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むらさき爆弾 2005/08/31
 ヨウシュヤマゴボウはよく目立つ。濃い紫色の実は旨そうだが、これを試食したことはない。ヒヨドリやジョウビタキがさかんについばんでいるのを見るが、おそらく人の味覚とは違う世界なのだろう。
 さて夏休み最終日でもあり、寝転がって漫画を読んでいた小学4年生の子供が退屈そうにしていたので、私の仕事に連れ出してみた。と言っても近所の「お化け山」。今日はナミテントウの行動をビデオ撮影するため、いくつか採集してこないといけない。それを手伝わせるつもりでいたが、子供はナミテントウをまったく見つけることができない。どういう場所に目をつければいいか、一応説明するが私の言葉は彼の耳を素通りしているようだ。私がナミテントウを見つけ、さらにヤマノイモの葉っぱでダイミョウセセリ幼虫を見せたり他にも様々な昆虫を次々と披露してやると彼はマジックを見るように驚くばかりだ。
 しかしそうかといって我が子に無理矢理、昆虫に興味を抱かせようとも思わない。少しだけ昆虫のことが印象に残ればいいだろう。ナミテントウを探し歩くうちに子供はすぐに野歩きに飽きて来た。そこでヨウシュヤマゴボウの実で遊んでみる事にした。実を地面に投げつけ、その痕跡の大きさを競うのである。ヨウシュヤマゴボウの実は、これをお互いの身体に投げつけ合って、相手に甚大なる染みをつけるというまさに野蛮な遊びが私の小学生のときには流行っていた。この遊びでは「むらさき爆弾!」といいながら攻撃を仕掛けるのである。新開 孝

オオカマキリ登場 2005/08/30(その2)
 「お化け山」でオオカマキリを探してみた。すぐに見つかったのはハラビロカマキリだったが、しばらくしてオオカマキリも2匹の成虫を見つけることができた。貸し農園のヒマワリもシーズンを終えて種をこぼすばかりだが、そうした夏の終わりを感じる風景の中、オオカマキリのメスがちょこんと止まっていた(写真上)。そのオオカマキリに触れてみるとまだ体は柔らかい。羽化してまだ時間が浅いのであろう。
 私が体に触れたせいか、しばらくするとこのオオカマキリは自分の体を丁寧に身繕いし始めた(写真中、下)。後ろあしを鎌状の前あしで受け止め、口を使って先端へとクリーニングしていく。その姿はなんだかフルートを演奏しているようでもある。

(EOS-1D Mark2 100ミリマクロ使用)新開 孝

ヤマトゴミグモ 2005/08/30
 久しぶりに近所の「お化け山」に行ってみた。そろそろオオカマキリの成虫が姿を現しているころだ。今日は仕事でそのオオカマキリを撮影するつもりでいた。カマキリの姿を探しているとコナラの梢で面白いクモの巣が目に入った。円網の中心部から放射状に太めの糸が数本伸びている。円網の中心に陣取っているヤマトゴミグモの体長は5ミリ程度で脚を縮めていると、生き物なのかゴミなのか判然としない。

(写真上、下/Canon EOS1D-Mark2 100ミリマクロ使用)新開 孝

再びデジタルスレーブストロボ 2005/08/29
 昨夜は新宿コニカミノルタプラザに出向いた。糸崎公朗さんの「実験デジワイド」の写真展を観に行ったのだが、そのあとの飲み会の場で沖縄の湊和雄さんが「ハクバのデジタルスレーブストロボは自分の○○○のカメラのストロボでは同調発光しないよ!」とのこと。しかし私のCanonやOLYMPUSのカメラではこれまでちゃんと仕事に使えている。それじゃあ、ということで私のサイン入り「虫たちのふしぎ」(福音書店)とスレーブストロボをトレードすることにした。価格的には私の方が得をしたわけだが、さっそく湊さんご購入のスレーブストロボをいろいろテストしてみた。するとキッスデジタルNの内蔵ストロボや420EXの発光とうまく同調発光した。OLYMPUS E300の内蔵ストロボでも発光するが、何回かシャッターを切るうちに誤発光することもあった。原因はわからないが気になる。 また、CanonのスピードライトトランスミッターST-E2を使って、420EXをスレーブ発光させた場合、これに組み合わせたハクバのスレーブストロボはうまく同調発光できない。ちょっと残念。
 ちなみにCanonキッスデジタルN、OLYMPUS E300にハクバのスレーブストロボを同調発光させる際のモードセレクトは2番である。これは2回プリ発光に対応していることになる。さらにCanonパワーショットG5の内蔵ストロボに同調させるときのモードセレクトは1番であることを今回のテストで知った。
 ハクバのデジタルスレーブストロボは、チャージ時間が長めなのが弱点であるが、小さいこととプリ発光する最近のカメラメーカー専用ストロボに同調発光してくれるので、けっこう使いでがある。それで2台目、3台目を買い求めようと思っていた矢先に、湊さんがその手間を省いてくれたわけであった。ここにあらためてお礼申し上げます。しかし、ほんとうにニ○ンのストロボでは同調発光できないのであろうか?私はニ○ンのストロボは持っていないので、検証することができない。

(写真上、ハクバのデジタルスレーブストロボ)
(写真下、PowerShot G5の内蔵ストロボとスレーブストロボの組み合わせで撮影。スレーブストロボは画面右から直接光を、内蔵ストロボはディフーザーをかけている。モードセレクトは1番)新開 孝

「日本産コガネムシ上科図説」という図鑑 2005/08/27(その2)
 今日、東京に戻ってみると凄い!図鑑が届いていた。
『日本産コガネムシ上科図説』(第1巻 食糞群)という。日本産広義食糞性コガネムシの152種すべてが掲載されており。いわゆる糞虫はこれでほとんど同定できる。図解検索表も充実している。なんといっても全種の標本写真が、背面、斜め、側面、腹面と4方向から撮影されており、立体的な糞虫の姿が実にリアルに表現されていて、迫力がある。製版も良いし写真もいい。こういう図鑑を見ていると私のような昆虫写真家はいずれ廃業する、と改めて思う。
 昆虫図鑑といえばかつては保育社の図鑑シリーズなどがその主役を担っていたが、その保育社もとっくに消えてしまい、時代が移ろう中で新たな図鑑のスタイルが定着してきた。この『日本産コガネムシ上科図説』を作ったのはコガネムシ研究会というところだ。これは本作りの技術が発展して(写真撮影のテクニックも併せて)手軽に誰でも出来るような時代になったせいでもある。昆虫はあまりにも種数が多いため、こうしてまとまりのあるグループごとに細分化された図鑑を出していくしかないが、しかし、何度でも言おう、凄い!
 阿蘇で糞虫を追い求めて歩く中、以前に注文していた『日本産コガネムシ上科図説』のことが気になっていたのだが、実際にこの図鑑を手にしてあまりの素晴らしさに興奮してしまった。久しぶりに布団の中に入ってもずっと眺めていたいほどお気に入りになった図鑑である。定価は18000円するが、これはけっして高いとは思わない。それほど良い出来映えであり、日本の虫屋の情熱は世界的に見ても異常なくらい熱い!のである。私はそういう意味では、ほんとうに恵まれた国に産まれて良かなあ、と感謝したい気分である。

 そういえば明日は、新宿コニカミノルタプラザで開催中の写真展、糸崎公朗さんの『実験、デジワイド』(9月2日まで)を観に行く予定である。都会の中の昆虫たちの姿が迫力あるでっかいプリントで迫ってくるらしい。昆虫に視線を向ける人にもいろんなタイプの方がいると思うが、糸崎さんの視点はいわゆる虫屋さん達とは違った感性があって楽しみである。新開 孝

カンタンの鳴き声 2005/08/27
 昨夜は草千里を歩くつもりだったが、濃い霧が出ていて断念した。阿蘇の低地はまずまずの天気だったが、標高の高い山上はずっと雲をかぶったままであった。そこで一の宮町の牧場へと移動した。
 草むらのあちこちからカンタンの「ロ、ロ、ロ、ロ、、、、、」と涼しげな鳴き声が聞こえている。懐中電灯でカンタンの姿を探してみると、鳴いていない個体も多数佇んでいてその数はかなりのものだろう。(写真上、前翅を立てて発音するカンタンのオス)アレチマツヨイグサの花で休んでいるメスもいた(写真下)。カンタンの配偶行動は面白いので、また機会があれば紹介してみたい。
 夜のミルクロードを宿へと戻る途中、林のあるところではクツワムシの大合唱が延々と続いていた。これも凄い数だ。やがて車窓の外の声は「チンチロリン」のマツムシの合唱に置き換わっていた。ミルクロードのところどころでは濃い霧が流れるように立ちこめ、視界は数メートルしかないこともあった。こういうとき車のライトをビームにすると乱反射によって視界が余計に狭まることに気付いた。とにかくまったくの闇夜で濃い霧の中を走行するのはけっこう緊張する。その緊張感を和らげてくれたのが昆虫たちの大合唱だった。秋の気配がすぐそこまで来ているようだ。

 今日は、午後2時ころまで草千里で撮影し、東京に戻る。阿蘇滞在の最終日、一番いい天気になった。新開 孝

マメハンミョウ 2005/08/26
 今日もミルクロードを走って一の宮町の牧場に赴いた。午前中に予定通りの仕事を済ませて車に向かう途中で、写真のマメハンミョウを見つけた。マメハンミョウは久しぶりに見るが、この虫は名前のごとくマメ科植物の葉っぱを好んで食べる。通常は一カ所で大発生して、ときには農作物を暴食することもあるようだ。今朝見つけたときはこの一匹しかいなかった。マメハンミョウはその生活史も変わっていて、いわゆる過変態を行う。ふ化幼虫は活発に這い回る姿をしていて、たしか土中に産み込まれたバッタ類の卵塊に潜入して、これを食べて育つはずだ。バッタの卵に到達できたあとはその膨大な食料の中で運動能力を欠いた幼虫の姿に変態する。

 今夜は夜の撮影を控えているので、早めにアップして夕方からまた阿蘇山上に出向く。これまで連日、夜は雨続きだったので今夜こそは夜の草千里を歩いてみたい。新開 孝

阿蘇スカイライン ミルクロード 2005/08/25
 阿蘇の仕事も三日目となった。
雨は断続的に降るが、それをうまくかいくぐって仕事は順調だ。明日はさらにいい天気になりそうだ。宿泊している大津町から「ミルクロード」に入り、一の宮町までは50分程度のドライブとなる。このミルクロードは広大な草原を延々と走り、途中ほとんど信号も横断歩道もない。ゆるやかなカーブと起伏を上がったり下がったりと単調なコースを巡る。ほんとうに広いなあ、そう思わずにはいられないドライブとなる。九州はいいなあ、そう単純に感じてしまう。こんなのんびりとした風景があっていいよなあ。しかしミルクロードをうかうか60キロ程度で走行していると、いつのまにやら地元の車にぴったしお尻につかれる。どうやらここでは80キロは出さないとこうして後ろから急かされるのである。だが、今日は午後4時半を過ぎると厚い雨雲に覆われ雨となり、しかも濃い霧が出てきた。視界はせいぜい20メートルだ。これはけっこうきつい運転となる。

(写真はミルクロードから見た阿蘇山)


『10年以上使えるデジタルカメラが欲しい?』

 これまでの銀塩フィルムカメラのように機械として完熟した道具は10年と言わず、いやそれ以上数十年以上にわたって使いこなせたものだが、デジタルカメラの場合はそうはいかない。
これはデジタルカメラの大いなる弱みであり、宿命的な欠陥でもあるだろう。どこまでいっても完熟しない。とはいえ、そうそうカメラメーカーに振り回されるのも馬鹿馬鹿しい。過渡的な機種など出さず時間かけてこれぞというカメラを造って欲しい。
それはともかく私が待っていたフルサイズカメラ「Canonイオス5D」の発売発表をこの熊本に来てから知った。CMOSセンサーがフルサイズのデジタルカメラとしては、価格も私が希望していた40万以下となった。ただカメラスペックとしては普及タイプでファインダー視野率も100%ではないところが不満だ。けれど以前にも書いたように、これまで所有していた資産であるEFレンズ群をそのまま使えるのが嬉しい。新開 孝

草千里を歩く 2005/08/24
 朝から小雨模様だったが、草千里に着いてからしばらくすると雨は止んだ。いつ降り出してもおかしくない雲行きなので、カメラはE-1にした。このカメラはレンズも含めて、水で濡れても平気だから安心して歩ける。今回は牛糞や馬糞をめぐる昆虫を中心とした生き物たちの生き様を撮影するのが目的の一つ。草千里の広大な平原をひたすら糞を眺めながら歩き、しゃがみこんでは糞をスライスしたりひっくり返したりする作業が延々と続く。一口に糞といっても新しいものから古いものまでいろんな段階があって、それぞれに集まる昆虫の種類も違ってくる。糞の新旧をすばやく見定め、どんな昆虫、生き物が発見できるかといった検討をつけながら慎重に糞の解体作業に取り掛かる。この作業に必須なのは、長いピンセットと根堀りの二点セットだ。
 こうして糞を見ていくなかでとくに多く見つかるのが糞虫のオオセンチコガネ(写真上)。金属光沢の美しい体色を見た目通りに撮影するのは難しく、できれば自然光で撮るのがいい。新しい糞ではハエ類がたかっていることが多いが、このハエたちをねらって徘徊するのがサビハネカクシだ(写真下)。このハネカクシは動きが素早く、まるでネズミを追いかけるイタチのような俊敏さだ。残念ながら補食シーンを見ることはできなかった。
 糞を食べものや隠れ家として利用する昆虫や、それをねらう捕食者、そしてさらに糞を分解する菌類とに至るまで、糞をめぐる生物の食物連鎖は複雑で多様である。
 午後4時半過ぎころから急に雲が厚くなって、小雨が降り出したので急ぎ足で車に戻った。そのとたんにかなりの土砂降りになってしまった。新開 孝

再び熊本、阿蘇へ 2005/08/23
 本日は小雨のなか松山空港から熊本行き「天草エアライン」のプロペラ機に乗った。こういう小型機に乗るのは初めてなので、ちょっと興奮する。この路線は一日一便で昨年の10月から就航したばかりのようだ。松山空港を離陸して熊本空港までは50分程度のフライトだった。
 空港からレンタカーを運転して1時間で阿蘇山上の草千里に着いた。あいにく雨が降っているが、とにかくも今日から阿蘇での仕事開始だ。今夏の私の休みは松山と西予市明浜町で家族と過ごした2日半のみだ。なかなかまとまった休みを家族と過ごすことは難しい。新開 孝

オオチャイロハナムグリ 2005/08/20
 石鎚山系を松山から望むと厚い雨雲にすっぽりと覆われている。予報でも雨となっていた。それでもとにかく石鎚スカイラインの入り口まで出向いてみた。平野部は晴れているからわずかな望みがある。しかしさすがに標高の高い所は完全に雲の中なのでスカイラインを登るのは諦めて、面河渓に入ってみることにした。面河渓谷は学生時代によく通ったが、今日訪れるのは20年ぶり位になる。
 渓谷沿いの遊歩道を奥に進んで第二キャンプ場の広場に入ってみると、大きなヒノキの幹をオオチャイロハナムグリが這っていた。「おお!オオチャイロだあ!」と思わず声をあげてしまった。生きている姿を見るのはこれが初めてだから興奮する。オオチャイロハナムグリはちょうど私の目線の位置にいてゆっくり歩いている。この大きなハナムグリは奇麗だし独特な体型が目をひく。
 面河渓で仕事を進めるうちにここでも雲行きが怪しくなってきた。しだいに雨も降り始めたがカメラを撤収して、しばらくは仕事を続けてみた。林の中だからずぶ濡れになることもない。新開 孝

糞そっくりのハバチ幼虫 2005/08/19
 今日も石鎚山系の伊吹山近くに行ってみた。雲が多かったのだが、しだいに晴れ間が広がり、瓶が森へとむかう縦走路から石鎚山最高点、天狗岳の頂上が見えてきた(写真上、私の背後右手が天狗岳)。
 ノリウツギの葉表にとぐろを巻いた格好のハバチ幼虫が見つかった。最初は鳥の糞か、と思っていたのだが近寄ってみるとハバチの幼虫だった。こうしてアップの写真でみるとそうでもないが、自然光下ではもっと糞に紛らわしいのである。もちろん種名はわからない。午後2時ころから急にゴロゴロと雷鳴がとどろき始め、雨も降り出した。ちょうど仕事も一段落したところなので、慌てて車に飛び込んだ。
それにしてもやはり標高が高い所は涼しくていい。汗かいてもすぐに蒸発してしまう。アサギマダラがふわふわ舞う姿を眺めながら石鎚スカイラインを下っていった。新開 孝

石鎚山山頂は雲の中 2005/08/18
 15日に四国、松山に来て16日には西予市明浜町俵津に移動、ここで17日までビデオ撮影の仕事をしていた。ビデオの撮影をしている間は通常、写真撮影はできない。そもそも現場にカメラを携行していないから当然ではある。ビデオと写真の仕事は同時に進行できないし、それはやらないことにしている。
 さて本日は石鎚山脈の伊吹山近くにやってきた。今日は写真の仕事。石鎚山の最高峰は天狗岳で1982メートルだが、私が立っている縦走路の標高は1500メートルあたりだ。生憎、天狗岳の頂上は雲に隠れて見ることができない。ほおかぶりしている私(写真上)だが、これはイヨシロオビアブという吸血アブへの対抗手段だ。もっとも半袖Tシャツではアブ対策も完璧ではないが、今日はどうにか刺されずに済んだ。すれ違う登山者には頭からすっぽりメッシュをかぶっている完全武装の人もいたが、そういう養蜂家のような格好までいくと仕事にはならない。
 瓶が森へと向かう縦走路は一面、ササ原だがあちこちにブナが生えており広葉樹の林も抜ける。ササ原ではチチチチーッ、ツツツツというツユムシの仲間の鳴き声が多い。声を頼りにツユムシの姿を探してみると、縦走路のすぐ傍らのササの葉上でオスが次々と見つかる(写真下)。できるだけ高い場所を選んでそこで鳴いているのは、いかにもナワバリ宣言のようにも感じる。なかなか奇麗なツユムシだが、種名を私は知らない。

 明日も石鎚山通いだ。今夜は久しぶりに友人と松山の街で飲むことになっている。幼少から学生時代までを過ごした懐かしい街だ。


新開 孝

蛾の繭、2種 2005/08/14(その2)
 先日、港区での昆虫調査で見つけたキノカワガの繭(写真上)。キノカワガの繭が着いていたのはカキの葉裏であった。繭には直線上に合わさった羽化口がしつらえてあって、そこを押し開くと中の蛹が見える。流線型をしたこの見事な繭の形状を眺めていると思い起こすのがウスタビガの繭「ヤマカマス」(写真下)だ。
 写真のウスタビガの繭も上部の羽化口から中に入っている蛹の頭を見る事ができる。キノカワガとウスタビガの繭は構造的によく似ている。ただしキノカワガの繭にはヤマカマスの繭底にあるような水抜き穴はない。
 さて、じつはこのウスタビガの繭の方は一週間ほど前に山梨県の山中で見つけたもの。ウスタビガ幼虫は6月ころに繭を造るが、夏の間は蛹のままで夏眠し、成虫が羽化するのは11月以降である。夏の林で梢に隠れた夏眠中の繭を見つけるのは容易ではなく、私もこれまでに探して見つけることができたのは数例に過ぎない。今回の繭はまったくの偶然で目に入ったもの。


『四国、九州への遠征』

 明日からしばらく新開は四国、九州を巡ります。
九州では再び阿蘇へ行きますが、ツツガムシ病、日本紅斑熱病などへの対策はきちんとしたいと思います。先月はけっこう辛い思いをしましたから。
 最近、国内のホテルにはパソコンさえ持ち込めばLAN接続できるところが増えてきました。ですから事前にそういうホテルを選べばいいのですが、今回、四国で滞在する私の実家ではそういう通信環境は望めません。なんといまだにダイヤル式の黒電話なのです。ジーッコ、ジーッコと丸いダイヤルを回す電話機なんて、今では探すのも難しいくらいではないでしょうか。 新開 孝
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