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私は花火 2005/09/22
 マンション隣の庭のヤマグワに群れていた毛虫に私はつい先日から注目していた。しかし、そこの住人は日常の生活に忙しいため、まずはヤマグワなる小木がいつの間にか繁殖し、フェンスを超えてわがマンションの方へ枝を侵入させていることすらも、ご存知でない。
 その毛虫たるや、まさに花火を背負うかのような絢爛さ。新開 孝

ヒメアリ 2005/09/21(その2)
 ヒメアリは体長2ミリ程度と小さなアリだ。アリんこは小さいに決まっているが、そのなかでもさらに小型種というわけだ。だから大きくアップで撮影するのは骨が折れる。
 今日のヒメアリはササの葉うらについていたアブラムシに集まっていた。アブラムシのお尻から搾り出される甘露を収穫するわけだ。アリとアブラムシの共生というのはあまりにもよく知られているが、その場面はいつ見ても飽きがこない。ツツーッとアリが上手に甘露を口で受け取る瞬間は、いかにもおいしそうに見える。
 しかしヒメアリは時として家屋内にも侵入してきて、多くの人の反感を買うのも事実だ。ヒメアリの食性は広くて、人の食べるものならなんでも餌になるからだ。

新開 孝

アケビコノハの幼虫 2005/09/21
 写真のアケビコノハ幼虫は体長55ミリある。体長といっても歩くとき一番伸びた状態を計ったから、実際はもう少し大きいと思う。頭部を隠すように折り曲げている格好は、いかにも眼状模様を主張しているかのようだ。
 このあと葉っぱを粗く綴ってその中で蛹になる。年内に羽化して成虫で越冬する。新開 孝

アオスジアゲハ 2005/09/20
 マンションの台所窓からクスノキについたアオスジアゲハの幼虫が見える(写真上)。このひょろひょろのクスノキ(写真中)はアオスジアゲハに人気があって、今は卵(写真下)、若い幼虫、終令幼虫、そして蛹化間近な幼虫などが見つかる。
 チョウの産卵場所にはこのように孤立した木が選ばれることがよくある。だからうちのひょろひょろクスノキ(台所の窓が外開きなので私が剪定したのだが、ちょっとやりすぎた)には毎年、アオスジアゲハが多数の卵を産み落としていく。
 ひょろひょろの木であっても、梢をしばらく眺めているとハラビロカマキリが潜伏していたり、ハエトリグモに捕まってしまった若い幼虫がいたりして、ちょっとした生物世界を垣間見ることができる。おそらくたくさん産み落とされていくアオスジアゲハの卵も、無事に成虫まで生き残れるものはほんのわずかでしかないはずだ。

新開 孝

エノキハムシ 2005/09/19(その2)
 ハムシ類は黒々とした大きな眼をしていて、大概は可愛いツラをしている。
だからかハムシを撮影するときは、顔の表情をねらうことが多い。今日のエノキハムシもエノキの葉でじっと何事かを考えている最中のように見え、おもわずその表情を覗き込んでみたくなった。とにかくおとなしい。








新開 孝

痒いぞなもし! 2005/09/19(その1)
 ヤマグワで見つけたシロオビアワフキ。顔には赤い大きなダニが食らいついており、これがやけに目立つ。シロオビアワフキにとって二重にやっかいを背負ったわけだ。それにしても「ああ、痒い!」という声が聞こえてきそうだが、それは人の感覚だけなのかもしれない。こそこそ撮影しているうちに、「ええいっ!」とばかりシロオビアワフキは一瞬にしてワープしてしまった。ダニよりかレンズ向ける人間のほうが余程、鬱陶しかったに違いない。新開 孝

カンシャワタアブラムシの自衛策とは 2005/09/17(その2)
 ススキの葉うらを白い綿くずのようなものがびっしりと覆っている。
これはカンシャワタアブラムシというアブラムシのコロニーで、白く見えるのはアブラムシの体から分泌されたワックスである。
 さらにつぶさに見ていると、というよりかルーペでもってあらためて覗いてみると、アブラムシの1令幼虫が何か一生懸命、励んでいる(写真下)。これはアブラムシを餌とするヒラタアブ類の卵(白い紡錘型)を、頭の角で潰そうとしているのである。つまりいずれは自分たちコロニーにとって脅威となる天敵を、卵のうちに撃退してしまおう、ということなのである。
 仔細を知りたい方は、どうぶつ社の『兵隊を持ったアブラムシ』(青木重幸 著)を読まれたし。私の『珍虫の愛虫記』にも少し書いてある、というのはおまけ。


新開 孝

その後のサトキマダヒカゲ幼虫 2005/09/17(その1)
 9/12にアップしたサトキマダラヒカゲのふ化幼虫たちの様子を覗いてみた。
8匹いた兄弟は5匹になっていたが、そのうち4匹は2令幼虫へと成長していた。残り1匹ももうすぐ脱皮しそうだ。
 写真上は、幼虫たちの食べ痕で、特徴がよくわかる。新開 孝

ヒガンバナと蝶 2005/09/16
 今日で阿蘇の仕事も終了。午後4時発の羽田行きまで2時間ほど時間の余裕ができたので、大津町にある「岩戸の里」という温泉に入ってみた。
 温泉から出てすぐの田んぼ沿いにはヒガンバナが列をなして咲いていた。ヒガンバナの花には写真のオナガアゲハや、アゲハ、そしてでっかいカラスアゲハのメスなどが次々とやって来る。特にカラスアゲハのメスはピカピカの新鮮個体だ。せっかく温泉に入ったけれど蝶を追いかけているうちに汗びっしょりとなった。しかしカラスアゲハは落ち着きがなく飛ぶばかりで花蜜を吸わないので、ついに撮影できなかった。カメラにストロボを付けてなかったのもいけなかった。
 熊本空港から1時間半あまりのフライト後、羽田に着いてからリムジンバスに乗ったら首都高がすごい渋滞で、東所沢にたどり着くまで2時間半もかかってしまった。新開 孝

牛糞、土に還る 2005/09/15
 阿蘇での撮影の仕事は今日で二日目。
本日は朝から晴天で清々しい。陽射しはまだ強く肌がすぐに日焼けするほどだったが、吹く風はすでに秋風。大気もすっきり抜けてどこの山肌の景色もくっきりと近くに見える。私が歩いているあたりは標高約1000メートルだ。
 その標高1000メートルの界隈で夕刻まで、ある昆虫を求めて歩いていた。そこかしこに落ちている牛糞は、もうこれまでに数百個といわず嘗めるように見てきた。牛糞といえどいろんな表情がある。うんこの表情というのも変な表現かもしれないが、糞の姿はそれこそいろいろだ。そしていずれもしだいに形が崩れ、土へと還っていく。牛が食べた草が、土に回帰してまた草を育む。糞を分解するキノコもひときわ目立つ存在だ。新開 孝

ヒトリガの一種 2005/09/14
 写真は先月8/27に撮影したものだが、撮影場所は本日やって来た阿蘇町である。
 ヒトリガの仲間は指で突いたりして刺激を与えると、こうしてはねを立ち上げ、腹部の赤い色紋様を見せる。これは外敵への威嚇行動だろうが、例えば鳥の補食に対してどれほどの防御効果があるのだろうか?

 今日は阿蘇山に入ったのが午後3時近くであり、とにかくも目指す昆虫探しに時間がかかり、撮影はほとんどできていない。阿蘇山上は雲が多く、吹く風はとても涼しくて気持ちがいいので、虫探しもずいぶん楽だ。そして肝心の昆虫は2時間近くたってようやく見つけることができた。これまでずっと私が頭に描いてきたシーンでもありずいぶんと嬉しかった。そもそも生態そのものがほとんど解明されていない昆虫の生活を、じっくり掘り下げて撮影することなど、苦労ばかりが多く容易なことではない。
 しかしながらこうして撮影された写真が出版物に掲載されたところで、その一枚、一枚の裏側にいかなる苦労や努力、あるいは虫好きの人々の熱い情熱の後押しがあったか、などということはほとんどの読者にはまったく伝わらないはずだ。私が今、夢中になって取り組んでいる撮影は、ビジュアル的に訴えるような、カメラ雑誌に喜んで採用されるような、あるいは多くのアマチュア自然写真家が好んで撮るような、そのような写真とは程遠い、いかにも地味な昆虫写真に過ぎない。だからこそ、私のような写真家はその一枚に関わる周辺事情を文章でも語ったほうが面白いのであり、実際、撮影を進めていく中で私がスリリングに感じていることをできるだけ書き留めておこうと思う。そのうちそういう「新開らしい本」をまた作らねばと感じているしだい。
新開 孝

イチモンジセセリの求愛行動 2005/09/13
 センニチコウには多数のヤマトシジミとイチモンジセセリが吸蜜に来ていた。
ゆったりと花を巡るヤマトシジミを、体当たりで邪魔者扱いするのがイチモンジセセリであったが、そのうちイチモンジセセリのメスのあとをオスが熱心につきまとい、求愛する場面があった。オスはメスのうしろから頭突きをくらわすかのように執拗にせまっていく。それに対してメスは翅を閉じた格好のまま素早く振るわす。
その翅の動きは最初のうちだけで、そのうち止めてしまった。




新開 孝

コクワガタのオス 2005/09/12(その3)
今年の夏はクワガタムシを撮影する機会がほとんどなかった。昆虫写真家の仕事ぶりとしては怠慢かもしれない。以前からクワガタムシのいろいろなシーンを撮影してみたい、というメモ書きが頭の隅っこにはあるが、去年の秋から特定の昆虫にこだわり続けてきたから、というのが大きな理由だろう。
 で、今朝はアゲハの産卵シーンをハイビジョン撮影しての帰りにコブシの梢でコクワガタのオスを見つけた。中型クラスのこのコクワガタは、コブシの葉うらでぼんやりと考えごとでもしていたのだろうか。



新開 孝

キバラヘリカメムシ 2005/09/12(その2)
 本種の和名は「黄色い腹」をしたヘリカメムシ、という意味だと思う。
なるほどあらためて見てみると、派手な黄色である。この鮮やかな黄色はしかし時期によっては薄い肌色になったりするので、今頃が一番、黄色い個体が多いのかもしれない。新開 孝
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