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テングチョウの日光浴 2006/01/12(その2)
 裏高尾の薄暗い登山道を歩いていても、日が射している場所に出ればけっこう暖かい。期待していた雪はまったく無くて残念だったが、テングチョウが数匹姿を見せてくれた。
 日当たりの良い崖や斜面の落ち葉にふわりと舞い降りては、日光浴をしている。暖かいとは言っても気温は10度前後だから、テングチョウも日光浴している時間の方が長く、舞い上がってもすぐに地面へと降りて来た。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ )新開 孝

コブハサミムシ 2006/01/12(その1)
 晴天は今日までで明日からは天候が崩れると聞いて、少し遠いが裏高尾に行ってみた。

 登山道沿いの日陰で、石を起こしてみるとコブハサミムシが多数見つかった(写真上)。本種は成虫越冬だが、こうして集合していることも多い。集団をよく見るとオス(写真中)、メス(写真下)が入り混じっていた。一例だけ交尾中のカップルもいたが、撮影する前に交尾を解いてしまった。

(OLYMPUS E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

オニフスベ? 2006/01/11(その2)
 オニフスベだろうか。大きさは両握りこぶしを合わせた程度。アカマツの立ち枯れの幹で見つけた。

 白い表皮の下からは粉状のおそらくは胞子塊が露出している。しかしオニフスベは夏から秋にかけて発生するはずだから、今頃見つかるというのも解せない。
 それはともかく、オニフスベは球状のキノコで大きいものは直径40センチを超えることもある。もう20年以上も前のことだが、松山市の杉立というところで一抱えもありそうな超特大オニフスベを見た記憶がある。明るい林のへりの草地にごろんところがっており、あまりにも奇異な物体に思えて少し気味が悪かったものだ。

 ちなみにこの杉立というのは、松山市近郊でも有名な昆虫採集地であり地元の虫屋は必ずや訪れるフィールドの一つだ。私も特に高校生時代には頻繁に訪れ、オオムラサキのでっかい幼虫やイシガケチョウ、スミナガシのけったいな幼虫を初めて見た場所として、あるいはミヤマセセリ、コツバメなどの春の蝶の採集に燃えたりした、懐かしい場所でもある。新開 孝

ナミテントウ 2006/01/11(その1)
 少し暖かいせいだろう、近所の雑木林ではあちこちで歩いたり、日光浴したりと、姿を晒したナミテントウが多数見られた。
 ナミテントウは多数の集合越冬がよく紹介されるが、実際には単独や数匹単位で越冬している個体もかなりの数いる。こういうナミテントウたちは、あぶれ個体とでも呼べばいいのだろうか?それとも越冬スタイルにもいろいろあって、危険分散などの効果があるのだろうか。


 『改造高倍率ズームマクロレンズの使用感とは』

 昨日アップしたOLYMPUSのズームレンズ17.5-45ミリの改造高倍率マクロレンズを今日もテスト撮影してみた。
 昨日も書いたように、広角域ではワーキングディスタンスが短過ぎて、例えば樹の幹などに止まっている昆虫などを浅い角度から捉える場合などは、レンズ先端が樹表面に当たってしまいフォーカス域まで寄れなかったり、あるいはストロボの光の回りが極端に悪くなって、ほとんど撮影不能と言える状況が多かった。
 最高倍率の望遠側では被写体との距離が若干とれるが、昨日の作例などはあまりにも撮影条件が良過ぎたようだ。やはりキャノンの65ミリマクロくらいのワーキングディスタンスが欲しいところだ。
 
 こうして実際に野外で使ってみると、せっかくのズームレンズがズーム全域で使えないのは不便であることが良くわかった。それでどうしても改造高倍率ズームマクロレンズとして使いこなすとしたら、レンズ鏡筒先端部を大幅にカットすれば、なんとかズーム全域でもうまく撮影できそうではある。まあ、ここまできたからにはそういう工作もしてみようかと思う。

 そもそもこの改造高倍率ズームマクロレンズを作ってみた理由は、虫の目レンズの拡大系レンズとして使うつもりだったので、一般撮影に向いていなくても私としてはそれほど問題にはならない。以前、組んでみたズイコーマクロレンズ20ミリを拡大系とした虫の目レンズは、あまり画質が良くなかったので、新たな拡大系レンズを探していたのである。虫の目レンズもなかなか落ち着かない。
 
新開 孝

改造高倍率マクロレンズとは 2006/01/10(その2)
  今日使ったレンズはOLYMPUSのデジタル17.5-45ミリズームである。これを『小諸日記』で海野和男さんが公表なさった「前玉はずし」という技を用いて、高倍率マクロレンズとしてみた。

 17.5-45ミリズームはE-500ボディと一緒にセット販売しているのもので、ほんとうは必要としていないレンズだったが、何かの応用部品に使えるだろうと思い、セットで購入していたものだ。だから分解する決断は躊躇なくできた。
 しかし前玉レンズをはずす際にレンズそのものを傷めてはしまわないか、少し不安があった。レンズの詳しい構造を理解していないのだから当然のことだ。
 色々いじくった挙げ句、ええいままよっ!とばかりグッと力を込めて前玉をひねると、バチン!と音がしてあっけなく前玉レンズがはずれた。
 さっそくこの「前玉抜きレンズ」を中間リングEX-25と合わせ、E-300に付けて撮影してみると、おお!!確かに高倍率マクロレンズである。ただし、このレンズの一番ワイド側だと、レンズ先端から被写体までのワーキングディスタンスが短過ぎて使えないので、ズーム域25ミリ付近から45ミリまでを使用することになる。
 これで倍率は35ミリ換算で3.2倍から4.3倍となる。
マクロ35ミリレンズでは1.4倍テレコンと組み合わせて2.8倍までの拡大接写ができるが、これより拡大率が稼げることになった。
  
 ストロボは内蔵ストロボと拡散板の組み合わせでだいたい光が回るが、ワーキングディスタンスは短めなので、拡散板も写真のごとく少し前傾にした方が、回り具合も良くなる。この拡散板方式は手軽でいいのだが、撮影条件によっては邪魔になることもあるので、そういう場合の対策も考えておきたい。

注意:前玉レンズをはずした後は、ドーナツ型の遮光板を前玉のあったところへはめ込んでおかないと、ズーム域によってはレンズ前方から光が直接もれて入り込んでしまい、凄いハレーションを生ずる。

新開 孝

コミミズク幼虫とウシカメムシ 2006/01/10(その1)
 コミミズク幼虫は冬の今頃、主にコナラの梢を見ていけばすぐにも見つかる。

 それでさっそく新しいマクロレンズのテスト撮影を試みた。ついでにウシカメムシも見つけた林に戻す前に、テスト撮影のモデルになってもらった。このウシカメムシは以前に撮影したあと、私の部屋で正月を過ごしていたのだ。

 今回のテスト撮影の結果、このレンズ描写はけっこうイケるのではないかと感じた。絞りは16以上に絞ったほうがいいようだ。何といってもレンズ重量が中間リングも含めてわずか300グラムしかなく、Canonマクロ65ミリの800グラムと比較しても半分以下の軽さはありがたい。レンズ価格もCanonの6分の1以下ではないかと思う。

(OLYMPUS E-300 17.5-45ミリ改造レンズ+中間リング 内蔵ストロボ使用)

新開 孝

松山のアオスジアゲハ越冬蛹 2006/01/08
 昨夜からの降雪により、松山は雪景色の朝を迎えた。

 写真上の畑のブロッコリーも雪に埋もれてしまった。ここでは先日、モンシロチョウの幼虫を多数見つけていたが、まあ、この程度では幼虫もヘコタレたりはしない。
 午前中の陽射しがあるうちに、少し風景撮影をしてみたが、Nikonのズームレンズ、AF-S18-200ミリG VRはほんとうに有り難いレンズだ。35ミリ換算300ミリ相当の望遠側でもかなり接写が効く上、光量の乏しい条件でも三脚無しで撮影できるのがいい。

 こうしてNikon D200を使っていると、OLYMPUSの次期フラッグシップカメラというものに、かなりの期待感が増してくる。
 そういう願いが強くあるのはフォーサーズシステムへの信頼度が高いわけだが、例えば防振機構をカメラ本体に内蔵していたり(フォーサーズレンズにはブレ防止の機構をもったレンズがラインナップされていないことから逆に推測される)、
早いデータ書き込み速度は当たり前で、画素数も1000万画素超であり、オートフォーカスの精度も向上し、おそらくはリアルタイム画像をファインダーに出せるとか、、、、、。

 そういうことを想い描きながら、実家近くの神社でアオスジアゲハの越冬蛹をいくつか見つけて撮影した。しかもその蛹のそばでは、多数のシンジュサン繭も見つかった。新開 孝

オオキンカメムシの雌雄 2006/01/07
 正月元旦にアップしたオオキンカメムシ越冬集団のなかには、メスが3匹混じっていたのが、おわかりになっただろうか?

 答えは本日の写真の雌雄を見ればわかる。左がオスで、右がメス。
頭の黒紋様と胸部の黒紋様がつながっていれば、オスであり、分断されていればメスということになる。

 今日も松山に滞在。一日中、くもりがちでときおり雪まで降って、とてもフィールド探索どころではなかった。
 午前中は愛媛県立砥部動物園に子供を連れて行き、午後には松山在住の昆虫写真家、T氏を訪ねた。T氏からはとても有益なお話を伺う事ができた。この冬中にその成果を発揮できればよいが。

 さて、本日アップした写真は1月2日ぶんとしてアップする予定だったが、昨日は用意した写真データに不備があり、アップ作業ができなかった。
 今こうして更新作業しているのは実家近くのネットカフェのパソコンゆえ、データに不備があるとまた出直さなければならない。しかもここのパソコンでは、USB端子を使ってのデータ入力が出来ず、いったんCD−Rにデータを焼きこんでから、入力しなければならない。つまり一発勝負なのである。
 モバイル接続の手段を東京に戻ったら検討してみたいが、これもそうそう簡単にはいかないようだ。

 明日は夜行寝台列車で帰京の途につく。

したがって明日の更新もお休みする可能性が高いと思います。
新開 孝

四国、松山は雪 2006/01/06
 1月2日から今日に至るまでネット接続ができないまま、この「ある記」の更新ができなかった。
 これにはいろいろ対策を講じることもできるのだろうが、今のところはそうした努力を一切していない。いずれは何とかせねば、とも思う。
 そこで本日は、1月2日まで遡ってアップしている。
 また、正月中に私宛にいただいたメールについては、まだ返信できていない方もいて、迷惑をお掛けしている。なにぶん、携帯メールでは事務的な短文の返信しかできないので、しっかりと返信したい方々への送信が遅れていることをお許しいただきたい。

 本日の午前中まで滞在していた明浜町周辺や、再び移動して戻ってきた松山地方では昨日から断続的に雪が降り、その降雪量は今夜あたりが峠となりそうだ。
 昆虫相や植物相を見ておれば、四国は南の地方だなあ、と納得できるのだが、冬の寒さは案外、東京あたりよりか寒く感じることもある。

写真は松山平野を背景にしたヤドリギ(撮影日1月3日)

新開 孝

ヒナカマキリの卵のう 2006/01/05
 明浜町、俵津(写真下)でのアゲハ類越冬蛹の探索は最初のナガサキアゲハの発見のみに留まった。そこで探索方針を今度はサツマヒメカマキリ幼虫に変更してみた。

 ヒメカマキリはどちらかと言えば西日本に多く、その分布北限を私はよく知らないが、少なくとも新潟の下越地方で越冬卵を見つけた経験がある。しかし本種を関東近辺ではまだ見たことが無く、遠く離れた愛媛県内にはけっこう多い。そしておそらくこのヒメカマキリの越冬ステージは、ほとんどの地域においては卵であるだろうと思う。

 ところが、南四国から九州以南に生息するヒメカマキリによく似たサツマヒメカマキリは、幼虫越冬であるようだ。実際に私が本種の幼虫を撮影したのは真冬の12月であり、その撮影場所は、ここ俵津であったのだ。
 しかし、この越冬幼虫の探索もかなり難易度の高いものであり、かなりの時間を費やしたがついに発見はできなかった。
 そのかわりに見つかったのは、ヒナカマキリの小さな卵のう(6ミリ位)だった(写真)。ヒナカマキリは翅の退化した可愛らしいカマキリで、常緑樹林の林床や梢などに生息する。このカマキリもどちらかと言えば南方系種であり、私が知っている近場の産地は、小田原市周辺などである。また新潟の中越の海岸林にも多く生息している
新開 孝

ナガサキアゲハ越冬蛹 2006/01/04(その2)
 昨晩から愛媛県西予市、明浜町俵津に滞在している。四国の高速道路も近頃はかなり伸びて、松山から南予の卯之町まで50分程で行ける。そして高速終点から峠越えして宇和海に面した俵津まで30分程度だ。
 明浜町周辺はミカンの名産地として、また真珠養殖の盛んなことでもよく知られている。

 さて、昨年の夏、この俵津ではアゲハのビデオ撮影の仕事をした。さすがにミカンの産地とあって、アゲハの数も半端ではない。アゲハ成虫の吸蜜や求愛、産卵行動を効率よく撮影するにはうってつけのフィールドと言える。
 アゲハ以外にもモンキアゲハ、クロアゲハも多く、それに続いてナガサキアゲハもよく見かけた。そこでこの正月帰省の折に、アゲハ類の越冬蛹を探してみることにした。
 
 特に期待していたのは、モンキアゲハとナガサキアゲハだ。2種とも越冬蛹を野外でこれまでに見つけた経験が無いからだ。しかし、いくら成虫が多いと言っても、越冬蛹というものはそもそもそう易々と見つかるものではない。まあそのぶん見つかったときの感激もひとしおではあるなあ、などと考えながら歩き始めて、5分とたたぬうちに写真のナガサキアゲハ越冬蛹を見つけてしまった。
 新開 孝

フサヤガの格好とは 2006/01/04
 明浜町、俵津は民家の隙間が狭い道になっており、まるで迷路のようだ。そして家並みの間にところどころミカン畑があり、神社の林ありで、冬越し昆虫を探すのも楽しい。
 ちょっとした屋根の庇など、雨のかかりにくい場所ではフサヤガの成虫がよく見つかった。彼らはこうした人工物を利用して冬越しするものが多いようだ。
 フサヤガは夏の雑木林などで、梢に休んでいるとまるで枯れ葉そっくりだが、こうして人工物に静止しているとよく目立って見つけやすい。

 フサヤガの格好はお尻を垂直に突き立てるように曲げており、この姿勢が何を意味するのか理解に苦しむ。だが、そのお尻の先端部分を後ろ側から見てみると、なにやら怪しげな顔面模様のようにも見えたり、あるいは体全体がまるでバットマンのようでもあったりして、なかなか想像力をかき立てられる。
新開 孝

モンシロチョウ 2006/01/02
 近年、関東近辺でもモンシロチョウ幼虫は真冬に見つかる。もちろん蛹越冬する個体の方が多いのかもしれないが、きちんと調べた報告を読んだわけでもないので、詳しくは知らない。
 
 さて四国、松山市の平野部では、正月ころにキャベツやブロッコリー、
ハクサイなどで多数のモンシロチョウ幼虫が見つかる。ほとんどが終令幼虫でありなかには蛹になったものもいる。畑の周辺の人工物を見て回れば、さらに数多くの蛹が見つかる。
 どうやらモンシロチョウたちは、1月のなかごろまで幼虫が残っているが、それも順次、蛹化していき、もっとも寒さの厳しくなる2月までにはほとんどが蛹となって春の到来を待つのではないか、そう感じている。

新開 孝

平成18年、謹賀新年 2006/01/01
あけましておめでとうございます。

 元旦の今日、清瀬市は生憎、曇り空です。
 今日の写真は、今年の11月21日に千葉県房総半島で撮影したものです。
オオキンカメムシという名前のごとく、国内産キンカメムシ科のなかでも最大種といえます。
 体の紋様、色彩も非常に目立つ本種が、毎冬こうして集団を形成し、冬越しします。房総半島広くにわたって生息していたオオキンカメムシたちが、南へ南へという大移動への衝動に駆られて旅立ち、ついには最南端の太平洋で行く手をさえぎられたわけです。
 晩秋ころからしだいに南下し、房総半島南端の地に集結したオオキンカメムシたちは、それぞれ小集団を作ってじっとしたまま冬を過ごします。
 しかし、こうした集団も冬の冷え込みが厳しくなるにつれ、かなりの数が地上に落ちて死んでいきます。写真の集団からも脱落者がすでに出ているかもしれません。

 それにしても、なぜ、このような集団を作って冬越しをするのでしょうか?
 いくつかその答えらしきものを考えつくことはできます。しかし、どのような説明を受けてもどこかしっくりとはしません。

 私は、このような昆虫世界のふしぎに大いに魅力を感じます。なぜ、そういう生活を送るのか?なぜ体はそのような色形なのか?大いに好奇心を突き動かされます。
 でも、そのふしぎに対する答えを必死に求めるのではなく、どのようにふしぎなのか、どんなふしぎがあるのか、その現実をしっかり見届けていきたいと思います。
 まさにこれは、日々、昆虫探検です!探検というと、なんとも古めかしい言葉です。しかし少なくとも昆虫のふしぎを嗅ぎ取り、収集し、記録する、そういう行為を何歳になっても、新鮮な気持ちで続けていきたい、と思っています。

 今年も「新開孝の昆虫写真工房」をよろしくお願いします!


PS:本日の写真のなかで、メスが3匹います。ほかは皆オスです。どこで見分けるのか、お判りでしょうか?次回にその答えをアップします。新開 孝
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