めた。

(EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝

脱皮したゴマダラチョウ幼虫 2006/04/06(その2)
 下の子供の小学校入学式を終えてうちに戻る途中、小さなエノキで脱皮したばかりのゴマダラチョウ幼虫を見つけた。

 とくに角の生えた赤い頭部は、よく目立つ。
 暖かい日射しを浴びながら、ほころびかけたエノキの若芽を齧っていたようだ。
 今は頭でっかちの体型だが、これからエノキの葉を日々飽食して、でっぷりとした肥満体型になるのもそう先のことではないだろう。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナガメ 2006/04/06(その1)
 マンション裏の草地ではナガメの姿が多く見られた。

 セイヨウカラシナはまだ蕾みの段階だが、葉っぱは元気に立ち上がっている。
 ナガメの多くはのんびり日光浴していたが、草のかげでは交尾しているカップルもいた。

 ナガメの赤い体色は同じ草地で徘徊しているナナホシテントウと並んでよく際立つ。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

クサギカメムシ 2006/04/05
 砂塵が吹き荒れた一昨日などは一歩も外へ出る気さえしなかったが、今日の雨はちょうどいいお湿りであったと思う。

 マンションの外灯に飛来したと思われる、クサギカメムシのメスを拾ったので撮影してみた。本種は山地や北の地方では、冬には屋内に多数が侵入して、もっとも嫌われるカメムシでもある。クサギカメムシの地味過ぎる色彩はさらに嫌われる要因にもなっているだろう。
 しかしながら顔のアップから窺える体表面の仔細は、まるで半田ごての先端を木板に押し当てたような窪みが密集している。地味ではあってもこのクサギカメムシの体表面のディテールは、生物の形の不思議さを感じさせるに充分であろう。

(EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝

モズの巣立ちビナ 2006/04/04(その3)
 明るいクヌギ林がある。そこは毎年、落ち葉かきが行なわれ手入れが行き届いているから、今頃の林床にはいろいろと春植物がにぎやかに姿を現す。
 すぐ脇は車道で、車の通行も少なくはなく、林の周囲には人家も多いが、それでも林内には日本在来種のカントウタンポポが残っている。

 さて、このクヌギ林の縁でシロヘリカメムシやミノウスバ幼虫などを撮影していると、モズのにぎやかな「ねだり鳴き」が聞こえてきた。

 この「ねだり鳴き」最初は、メスが番相手のオスへ発しているものと思っていたが、「ねだり鳴き」が2カ所からにぎやかに聞こえてくる。それでオスから餌を受け取っているモズが、じつは巣立ったばかりのヒナであることがわかった。
 飛び方も頼り無く、尾羽も短い巣立ちビナの姿を写真に撮ってみたが、いかんせん焦点距離が100ミリ弱(35ミリ換算)のレンズではどうしようもない。一応、証拠写真程度にはなると思う。

 清瀬近辺でのモズの巣立ちは4月下旬ころという過去の観察例からすれば、ずいぶんと早い巣立ちに思えた。



 『ホームページの改良工事と今後』

 「新開孝の昆虫写真工房」もグランドオープンしてからはや4年目に入った。
オープン当初には様々な方から、文字の大きさや項目などについてのご意見をいただいた。
 当ホームページをご覧いただいている年齢層の巾も広く、そう言う意味ではいろいろ頂戴したご意見をすべて反映して活かしていくというのも、かなり難しいと思われ、若干の修正を経て結局は当初に設計した姿のままで今日に至っている。

 3年間、ほぼ毎日更新という「昆虫ある記」を綴ってきて、当ホームページのあり方というものもだいたい固まったように思う。と言うか、ホームページ上で私のやりたい事というものが、「昆虫ある記」で語ることであったようだ。

 そこでまず、わずか一回こっきりで終わってしまったが、「日本列島探虫記」のページは削除することにした。ここでは3回目までのテーマを組んでいたのだが、それを読み切りの形で掲載するにはかなり荷が重くなってしまった。
 いわゆるダイジェスト版をすばやく組めばいい話なのだが、その作業が私の性格的にも無理があったようだ。

 それでともかくホームページ全体をさらにスリム化し、「昆虫ある記」をもう少し読み易くし、例えば検索機能も取り入れたブログ形式を導入するつもりでいる。
 
 すでに何度も書き込んできたように、来年には私は宮崎に移転する。
 そうなると、「昆虫ある記」の舞台もまったくの新天地で綴る事となるが、少なくとも綴る本人の中身はそう変わりようがないから、やはり、「ああ、新開らしいなあ、、、」という展開であろうとは思っている。新開 孝

シロヘリカメムシ 2006/04/04(その2)
 シロヘリカメムシはササ類に寄生する。

 雑木林の縁でブーン!と翅音が聞こえたかと思えば、目の前のアズマネザサにぴたりとしがみついたのが本種であった。

 カメムシは成虫越冬するものが多く、本種も落ち葉の下などで冬ごししていたのだろう。さすがに今日の暖かさにつられて本格的な活動を始めたようだ。

 もともと南方種であったカメムシが近年になって分布が北上拡大し、話題になっているものがいくつかいる。そのなかでも「シロヘリクチブトカメムシ」はややこのシロヘリカメムシに姿が似ているが、「シロヘリクチブトカメムシ」は芋虫類を吸血する肉食カメムシであり、生息環境も明るい草地である。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ミノウスバ若令幼虫 2006/04/04(その1)
 マユミの若葉のうらで群れている芋虫を見つけた。

 よく見るとミノウスバの若い幼虫群であり、マユミの葉の裏側から葉肉のみを食べている。本種は卵で越冬し早春にふ化したものだ。

 このあと5月下旬には繭を紡ぎ、羽化して成虫の姿を現すのは、10月の秋に入ってから。

 本種は庭先のマサキなどにも大発生するから人に嫌われる蛾の代表選手でもある。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

キマエアオシャク幼虫 2006/04/03
 体長1センチ足らずのシャクトリムシで、冬のコナラやクヌギの梢で
見つかるのがキマエアオシャクの幼虫である。そしてその姿はほとんど枯れ枝そのものだ(写真上)。

 本種は珍しいというわけでもないが、いざ探すとなるとその姿に行き当たる確率はかなり低いと言えるだろう。

 2月のなかごろ本種の幼虫を一匹、雑木林から持ち帰り飼育してきた。キマエアオシャク幼虫は春の芽吹きに合わせるかのように、脱皮すると体色が緑色へと変化する。実は今、この幼虫を飼育している理由は、その体色変化の様子をビデオで撮影したかったのである。 今回の撮影は納品期日が迫っているので、自然まかせでは間に合わない。そこで採取した日から室内で加温しつつ飼育し、できるかぎり脱皮を早めようと試みてきた。

 しかし、一ヶ月経た今、その思惑は失敗に終わったことが判明した。
 いくら加温してもキマエアオシャク幼虫はほとんど冬の状況と変わらぬ生活を送り、ようやくここ数日でコナラの芽吹きを飽食し、肥満体へとなったが(写真下)、いまだに緑色のステージへと脱皮する気配が見受けられない。
 どうやらこの幼虫には温度以外の条件も必要であったようだ。

(EOS- 5D マクロ65ミリ)

新開 孝

ツマキチョウ 2006/04/02
 今日もツマキチョウの羽化シーンをビデオ撮影した。

 一昨日は機材のトラブルでNGとなったので、今回はカメラもテープも取り替えての撮影となった。セッティング後から羽化開始までの待機時間は約20分。どうやらツマキチョウの羽化タイミングも把握できつつあるようだ。しかし、だからと言って侮ることはできない。羽化のタイミングにも個体差がいろいろあるからだ。

 (Nikon D200  マイクロニッコール105ミリ )
 
新開 孝

雑木林を歩いて気分転換とは 2006/04/01
 昨日は、ツマキチョウの羽化シーンをビデオ撮影した。
 事前に羽化兆候を正確に捉えることができ、セッティングしてからの待機時間はわずか20分程度で済んだ。

 ところがテープを巻き戻してモニターでチェックしてみると、画像に異常が認められ、まったく使い物にならないことがわかった。しかも困るのは、その原因がよく判らない点にある。カメラ側のトラブルか、それともテープの問題なのか。

 いずれにせよもう一台あるビデオカメラに替えて、当然テープも新しいものに取り替えることにした。明日にも羽化予定の蛹が待っているので、トラブルの原因究明は後回しにするしかないからだ。

 このように機材の動作不良によって、せっかく時間掛け苦労して撮影したこと全てが台無しになることもある。ただ今回の事例はともかく、過去にあったトラブルについてはほとんどの場合は原因がすぐに判明している。
 しかし、機材不良が判明してその改善ができたにしても、季節は駆け足で進行していく。ようやく機材が立ち直った頃、すでにそのときには撮影対象の昆虫が時期を終えてしまった!などと辛い結果になることもある。

 だからといって、仕事を次のシーズンまで据え置くわけにもいかない。では、どうするか!?
 
 そういう場合の対処法の一つとしては、標高の高い所、あるいは北の地方へと走るのである。つまり時間遡上をするというわけだ。もっとも、いつもその手でうまくいくとは限らないのであるが、、、。

 したがって、こうした機材のトラブルを想定して、昆虫撮影の仕事では、機能が同じレベルの機材を複数台、用意しておくことが鉄則である。そして瞬時に代替機材で仕事をやり遂げなければならない。
 カメラやメカが好き嫌いの問題以前に、仕事の保険として複数台、保持しておく必要がある。

 とかなんとか、ビデオカメラのトラブル原因を考えながらも、気持ちを切り替えるためにも「カタクリ祭り」の最中の雑木林を歩いてみた。
 この「カタクリ祭り」例年、訪れる人は多いが、しかし、これも妙な現象ではないか?そう私には思える。なぜカタクリだけなのか?四季折々の雑木林に見所はいくらでもあるはずだが、、、。

(写真上/清瀬市中里のカタクリ)
(写真下/同上、アオハダの芽吹き)

(OLYMPUS E-330 ズイコーデジタル14−54ミリ)
 
 新開 孝

オオミドリシジミふ化幼虫の今日 2006/03/31
 昨日、ふ化したオオミドリシジミの幼虫は、コナラの芽のなかに落ち着いている。

 ほころびかけたコナラの芽の表面を見ると、幼虫が潜り込んだときの小さな穴が開いている(写真上)。

 そこで芽鱗を慎重にはがしてみると、芽の中に潜んでいる幼虫と食べた痕や糞のかたまりを見ることができた(写真下)。

 ふ化直後の幼虫は頭でっかちで、体は長い体毛でおおわれていたが、今は飽食後のためでっぷりとした体型になっている。体色もうすい肌色へと変わっている。
 このあと最初の脱皮をおこない2令幼虫になれば、頭部が体の下に隠れた、いわゆる「ワラジ型」幼虫となる。

 (EOS キッスデジタルN マクロ65ミリ)新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール