menu前ページTOPページ次ページspace.gif

西都原古墳群とオオイシアブ 2006/05/05
 本日は宮崎滞在、最終日。
 快晴のなか西都市の西都原古墳群を訪れてみた。

 非常に広大な台地上には300基以上の古墳があり、日本では類のない古墳密集地帯である。なかでもニニギノミコトの墓と伝えられる長狭穂塚(おさほづか)やコノハナサクヤヒメの墓と伝えられる女狭穂塚(めさほづか)はそれぞれ、全長219メートル、174メートルもある巨大な前方後円墳である。

 宮崎県立「西都原考古博物館」(写真上)は最近できたばかりのようだが、かなり凝った展示施設で、見応えがあった。この建物の3階には展望ラウンジがあり、古墳群を見渡せる。

 ふとラウンジの手すりを見れば、オオイシアブもこの展望を眺めているかのようだった(写真中、下)。

 (E-330 ズイコーデジタル14-54ミリズーム)新開 孝

国富町、法華嶽公園 2006/05/03(その2)
 宮崎に家族で訪れて、移転先候補の物件巡りだけではさすがに子供たちも飽きてくる。

 そこで国富町にある法華嶽公園に立ち寄ってみた。
山の頂上は広大なアブラナの花園になっていたが、さすがに花はほとんど終わっていた(写真上)。

 上の子が、地面を這っているヒメツチハンミョウを見つけた(写真中)。これから産卵するのだろう。お腹はたいへん大きい。
 手のひらに乗せて、ツチハンミョウの分泌液カンタリジンの説明をしているうちに、去年の今ごろ神奈川県でマルクビツチハンミョウを撮影したことを思い出した。

 モンキアゲハはあちこちで見かけ、さすがに九州では密度が高いと思った(写真下)。


(E−330 ズイコーデジタル14−54ミリズーム)新開 孝

中古物件を見る 2006/05/03(その1)
2日の最終便で羽田から宮崎空港に到着。
本日は宮崎県南部の中古物件を家族4人で訪れた。

 2月下旬に私が単独で赴いたときと違って、緑は濃く物件の敷地では、アオスジアゲハ、モンキアゲハ、ナガサキアゲハ、クロヒカゲなどが飛び交い、庭の地面ではツマグロヒョウモン♀がさかんに産卵していた。
 よく見れば敷地内の地面には無数のスミレの小葉が生えている。草刈をしたばかりで、スミレには気付かなかったのだが、刈ったあとに新しく若葉が出てきたようだ。

 900坪あるという敷地のうち、半分はクヌギを中心とした雑木林である。林は南側の斜面林となっており、宅地から見ているだけでは、敷地の境界線がよくわからない。
 そこで家主のご主人に案内してもらって、敷地の周囲を歩いてみた。

 すると敷地に接して休耕田のレンゲ畑、湧水池、湿地草原などがあり、じつにのどかな風景に取り囲まれていることがわかった。ふと用水路を覗き込むとメダカの稚魚が群れて泳いでいる。

 物件の敷地の半分を占める斜面林は予想以上に広く、ここを整備するにはかなりの人力が必要のようだ。山林組合にその作業はお願いすることもできるという。

 小学校は2キロほどのところにあり、子供が歩いて片道40分程度の通学時間となる。そこの町立小学校の全児童数はなんと60数名というから驚く。一部の学年は複式学級のようだ。

 午前中にこの物件を見終えてから、今度は宮崎市北西部
に位置する国富町の物件も見に行ってみた。こちらは先の物件とはかなり性格が異なるので、単純には比較できないが、子供達に感想を聞くと、先の宮崎南部の物件が気に入ったようだ。

 
 新開 孝

鳥の糞なのか? 2006/05/01(その3)
 さすがに今日の夏日とあって、まさに爆発的に昆虫たちが動き出した。

 ジャコウアゲハ、クロアゲハ、ナミアゲハ、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ぼろぼろツマキチョウ、ぼろぼろキチョウ、ぼろぼろモンシロチョウ、、、、と、近所のチョウの姿を見ていくだけでも忙しい程である。

 で、中里の雑木林ではアカスジキンカメムシ幼虫がワサワサ、歩いておりあちこちで出会す数は多く、狭い範囲で数えても10匹を超えた。

 この白黒紋様のアカスジキンカメムシ終令幼虫(写真上)は、パンダ模様と言えば聞こえはいいが、擬態という観点で見れば、もしかしたら当人の希望は「鳥の糞姿」なのかもしれない。もちろん、それはまったく推測の範囲だが。

 で、こちらの(写真下)オカモトトゲエダシャク若令幼虫は、どう見てもやはり「鳥の糞」であって、その体のひねり具合からしても、まさに糞を真似ているかのようである。

 そして、このオカモトトゲエダシャク幼虫はいわゆる「尺取り虫」であって、歩いている姿には擬態効果など、まったく気に掛けていないことがよくわかるのである。

(D-200 DXニッコール10.5ミリ/マイクロニッコール105ミリ)


『新開 孝からのお知らせ』

 明日、羽田からの最終便で、宮崎に赴きます。

 今回は家族一緒です。そしてこの旅は、これまでとはまったく趣が違います。

 すでに私は2月に一度、宮崎を初めて歩いてみました。
 そのときの感想など、この「ある記」でも書き込みました。

 私の直感では、宮崎の土地、自然、人、ほか諸々、すんなりと受け止め、好感を  抱きました。すぐにでも住みたい、と思いました。

 しかし、私以外の家族は、写真や私の言葉以外の情報に接していません。
 ですから家族皆にも、直に見てもらうしかありません。
 今回はそういう旅です。生活の場を大きく変えるというのは、大人はそれなりの納得ができます。でも子供達にはそうはいかないかもしれません。

 ゴールデンウィークの過ごし方としては、ほんとうに異例であり、
 また、私にとっては非常にスリリングな数日になりそうです。

 
新開 孝

ナミテントウの春 2006/05/01(その2)
 テントウムシは「ナミテントウ」とも呼ばれる。

 テントムシという和名では、「テントウムシ科」全体を示す場合と混同し易いことや、あるいは世間一般にはテントウムシというと「ナナホシテントウ」、という認識が浸透しているからである。

 さて、ナミテントウの今は、交尾(写真上)や産卵行動があちこちで見られる。早いものではすでにふ化幼虫たちがアブラムシをもりもり食べて育っている。

 いかにも春たけなわ、という昆虫風景だ。
 そして今日は、とりわけ夏日となり気温は28度を超えて、30度!を記録したようだ。

 ふとヤマグワの梢を見れば、何かを抱えたナミテントウが葉うらに止まっていた。抱えていたのは「テントウハラボソコマユバチ」の繭だ(写真下)。

 ナミテントウの体内で寄生生活を送り成長したコマユバチ幼虫が、ナミテントウの腹側から外へと脱出し、繭を紡いだのである。
 おそらくは、自分の体に不調を感じ(人間に例えればの話)、じっとうずくまっているうちに、そのエイリアンは体外に飛び出したのであろう。

 しかし、なんという巧妙な寄生手段であろうか。ナミテントウは体の自由が効かなくなっても、その生命はまだ存続しているのである。撮影している最中にも、ナミテントウの脚や口器はもぞもぞと動くのであった。

 ナミテントウの命は、ゆっくりゆっくりと時間をかけて消えていくのである。
 もしも聞けるものなら、ナミテントウに教えてもらいたい。

 「どうなんだい?痛むのかね?」
 「、、、、、、、、、、、、、。」
 「まさか!?ウトウトと気持ちが良かったりするんではないだろうね?」
 「、、、、、、、、、、、、、。」
 「おい、どうなんだい!?」


(D-200 マイクロニッコール105ミリ)


 

 新開 孝

ニホントカゲ、♂のけんか 2006/05/01(その1)
 けんか、あるいは闘争?

 私の足下に転がり出て来た二匹のニホントカゲは、互いに口を大きく開け、相手の首筋あたりにかみついた。
 一匹は尻尾が長く切れているので、両者入り乱れてもどちらがどういう体勢になったかは、一目でわかる。

 一方がはげしく噛み付いたかと思えば、今度は噛まれる側と噛む側が入れ換わる。両者、必死のせいか私がカメラを構えてすり寄っても、まったく気に掛ける様子もない。

 うちに戻って小学館ネオ図鑑「両生類、は虫類、」の解説を読むと、以下のようなことらしい。

 「ニホントカゲは繁殖期にオスがはげしくたたかう。
  防御するオスは頭をななめにかたむけて、頭をおしつけるので、大きく口を開       けても、歯がすべって、かむことはできない。攻撃と防御を交代しながら、どちらが強いかを決める」

 つまり、ニホントカゲのはげしいけんかは、じつはかなり儀式化されているようだ。ただ、お互いこの優劣を競うことに夢中になりすぎると、天敵にねらわれやすいとも言えるだろう。
 
(D-200 DXニッコール10.5ミリ)新開 孝

ケバエの一種 2006/04/30
 マンション裏の草地では2週間ほど前から、真っ黒のケバエの一種が一斉に羽化して、その数はおびただしい。そしてあちこちの路上で踏みつぶされた死骸もよく目にする。

 あまりにも多く、そして草にしがみついて動きも鈍いことから、子供達が飼っているカナヘビの毎日の餌にもなっている。

 本種の幼虫は落ち葉を食べて育つようだが、冬の雑木林で落ち葉をめくるとウジャウジャ見つかる毛虫の類いであろう。
 ただし、普通種だからといって安易に図鑑で絵合わせできないし、またDiptera類の充実した図鑑もないので同定はやっかいだ。

 今日は交尾しているカップルのすぐ傍らで、ワカバグモの餌食となった不運なオスも見かけた。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)

新開 孝

ミツボシツチカメムシ 2006/04/29(その2)
 ヒメオドリコソウで見つかるのがミツボシツチカメムシ。

体長は5ミリ前後と小さいうえに、ヒメオドリコソウの実の部分に潜り込んでいるので、目に触れる機会は意外と少ない。しかし、本種はどこにでもいる普通種である。

 今日は葉っぱの上で姿を晒したオスがいたので撮影してみた。
 本種のメスはオスよりか少し大きく、体型も丸みを帯びている。
 メスは地面で産卵した卵塊を保護するという習性がある。しかも幼虫に餌を運んだりして世話もするらしい。
 ミツボシツチカメムシのメスが卵塊を守っている様子の写真は、平凡社の『日本動物大百科』8/昆虫1に掲載されている。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

ベッコウガガンボのメス 2006/04/29
 ベッコウガガンボは以前に幼虫の写真をアップしたことがある。
幼虫は朽ち木の中で育ち、ガガンボ類としては変わった生活と思える。

 ただし、Dipteraの幼虫には、例えばムシヒキアブ類のオオイシアブなどは、幼虫が朽ち木内で育つことがよく知られている。私も朽ち木から体を半分乗り出して羽化した後の蛹の殻をいくつも見た事があるし、冬に朽ち木崩しをしていると本種の幼虫が稀に見つかる。
 オオイシアブの羽化の様子は、リンクさせていただいている真さんの『虫撮り散策記』に見事な連続写真が出ているので参照されたい(散策記の4月24日)。

 話がそれてしまったが、ベッコウガガンボがちょうど良い場所に止まっていた。これだと体の特徴がよくわかる。
 またベッコウガガンボのメスの腹端には尖った産卵管があるが、ここを上向きにそらして静止するポーズは、何か意味ありげで気にかかる。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

ヒメヤママユの2令幼虫 2006/04/28
 ミズキの枝ぶりは水平に広がる。それは緩い弧を描く枝が規則正しく枝分かれしているからだ。
 そしてその水平に広がる若葉の梢の下をくぐれば、緑色のフィルター天井に色酔いしてしまいそうだ。

 で、ミズキの若葉を見上げれば、次々とヒメヤママユの若い幼虫が見つかった。まだふ化したばかりの1令や、すでに2令となった幼虫など。写真は2令幼虫。
 若い幼虫は体色が黒いので、梢の下から見上げるだけで簡単に見つかる。

 ヒメヤママユは卵越冬だが、その食樹は多種多様で、ミズキやエゴノキ、ヤマザクラ、コナラ、クヌギ、ヤナギ、カエデなど。
 卵は木の幹に数個づつかためて産卵されていることが多いが、冬のあいだに鳥たちに一粒づつ丁寧に喰われてしまうものも少なくない。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

枯れ枝に化けた、シャクトリムシ 2006/04/27
 コブシの葉もかなり繁ってきた。そろそろアカスジキンカメムシの越冬幼虫が登ってきているだろうか、と思いながら梢を見上げてみた。

 すると一瞬、枯れ枝にしか見えなかったが、しかしやはり私の目は見逃さなかった。とはいえ、その次の瞬間には、シャクトリムシにそっくりの枯れ枝だろうと思ったのである。
 シャクトリムシにそっくりの枝も、写真としては欲しかったので、少し高めの梢を手で引き下げたのである。
 
 ところがそれは、間近で見れば本物のシャクトリムシであった。

 種名についてはハミスジエダシャクではないか、と思うが確かではない。
 

(D-200 DXニッコール10.5ミリ/マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ワカバグモの交接 2006/04/26(その2)
 コナラの梢で、ワカバグモのオスがメスに抱きつく格好でぶら下がっていた。
どちらもお尻から出した糸で自分の体を支えている。

 画面右の体が大きいほうがメス。メスは終始、脚を全部伸ばした格好のままであった。

(D-200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ヨコヅナサシガメ、羽化を迎える 2006/04/26(その1)
 ヨコヅナサシガメは、ここ清瀬市でも年々増加傾向にあるのではないかと感じる。

 そのヨコヅナサシガメはコールタールのような体色の5令幼虫で集団越冬する。このところすっかり若葉の季節に移行し始めた雑木林では、成虫への羽化が連日続いている。

 真っ黒な幼虫の背中の皮が割れて、鮮やかな赤色の成虫の姿が現れる瞬間はけっこう見応えがある。遠目からでもよく目立つ。しかし、この赤い姿も数時間後には黒色に変じ、まだ羽化しない幼虫組と合流すれば、やはり地味な姿に戻ってしまう。

 ヨコヅナサシガメは羽化して成虫になっても、しばらくは冬越ししていた場所に留まって、集合生活を送っている。これは集団内にまだ羽化しない幼虫たちが残っていることも関係しているのかもしれない。
 もうしばらくしてさらに暖かくなると、ヨコヅナサシガメ成虫はこれまでの集団定着型生活に終止符を打ち、各自がそれぞれ風に乗って大空へと旅立っていく。
 バルーニングとも呼ばれるように、彼らが軽々と空中浮遊していく様はなかなか心地よい光景でもある。ヨコヅナサシガメの体には、団扇のごとく張り出した薄い腹部が目立つが、それが翼の役目も担っているのではないだろうか。

(Nikon D-200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

オニグモとツマキチョウ 2006/04/25
 ベランダに網を張ったオニグモに気付いたのは、昨日の夕方ころであった。

 少し小柄なことから、このオニグモはまだ成体ではないようだが、しかし捕らえて吸血していた獲物はけっこう大きい。
 獲物の正体はすぐにはわからなかったが、よくよく見れば、なんと昨日の昼間にさかんに飛び交っていたツマキチョウのオスである。
 オニグモの糸でぐるぐる巻きにされてはいるが、翅裏の複雑な紋様と、翅先の橙色が見て取れる(写真上)。

 オニグモの巣網にかかったツマキチョウのオスは、私の部屋のベランダに彷徨い込んだ瞬間があったことを物語っている。それもそのはずで、今年もまたベランダのすぐ外側にはセイヨウカラシナが群生しており、ツマキチョウたちの蝶道が幾本もここを通っているからだ(写真中)。

 日没後、ふたたびオニグモの巣網を覗いてみれば、すでにツマキチョウは網から捨て去られた後だった(写真下)。

(EOS-5D EFマクロ100ミリ/シグマ20ミリ)新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール