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ゴマダラチョウの樹上越冬組 2006/01/21(その1)
 松山の実家すぐそばにあるエノキでゴマダラチョウ越冬幼虫を見つけた。
 まず最初の一匹目は目線の高さにいたので、すぐにも発見できた(写真上/ハラビロカマキリの卵のうに寄り添っている)のだが、さらに2匹、3匹目と同じエノキの幹上で次々と越冬組が追加された。結局、高い場所の幼虫も含めて、総勢9匹の幼虫が樹上越冬していたのである。さすがにこれには驚いた。(白いものはカイガラムシの一種)
 さらに驚いたことには、エノキのそばに立つ石碑表面でも2匹の幼虫がいた(写真下)。

 9匹の幼虫が樹上越冬していたエノキの根元を見れば、ほとんど落ち葉がない。9匹のうち1匹は地面近くの幹表面に止まっていることからも、多くの幼虫たちが樹上越冬している理由を推測してみた。
 おそらく、この幼虫たちのほとんどは、最初は落ち葉の下に潜り込んでいたのではないか。それが強風などによって落ち葉の層が薄くなり、越冬場所としては安定を欠いたので、仕方なく樹上へ避難したのではないだろうか?

 石碑のひとつにはヨコヅナサシガメの越冬集団が二組ある。ヨコヅナサシガメは暖かい日には集団から離れて狩りに徘徊するので、石碑の上はもちろんのこと、樹上越冬するゴマダラ幼虫にとっては、脅威となるに違いない。

(E-500 8ミリ魚眼、35ミリマクロ使用) 
新開 孝

アカシジミの越冬卵 2006/01/19
 コナラの冬芽近くでアカシジミの卵を見つけた。場所は所沢市郊外の雑木林。

 母蝶が産卵時にゴミなどをくっつけて卵に偽装工作を施すが、長い冬の間には少しづつその隠蔽物がはがれ落ちるようだ。産卵直後だと本種の卵を見つけるのはかなり困難らしい。
 林に隣接してクリ園があり、5月末ころにはここのクリの花で本種やウラナミアカシジミの成虫が吸蜜する。

(EOS-5D 65ミリマクロ使用 写真下/撮影倍率4×をトリミング)


 『ふたたび四国へ/モバイル通信はどうするか』

 明日から四国、松山へ行くことになった。目的はいくつかあるが、詳しくは現地からレポートしたいと思う。

 いつも携行するノートブックパソコンが修理出し中で、今回は当「ある記」の更新も無理かと思っていたら、この原稿を打っている最中に宅配業者から10分以内に届ける、という電話が入った。ぎりぎりセーフだ!
 PowerBookG4の不調とはコンポジット出力の問題であったが、修理先で調べてもらった結果、何も異常なく信号出力できるという解答が戻ってきた。もしも今後、出力不調が起こるとすれば、基盤交換しか他に策がなく、その場合の修理費用は6万円を超えるということだ。これはかなり考えさせられる金額だ。
 というのもこのノートは、正月中にドライブの不調も発生し始めたからだ。万一ドライブも交換となれば、修理代で安い機種なら新品が買えてしまいそうだ。

 さて、モバイル通信については携帯電話を利用する方法を人から教わったのだが、これも少しやっかいというか、時間が掛かることが判明した。
 まず私の使っている携帯はTu-kaであるが、今後はもしやauに統合され今すぐではないにしても、このままノートパソコンとのTu-ka専用接続USBコードなどを購入しても、いずれ使えないという事態が予想されるという、業者からの説明であった。接続USBコードも7000円ほどするので、いずれ使えなくなると聞かされると躊躇してしまうのは当然のことだ。
 業者側はとりあえず、携帯をauに乗り換えしろ、というのである。また、その場合も2月以降にどっと新製品が出る予定であり、それ以降だと今使っているメールアドレスもそのまま引き継ぐことができる、という。急ぎたくても、色々と段階を経ないと、モバイル通信を実行できないでいるのが実情である。
 私が立ち寄ったTu-ka専用ショップも、まるでauショップさながらの模様替えをしており、この趨勢は凄まじいなあ、と思ったしだい。
 新開 孝

チャバネフユエダシャクのメス 2006/01/18(その3)
 冬尺蛾の中でもチャバネフユエダシャクのメスはエダシャク亜科に属する。
 体は白黒紋様をしていて、黒くて長いあしなど、かなり目立つ姿だ。このメスの体長は約1センチ。はねは全く退化しているので不思議な感じがする。
 冬尺蛾の仲間が多くの人の関心を惹く一番の理由は、メスが無翅であるか、あるいは退化して萎縮しているという、その奇妙な形態にあるのだろう。

 今日、見つけたチャバネフユエダシャクのメスは、イヌシデの幹にじっと静止したまま、ピクリとも動かない。高さは地面から150センチくらいの場所である。撮影してから30分後にも再び様子を見に行ってみたが、やはり同じ格好のままであった。今夜あたりはもしかしたらオスが飛来して、交尾するのかもしれない。

(写真上/E-300 35ミリマクロ使用)
(写真下/E-500 8ミリ魚眼+1.4倍テレコン)

『ズイコーデジタル ED8ミリ フィッシュアイ』

 ようやく昨日、待ちに待ったOLYMPUSフォーサーズの8ミリ魚眼が手に入った。さっそく今日はこのレンズを使ってみたのだが、描写性が極めて良いこと、最短撮影距離がレンズ前面2センチと短く、拡大率が高いことなどにかなりの満足感を得た。
 この8ミリ魚眼が加わったことにより、私が仕事をする上で、OLYMPUSのフォーサーズシステムもとりあえず撮影体勢が整ったと言える。もうNikonやCanonの機材を加えなくともOLYMPUS機材のみでの遠征ロケも大概は可能となった。
 もっともフォーサーズのカメラボディについては、いろいろ問題点も多く、その一番は何と言っても撮影データの書き込み速度の遅さだ。この弱点をいずれは克服してもらわねばならないが、それを補っているのは、画質が良いことと、価格が安いことの二つである。同じ機種を2、3台揃えてもさほど負担にはならないところがいい。
 フォーサーズシステムのレンズは全てデジタル専用設計だから、その点も評価できる。ダストリダクション機能も然り。しかし今後、NikonやCanonがデジタル対応レンズの種類を増やしていくとなると、そうそうOLYMPUSもこれまでのような独自路線の優位さを武器にはできなくなる事態も予想される。
 それに対応してOLYMPUSも新機種カメラなども含めた新たなシステム全体の構想を持っておられるのだろうが、この2006年を基にデジタル一眼レフカメラのさらなる進化が展開するのは必至のようだ。新開 孝

ヤママユの繭殻と卵 2006/01/18(その2)
 ヤママユの繭殻は色あせてしまうものが多いが、今日コナラの梢で見つけたものは比較的、色が残っていた(写真上)。
 繭上部には成虫が羽化して抜け出た穴が、ぽっかりと大きく開いている。

 そこで繭の近くを探してみたら40センチ程先の枝に卵が産みつけられてあった(写真下)。この繭殻はメスのものだったようだ。

(E-500 ズイコーデジタルED8ミリ魚眼+1.4倍テレコン使用)新開 孝

アオクチブトカメムシの越冬卵 2006/01/18(その1)
 アオクチブトカメムシの越冬卵を見つけたのは、今日で2度目のことである。
 本日の卵はコナラの枝に着いていた。場所は所沢市郊外の雑木林。

 ずっと以前に最初見つけた場所は新潟県の黒川村で、ミズナラの細い枝に産みつけられてあった。そのときの写真は拙著『カメムシ観察事典』(偕成社)に載せてある。
 カメムシ全体では卵越冬の種類は極めて少なく、他によく知られているのはクヌギカメムシの仲間くらいだろう。

 さて、アオクチブトカメムシの産卵場所は、私の少ない観察例から推測すれば、Quercus(コナラ属)を選んでいるように見受ける。アオクチブトカメムシのふ化幼虫群をコナラの若葉で見つけた経験や飼育実験からしても、おそらくこの推測は間違ってはいないと思われる。
 アオクチブトカメムシは蝶や蛾類の幼虫を主に吸血する肉食カメムシだが、ふ化幼虫から2令幼虫などが成育するには、Quercusの木の汁を餌として吸うことが必要なのであろう。
 アオクチブトカメムシのメス親がQuercusに産卵する理由は、春になってふ化する幼虫たちの成育を配慮してのことだと思う。

(写真上/E-300 35ミリマクロ使用)
(写真中/同上)
(写真下/E-500 ズイコーデジタルED8ミリ魚眼レンズ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

ぶら下がり健康法? 2006/01/17
 昨日ミズキで見つけたシャクトリムシの一匹は、こうしてぶら下がっていることもしばしば。 

 最初にこの様子を撮影しようとカメラを構えた時は、ちょっとした振動が枝に伝わったせいか、幼虫はいきなり体をくねらせながら糸を手繰り、もとの枝に戻ってしまった。
 今朝、ふと見るとまたもやぶら下がり状態で、しかも息を軽く吹きかけても枝に触れてみても、幼虫は知らん顔のまま。
 
 シャクトリムシに限らず、芋虫たちのなかには身の危険を察知すると、糸を命綱として梢から緊急避難するものが多く見られる。

(EOS-5D 65ミリマクロレンズ使用)新開 孝

ミズキで見つかるシャクトリムシ 2006/01/16(その2)
 先日1/12にアップしたシャクトリムシは、ミズキの枝の皮を食べていたが、本日は所沢の雑木林でも同じようなシャクトリムシを見つけた。

 ミズキの若い枝は赤くて光沢があるので、その表面のかじり痕は白くなって非常に目立つ。そういうかじり痕がけっこう見つかるので注意してみると、何匹もシャクトリムシが見つかった。どうやら裏高尾のものと同種ではないかと思われるが、まだ確認ができていない。
 とりあえずは2匹を持ち帰り、飼育してみることにしてみた。新開 孝

ウスタビガの卵と繭 2006/01/16(その1)
 コナラの梢で風に揺れていたのはウスタビガの繭殻である(写真上)。

 もしやと思い、繭の近くの枝を見てみると卵が6個並んでいた(写真中)。つまりこの繭から羽化したウスタビガはメスだったのである。
 ウスタビガのメスは羽化したあと、繭上でオスの飛来を待ち、そこで交尾をすることが多いようだ。そして交尾を終えたメスは繭から離れる前に、繭表面や近くの枝に最初の産卵をするのである。
 ヤママユの場合もこれとほぼ同じであって、殻繭を見つけた場合にその近くの枝を丹念に探せば越冬卵を見つけることができる。もっともヤママユの繭殻はたいていは色褪せてしまい(写真下)、ウスタビガの繭ほど魅力的ではない。
 今日、落ち葉の上で見つけたヤママユの繭殻は、寄生バチに侵されたもののようであり、その羽脱口がぽっかりと空いていた。新開 孝

ミスジミバエ 2006/01/15(その2)
 カボチャミバエよりかわずかに小柄であり、胸部背面にある3本の筋が黄白色であることが、ミスジミバエのわかりやすい特徴である。
 今日は3月中旬並みという暖かさのせいか、このミスジミバエはコナラの幹上で日光浴していた。よく見ると非常に新鮮な体をしている。

 本種の幼虫はカラスウリの雄花の花筒内で成長するらしいが、雌花ではいけない理由とはなんであろうか?食料としての花粉を必要とするのであろうか。

(OLYMPUS E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン 使用)新開 孝

フユシャクのメス 2006/01/15(その1)
 雑木林を囲む金網柵に冬尺蛾のメスを見つけた。
 はねは、まったく退化しており、痕跡すら見当たらない。

 クロテンフユシャクかウスバフユシャクあたりであろうか。この類いの種名同定はやっかいである。一番確実なのはオスと交尾している場面を見つけることであるが、その観察は夜間限定となる。


(写真上/E-300 虫の目レンズ  Nikonマクロツインストロボ使用)
(写真下/E-500 35ミリマクロレンズ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

シンジュサンの繭の中 2006/01/14
 シンジュサンの繭(写真上)の中身を調べてみた。

 繭を手に持って軽く振ってみれば、その重みや、カサカサ、コトコトという音質の違いなどで、中に生きた蛹が入っているか、そうではなく何らかの異変が生じてしまったものか、およそ区別がつく。
 今日は、5個の繭を開いてみたが、2個はメスの蛹(写真中)が、そして残る3個はおそらく寄生バエのウジなどによる食害を受けて死んだ幼虫のミイラ(写真下)が入っていた。
 また幼虫のミイラの体にはウジ虫が脱出したと思われる大きな穴がいくつか空いていた。そしてミイラの体色はまるでこげ焼きにされたようになって煤のように真っ黒だが、背中に生えていた肉質突起だけは灰色のままぴったり体表面に貼付いている。

(EOS-5D マクロ100ミリ )新開 孝

最新、虫の目レンズとは 2006/01/13
 紆余曲折を経て、「虫の目レンズカメラ」もこれでいいと思うところに落ち着いた。 OLYMPUSのズームレンズ17.5-45ミリを改造したものに、CCTVレンズを組み合わせたものだ。
 非常に軽量であり、扱い易いのが良い。ファインダーも明るい。
 私の場合、「虫の目レンズ」専属のカメラというものを決めておかないと他の仕事がやりづらいので、以前に一度は組んだNikon D200のシステムはあっさりと諦めることにした。拡大系として私が使った28ミリのリバース方式は、20ミリを使用した場合より、明らかに画質が落ちることを人から教わったからでもある。
 結局、ズームレンズ17.5-45ミリの改造高倍率マクロレンズも、こうして「虫の目レンズ」専用のパーツとしてのみ使用することに決めたわけである。やはりこの高倍率マクロレンズは、どうやってもワーキングディスタンスの短さをカバーする手段が手軽にはできないので、私としては実用レンズとして評価できなかった。

 機材の話もそれなりにまとめて書き出すと長くなる。そういう話で終始するのもいいだろうが、じつは本日はいろいろ打ち合わせや室内作業などにより、フィールドに出る時間が全くなかったのが本当のところである。新開 孝

アオスジアゲハ蛹、喰われる 2006/01/12(その4)
 台所でコーヒーをいれながら、ふと窓越しにクスノキを見れば、アオスジアゲハの越冬蛹が無惨な姿でぶら下がっていることに気付いた。
 今朝には洗い物をしながら、この蛹が無事であることを確認しているので、どうやら私が裏高尾へ出掛けて留守にしていた間に、何者かに喰われてしまったようだ。蛹の中身はすっかり空っぽになっていた。
 もっともこの蛹は以前から黒い染みが透けて見えていたので、すでに寄生バエに侵されてい個体だ。つまりアオスジアゲハの生命としては、とっくに死を宣告されていたようなものだが、その生命を受け継ぐかのように春を待ちわびていた寄生バエのウジの生命もまた、何者かの胃袋へと消えてしまったらしい。
 おそらくその犯人とはシジュウカラあたりではなかろうか、と想像している。同じ木に付いている他のアオスジアゲハ越冬蛹も、鳥たちにこうして一度味を覚えられたわけだから、今後ふたたび同じような食害に遭うかもしれない。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

ミズキのシャクトリムシ 2006/01/12(その3)
 同じく裏高尾では、すっかり葉を落としたミズキの枝で、シャクガ類の幼虫が数匹見つかった。写真の幼虫の体長は2センチほどだが、1センチに満たない同種と思われる若い幼虫もいた。
 面白いことに幼虫が枝を齧った痕がくっきりと見える。表面だけでなく枝の髄に至るまでえぐるように食べている。
 本種はこうして冬の間も少しづつ成長していくのであろうか?
 そういえば、当「ある記」のバックナンバーでも冬にエノキの実を齧るシャクトリムシをアップしたことがあることを思い出した。
 
(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)新開 孝
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