| 体長1センチ足らずのシャクトリムシで、冬のコナラやクヌギの梢で 見つかるのがキマエアオシャクの幼虫である。そしてその姿はほとんど枯れ枝そのものだ(写真上)。
本種は珍しいというわけでもないが、いざ探すとなるとその姿に行き当たる確率はかなり低いと言えるだろう。
2月のなかごろ本種の幼虫を一匹、雑木林から持ち帰り飼育してきた。キマエアオシャク幼虫は春の芽吹きに合わせるかのように、脱皮すると体色が緑色へと変化する。実は今、この幼虫を飼育している理由は、その体色変化の様子をビデオで撮影したかったのである。 今回の撮影は納品期日が迫っているので、自然まかせでは間に合わない。そこで採取した日から室内で加温しつつ飼育し、できるかぎり脱皮を早めようと試みてきた。
しかし、一ヶ月経た今、その思惑は失敗に終わったことが判明した。 いくら加温してもキマエアオシャク幼虫はほとんど冬の状況と変わらぬ生活を送り、ようやくここ数日でコナラの芽吹きを飽食し、肥満体へとなったが(写真下)、いまだに緑色のステージへと脱皮する気配が見受けられない。 どうやらこの幼虫には温度以外の条件も必要であったようだ。
(EOS- 5D マクロ65ミリ)
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