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小さな秋、センブリ 2005/10/24(その4)
 センブリは漢方薬としてよく知られており、とても苦いそうだ。まさに良薬、苦しというわけだが、私はまだその苦い煎汁を飲んだ経験がない。
 しかしなにより、秋の野辺でこの可憐な白い花を見つけると、なぜかほっとできる。
 新開 孝

小さな秋、リンドウ 2005/10/24(その3)
他の草に紛れてうっかり見落としてしまいそうだ。
リンドウの花にはヒラタアブ類がよく来ては、筒状の花の奥に潜り込んで行く。ときにはマルハナバチもやって来るが、リンドウの立場として大いに歓迎できるのはマルハナバチの方だろう。おとなしいヒラタアブに対してマルハナバチの花の中での暴れ方は、花粉媒介に大いに貢献するからだ。
新開 孝

小さい秋、マンサクの紅葉 2005/10/24(その2)
みちのくの雑木林の紅葉はまだ序盤ではあるが、マンサクの梢では秋色を見つけることができた。新開 孝

ヒメヤママユ 2005/10/24(その1)
 仙台に移動して最初に出会ったのが、ヒメヤママユの♂だった。

 本日は秋晴れに恵まれ、みちのくの里山をのんびりと探索してみた。昨日までの金華山では撮影や観察の目的がはっきりしていたが、今日は小さな秋を見つければそれでいいと思って歩いた。
 さて、ヒメヤママユのうしろ翅の目玉模様は通常は前翅の下に隠れていて見えない。写真の♂は、私が指でちょんちょんとお尻を突いて驚かせたため、パッと翅を全開したわけである。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ 1.4×テレコン使用)新開 孝

金華山のニホンジカ 2005/10/23
 今日も金華山に渡った。

 早朝は晴れ間もあったがそれも束の間で、午前中いっぱい雨となった。日曜日ということもあって参拝の観光客は多い。そういう人々の喧噪を雨宿りしながらボーッと眺めているうちに、正午過ぎになってようやく雨が止んだ。
 金華山の島内でも神社付近には特にニホンジカが多い。これは餌場といえる芝地が多いことと、観光客らの餌やりのせいだろう。

 そして秋の今頃は、ニホンジカの発情期でもある。
 なんとも悩ましい泣き叫びというか、甲高い声が昼となく深夜となく森からこだまするのである。
 そういえば宿で観ていたテレビのクイズ番組で、司会者の島田紳介が「シカのメスいうて、いや〜ん、おえ〜、とごっつい声で鳴きよるんでえ〜!人間の女性みたいに、ほんまやでえ〜!」と悶えるようなジェスチャーで話ていたが、それはあながち誇張しているわけではなく、ほんとうに凄まじい鳴き声である。
 ただし、私もシカの生態については詳しくないが、その悩ましい声を発するのはオスでしか見ていないので、もしやオスの求愛鳴きではないかと想像している。

 それにしても写真のオス鹿はいかにも男前だ。メス鹿はずっとキッスを続けて止まないのも頷ける。
 
(OLYMPUS E-300 ED50-200ミリズーム使用)新開 孝

シンジュサン、再び 2005/10/20
 先週、松山から持ち帰ったシンジュサン幼虫は次々と繭作りに励んでいる。
一昨日あたり餌のクロガネモチを食べ尽くしてしまい、残った数匹の幼虫が歩き回り始めた。ちょうど昨日は四国、松山に戻ったのですぐさまクロガネモチを供給することができた。
 もともと暖地性のクロガネモチは清瀬市近辺では見た記憶がなく、餌の補充にはどうしようかと思案していたところだった。
 さすがに終令幼虫ともなるとクスノキなどの代用食には見向きもしない。

(EOS-5D マクロ100ミリ使用)

 『新開孝からのお知らせ』

 昨日の松山日帰りの事情は、更新が滞っている日本列島探虫記に載せる予定です。少しお待ちください。
 さて、明日から宮城県、牡鹿半島突端の金華山に行きます。あちらでは糞虫の撮影をします。急遽、ヤマビル忌避剤を求めて都内の登山用品店に行ってみましたが、シーズンオフとかで在庫がありませんでした。しかしマダニも用心しなければなりません。新開 孝

サトキマダラヒカゲの蛹 2005/10/19
 本日、外出している間にサトキマダラヒカゲが蛹化していた。

 写真の蛹を撮影中にササの葉を少し触ってしまったら、そのわずかな振動でもって蛹はポロリと落下してしまった。案の定である。やはりサトキマダラヒカゲ蛹の足場糸はいかにも軟弱なのである。
 もちろん事前に落下は予測していたので、下に敷いた水苔のマットへと蛹は無事に着地できた。


 実は今日、四国、松山に日帰りしてきたのでサトキマダラヒカゲの蛹化撮影は断念せざるを得なかった。
 羽田から帰宅する高速バスに揺られながら、以前に札幌、東京間の日帰り仕事をやったことを思い出した。
 その仕事は北海道大学の昆虫学研究室で、ある昆虫のタイプ標本を撮影したのである。わずか数カットの撮影でも、とにかく北大に行かなければ話にならないわけで、スタジオ用ストロボセット一式を一番でっかいカメラザックで担いで行ったのが懐かしい。
 それも5月の清々しい季節で、北大農学部の構内ではオオルリがさえずっていたのにびっくりして感激した。札幌から千歳空港までの列車からは、ルピナスの花の群れが見えて、ここはヨーロッパか!?と異国に来たような気分にもなった。
 しかし当時、私は貧しかった(今でも大差ないが)。交通費は経費としてもらっていたが宿泊代は自腹だったので、せっかく北海道に来たのだから、、、、という動きはまったく出来なかったのである。

 ああ、さて、四国に日帰り旅行の理由はいずれまた、ということで、、、、、。

新開 孝

サトキマダラヒカゲの前蛹 2005/10/18
 偶然、拾った芋虫がサトキマダラヒカゲの幼虫だった。
もうだいぶ前だったと思うがアズマネザサを餌に与えてこれまで飼育してきた。
餌のササは萎れ易いので先週の四国、松山行きにも連れて歩いたりした。
 その幼虫が昨夜あたり前蛹になった。ササの葉2枚を簡単に綴って、その小部屋の天井におしりの一点でぶら下がっている。
 いわゆる垂蛹というスタイルだが、このまま蛹になってから後は、お尻をつなぎ止めている糸が緩いので、いずれ蛹は地面に落ちてしまう。
 今日の写真は午前中に撮影したものだが、原稿を書いている今(午後7時すぎ)、前蛹は蛹化にむけてウンウンと力んでいる最中だ。

 20数年前、大田区にある学研の学研映画スタジオからすぐ近くの八幡神社で、アズマネザサ群落中からサトキマダラヒカゲの蛹を偶然にも見つけたことがある。その蛹はやはり地面にごろん、ところがっていて、その有様にはとても感激した。

(Canon EOS-5D マクロ65ミリ使用)新開 孝

アケビコノハ 2005/10/16
 アケビコノハの成虫を眺めていると、前脚や中脚に銀色に輝く斑紋があることに改めて気付いた。それでその斑紋を拡大撮影してみると、それは白い鱗粉が盛り上がるように並んでおり、それがどうして銀色あるいは真珠光沢に輝くのか不思議な感じがした。おそらく構造色の原理だろうと思うが、そういう理屈ではあまり納得がいかないものだ。  

 さて、ついでにアケビコノハ前翅の表面中央付近にある緑青のような紋様も撮影してみた(写真中)。
 その画像データをパソコン上で拡大トリミングしてみた(写真下)。

(Canon EOS-5D マクロ65ミリ使用)
 

 

『EOS-5Dの実力とは』

 本日の(写真中)の撮影倍率は2倍程度だと思うが、画像データをパソコン上で100%表示してみると、その紋様を構成している鱗粉の一枚一枚がかっちり描写されていて、びっくりした。
 ここまでの解像力があるなら、撮影時に無理して倍率を上げることもないわけである。この辺は今後いろいろテストしてみて、どの程度の拡大トリミングまで実用的な画質が得られるものか調べておく必要がある。
 フルサイズCMOS搭載のEOS-5Dがはじき出す画像データは、とにかく微細描写に優れており、全体に受ける印象は様々な画像情報の需要に対して余裕を含んだデータだと感じている。それは感触という程度のものだが、そういう印象を享受できるカメラに好感度は高い。
 それでCanonのEFレンズ群に関しては、このEOS-5Dを仕事で使うことが多くなった。先日の子供の運動会ではEOS-1Dマーク2を持ち出して撮影したのだが、その理由はこのところ最も稼働率が低いカメラがEOS-1Dマーク2であるからに他ならない。
 とは言うものの200ミリレンズで子供たちを追って撮影していると、マーク2の連写速度の凄さを改めて認識したわけで、これはやはり迂闊に下取りに出したりしてはいかんなあ、と思い直したしだい。

 新開 孝

謎のクサカゲロウ幼虫 2005/10/15
 先日、松山の実家の庭先で見つけた謎のクサカゲロウ卵の束は、二日前の13日に一斉にふ化した(写真上)。

 ふ化幼虫たちはしばらく卵殻の上で群れたまま休んでいたが、やがて次々と糸の柄を這い登って散開した(写真中)。
 幼虫は脚が太く、体の背中には長い毛がたくさん生えている。

 ふ化後歩き出した幼虫たちは飼育すべく容器に全部回収し、そこへキョウチクトウアブラムシのついたキョウチクトウの葉を入れておいた。おそらくアブラムシならどんな種類でも良かろうと思い、手近なキョウチクトウアブラムシを選んでみた。
 そして本日、飼育容器の中を調べてみると、ふ化幼虫たちの姿が一匹も見つからない。驚いてよくよく見ていると、アブラムシの抜け殻や死骸がモゾモゾ動く。動く物体をルーペで見てみると、なるほど!ふ化幼虫たちは皆、背中にゴミを背負っていたわけだ(写真下)。
 幼虫たちの体はわずかに肥大しており、逆光で透かしてみるとアブラムシの体液を吸血していたことがわかる。


(写真上/OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ+1.4テレコン)
(写真中/E-300 ズイコーマクロ20ミリ)
(写真下/Canon EOS-5D  マクロ65ミリ使用 撮影倍率×4)新開 孝

ジョロウグモのオス 2005/10/14(その2)
 近所の雑木林でしゃがみ込んで、犬のうんちを朝からじーっと眺めている。
これは何事もおこらなければ、やはりあくびの一つや二つも出る。
 しゃがんだ側には、ちょうどジョロウグモの巣網があったので(写真上)、ときどきこちらを覗き込んでは気晴らしに撮影してみた。
 ジョロウグモのメスは巣網の真ん中に頭を下にして陣取って、獲物がかかるのを忍耐強く待っている。その巣網の少し上のほうに、いかにも控えめの小さなオス(写真下)が二匹、これまたじーっとメスの様子を窺っている。
 しばらく見ているとエンマコガネの一種が飛んで来て、私の目の前で網に掛かり、あっという間にメスの餌食にされてしまった。
 するとその騒動を待ってましたとばかり、オスがそわそわとメスの所へと這い降りて来たではないか。おお、これは交尾に至るのか、とカメラを構えたのだが、
メスの獲物が小さかったためか、オスは途中でぴたりと前進を止めてしまった。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ+1.4テレコン使用)新開 孝

オオヒラタシデムシ 2005/10/14(その1)
 オオヒラタシデムシの黒くて薄っぺらな体つきは、落ち葉で埋もれた地面を徘徊するにはいかにもふさわしい姿なのかもしれない。
 近所の雑木林でも、こうしてミミズなどの死骸を食べる姿はよく見かける。三葉虫のような格好の幼虫も成虫と並んで一緒の食事をしていることも多い。

 宮城県牡鹿半島の先にある金華山ではこの夏、鹿の糞に群れているオオヒラタシデムシを観察している。オオヒラタシデムシは他にも獣の死骸やキノコのグレバや腐植物などもよく食べる。まさに林の掃除屋さんというわけだ。


(Canon キッスデジタルN 合体特殊レンズ使用)新開 孝

ムカデ 2005/10/13(その2)
 ムカデの体の色つや、形態などには私はけっこう好感を持っている。

 これまでムカデに噛まれた経験は二回しかないが、いずれも顔面を噛まれた。
しかし、それは一時的な痛みで終わり、むしろヤブ蚊に刺された痒みに比べれば、不快感は薄い。
 以前、私の嫁さんは夜中に布団に侵入した大きなトビズムカデに太ももを噛まれて、大騒ぎをしたことがあるが、そのときも噛んだ犯人の正体を知ってから、その姿を知ったが故に恐怖心を増したようで、実質の肉体的な痛みはさほどでもなかったようだ。
 私は蛇が苦手だが、脚の多いムカデやヤスデ、クモには好感すら憶える。
その理由はよくわからないが、学生時代に居酒屋のバイト中、ウナギをさばく際に強烈な恐怖心に襲われたことを思い出した。そのときは店のお姉ちゃんにえらく叱られた。新開 孝

ジョロウグモの表と裏 2005/10/13(その1)
 ジョロウグモはいかにも毒々しい姿をしている。
身近にいくらでも棲息していることもあって、普段はあまり意識していないが、
よく見てみると、怪しい美しさがある。

 体の裏側、つまりお腹側には赤い色模様があって(写真下)、これが着物の帯色に捉えられたそうだ。つまり女郎の帯というわけ。もっとも「女郎」以外に高貴な「上臈」に由来すると言う説もあって、生きものの命名の由来は複雑である。
 いずれにせよこの怪しい色紋様はメスにしか見られない。新開 孝
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